MIDI打ち込み講座

音を出すタイミング編

はじめに
 この音楽はノリがいいとか、ノリが悪いとかいう。また、コンピュータなどで作った音楽は、機械的だとか言われることもある。機械的をめざした音楽は別にして、音楽のノリをよくするのには、どんな工夫をすればいいのだろう。何となく、タイミングと関係があるような気がする。その辺を考えてみたい。
 まず、音を出すタイミングに注目してみよう。同じように鍵盤を弾いても、音色やテンポによってその聞こえ方は様々である。生楽器を演奏するときは、演奏者はその楽器の個性や持ち味を知っているので、無意識のうちにタイミングをとって音を出しているわけである。しかし、今回の目的は「打ち込み」にある。つまり、音を出すタイミングを意識的にコントロール、つまりデータとして入力してあげる必要がある。今回は、その辺の研究をしてみよう。
タイムベース いろいろなMIDIシーケンサーに対応するため、タイムベースは「48」(四分音符=48)
ゲートタイム 最初はステップタイムの80%位の数値を入力している。
ベロシティ 全て「105前後」で入力している。
エフェクト 適当にかけています。

 自分の音源で聞いてみたいという方は左のボタンをクリックしてください。DOWNLOAD出来ます。大したデーターではないですけど。
 Note_on.sit(8k)Norton AntiVirusでチェック済み

下手な演奏が表現できるのなら/実験1

 まず、この演奏ですが。下手ですね。おとの手弾きより上手いですが。人間味があると言えばそれまでですが、この演奏を人に聴かせるとなるとちょっとためらいます。しかし、下手な演奏が表現できると言うことは、逆に言えば上手い演奏も表現できると言うことではないでしょうか。

 ステップ・タイムつまりノート・オンのタイミング以外、何もいじっていません。ベロシティーもゲート・タイム(ノート・オフ)のタイミングも上のデータと一緒です。上手くなりましたね。データは、頭の4分音符がジャスト、8分音符が1ステップ早く打って食いつかせて、最後の4分音符と8分音符は1ステップ遅らせて重みを出しています。本来なら、ベロシティーやゲート・タイムを変えればもっと良くなりますが。

 最後に、ジャストのタイミングにしてみました。上のデータとあまり変わらないような気もするし、こっちがいい、上がいい、色々あるでしょうが、とにかく発音のタイミングを変えることでノリが表現できることがわかったと思います。


ジャストからタイミングを変化させてみると/実験2

 この演奏ですが。ジャストのタイミングです。ここから発音タイミングを少しずつ早めていきます。

 まず、1ステップ早くします。すこし演奏にスピード感が出てきたような気がしませんか?

 次に、3ステップ早くした演奏ですが、早くするに従ってスピード感が増してきたような気がしませんか?

 最後に、5ステップ早くした演奏ですが、ここまで早くすると落ち着きが無くなり、むしろ変な演奏です。つまり、発音タイミングを早くすることでスピード感を増すことが出来ます。

 今度は逆に、発音タイミングを遅くしていきます。まず、1ステップ遅くするとどうでしょう。少しゆったりした感じになります。

 次に、3ステップ遅くした演奏ですが、ゆったりとした落ち着いた雰囲気になります。少し重いような気がしますが。

 最後に、5ステップ遅くした演奏ですが、ここまで遅いと、また変な演奏です。つまり、発音タイミングを遅くすることでゆったり感や重みを増すことが出来ます。
 では実際の打ち込みでどのくらい早く、遅くすればいいのだろうか。これは、曲調やテンポによってだいぶ違うし、個人の好みによっても変わる。また、他の楽器のバランスによっても変わってくる。アップテンポのノリの良い曲だから早くするのではなく、遅くした場合が良いこともある。
 シーケンスソフトによっては、クロック・ムーブとかタイミング・シフトとか言うコマンドを使って、わざと全体をずらしてみて決める方法が使える。その機能がないシーケンス・ソフトの場合は、1小節目の休符で調整(小節はずれますが)する方法で頑張ってみよう。実際に聞いてみて、最適のタイミングを探す。そして、違和感のある音は、微調整をして最良のずらしを探ってみよう。




