MIDIについての基礎知識(少し上級編)

第2幕

システム・エクスクルーシブ・メッセージ
 MIDI規格自体は、楽器の機能を制限して画一化しようとするものではない。しかし、規格化とは、ある意味で個性の封じ込めになる。各楽器や音源には、それぞれ固有の機能がありそれが特徴となってしかるべきだ。各メーカによって音源の音色パラメータやシーケンサーのダンプ・データなど、方式が違うわけだから、メーカーによって異なるのも当然である。このような固有のものまでMIDI規格で規格化することは出来ないし、またすべきではない。しかし、共有できないものはMIDIデータとして遅れないのでは発展性がない。
 そこで、このような統一できないメーカー固有のデータを送るためのメッセージがMIDI規格で用意された。これがシステム・エクスクルーシブ・メッセージである。
エクスクルーシブ・メッセージ F0 ID 〜F7

 エクスクルーシブ・メッセージは、ステータス"F0"とエンド・オブ・エクスクルーシブ"F7"の間に必要なバイト数のデータを挟んで送信される。ただし、"F0"に続くデータの1バイト目はメーカーIDと定義されている。その後のデータ・バイトはIDを登録したメーカーの自由であり、何バイト使おうがどのようなデータ・フォーマットを定義しようが構わない。

●メーカーID
 エクスクルーシブ・メッセージを使用するには、メーカーIDをJMSCに申請しIDの登録を行う必要がある。また、JMSCの内部規約ではIDが与えられて1年以内にそのエクスクルーシブを使用した商品を出し、内部フォーマットを公開しなければならない。公開されるということは、誰でも使用することが出来ることだ。ただし、そのIDフォーマットを勝手に変更して使用したり、新規に追加する行為は、IDの与えられたメーカのみである。
 一応メーカーIDは、"01〜1F"がUSAのグループ、"20〜3F"がヨーロッパ、"40〜5F"が日本の住み分けになっているそうだ。またIDが"7D"、"7E"、"7F"はこのあとに説明するユニバーサル・エクスクルーシブに割り当てられている。
 IDはもともとハードウエアーのメーカーに与えられるものだったが、その後ソフトメーカの要求も現れた。音楽ソフト独自の機能を保存したり、関連ソフトへ転送したりするためだ。そのためIDが1バイト、つまり128種類では足りなくなる可能性が出てきた。そこでIDの"00"を拡張用としてキープし、"00"の場合はその後ろの2バイトを拡張IDとした。ソフトメーカの多いアメリカでは、拡張IDを多く使われている。

●デバイスID
 エクスクルーシブ・メッセージは、基本的にマスターとスレーブが1対1、つまり2台のみがMIDIケーブルで接続されている事を前提として作られている。従って、おとのシステムのようにスルーボックスやパッチベイを使って複数の同じ楽器が接続されていた場合、それを区別する方法がない。本体のエクスクルーシブ受信スイッチで楽器を選ぶしかなかった。
 エクスクルーシブ・メッセージはシステム・メッセージの一つなので、当然MIDIチャンネルの規定はない。しかし、多くのメーカーは内部フォーマットとしてIDの後ろにデバイスIDといったパラメータを準備している。これはMIDIチャンネルに相当し、ベーシック・チャンネルと連動している場合が多い。エクスクルーシブ・メッセージといえども、受信にはMIDIチャンネルを一致させる必要があるが、それで楽器を区別できる。
 このデバイスIDは過去にはMIDIチャンネルと呼ばれていたこともあったが、MIDIチャンネルが"0〜F"であるのに対し、デバイスIDは"00〜7F"まで可能なので、混乱しないようにこの名称で呼ばれるようになった。

●チェックサム
 エクスクルーシブの重要な機能と大量のデータを送ることが多い。そのため、転送ミスを防ぐ目的からエンド・オブ・エクスクルーシブ"F7"の前にチェックサムが置かれている場合が多い。その計算方法は、メーカーによって異なる。音色パラメータの転送には必ずついており、チェックサムまで正しく送り受信できないと、音色は切り替わらない。
 身近には、商品に付いているバーコードの終わりにもチェックサムがついている。付いていなければ、レジで「ピッ」とやられて、読み込みエラーで1本25,000円の缶ビールを買わされることになるぞ!

●チェックサム
 エクスクルーシブ・メッセージの終わりは"F7"である。これは、EOXと呼ばれている。EOXは、コモン・メッセージに定義されており、エクスクルーシブの終わりには必ず送信しなければならない。

エクスクルーシブのメリットとデメリット
 エクスクルーシブ・メッセージは、応用範囲が広く最近のDTMの分野では特に有用である。パソコンと音源の接続では、複雑な音色パラメータのエディットも効率よくエディットできるようになった。それも、画面にわかりやすくグラフィック表示させることによって。これらのほとんどは、パソコンからエクスクルーシブ・メッセージを音源に送って、音源パラメータを変化させているものだ。また、これまでは互換性のなかった他のメーカのデータも共有できるようになってきている。
 エクスクルーシブ・メッセージは一度に大量のデータを送信することが多い。音色パラメータをエディットする場合などは特にである。そのため、送信や受信にある程度の時間が必要で、他のMIDIメッセージとは特別扱いされる。「曲中に入れない」とか「送った後は十分時間を空けて、次のメッセージを送信するように」とかである。
 ほとんどの音源は、エクスクルーシブ・メッセージを受信するかしないか、スイッチが用意されている。通常は、受信しないようにオフにされていることが多い。特に、古い音源ではそうだが、最近の音源は?。それというのも、エクスクルーシブ・メッセージは、モード・メッセージよりも重要な楽器の機能を変更することが多いためだ。間違えて、プリセット・メモリーやせっかく作った音色を、書き換えてしまうことだってあるのだ。



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