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2.星見道具(望遠鏡とアイピース)
ホームページのサブタイトルにもなっているように、私が使っている望遠鏡は4インチ(10cm)
でF=6.4の屈折望遠鏡です。10cmの短焦点型を選んだ理由は、手軽に星が見え(シーイングの
影響も少ない)、二重星や月もある程度楽しむことができるからです。最近では10cmは、たった
10cmと言われるほど小口径の部類ですが、10cmには10cmの世界があると思いますので、
これで見える世界を当分みつめていきたいと思います。
以下、使用している望遠鏡とアイピースを紹介します。

上の写真は、カールツァイス・イエナの4インチ屈折望遠鏡(APQ100/640)(注)です。短焦点
で鏡筒が短いコンパクトな望遠鏡であることがわかります。鏡筒重量は5Kg,鏡筒直径はφ=125mm
と太めです。
この望遠鏡は、「アマチュア天文家と自然愛好家のためのプロ級望遠鏡システム(Professionelle
Fernrohre Fur Amateurastronomen und Naturfreunde)」という名称で販売されていたものです。
(1995年5月に購入)T社の望遠鏡を買うつもりで訪れた東京の天文ショップで偶々、ツァイス望遠鏡
フェアというのをやっていたので購入しました。その時、AS80/840(8cmのセミアポ)とAPQ100
/640の2つを見比べましたが、セミアポは地上の景色で色が付くのが気になりAPQ100/640のほう
に決めました。予算的には厳しかったので、赤道儀は1ランク下のTM型(Telementor Equatorial
という旧東独ツァイス時代からのもの)にしました。10cmの望遠鏡としては非常に高価(最近の
10cmクラスアポと比較すると、例:タカハシFSQ-106の2倍近く、Tele Vue NP101の約1.5倍)
でしたが長く使えると考えれば(望遠鏡を何回も買い替えるよりは)経済的かもしれません。
(妻からは、家が狭く望遠鏡を何台も置く余裕がないので気に入ったもの1台にしておきなさいと云
われていました。)カタログに書かれていた「ツァイス品質の名の基に開発され製造される製品につ
いては、光学性能に対する姿勢においてアマチュア用、プロ用の分類は有り得ません。」という文面
と店員の人が云った「一生もの」に影響された面もあります。
この望遠鏡は約1ヶ月後にドイツから航空便で届きましたが、その直後にこの望遠鏡を購入した
販売店が倒産というパプニングがありました。(望遠鏡が届いていて本当によかったと思いました。)
(注)この望遠鏡は現在製造されていません。(1995年秋にカールツァイスがアマチュア用天体望
遠鏡製作から撤退したため。APQシリーズは、カールツァイス最後のアマチュア用天体望遠鏡と言
えます。→1995年頃に海外の天文誌に載っていた広告です。)
中古品がhttp://www.apm-telescopes.de/というwebサイトに時々出る位です。
<赤道儀部分>

TM型赤道儀(赤経、赤緯とも部分微動ハンドルのクラシカルなスタイル。
目盛り環が大きいのが特長。)
上は、赤道儀部分です。AC100Vのシンクロナスモーター(赤経のみ)で、極軸望遠鏡もないシン
プルなものですが、眼視には十分な機能を持っています。赤道儀のノブ、レバー類は、駆動系に白、
固定系に赤のキャップが付けられていて人間工学的配慮がなされています。
<対物レンズ>
対物レンズは、フローライトを中央に配した3枚のレンズ(BaK2-fluorite-K11)をオイル充填に
より1群3枚にした構成で、APQという名称になっています。フローライトを大気の影響から守ると
いうことと光学系内部の空気境界面をなくすことにより反射の少ない対物レンズにするためだそうで
す。光学精度については、購入時に添付されていた検査証明書(注1)によれば、RMS波面収差(注2)
=λ/35、ストレールレシオ=97.39% です。短焦点としては、良い部類だと思います。
(注1)Zeissの品質基準は、カタログによれば、APQシリーズで波面収差rms値λ/28以上、
マクストフカセグレンで波面収差rms値λ/20以上だということです。
(注2)RMS波面収差等の光学精度の概要は、「光学精度のこと」を参照。
<合焦装置>

↑ヘリコイド部分
<接眼部の形態>
ところで、APQは接眼部にプリズム使用を前提にしています。これは、バーダープラネタリウム
のバーダー氏によればツァイスの望遠鏡製作100年の伝統だということです。屈折望遠鏡で光量
損失なく光束を90度曲げるものとしてはAPQ設計当時まではミラーではなくプリズムだった(最
近はエバーブライト等反射率のよいものが出ているが)ので、ツァイスの対物レンズ設計は昔から
プリズム透過分のglass passを考慮した収差補正の設計となっているそうです。したがって、APQ
はプリズムなしやミラーでは本来の能力を発揮できないということだそうです。
天頂プリズム+接眼レンズの組み合わせ以外の形態を下記に示します(いずれもglass pass有)。
デフォルトの形態は、正立ターレットです。

↑ ZEISS正立4頭アイピースターレット(アミチプリズム内蔵)使用時
(倍率変更がワンタッチであることと完全な正立像(左右上下)で見れるのが特長。
アミチプリズムも高倍率に耐えられる精度。とは言っても、高倍率ではコントラスト、
像の鋭さで天頂プリズムに及びません。)覗く位置は、天頂プリズムと同じく鏡筒に
対し直角(下の図を参照)。

↑アイピースターレット(中にアミチプリズムが見える)

↑ 下記のアイピースを付けたときのターレット
@ Zeiss W-31S 31mm Widefield Erfle(70°) eyepice
A Zeiss A-4mm Abbe
B Zeiss A-25mm Abbe
C Zeiss Jena 10mm Monocentric
◆ファイラ−マイクロメータ

