MIDIについての基礎知識

第7幕

MIDIの4つの演奏モード
 MIDIでは、ポリ/モノ・モードとオムニ・モード・オン/オフの組み合わせによる4つの演奏モードが定義されている。

モード1

オムニ・モード・オン
ポリ・モード・オン

BnH, 125, 0
BnH, 127, 0

モード2

オムニ・モード・オン
モノ・モード・オン

BnH, 125, 0
BnH, 126, 0

モード3

オムニ・モード・オフ
ポリ・モード・オン

BnH, 124, 0
BnH, 127, 0

モード4

オムニ・モード・オフ
モノ・モード・オン

BnH, 124, 0
BnH, 126, M

 ただし、全ての楽器がこの4つのモードに対応しなければならないわけではない。シンセサイザーなどの音源の場合、ポリフォニックで動作するモード1またはモード3が基本となっており、受信はMIDIチャンネルを認識するモード3が使われることが多い。打ち込みには、必要ないが知識として理解しておいても良いのでは。
ポリ・モードとモノ・モード
 アナログ・シンセサイザーの演奏モードにはポリ・モードとモノ・モードがあった。モノ・モードは、シンセサイザーがまだモノフォニックだった頃の、効果的な演奏方法を再現するために用意されたものだった。今でこそ、色んな音色を一台の音源で、何音も出せるようになったが、最初のシンセサイザーは一音色で同時発音数も一音だった。こんな時代には、演奏能力とかセンスが問われ、それぞれのミュージシャンは独特の演奏方法を開拓していた。その流れを継いだのだろうか、MIDIにもポリ・モードとモノ・モードの切り替えが用意されたのである。
 ポリ・モードは、楽器をポリフォニックに演奏できるモードで、和音の演奏が行える。ただし、同時発音数は音源によって決まっているのでそれを越えて発音することはできない。これに対し、モノ・モードは、楽器をモノフォニックに動作させる機能である。
 アナログシンセの時代は、モノ・モードを使うことで、全ボイスを使って1音を発音することが出来るため、ユニゾンで演奏しても音に厚みが出来たり、表現力が増したりした。各ボイスが音的に不安定であったがためのなせる技である。しかし、最近のデジタル技術で作られた音は、各ボイスの微妙な音程の揺れが無くなったため、その効果はなくなった。今は、モノ・モードは、1音しかアサインされていないのが普通である。
 ただし、モノ・モードでは、次の音が演奏されると次の音が強制的にオフされるので、それを利用した演奏法が可能だ。たとえば、ギターのハンマリング・オンをステージで表現したいときには、このモードの利用が考えられます。もし、ポリ・モードで弾いた場合、リリースが消えるまで前の音が残っているのだが、モノ・モードではリリースが強制的になくなってしまうので近いニュアンスが出せる。また、リリースが無いので、一つ一つの音が明瞭になり、ソロ演奏などにも効果的に使用できる。
オムニ・モード

 オムニ(Omuni)とは「全体」とか「無制限」と言う意味を持つ言葉だそうだ。そして、オムニ・モードとは、MIDIの誕生と共に定義された、MIDIメッセージをMIDIチャンネルに関係無く受信するモードのことである。
 MIDIの出始めの頃、おとも何チャンネルか判らずに「音が出ない」と騒いだものだ。このチャンネルの不一致のため音が出ないと言う、初歩的なトラブルを防ぐために用意されたのがオムニ・モードだ。実際、MIDI規格でも、電源onの時にオムニ・モードをonの状態にするように推奨していたことがあった。おとの(本当は配偶者さんの)POLY800IIはこれを忠実に守っているので、電源を入れて設定をしないでシーケンスをスタートすると酷い目に合う。昔のシンセで、いい音がするからと購入したときは、このへんを気を付けてください。シーケンサーからの全チャンネルを受信して鳴り始め、パニックになり、音源のチャンネルをつい変更して鳴りやまなくなり、電源オフ!!。ビンテージモノの音源は、出きるだけ電源の入り切りをしない方が無難です。ボリュームを下げて、シーケンスをストップしてそれでも鳴りやまなかったら落ち着いて対処しましょう。
 今では、マルチ音源が主流なので、オムニ・モードは邪魔者ですね。

