天体観測の古典を読む
天体観測について書かれた古典と云えば下記の2つではないでしょうか。欧米では天体観測の古典
として現在でも愛用されているそうです(日本語訳がないのが残念です)。
@Thomas Webb著「Celestial Objects for Common Telescopes Volumes I,II
 著者のReverend Thomas Willam Webb(1807-1885)は「アマチュア天文家の父」と呼ばれ、
 観察ノートを纏めた上記Celestial Objects for Common Telescpoesの著者として有名。   
AAdmiral William Smyth著 「The Bedford Catalogue
 →19世紀のアマチュア天文家スミス提督の星雲/星団、二重星等の観測記録。スミス提督は、
  大英帝国海軍引退後に5.9インチ屈折望遠鏡などで天体観測を始めた人。提督までなった人
  だから軍人としても出世した人なのでしょうが、後世まで名が知れ渡っているのは、むしろ
  アマチュア天文家としてThe Bedford Catalogueを残した方ではないでしょうか。
  (定年後に私設の天文台を作り天体観測をして過ごすというのは理想ですね。)
温故知新というわけではありませんが、19世紀のアマチュア天文家の書いた上の2つの本の中から興味の
あるところを簡単に紹介していきます。19世紀の人はどんな見え方をしていたのか、また、どんな感想
を持っていたのか興味があります。尚、取り上げる項目や順番も適当です(気の向いたまま)。

<索引>対象をクリックして下さい。
1.アンタレス 2.おとめ座γ 3.アンドロメダ座γ 4.オリオン座リゲル 5.うしかい座ε 
6.オリオン座η 7.オリオン座ζ(アルニタク) 8.NGC3242 9.M104 10.はくちょう座β 
11.いっかくじゅう座β 12.ちょうこくしつ座NGC253 13.ペルセウス座の二重星団
NEW14.オリオン座52 NEW15.θ1 ORIONIS(トラペジウム) NEW16.うさぎ座R
NEW17.19世紀のアマチュア天文家のアドバイス

1.アンタレス
(1)Admiral William Smyth の本では、星座としての話が中心で二重星としてのアンタレスの話は
   殆どありません(僅かに、「with a companion. A1,fiery red; A8,pale」という記述のみ)。
(2)Thomas Willam Webbの本では、1819年にBurgにより最初に発見されたことやドーズが
   1856年の食の時に出現した伴星の色について「not contrasted grn. light」と云ったという
   ことが書いてあります。
   「D. noticed a curious proof of its independent, not constrcted grn. light, when it
    emerged, in '56, from behind the dark limb of the moon.」 

2.おとめ座γ
(1)
Admiral William Smyth 'The Bedford Catalogue'より、おとめ座γの接近前後の観測記録。
    Epoch    Position  Distance
   1834.39年  45.5°   0.8"
   1835.40年  15.0°   0.5" 
   1836.06年   round    round
   1836.15年   round    round
   1836.25年   blotty   blotty
   1836.30年  350.9°  elongated
   1836.39年  348.6°  elongated
   1837.21年  265.4°  0.6"
   1838.28年  235.7°  0.8"
  スミス提督の5.9インチ屈折では最接近付近ではroundと分離できなかったようですが、スミス提督は
  おとめ座γの最接近付近の時期に巡り合わせそれに挑戦できたことに感謝しています。
  「It was much gratification that I watched this very interesting physical object through
   a considerable portion of its superb ellipse, and I was fortunate enough to attach it
   during the most critical period of its march.」
(2)同時期のThomas Willam Webbの本では、最接近のおとめ座γについて
  「they(=γ Virginis) closed up out of all telescopic reach in 1836 except at Dorpat,
   where 848 still showed elongation,151,6°:0.3".」と書かれています。
   1836年の最接近時のおとめ座γを細長く認識出来たのは当時はドルパトだけ(848の意味は?)
   だったようです。
   ドルパト天文台(注)と云えばフラウンフォーファーが作った口径24.5cmの色消し望遠鏡が納めら
   れたところです。ドイツ式と呼ばれる赤道儀を採用したことでも有名です。最接近時でも口径が
   25cmあれば細長く見えるということのようです。
   (注)DorpatとPulkovo Observatoryについて:(仏ニース天文台のPaul Couteau著Observing
      Visual Double Starという本からです)
      この本によると、ドルパート天文台(Dorpat Observatory)は、エストニアにあり
      フラウンフォーフェルが1824年に作った24cm屈折が置かれ、W.ストルーベが二重星
      の発見に使ったそうです。その後、1839年にW.ストルーベはペテルブルクにプルコワ
      天文台(Pulkovo Observatory)を設立し、ここには38cmの屈折望遠鏡が置かれ、
      この38cmはその後27年間世界最大の屈折望遠鏡だったそうです。W.ストルーベと
      云えば、うしかい座εを「プルヶリマ(pulecherrima):excellence Aを意味する」
      と名付けた人です。

