(2000年2月20日開設、2012/1/19修正)

1.フルートコンソートとダンス
 震災、台風、節電、異常気象、円高と暗いニュースばかりが続きますが、こんな時こそ音楽の力で元気にならなければと、日夜頑張っております。でもほんのちょっと張り切りすぎて、勢い余ってドアにぶつかり、人生初の骨折を5月に経験してしまいました。診断は左足中指骨折で全治一ヶ月。ダンスを踊ったソフィオ・アルモニコの千葉公演後だったのは不幸中の幸いでしたが、同様のプログラムが一ヶ月後にあり、周りの皆さんにはご迷惑をおかけしてしまいました。
 この公演はダンサーだけでなく役者さんも交えて小劇のスタイルだったので、ダンスは大幅に減らしてもらいましたが、代わりになんと演技をすることになってしまいました!舞台設定は16世紀フランス、カトリーヌ・ド・メディチと3人のアンリをめぐるお話で、私はギース公アンリの役を仰せつかりました。演技をするなんて小学校の学芸会ぶりで、こんなど素人がいったいどうなることかと思いましたが、やってみれば意外に楽しく、本人的にはかなりノリノリで、貴重な体験となりました。でも30分程度とはいえ、舞台の流れを暗記し、演技と演奏、そしてダンスを両立させるのはど素人にはかなり高いハードルで、もう脳みそが沸騰しそうになっていました。

横浜古楽まつりでギース公アンリを演じる。右はパリのカルヴァナレ博物館で見つけた本物のギース公

2.フルートの肖像 No.6 「テレマン/パリ四重奏」
7月にはフルートの肖像の第6弾として寺神戸さん、上村かおりさん、上尾直毅さんとパリ四重奏曲の全曲公演を行いました。1日で2公演はこれまでと同じでしたが、2公演が違うプログラムというのは初の試みで、一人で練習をしていると、楽譜をめくっても、めくっても終わらず心が少し折れかけてしまいました。でも、リハーサルが始まると気分は一転、あまりの楽しさに、ああ、みんなと一緒にずっと吹き続けていたいと思うほど濃密で贅沢な体験をすることができました。彼らと語り合う音楽の会話は、言葉の会話よりももっと根源的で、とても深いところで同じ感覚を共有する喜びにあふれていました。これぞ音楽家の醍醐味。きっとその感動は聴きに来て下さった方にも伝わっていたに違いないと思います。やっぱり音楽はいいですね!

3.ヨーロッパでの夏の1ヶ月
          (→
NEW「近況のご報告」をご覧下さい。写真が一杯です!)
 8月は節電を兼ねて日本脱出をし、約一ヶ月もヨーロッパに行っていました。最初の1週間はイギリスのケンブリッジでルネサンス音楽の講習会を受け、次の1週間はパリを拠点に純粋な観光を楽しみ、最後の2週間はバッハ・コレギウム・ジャパンのフランス、ドイツ・ツアーでした。詳しい旅行記はこちらをご覧ください。久々のヨーロッパ長期滞在はいろんな成果がいっぱいあって本当に楽しかったです。とってもすっきりとリフレッシュして戻ってきました。