↑ ファイラー・マイクロメータ・アイピース使用時
(二重星の離角等微少な角度の測定に使用)
最近下記のものに変更しました。Van Slyke Instruments製で、ミツトヨのマイクロメータが使われています。
数値の読み取りは、丸いアナログのメーターです。暗視野照明付で、位置角も測定できます。また、PL25mmの
アイピースが着いています(アイピースは差し換え可)。このファイラ−マイクロメータは、下記のパーツから
構成されています;
・マイクロメータ:ミツトヨ製(1/1000"increments)
・暗視野照明装置:リゲルシステムのPlusGuide(black cylinder)
・25mmPlossl Eyepiece+2X Barlow Lens:メーカー名は特になし

ファイラ−マイクロメータのスケールは下記のようなパターンです。
長いラインが可動系の線です。暗視野照明はこのパターンを赤く照らします。スイッチを入れつまみを回すと
明るさが調節できるようになっています。

◆デジタルカメラ接続

↑ デジタルカメラ接続時
1:デジタルカメラのアダプターリング
2:SH社デジカメアダプター(A-25mm接眼鏡と接続)
3:Tele Vue パワーメイト(5倍Barlow lens) 4:Zeiss 2倍Barlow lens
5:天頂プリズム(最高倍率にする場合は、Tele Vue製1.4倍Barlowをここに装着)
<使用感>
APQを使用していて感じていることは、下記です;
(1)色収差が無い。(シリウスをみても全く無し。カタログでは、眼視と写真撮影における
像面の一致ということも書いてあります。)
(2)フローライトを使用している割には、外気に馴染むのが早い。(これは、オイル充填と
気温変化機構付のレンズセルのため?但し、「気温変化機構付のレンズセル」とはどう
いう機構なのかは不明です。)
(3)星像が美しい。(低倍率での微光星の針で突いた様な輝きと高倍率でのディフラクショ
ンリング)
→この望遠鏡は、散開星団と二重星を見るのに向いていると思います。
また、色純度が良いので正立ターレットを付けて地上用望遠鏡としても使えそうです。
<アイピース等>
使用しているアイピースは、A-4mm,A-25mm,A-34mmおよびナグラ−7mm,パンオプ19mm
です。(A-は、Zeissアッべシリーズアイピースの略称で、レンズ構成は、オルソのアッべタイプ
です。見かけ視野は、45度(A-34mmは、40度)と最近のアイピースに較べると狭いですが、
視野の端まで針で刺したような星像を見ることが出来ます。このアイピースの透過率は全波長域に
渡り97%以上です。)尚、A-25,A-34,ナグラ−7mmは、双眼装置での使用も考慮して2個ずつ
あります。

(左より、A-4mm,A-25mm,A-34mm,2倍接眼バロー)
バローレンズは、Zeiss2倍接眼バローとTeleVue5倍パワーメイトおよび双眼装置合焦用の
1.4倍の3つです。現在、最も使用頻度の高いアイピースは、A-25mmです。これとバローレンズ
を組み合わせることにより、25倍、50倍、128倍、250倍、350倍と低倍率から高倍率
までカバーすることができるからです。像質もバローを多用しているとは全く感じないほど良く、
短焦点アイピースの覗きにくさからも解放されます。99年の火星接近では、350倍で非常に
良く見えました。
(参考)アイピースの使用区分
現在使用しているアイピースの使用区分を整理してみました。
表を見るとA-25mm(アッベ25mmアイピース)が最も使用頻度の高いアイピースです。
A-25mmと高倍率で二重星を見るときに使用するA-4mmおよび2倍、5倍のバローレンズ
があれば殆どの場合に対応出来ます。
| 対象天体 |
使用アイピース:倍率 |
備考 |
| 月 |
(1)全景→・A-25+2×バロー:50倍
(2)拡大→・(中倍率)A-25+5×バロー:150倍
・(高倍率)A-4+2×バロー:320倍 |
|
| 惑星 |
(1)・(中倍率)A-25+5×バロー:150倍
・(高倍率1)A-25+2×バロー+5×バロー:250倍
・(高倍率2)A-4+2×バロー:320倍
・(高倍率3)A-25+1.4×バロー+2×バロー
+5×バロー:350倍(気流の良い時) |
高倍率1叉は2の頻度が高い。 |
| 星雲/星団 |
(1)・(低倍率)A-34:約20倍(暗い空で見る時)
・(低倍率)A-25:25倍
・(低倍率)Panoptic-19:33倍(広視野で見る場合)
(2)上記(1)+2×バロー |
A-25と2倍バローの組合せが多い。 |
| 2重星 |
惑星と同じ。 |
|
<フィルター>
フィルターは、OIIIのみです。主に、惑星状星雲を見るときに使います。OIIIフィルターの
効果ですが、自宅からバラ星雲を見たことがあります。ただ非常に淡いものでした。
<フィルターを使用した時の恒星の色について>(H12年11月19日追記)
フィルターの「光の波長別透過率カーブ」から説明すると下記のようになります。
(1)UHC等のナローバンドフィルター
光が透過するのは、Hーβ線、とOIII線の間付近(光の色では、青〜緑の一部)。Hーα線
を含む赤の領域も透過するがその量は少ない。
→このことから、連続スペクトルを放射する恒星は、青緑に色付いて見えるということです。
(2)Hーβ、とOIIIなどのラインフィルター
Hーα線を含む赤の領域をある程度透過する点では、(1)と同じですが、UHCよりも透過量
が多い。Hーβフィルターは、赤の領域以外では、Hーβ線の極狭い範囲しか光を透過しないの
でこのフィルターで見る恒星は赤く色付いて見えます。OIIIフィルターで恒星が赤く色付くのも
同様の理由です。
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