  Admiral William Smyth が観測した頃から170年近くが過ぎ、現在おとめ座γは、再び最接近の
  時期になりました。
   広島の中井健二さんの「マニア向けの二重星のページ」によれば、2005年5月は0.35"で現在
  ちょうど最接近のころのようです。ところで、最近の海外のメールを見るとSteve Bodinさんの観測
  レポートなどがあり話題になっていました。
  →Steve Bodinさんの05年3月15日のレポートでは、「I managed an elongation with C8,
   well below Dawes limit of 0.366 sec at 163.7 deg PA.」だそうです。
   下の写真は、Steve Bodinさんが撮影されたものです。(C8でf60。38フレーム・スタック)
   

3.アンドロメダ座γ
(1)Admiral William Smyth 'The Bedford Catalogue'より、
   γ Andromedaについて、Struveが伴星自身が二重星であることを見つけたことを聞いて友人の
   ドーズ(ドーズリミットのドーズ)が観察した話などがあり、興味を引きました。
   そのあたりを少し引用してみます;
  「・・・,Mr.Baily put into my hand a letter which he received from M.Struve,in October,
   1842,announcing the unlooked for tidings that he detected γ Andromeda to be triple,
   and that the companion is composed of two stars of equalsize,separated by an interval
   of less than 0".5.  I lost no time in notifying this to my friend Mr.Dawes,who,as well
   as myslf,had so repeatedly gazed at this,merely as a double star. On the 1st of November,
   he informed me that he charged Mr.Bishop's refractor with an excellent single lens
   magnifying 520 times,and when the star was best defined,became satisfied of an
   elongation sf and np in the companion,making it look like a dumpyish egg. By the
   measures he obtained, the angle of position was 125°48', and the distance of the
   centres was estimated at 0".4 」
   (概略:Struveがアンドロメダγの伴星自身が二重星(離角0".5以下)であることを見つけたという
   のをBaily氏から聞いて、友人のドーズへ連絡したところ、・・中略・・ドーズはビショップ氏の
   望遠鏡に優秀なシングルレンズ(アイピースのこと?)で520倍をかけてアンドロメダγの伴星が
   ずんぐりした卵型のように見えたと云ってきた。ドーズの測定では、位置角は125°48'、離角は
   0".4とのこと。)
  (注)・Mr.Bishop's refractor::7" f18.4 Dolland refractor
     ・with an excellent single lens:文脈からは多分、シングルレンズアイピースのことでは
      ないかと思います。これにより520倍という高倍率が出せた? 1842年頃のシングルレンズ
      アイピースと云えば、HerschelianかCoddington?(Tollesは1850頃のはず)

(3)余談ですが、「天文と宇宙 荒木俊馬著 恒星社(昭和18年発行の古い本)」の中に
   アンドロメダ座γについての詩的な記述がありましたので紹介します;
   「三つの星が極く接近したものを三重星というが、そのうち最も麗しいのはアンドロメダ座の
    γ星であらう。橙色のニ等星と青色の五等星とが、約十秒半離れて並んで居り、青色星から
    約半秒離れて、淡い菫色の六等半の星がくっついている。丁度、肉色の薔薇と、勿忘草と、
    菫とが宇宙の曠野に咲き出たと言った姿である。」
   (補足)月刊天文2005年11月号の「ふるさと発見」に変光星研究の先駆者として紹介されて
       います。熊本出身の人だそうです。

