ドーズリミットの修正について               English vrsion
                                       May 16.2009
                                       By K.Funakoshi
1.はじめに
2009年5月時点の乙女座γのエアリ−ディスクのイメージについて”を書いた後に、ドーズの
リミットの式(116"/D)を修正する必要があると感じました。

2.提案の修正式
 等光二重星の分離について、以下のようなドーズのリミットの式の修正版を提案します;

 ドーズリミットの修正式=(1-k)*116"/D ・・・・・(1)
 ここで,
     D(mm):口径
     k:エアリ−ディスクの光の強度の見える/見えないの閾値(0≦k≦1)
     k は、ターゲットの二重星のコンポーネントの光度mと望遠鏡の口径Dの関数である。
     すなわち、k=f(m, D)(*1)
     関数k=f(m, D)は、下のグラフのように口径Dをパラメータとする1パラメータの関数群
     である;
     

 (*1) 関数k=f(m, D)の特性について
   始めに、D=100mmについて考える;
   @4インチ望遠鏡による最近の乙女座γのいくつかの観測報告によれば、f(3.6, 100)≒0.5
    である。ここで、 3.6 は乙女座γのコンポーネントの光度である。
   A明るい二重星アンタレスの観測報告から, f(1.2, 100)≒0 と推定する。 
   B暗い二重星 XXXの観測報告から, f(6.0, 100)≒0.X と推定する。
   したがって、(エアリ−ディスクの光の強度の)見える/見えないの閾値kは、D=100mm
   としたとき、以下のような曲線になると考えられる;
   
   
3.結論
   ドーズのリミットの式の修正版(1)は、ターゲットの星の明るさを考慮して実際の見え方
  を表現するものになる。ターゲットの星が明るければ、この式はドーズリミットの式と同じに
  なる。このことは、今回提案した式がドーズリミットの式の拡張となっていることを示している。

   また、ターゲットの二重星のコンポーネントの光度mと望遠鏡の口径Dは、エアリ−ディスク
  の光の強度の)見える/見えないの閾値kの値を決める主要因であるが、それ以外の要因として
  は下記のものがある。
    <閾値kの値を大きくする他の要因>
    ・月明かり、叉は薄雲の下で見た場合。この場合、エアリ−ディスクの周辺の暗い部分が
     見えなくなるので。
    ・過剰倍率の場合。この場合、エアリ−ディスクの周辺の暗い部分が見えなくなるので。

   尚、二重星分離において、回折理論の面で考慮すべき点もある。それは、エアリ−ディスクの
  半径の公式(1.22*F*λ)が光の波長λに比例していることである。すなわち、波長の長い赤い星
  は、そのエアリ−ディスクのサイズが青い星より大きいことである(約10%)。
  このことは、アンタレスが難しい二重星であることに影響している。 

4.検討課題など
(1)関数k=f(M, 100)のカーブの決定(上記はあくまで試し)
(2)Dが100以外の時の関数k=f(m, D)のカーブの決定
  →予想では、Dが大きくなると、関数k=f(m, D)のグラフは右へ移動し、
   Dが小さくなると左へ移動。これは、口径が大きくなると集光力が増大し、エアリ−
   ディスクの周辺近くが見えてくるためと考えられる(下の補足A参照)。下の図に、
   D=250の場合も追記;
   
   →D=100mmとD=250mmの乙女座γの見え方の違いは少ない?
    その理由は、D=100mmとD=250mmの各々のドーズリミット修正式の値がほぼ
    等しいため。
    D=100mmでは、ドーズリミットの修正式=(1-k)*116"/D=0.5*116/100=0.6"   
   
   D=250mmでは、ドーズリミットの修正式=(1-k)*116"/D=1.0*116/250=0.5"
   
   実際、下記2つのスケッチ例は、口径の差に比べて差異が少ない;
   TV101(4インチ屈折)での2009年4月のスケッチ例

   μ-250(250mm反射)での2009年5月のスケッチ例


<補足A>”口径が大きくなると集光力が増大し、エアリ−ディスクの周辺近くが見えてくる
    ためと考えられる”ことについての考察;
    ⇒球状星団の星々への分離について、10cmと15cm〜20cmの見え方の差異を
     回折像の視点から説明する。
     下の図のように、10cmでは、「見える/見えないの閾値k」のハードルが高く、
     これを超える星が少ない。
     一方、15cm〜20cmでは集光力がアップし、「見える/見えないの閾値k」の
     ハードルが低くなり、見える星の数が増える。
     これは、分解能の問題ではなく、集光力の問題と考えられる。


<補足B>不等光二重星分離への適用
 不等光二重星分離については、2002年に「不等光二重星の分離曲線について」において、
 口径Dmmの無遮蔽望遠鏡では分離曲線を次のように定義した;
 y=116"/D -(3.4/D)*X +(0.42/D)*X^2 + (1.02/D)*X^3 +(0.002/D)*X^4
     ↓    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 
    (A)                  (B)
 ここで、(A)項はドーズリミットの式で、(B)項は不等光二重星の分離のための拡張項です。
 ⇒従って、今回の修正項を考慮すると、以下のようになる;
 y=(1-k)*(116"/D )-(3.4/D)*X +(0.42/D)*X^2 + (1.02/D)*X^3 +(0.002/D)*X^4