MIDI打ち込み講座

E.Guitar-ギター奏法の基礎知識

スラー系の奏法
 ギターは、楽譜に書くとスラーで表される表現が様々な方法で可能な楽器である。スラーとは、違う音程の音を滑らかにつなぐことだが、ギターの譜面にはどういう奏法でつなぎなさいと指示が書いてあるのが一般的である。
 ハンマリング(・オン)
 ある音を弾いた後、同じ弦のそれより高いフレットを、左手の指で叩くように弦を押して音をつなげる。打ち込み方法は、A.Guitar編と同じで良いだろう。
 プリング(・オフ)
 左手の指で弦を押し、ある音を弾いた後、弦を押している指を弦に少し引っかけるように離して、それより低い音につなげる。これも打ち込み方法は、A.Guitar編と同じで良いだろう。
 スライド(グリッサンド)

 鍵盤楽器では、白鍵、黒鍵、その混ざり、指先、手の平などで、複雑なグリッサンドが可能である。ギターの場合は、左手の指で弦を押し、ある音を弾いた後、弦を押している指を平行に他のフレットに移動し、音程を変える。高音へのグリッサンドは短音またはせいぜい3音以内で、最初に弾いた音からフレットに添って半音ずつ音程を上げる。低音に向かう場合、短音、数音またはCodeの押さえた形(ギターコード)で半音ずつ音程を下げる。鍵盤ではあまり行わないと思うが、半音グリッサンドも多用される。この場合、ハンマリング・オンやプリング・オフと音としては同様であるが、実際の演奏を聴いた感じはまったく違うものに聞こえる。
 その謎解きの一つは、指がフレット上を滑っていくため、押さえているフレットの間では弦のテンションが強く、正確な音程であるが、フレットの上に指が移動したときはテンションが弱くなり、次のフレットの間でまた強くなり・・・・。シンセで言えば、ピッチ・ベンドやポルタメントのステップが0でもなく1でもない曖昧な感じになるからだ。また、早く移動したとき、強く押しつけたまま、徐々に弱くなどによってもいろいろと表現できる。
 ただし、指が移動している間にサステインは短くなって来るので、打ち込みでは、そのことも考えて入力する必要がある。

おとのうんちく
 スライドとグリッサンドの違い:これは、演奏者や楽譜を書いた人によって捉え方が違うが、ギターの場合一般的に、スライド=前の音(または片方の音)のみピッキングする場合が多い。つまり、2つの音符がスライドで繋がっていると、最初の音だけ弾いて指をスライドさせて目的の音を出す。その時、その音はピッキングしない。グリッサンド=その前後の音両方をピッキングする場合が多い。つまり、2つの音符がグリッサンドで繋がっていると、最初の音を弾いて指をスライドさせて目的の音をもう一度ピッキングして出す。グリッサンドが次の音に繋がっていない場合は、終わりの音がないので適当なところで終わる。
 スライドは目的の音がある場合、グリッサンドは適当な音に、と使い分ける場合もある。

 チョーキング(ベンディング)
 弦を押している指をそのフレット上で、上または下に動かして弦を曲げるようにテンションを変えて音程を変化させる。上または下とは、普通1、2、3弦(、4弦も)は上に指を伸ばすようにして、ベンドをかけるが低音の5と6弦は、上に上げると指板が無くなってしまうので、指の腹で下に握るようにベンドする。キーボードのベンダーは、高音側にも低音側にも音程を変化させられるが、ギターに場合は基本的に高音側への変化しかできない。どうしても低音側への変化が欲しい場合は、あらかじめチョーキングしておいてから、その音を弾いた後指を元に戻す(チョーキング・ダウン)か、次のアームを使う方法しかない。ギターリストの中には、糸巻きをゆるめて低音側へ変化させる人もいたような。
 ギターの場合、実際にはフレットと弦が擦れ合うことで、微妙な音色の変化が生まれている。これは4から6弦のWound(芯になる弦に細い弦が巻いてあるやつ)弦では、かなり強烈である。ただし、打ち込みではここまで表現することは不可能だし、ギター弾きの職を奪うようなことは・・・・。
 打ち込みで、チョーキングを表現したい場合は、ピッチ・ベンド・センシティビティを2音半にセットしておくと良いと思う。
 アーミング(アーミーバー)
 E.Guitarの弾く側の弦の付け根に、ぷらぷらぶら下がってる金属の棒を見たことがあるでしょう。あれです。
 フェンダーのストラトキャスターなどに付いている。要するに、あれが付いていないギターでは、この演奏法は出来ない。構造は至って簡単で、ギターのボディ側の弦を押さえている部分、ブリッジが浮いている構造になっていて、そこにあの金属の棒(アーム)が付いている。ブリッジは、ボディの裏で5本のバネで固定され、アームを動かすと弦のテンションが弱まって、音が下がるという仕組みだ。糸巻きをゆるめて低音側へ変化させるのと似たようなもので、アームを元に戻せば、裏のバネでものと音程に戻る。多用すると、チューニング自体が狂ってしまう場合もあり、それで、アームを使わないジェフ・ベックやクラプトンは、アーム自体を外している。逆にアームをフルに使いたい人は、裏のバネを3本くらいに減らして、もっと下がるように改造したりしている。アーム使いの代表は、おとの大好きなジミヘンでしょう。一度、先生のビデオを見てください。ほとんどアームだけで演奏しているシーンなど、感動ものです。
 前置きが長くなりました。シンセのピッチ・ベンダーと同じだと思ってもらえばいい。この奏法は、チョーキングの逆で、原則的に低音側への変化しかできない。また、コードを弾いてアームを動かすと、各弦のピッチの動く幅が違うので、シンセのピッチベンダーとは違ったニュアンスになる。ちなみに、普通の構造の場合は、1弦から6弦でだいたい2:3:4:3:4:5の比率の変化をするそうだ。打ち込みでは、各弦を別々の音源に設定して、ピッチの変化をシミュレートすることも可能だが、そこまでやっても大した効果は得られないだろう。
 打ち込みで、アーミングを表現したい場合は、ピッチ・ベンド・センシティビティを1オクターブにセットしておくと良いと思う。