4.オリオン座リゲル
(1)Thomas Webbの本には、小口径で見えたという事例が紹介されています。
  (例:Burnham detected it with 1.25 inch; T.T.Smith with 1.5 inch silver spec.など、
   口径3cm〜4cm程度でも分離出来たようです。)
  (注)silver specは、銀メッキ鏡のことでしょうか。

5.うしかい座ε
(1)Admiral William Smyth の本より、
  「A3 pale orange;B7,sea green; the colours being distinct and strongly constracted.
   This lovely object, which Σ. calls "pulecherrima", is 1 H.I., or par excellence A,
   as they would say at Lloyd's;」
   (注)Σ.とは、Struveの略称です。Struveがうしかい座εを「プルヶリマ(pulecherrima):
      excellence Aを意味する」と名付けたということ、また、1 H.I.になった(ハ−シェルの
      二重星カタログの1番目)ことが書かれています。(H.I.とは、初代ハ−シェルのこと。この
      当時の本は、よく出て来る人名は略号で書かれています。Σ.=Struve、D=Dawesなど)
(2)Thomas Webbの本には、
  「most beautiful y., superb bl. A wellknown test for moderate telescopes. I have seen
   it perfectly with 2.25 in. achr.」
   →略号がよく使われています。y.=yellow、bl=blue、2.25 in. achr.=2.25 inch achromart.
    Webbは、プルヶリマを6cm弱のアクロマートで完全に見えたと云っています。

6.オリオン座η
(2)Thomas Webbの本には、
  「η(Dawes 5). Excellent test, but low. 5.5-in. with 212 sometimes split it. 」
   →ドーズの二重星カタログの5番目だそうです。with 212の212は不明です。おとめ座γの
    ときの「where 848」と同様に3桁の数字の意味は? Thomas Webbの本には時々こう
    いう表現があります。

7.オリオン座ζ(アルニタク)
(2)Thomas Webbの本には、
  「singularly missed by H., and found by Kunowsky, seems of some nondescript hue,
   about which observers do not agree.  Σ. calls it 'olivacea subrubicunda'! 」
   →ドイツの天文学者クノウスキーにより発見。ハ−シェルは見つけられなかった。
    ストルーベの言葉(olivacea subrubicunda')は、「(明るい方の星に対して)わずかに
    赤みががったオリーブ色」という意味。

(参考)下のスケッチは、私の10cm屈折でのオリオン座ζとオリオン座ηのスケッチです。
    倍率は、320倍(アッベ4mm+2倍バロー)
     

8.NGC3242
(1)Admiral William Smyth の本では、27 H. IV. Hydra という名前で載っています。
  「27 H. IV. Hydra : A planerary nebula, pale greyish-white, neatly 2°south of μ,
   about 20°south-west by west of Regulus, and in the middle of Hydra's body.
   From its size, equable light, and colour, this fine object resembles
   Jupiter
;and whatever be its nature, must be of awfully enormous magnitude.」

   <私のコメント>
    上記太字部分の記述によりNGC3242が木星状星雲と呼ばれるようになりました。
    また、この文章は、スミス提督の有名なコメントとして現在でもいろんな本に引用され
    ています。「スミス提督と云えば、木星状星雲」を連想する人が多いと思います。

  (注)27 H. IV. という表記について;
     ハ−シェルナンバーといい、番号+H. + 分類のローマ数字で表されます。
     ここで、分類のローマ数字のIVは、惑星状星雲であることを示します。
     (他の例)I:明るい星雲 II:暗い星雲 VI:非常に凝縮した星団 など。