4.福岡古楽音楽祭の周辺
 9月は福岡古楽音楽祭がありました。今回のテーマは「歌」だったため、音楽祭自体ではバッハのロ短調ミサ曲以外で私は演奏の機会がありませんでしたが、福岡の古楽愛好者のすそ野を広げるために、チェンバロの水野直子さんと一緒にアウトリーチ活動を頑張ってきました。
 まず行ったのは6年ほど前に大宰府天満宮の近くに新設された九州国立博物館。ガラス張りで天井高23メートルの巨大なエントランス・ホールで演奏をしました。博物館の担当の方はちゃんと業者を呼んでPA音響機器を設置するからマイクで演奏してほしいと言われましたが、自然の音を知ってほしかったので断固として拒否。結果としては担当者からも、音が小さいと逆にみんながなんだろうとどんどん近づいてきて、すごく集中して聴いている感じがよかったと言っていただき安心しました。フルートの発展の流れを知ることで音楽と歴史のかかわりについて考えてほしいと思い、中国の笛や篠笛、ルネッサンスから現代まで様々な笛を吹き、時代によってほらこんなに楽器の音量も音色も変わっていくのよ、ということをデモンストレーションしたかったので、もしマイクを使ったらその説明があまり意味のないものになるところでした。自然の音の良さを皆さんにわかってもらえて本当によかった。
 翌日は博多小学校内にある「表現の舞台」というところで地域の人たち向けに演奏しました。博多小学校は、ドーナツ化現象で子供数が激減してしまった博多駅周辺の4つの小学校が合併してできた新しい学校です。ベビーブーム世代の私が福岡で小学生だったころですら、すでに新入生が10名以下となった学校もあって合併は時間の問題と言われていたのですが、4校も合併してようやく一校と聞いてびっくりしました。私が通っていた小学校の隣の校区ももうすぐ3校が合併するそうで、私の母校もなくなってしまったりしないか、ちょっと心配です。
 博多小学校は「学校はまち・まちは学校」という新しいコンセプトのもとに学校と公民館が一体化して建てられており、「表現の舞台」はその一環として作られた階段状の多目的な部屋でした。壁の一方は福岡市中心部の大通りに対して全面ガラス張りとなっていて、道を歩いている人たちに演奏会の様子が丸見えというのはちょっと不思議な感覚でしたが、天井が高いため響きはよかったです。


福岡市の博多小学校「表現の舞台」でのコンサート。チェンバロは水野直子さん

 その後、城浜小学校と、原小学校の2校でも公演を行いました。世界の笛やいろんな時代のフルートを演奏したり、ペットボトル、ストロー、ほうきやおトイレずっぽん(正式名は忘れましたが、詰まった時に使うやつですね)などで手作りした笛を吹いたり、生徒さんにソファミレというオスティナート・バスをリコーダーで吹いてもらい、私がその上でパッサカリアをふいたり、パワーポイントでヨーロッパのイメージ映像を見ながらフランス・バロックを聴いてもらったりしました。子供たちの興味深そうなキラキラした瞳を見ているとこっちもなんだか吹きながらうれしくなってきました。知らないことを知るって楽しいですね!
 城浜小学校は、学校に入るといたるところに英語や中国語、韓国語などの表示があり驚きました。話を聞くと、今は移転してしまいましたがもともと九州大学が近くにあったため、校区内の公営団地に多くの留学生が未だに住んでいて、全児童221人のうち61人の生徒さんが外国人なのだそうです。宗教によって食べられる給食も違ったり、連絡事項など保護者とのコミュニケーションが難しかったり、先生方はご苦労も多いそうですが、公立校ながらそんな国際的な環境で学べるというのはいいですね。
 音楽祭の後は唐津の隆太窯で音楽祭に参加された歌の平井満美子、リュートの佐野建二さんと一緒に、ダウラント、そしてパーセルなどのコンサートをさせていただきました。お二人とご一緒させていただくのは今回初めてでしたが、平井さんの歌は情感豊かでとても熱かったです。お二人の素敵な世界のお邪魔になってしまわないようにともう必死でしたが、一緒になってドロドロ暗くなっていく感じがとても楽しかったです。

