分解能について                   2000年7月30日作成
これまで分解能について調べたことを纏めてみます。      2001年12月追記
天体望遠鏡の分解能といえば、二重星の分離が基準となっています。二重星の分離には、下記の
3種類があります。
1.等光2重星の分離の種類
 rを等光2重星のエアリ−ディスクの半径(秒)とするとき、次の3つの種類があります。
 スパロー(Sparrow)が一番厳しい条件です。
(1)レイレ−・リミット
   2つのエアリ−ディスクの中心がちょうど半径rだけ離れている。
(2)ドーズ・リミット
   レイレ−・リミットより85%中心が接近。
(3)スパロー・リミット
   ドーズ・リミットより92%中心が接近。
   =レイレ−・リミットより77%中心が接近。

 上の3つのケースについてエアリ−ディスクの光の強度分布を表すと下のように⇒の方向
 になります。サドルポイント(2つの強度分布の重なりのへこみ部分)のへこみ具合は、
 ドーズの場合、光度差で約1/30等級。スパローになるとサドルポイントがなくなり平ら
 になります。(平らになって何故分離できるのかという疑問が出て来そうですが、これは、
 光の強度分布の明るい部分(例:山の中腹以上)を見ると分離可能な状態にあるからだと
 思われます。):斜体の青字部分は、私の推測です。



次に、反射望遠鏡の中央遮蔽の影響についてみて見ます。
2.中央遮蔽の影響
 
(大きな中央遮蔽接近した等光二重星で効果があるという例で、惑星や不等光二重星では
  大きな中央遮蔽が良くないことに変わりありません。)
 
副鏡等の中央遮蔽が大きい時(50%等)、上の図の一番下の絵のようにサドルポイント
 が低くなり、2重星の分離としては改善される。レイレ−、ドーズ、スパローのどの
 ケースでもサドルポイントが幾分低くなる。レイレ−の場合、無遮蔽のときのサドルポイント
 の位置は、ピークの約70%の高さ。これが50%の遮蔽がある場合、ピークの約50%の
 高さになるということです。
 →理由は下記本の288頁の説明の中で、下記のように説明されていますが回折理論と関係する
ので難しい内容です;
「Bloking the aperture kicks a large fraction of the light outside the central spot
 into distant portions of the point images. Resolution of a nearby star is little
 affected, because the star close to the center of the image and the light diffracted
 by the obstruction is largely beyond it.」


1、2は、「Star Testing Astronomical Telescopes,H.R.Suiter ,Willmann-Bell」
の2重星の分離(P.286〜289)より。

以上、等光二重星についてでしたが、不等光の場合のエアリ−ディスクはどうなるでしょうか。
3.不等光二重星
 
明るい星と暗い星のエアリ−ディスクを較べた場合、下の図のように暗い星のエアリ−ディスク
は、小さく見え、ディスクの周辺は淡く見えます。これは、エアリ−ディスクのサイズは同じでも
伴星の光の強度分布で眼に見える部分が小さいためです。
 不等光二重星の主星・伴星のエアリ−ディスクのイメージを図示すると、下の図のアンタレス
の例にようになります。 



4.光の波長と回折像のサイズ
エアリ−ディスクを求める式を見ると、その半径(角度)は、λに比例し、口径に反比例する
式になっています。ということは、同じ口径の望遠鏡で見ても波長の長い赤い星のエアリ−
ディスクは大きく、青い星のほうは小さいということになります。このことは、アンタレスが
見にくい要因の一つになっているかもしれません。また、白色の星などの場合、回折リングは、
内側が青く外側が赤く見えることになります。このことは、外側の回折リングになるほどずれ
が大きくなり、この結果リングが不鮮明になって来ます。これは、回折現象という光の波動性
によるものです。

5.背景とコントラストのある線幅の分解能
この点について、High Resolution Astrophotography(Jean Dragesco著)は、通常の分解能
とは同一ではないと云っています。例として、月のアルペン谷のrilleは0".27の幅しかないのに
ドーズリミットが0".6の20cm望遠鏡で見えるということや土星のカッシーニ空隙が0".5しか
ないのに小望遠鏡で見えることを挙げています。また、分解能が見る対象により異なる例をいくつ
か挙げています。その一例として、白い雲を背景にした遠くの2本の電線(間隔が5".5)を肉眼で
見分けること。これは、肉眼の一般的な分解能(約60")の10倍の解像力です。その他、明るい
背景の黒いディスクよりも暗い背景の白いディスクのほうが解像力が上がる等の事例が載っています。
明暗明・・というコントラストによる識別に対し、二重星の分離では、光の回折現象という制約から
望遠鏡の口径によりエアリ−ディスクのサイズが決まり、スパローリミット以下は分離できません。
ちなみに、明暗明・・というコントラストの度合いを示す値をModulationと云います。光学系に
よるコントラストの変化は、Modulationのtransfer関数で表されます。

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