ギターを弾いている人はよくわかると思うが、カポのキーボード版である。「C#m G#m C#m C#m I A B
C#m C#m(吉田拓郎さんの 落陽のイントロ)」注1があったとする。このまま弾いても良いのだが、手元にカポがあった場合はおもむろにカポ4(4フレット目)にカポをセットして、「Am
Em Am Am I F G Am Am」と演奏する。ギターリストの意識ではこの時は、「Am Em・・」であるが、発音しているのは確かに「C#m
G#m ・・」である。ギター本来のキーから4音分高い音にトランスポーズされているのだ。
キートランスポーズはギターだけではない。たとえばアルトサックスは、C(一番低いド)が実はE♭注2であり、テナーサックスのCはB♭である。金管や木管楽器のほとんどは、CはCであるかE♭もしくはB♭である。スコアー譜を、アルトサックスで演奏する場合、頭の中でキートランスポーズするか書き直して吹かなければいけない。Windシンセで演奏する場合などは、そのままの譜面で演奏することが出来が、その曲がアルトサックスのために作られている場合、CがE♭であるため運指がとてもし辛い。そこで音源側をキー・トランスポーズして運指を行いやすくする。サックスなどの楽器は、楽器によって演奏し易い調と演奏しにくい調がある。E♭やB♭調は演奏しやすいのである。この調から#が増えていく調は運指が割と楽だが、♭が増えていく調は難しくなる。おとだけかもしれないが。サックスやペットなどが主役の曲は、変な調で鍵盤奏者にとっては弾きにくいのはそのためである。鍵盤もE♭やB♭にキー・トランスポーズすると、弾きやすくなるかもしれないし、サックス奏者の心境がわかるかもしれない。