5.仙台での震災支援チャリティーコンサート
 10月には仙台で震災支援チャリティーコンサートを行いました。仙台には縁があって年に2〜3度トラベルソを教えに行っています。最初は1人から始まったレッスンですが、6〜7年の間にいつの間にか人づてに集まってきて、最近では山形、福島などからも毎回5〜8人の方がソロやアンサンブルのレッスンを受けにいらしています。今回の震災では、女川で家も職場も失った方など、皆さんそれぞれに大きな物的、精神的なダメージを受けていらっしゃいました。
 私にできることなんて本当にわずかですが、それでもコンサートを聴いて少しでも生きる気力を取り戻していただければ、音楽っていいなという心の余裕を取り戻してもらえればと思い、レッスンにいらっしゃっている方々にチャリティーコンサートの相談をしたら、皆さんで手伝ってくださるということで、今回の公演が実現いたしました。
 無料のコンサートのため、当日までいったいどのくらいのお客様が来て下さるのか全く分らず不安もありましたが、約200名もの方が聴きに来て下さり、大盛況となりました。またたくさんの募金もいただきありがとうございました。コンサート後皆さん晴れやかな顔でお帰りになっている姿を拝見でき、仙台で演奏できてよかった、皆さんに聴いていただけて本当によかったと思いました。
 公演後は多賀城に住む知人宅に泊めていただいて、震災の時のお話をいろいろ伺い、また翌朝は車で津波で甚大な被害を受けてた近くの浜の方まで連れて行っていただきました。中身ががらんどうとなった巨大な工場跡、まるで石垣のように高く集められた廃車、土台しか残っていない住宅地など、あまりに日常からかけ離れた想像を絶するお話や風景ばかりで、ただただ言葉を失ってしまいました。
 人間って本当にちっぽけで無力すね。でも、人間はしぶとい!人間の生きる力の強さを私は信じています。少しでも早い東北の復興を心から応援しています!!


チャリティーコンサート会場のカトリック仙台北教会

6.ソフィオ・アルモニコ「レオナルド・ダ・ヴィンチのクリスマス」
 12月25日(日)のクリスマスにはルネサンス・フルート・コンソートの公演を目白のギャラリー鶉(じゅん)で行います。 ギャラリー鶉は3年前の12月にソフィオ・アルモニコの旗揚げ公演をした場所でもあります。まずはやってみないと始まらないと、分からないなりに無我夢中でしたコンサートでした。純粋な演奏時間は30分ぐらいで、あとはお話で公演時間を引き延ばしたりしたけれど、それでもたった30分のプログラムのリハーサルがやっても、やっても終わらず、とにかく大変でした。
 それから試行錯誤の3年を経て、ようやく私たち自身楽しみながら、少し余裕と遊び心を持って演奏できるようになってきた気がします。ルネサンスの曲は楽器指定が全くないので、これまでの選曲は、まずはフルート・コンサートに合う曲は何かということを探るためにいろいろ試していた結果、ちょっと時代や様式がごちゃ混ぜなプログラムになりがちでしたが、今回はレオナルド・ダヴィンチというテーマに沿ってプログラムを組み立ててみました。若いころのダ・ヴィンチは画家としてよりも、リラ・ダ・ブラッチョの名手として宮廷に出入りしており、音楽にもとても造詣が深かったようです。今回の公演ではそんなダ・ヴィンチと同時代に同地域で活躍していた、当時最高の人気を誇る作曲家たちの作品を集めてみました。お話や詩の朗読と共に、クリスマスの日を気楽にお楽しみいただけたらと思います。ワインや紅茶、私の手作りケーキもついています。ご期待ください!(詳しくはこちら

7.フルートの肖像 No.7 「F.クープランの時代」
 2月にはフルートの肖像シリーズ第7弾として「F.クープランの時代」の公演を行います。18世紀の初頭フランスでは、荘厳なフランスと華やかなイタリアという2つ趣味がせめぎ合っていました。ルイ14世の趣味がすべてだったヴェルサイユ宮廷ではフランス趣味以外の音楽が演奏されることはありませんでしたが、実際にはイタリア趣味にあこがれを抱く音楽愛好家も多く、「趣味の和合」という新しい試みが、王の晩年水面下で進められ、王の死と共にイタリア趣味がフランスにも一気に広がります。そんなフランス趣味の体裁を整えながらも何気にイタリアの香りが立ち上るフランソワ・クープランやモンテクレールの曲をガンバの福沢宏さん、チェンバロの上尾直毅さん、将来有望な新人トラベルソ奏者佐々木萌絵さんと演奏いたします。
 今回の公演では昨年9月に完成したばかりの自慢のチェンバロをフレンチピッチでお披露目いたします。野神俊哉さんに作っていただいたフレンチ1段のチェンバロです。音も見た目も繊細でとってもきれいな楽器です。8月に近江楽堂で行った発表会ではすでにほんの少しだけお披露目をしたのですが、今回は上尾直毅さんのクープランでクラブサンの魅力をたっぷりご堪能いただきたいと思います。ヴェルサイユの優雅で贅沢な時間を皆さんと共有できれば幸いです。(NEW 詳しくはこちら