モード1 オムニ・オン/ポリ・モード モード4 オムニ・オフ/モノ・モード
<受信>
 MIDI入力されたチャンネル・メッセージは、受信チャンネルに関係なく演奏される。単純に接続して鳴らしたい場合は、チャンネルを気にしなくても発音されるので便利だ。購入したばかりの楽器をならす時とか、初心者向けのイニシャル・モードとしても有効である。
<送信>
 シンセサイザーの鍵盤で弾かれた演奏情報は、個々に設定されている送信チャンネル(ベーシック・チャンネル)で送られる。キーボードの送信は、このモードで行われることが多い。
<受信>
 MIDI規格書では、「ベーシック・チャンネルNからN+M-1までのボイス・メッセージを受け入れ、ボイス1〜Mまでにそれぞれ固定的に割り当てられる」と定義されている。全然、サッパリ解らないような定義だが、単純に言えばMIDIチャンネルを使ったモノ・モードと解釈しよう。各チャンネルは、モノ・モードだが、複数のチャンネルを認識できる。つまり、マルチ音源のチャンネルが全てモノ・モード、モノフォニック・シンセサイザーがチャンネル分入っていると考えればよい。
 Mと言うパラメータは、受信チャンネルの指定のために用意されたものである。Mによって何チャンネル分のデータを受信するかが決まる。受信チャンネルは、ベーシック・チャンネルから順番に自動的に割り当てられる。チャンネルは16を越えることは出来ないので、M-1が16を越えないようにベーシックチャンネルを設定しなければならない。
 これまでの説明で、ピントきた方もいただろう。モード4は、もとはと言えばギター・シンセを意識して作られたモードである。厳密に言えばギターは、弦が6本あるので独立した音源が6個必要である。ギターをポリフォニックのみで演奏した場合、一つの弦のハンマリング・オンやチョーキングの情報が、全ての音に影響して、"コード6弦弾きの1音半チョーキング"という人間技とは思えない究極の演奏になってしまう。
 しかし、最近ではモード4に対応した楽器はあまり見かけない。と言うのも、マルチ音源ではモード4を使わなくても、ポリフォニックのままギターの6弦に6チャンネルを割り振れるようになったからだ。
<送信>
 これも、ギターシンセと同じだと考えればよい。ギターシンセで和音を弾いた時に、6弦が別々の6チャンネル送られるように、キーボードで和音を弾いたとき、それぞれの構成音が別々のチャンネルに送られる。
 MIDI規格書では、「ボイス1〜Mまでに対するボイス・メッセージは、ベーシック・チャンネル〜M-1まで送られる」と定義されている。ただし、送信も受信もモード4の使用の機会はほとんどないと思う。
モード2 オムニ・オン/モノ・モード
<受信>
 モード1のモノフォニック版である。今ではほとんど使われなくなった。和音を弾いても、スレーブの音源は、1音しか発音しない。受信チャンネルに関係なく受信され、多くの場合は後受信優先になっているので、ノートオンが受信されると、前の音を強制的に止めてしまう。
<送信>
 モノフォニックで送信が行われるので、ポリフォニックでしか演奏できない楽器を、モノフォニックで演奏したい場合には有効である。こんな場合があるのか、ちょっと疑問だが。最近はモノフォニックの需要がほとんどなくなってしまったため、対応する楽器をほとんど見かけなくなった。
モード3 オムニ・オフ/ポリ・モード
<受信>
 MIDIチャンネルを認識して演奏するモードで、最近使用されているのはほとんどがこのモードである。マスター側の送信チャンネルと、スレーブ側の受信チャンネルが一致したメッセージのみ認識される。
<送信>
 送信に関しては、モード1とモード3は同じである。演奏情報は、送信チャンネルで指定されたチャンネルで送信される。

グローバル・チャンネル
 モード4のノート情報以外を共通で送る目的で定義されたものである。たとえば、ベーシック・チャンネルが2chでギターのCの和音を弾いたとしよう。この時、ギターの6弦は2〜7chがアサインされる。ギターをシミュレーションするためには、「打ち込み講座」にも書いたのだが、ステージではペダルを使うことが有効である。しかし、使ったチャンネル全てにペダル情報を送らなければならない。琴やハープのシミュレーションをするともっと大変である。(MIDIは16chしかないので出来ませんし、する人はいないと思います。)これでは効率が悪いし、メッセージが大幅に増えてしまう。
 そこで、各チャンネルに共通の情報を送るために"グローバル・チャンネル"が定義された。これによって、ノート情報以外のチャンネル・メッセージはグローバル・チャンネルで送り、全てのボイスに同様の効果をかけられるようになった。
 グローバル・チャンネルはモード4の場合、ベーシック・チャンネル-1、つまりベーシック・チャンネルが2chならば1ch、1chならば16chと決められている。しかし、マルチ・モードを持つ音源なら、グローバル・チャンネルを自由に設定できるものがほとんどだ。なお、通常は、グローバル・チャンネルは受信できない状態になっており、受信するためには設定を変えなければならない。
マルチ・モード
 マルチ・モードは、音源をマルチ・ティンバーで鳴らす演奏モードのことで、ポリフォニックで複数のMIDIチャンネルを受信する。以前は、通常の演奏モードから切り換えてマルチ・モードを選択していたが、最近の音源は、常にマルチ・モードで動くものが増えてきた。しかも、チャンネル・アサインがフレキシブルに出来るため、モード4よりはるかに使いやすい。このモードは、本来MIDI規格には定義されていないが、あたかもMIDIモードのように扱われるケースがあって、混乱が見られる。
 なお、マルチ・モードは、グローバル・チャンネルも自由に設定できる。


オムニ・モードとポリ・モード
オムニ・モード・オフ
Bn 7C 00
モノ・モード・オン
Bn 7E 00
 オムニ・モードをオフするためのメッセージ。この場合、常にMIDIチャンネルが有効で、ポリ/モノ・モードの選択によってモード3またはモード4となる。このメッセージは、オール・ノート・オフ機能を持っている。なお、2バイト目のデータ・バイトはダミーで認識されない。  モノ・モード状態にするためのメッセージ。2バイト目のデータ・バイトの変数Mは、オムニ・オフの状態で有効になる。通常、1〜16の範囲で、ベーシック・チャンネル+M-1も16を越えることは出来ない。従って、ベーシック・チャンネルが16の場合はいくらMを指定しても効果がない。
オムニ・モード・オン
Bn 7D 00
ポリ・モード・オン
Bn 7F 00
 オムニ・モードをオンするためのメッセージ。ポリ/モノ・モードの選択によってモード1またはモード2となる。このメッセージは、MIDIチャンネルおよびオール・ノート・オフ機能は無視される。なお、2バイト目のデータ・バイトはダミーで認識されない。 ポリ・モード状態にするためのメッセージ。



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