音色と発音タイミング/実験3
ブラス(Horn)系の音色

 ブラス系の音色は、立ち上がりか結構早くできているので、ジャストのタイミングで打ち込んでそのまま使っても、そんなにおかしくはないはずです。

 1ステップ早くします。すこし演奏にスピード感が出てきたような気がしませんか?
 ブラス系の音色は、アタックが早いといっても立ち上がりに、ある程度時間がかかる。そこから先のディケイ部分も特徴的だ。特にアタック部分が大切で、このエンベロープが完了して、初めてブラスの音だと耳が判断できる。
 そこで、発音タイミングを少し早めに移動して、アタックの立ち上がりのピークをジャスト・ポイントの近くに持ってくるようにしてあげると、ノリが良くなるようだ。さらにタイミングを早めるとピアノの音色と同様に、スピード感が出てくる。いわゆる食い付きの良いブラスになる。また、曲によっては少し遅らせてダルな雰囲気を出す事も出来る。こうすることで、バラードやレゲエ等にマッチする場合があるだろう。
ストリングスの音色

 ストリングスは、アタックが無く鍵盤を押した時点から徐々に音量・音色が変化するエンベロープが一般的です。中でも、このサンプルのストリングスはスロー・アタックでジャストのタイミングでは相当遅れて聞こえます。

 まず、タイミングをずらさないとかなり遅れて聞こえていますから、ここでは3ステップ早くしています。少し気持ちよく聞こえるでしょうか?
 白玉系のバッキングやバラードなどのテンポの遅い曲、この雰囲気を意図したメロディーに使うなら、ジャストのタイミングでまったく問題ないと思う。色々いじるより、音色を変えることに集中した方が良いかも。サンプル曲のような場合、気持ちよく出すにはやはり、少し前に出すしかないだろう。このような例で、スロー・ストリングスを使うのも考え物だが、3ステップ前に出しただけで、使える気がしませんか?
 ストリングスのリリースが短い場合には、それでもギクシャクして聞こえることがある。その場合は、音が濁らない程度にリリースも調整してやるとよい。
マリンバなどの音色

 マリンバなどの減衰の短い音色は、なぜかジャストでは遅れて聞こえてくることがあります。

 1ステップ前に移動しました。
 減衰の短い音色をシーケンス・フレーズ的に使う場合は、ジャスト・ポイントでは遅れて聞こえる場合がある。これは、アタックが速くディケイの短い音色に耳が付いてこれずに、音源の発音遅れやばらつき等が目立ってしまうから。この場合、発音タイミングを少し前に持っていくことで良くなるだろう。



他の楽器とのバランス/実験4
 ドラムやベースのリズムに対して、ジャストな状態で何も問題のない音色でも、わざと突っ込ませたり遅らせたりすることでノリが良くなることがあります。一般に早いタイミングでスピード感が増したように聞こえます。

 ドラムとベースのリズム楽器に、ギターとピアノのウワモノ、中間にブラスを入れてみました。

 ドラムは「打ち込み講座/ドラム編」で書いたスネアだけ1ステップ遅らせて、ベースとギターはジャストです。ピアノは1ステップ遅らせて、中間のブラスの短い音符だけ1ステップ速くしてあります。どうですか?
 ただ、単純に発音タイミングを変えることでこれだけ表現の違う音楽が出来きる。早くする遅らせると言葉では簡単だが、実際にやってみるとなかなか難しい。何度かいじくってやってみて、こういう楽曲のこういう雰囲気では、このようにと言うパターンが掴めれば楽なのだが。
 やはり手弾きが一番。いわゆる「楽器で歌う」と言われているやつ。でも、おとのように弾けない人は、打ち込みで何とか頑張りましょう。そのための、打ち込み講座!!!



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