【追加NEW】 3月24日/25日、福岡市でのルネッサンス・フェスティバルに出演し、2回コンサートをします。


●9/25 コンサート案内を更新
●10/12 コンサート案内を更新
●11/7 トップページ挨拶文、近況の報告、リサイタルページ等を更新
●12/12 アルモニコ追加公演を掲載
●12/14 コンサート案内を更新
●2012/1/19 コンサート案内を更新


過去の全コンサートの記録を含む

過去の「近況報告」貯蔵庫を含む

これまでに開いたリサイタルの全記録です。

第7弾 チケット発売中!

2011年2月4日(土)昼公演14:30 夜公演19:00
東京オペラシティ 近江楽堂
画像クリックで移動

第6弾
2011年7月23日 昼夜2回公演
テレマン「パリ四重奏曲全曲演奏会」
東京オペラシティ「近江楽堂」
 バロックフルート:前田りり子
 バロックヴァイオリン:寺神戸亮
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:上村かおり
 チェンバロ:上尾直毅
第5弾
2010年11月27日 昼夜2回公演
東京オペラシティ「近江楽堂」

 バロックフルート:前田りり子・川端勇輝
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢 宏
 チェンバロ:渡邊 孝
第4弾
2010年1月16日 昼夜2回公演
東京オペラシティ「近江楽堂」
 バロックフルート:前田りり子・新井 道代
 スパッラ:ディミトリー・ヴァディアロフ
 チェンバロ:上尾直毅
第3弾
2008年9月6日
東京オペラシティ「近江楽堂」
 
バロックフルート:前田りり子長島有紀
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:平尾雅子
 チェンバロ:大塚直哉
第2弾
2008年2月3日 昼夜2回公演
東京オペラシティ「近江楽堂」
 
バロックフルート:前田りり子
 チェンバロ/オルガン/バロック・ギター:上尾直毅
 バロックチェロ/山本 徹
第1弾
2007年5月13日 
東京オペラシティ「近江楽堂」
 
バロックフルート:前田りり子
 ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢 宏
 テオルボ/バロック・ギター:竹内太郎
東京文化会館 レクチャーコンサート・シリーズ
こちら

単行本「フルートの肖像」(東京書籍)は、フルート協会の会報に連載し、このホームページにも「フルートの歴史」として掲載していた文章を、出版に当たって改訂したものです。楽器の写真を中心に図版も一新いたしました。口絵カラー8ページつきで、ワシントン国立図書館所蔵のフルートの写真なども新たに加わりました。それに伴いまして、ホームページの「フルートの歴史」は終了させていただきます。長い間ご愛読ありがとうございました。続きはこの「フルートの肖像」の方でお読みください。よろしくお願い申し上げます。このサイトより注文できます。 3000円送料無料(詳細な目次とまえがきをこちらに掲載
新レーベル「ムジカ・リリカ」から発売中!
J.M.オトテール フルート組曲集
CDの詳しい内容はこちら


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J.S.バッハと同時代の作曲家
たちによるフルート音楽
「ムジカ・リリカ」より再版ができました!
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パリのフルート音楽
華麗なるロココの饗宴
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ルネサンスフルート・コンソート「ソフィオ・アルモニコ」のページです。

2011年12月25日・28日「レオナルド・ダ・ヴィンチのクリスマス」をしました。

ご来場ありがとうございました。

メンバー:菊池香苗・管きよみ・前田りり子・国枝俊太郎

古楽四重奏団「ラ・フェート・ギャラント」のページです。

フルート:前田りり子、ヴァイオリン:桐山建志、ガンバ:市瀬礼子、チェンバロ:平井み帆

古楽四重奏団「ラ・フェート・ギャラント」のCD発売中(各2800円)
CD 雅なる宴
フランス・バロックの精華 
La Fete Galante
CD パ リ の 悦 楽
18世紀フランスの室内楽
Les plaisirs de Paris