ビブラートの奏法
 ビブラートは、音の強弱(大小)で表現していると思っているとそれは間違い。実は、音の高低で揺れを表現するのがビブラートで、音の大小はトレモロと何かの本で読んだ気がする。間違いだったら指摘をお願いします。人の声のビブラートは、本当に音の高低か?と、以前チューニング・メータで試したことがあったが、結果はどうだったか記憶にない。今は、チューニング・メータを買うお金がないので試しようがない。
 「チューニング・メータ買ってもいい?」「なんで?。ピアノで合わせればいいじゃない」「いや、実は自分の歌のビブラートが、音の高低かどうか知りたくって」「そんなに音程、良かった?」・・・・・
 チョーキングでビブラート
 基本的に、弾いた音より高音側に変化するチョーキングを使うビブラート。正しいピッチより上に揺れる事になる。一般的に、E.Guitarの演奏で使われるビブラートは、この方法である。おとの学生時代の親愛なるギターリスト孝は、以上にこのビブラートが上手く、ついエッチな想像をしてしまった。あのテクがあれば、・・・・。
 アーミングでビブラート
 アームがあるギターに限られるが、ビブラートが可能である。この方法では、音程は上でも下でも上下に揺れることになる。チョーキングによるビブラートより、音程の変化が大きいので、独特の揺れが表現できる。おとの腐れ縁のギターリストZOZO氏は、この方法を多用していた。リッチ・ブラックモアの気分だそうだが、Highway・Star以外の演奏を聴いたことがない。
 クラシック・ギターなどで使われる横に動かす方法
 弦を押した指を同じフレット間で横に動かす方法。おとは、この方法は音の強弱を付けているものとばかり思っていたが、それは間違いだった。実は、横に動かすと弦のテンションが変わるため、ピッチが上下に揺れて音程が変化しているのだそうだ。しかし、上のふたつの方法に比べると、ピッチの変化は小さい。実験してみたい!!。
 ビブラートをかける場合、モジュレーション・ホイールを使う方法と、ベンダーを使う方法がある。モジュレーション・ホイールだと一定のビブラートを出すためには優れているが、ギターのビブラート、特にアームを使ったビブラートはベンダーを使うことでかなりその効果が出せる。どちらかというとステージ向きの技かもしれない。

MIDIで表現できるその他の奏法
 そのほか、ギターの演奏方法は限りなく多い。その大半が、音質を変化させるものであり、このサイトが目指しているデータをどうこうしてもどうにもならない部分がある。例えば、ピッキング・ハーモニックスを表現したくとも、データを入力して倍音だけ残すように音源側にデータを送るのは至難の業である。出来るのかな?
 それで、出来そうなものだけ紹介する。
 カッティング
 これも打ち込み方法は、A.Guitar編と同じで良いだろう。ただし、A.Guitarがあまり発音しないのに対し、E.Guitarはきっちりと音を出すように、ノート・タイムを調整して見よう。
 バイオリン(ボリューム)奏法
 ギターのピッキングの音、つまりアタック音をボリュームを下げて消し、その後ボリュームを上げてバイオリンのように聞かせる奏法。音量つまみに指(主に小指)が届くようなギター(フェンダーのストラトキャスターなど)は右小指をボリューム・ツマミに引っかけるようにして、ピッキングした後ツマミを回す。手入れの悪いギターでは、ここでガリがでる。指が届かないギターでは、ボリューム・ペダルを使用する。
 MIDIで打ち込む時は、Expressionの値を変化させて行うとよい。チョーキングやアーム奏法との併用で、よりギターらしくなる。
 ディレイ技
 「山びこ」とか「こだま」のように、弾いた音が何度も跳ね返ってくる効果が出るエフェクターがギターでは定番である(だった?)。ディレイ(delay)を日本語に訳すと遅延となる。初期のディレイは録音テープを使ったもので、録音ヘッドと再生ヘッドが別々の構造のデッキで行っていた。テープが移動し音が録音される。その位置が再生ヘッドに来たとき再生される。再生された音がまた録音され、それが再生、それが録音、再生を繰り返し「山びこ」を作る。この場合、「山びこ」が聞こえるまでの時間(遅延時間)はテープ・スピードと録音・再生ヘッド間の距離で決まる。
 この原理を、電気的に処理したのが、アナログやデジタル・ディレイと言うエフェクターである。このエフェクターの設定は、次の音がでるまでの遅延時間とその音量、山びこの回数を設定する。これによって、「ギュイーン、ギュイーン、ギュイーン、・・・」でも「ギュイーン、ギュイーン」でも自由に出来る。ただし、ディレイ音の音量と山びこの回数をあまり大きくセットすると、発振してしまう。
 残念ながら、GMなどのMIDI規格にはエフェクトにはディレイのパラメータはない。おとがVSC88を使った感じでは、コントロール番号の94か95でディレイが出せるようだが。同時発音数とトラックが許せば、他のトラックに発音ステップを少し遅らせたデータを入力するとディレイ効果が得られる。これは、完璧なディレイである。
 トレモロ奏法
 ビブラートもところにも書いたが、音の大小で音を揺らすのがトレモロだそうだ。一般的には、クラシックの名曲「アルハンブラの思い出」やマンドリンの弾き方などがこれに当たる。この方法は、MIDIでそのように入力してあげればよい。
 E.Guitarのトレモロは、別のエフェクトを示す場合が多い。おとがまだガキの頃流行った、グループ・サウンズやベンチャーズなどはこの効果を多用していた。この頃のギター・アンプには、確かトレモロと言うツマミが付いていたと思う。効果としては、ベンチャーズを聞いて欲しい。キーボードでいえば、ハモンドオルガンのレスリーを早く回転した感じに近い。この効果をMIDIで狙うには、ネット上をぼんやり眺めていたら、○○さんのサイトにありました。
 どこにあったか、忘れてしまいました。
 ボトル・ネック奏法(ハワイアン・ギター)
 ハワイアン・ギターを使えばハワイアンになるし、普通のエレキ・ギターを使えばロック、ドブロ・ギターを使えばブルースにもなるすごい奏法である。のっけから何かワカラン説明だが、ピンク・フロイドのビデオを見るとしっかりハワイアン・ギターを使っていたので、プログレッシブ・ロックにもなる。クロスロードという映画?を見たことがあるだろうか?あれである。
 全然ワカラン説明から入ったが、ボトル・ネックとはボトルの首、つまりwhiskyなどのボトルの首のことである。この細い部分を空手で「エイ!」と切る。別に空手でなくてもいいが、切ったところをヤスリで仕上げて右利きギターの場合は左手の人差し指、または小指にはめる。ピッキングしてこのボトル・ネックをフレット上で動かすわけだ。「ギュウイ〜ン」とね。ハワイアンなら「フ〜ぁワ」かな?。ボトルは、ストレートの首のものを選ぼう。音の大好物のテネシー・ウイスキーはダメみたい。くれぐれもボトルが指ら抜けない、なんて事にならないように。ボトルを切るのが面倒な人や、指の極太の人は、人差し指用と小指用の金属のボトル・ネックが売っているからそちらを使った方が無難だが。
 人差し指につけた場合は、残った指でミュートが出来る。つまり、2弦を演奏して1弦を演奏したいときに、2弦の音が鳴りっぱなしになるが、この切れ目で弦に触れて1弦の音を消音させ改めて2弦のピッキングが出来る。小指の場合は、あとの指が自由なので小指を立てた状態で(「ど・も〜チイママで〜す」)通常の演奏+ボトルネック奏法の荒技が出来る。人差し指と小指の2本差しの究極の技は、未だ見たことがない。
 めちゃめちゃ凄い奏法(上級者用)
MIDI力技 この奏法の最初に、「できるかな?」と書いたが、実はまだまだ色々とできるのだ。ただし、このサイトの目的は、「きわめて初心者向けかつ打ち込みに固執する」という前提で作成しているので省略する。色々と他のサイトを見ていると、ギターの入力に関する凄いサイトを見つけた。興味ある方は、訪問をお勧めする。
 実は、おとにはここまでやる知識が無いだけなのである。



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