9.M104
 
ソンブレロ星雲で有名なおとめ座の系外星雲ですが、これにメシエ番号が付いたのは20世紀に
なってからです。所謂、追加されたメシエ天体(The additional Messier Objects)の一つです。
SmythやWebbの頃は、「43 H.I」と呼ばれていました(分類のローマ数字がIなので明るい星雲)。
(1)Admiral William Smyth の本より、
  「43 H. I. Virginis : A lucid white elliptical nebula, between the Virgin's right
   elbow and the Raven, in an elegant field of small stars; discovered by H. in
   May, 1784, and No.1376 of his son's Catalogue. It lies nearly parallel to the
   equatoreal line of the instrument, and on intense attention may be seen to
   blaze in the middle. The half dozen principal stars from a great Y, with the
   nebula as the centre.」
   (注)・lucid white elliptical nebula:この場合のlucid は輝くの意味か。
(2)Thomas Webbの本には、
  「Long, h., 5' X 30", nuel. and dark cleft. Beautiful low-power field; fine and
   singular 7mg. group np.」

(参考)下のスケッチは、私の10cm屈折でのM104のスケッチです。
    

10.はくちょう座β
(1)Admiral William Smyth の本より、
  「A bright double star on the Swan's bill. ・・・the colours in brilliant contrast,
   by which term I do not mean the mere optical complementary tints, but relating
   to these bodies as radiating their own coloured lights.
(2)Thomas Webbの本には、
  「One of the finest in the heavens. I have seen the cols. beautifully by putting
   the stars out of focus.」
   →二重星アルビレオの美しさは当時も今も変わらないようです。
    Webbは、望遠鏡の焦点をはずして色の美しさを見たと云っています。

11.いっかくじゅう座β
(1)Admiral William Smyth の本では、いっかくじゅう座βという表現はなく、
  11 MONOCEROTISとして出ています。
  「A fine triple star, in the Unicorn's right fore-leg.・・・Sir William Herschel
   who discovered it in 1781, classed it a "curious treble star", pronouncing it
   to be "one of the most beautiful sights in the heavens." 」
    →ハ−シェルが1781年に発見し、天上で最も美しい光景のひとつと云ったことが
    書かれています。
(2)Thomas Webbの本には、いっかくじゅう座βとして
  「H. the discovered 1781, calls this 'one of the most beautiful sights in
   the heavens.」

12.ちょうこくしつ座NGC253
(1)Admiral William Smyth の本では、ちょうこくしつ座そのものが載っていません。
(2)Thomas Webbの本には、簡単に
  「253(H. V I). : very bright large neb. 24'X3'」という記述のみです。銀河系外という
  概念がなかった時代、単なる明るく大きな星雲という認識だったようです。
   <私のコメント>
   NGC253を見るにはある程度暗い空が必要です。私の場合、自宅からはよほど透明度が
   良い日でないと見えません。一方、八溝山山頂からは、楽に見えました。

(参考)下のスケッチは、私が2003年9月の透明度の良い日に自宅から見た時のものです。
   
    NGC253 (APQ100/640+Mon.10mm)
   モノセントリックはコントラストが良く淡い対象に向いています。

13.ペルセウス座の二重星団
(1)Admiral William Smyth の本では、33H.VI. PERSEI.という名前で載っています。
   (分類のローマ数字がVIなので、非常に凝縮した星団)
  「33H.VI. PERSEI. ・・・This brilliant mass of stars,from 7th to 15th magni-
   tudes,fills the whole field of view, and emits a peculiarly splended light.
   ・・・This is followed by another gorgeous group of stars, from 7th to 15th
   magnitudes, at about 3m, and nearly on the pararell. It is 34H.VI. ・・・
   These two clusters are quite distinct, through the outliers of each may be
   brought into the same field under rather high powers;
   and, on the best nights, the groups and light are truly admirable,
   affording together one of the best brilliant telescopic objects
   in the heavens.

   →33H.VI. PERSEI.と34H.VI.が接近した星の集団であること、また、その素晴らしさ
    を下記のように表現している(太字部分の概要です)。
    「最良の夜、その星の集団とその光の素晴らしさは感嘆すべきもので、望遠鏡で見る
     最も輝かしい対象の一つを与えている。」
   <私のコメント>
    二重星団の素晴らしさは昔も今も変わらないですね。私もAPQで見る二重星団は最も
    好きな対象の一つです。友人と里美牧場に星見に行くことがありますが、いつも最後は
    これを見て終わりにしています。

14.オリオン座52
(1)Admiral William Smyth の本より、
  「A close double star, on orion's left shoulder; about 2° south-west of
   Betelgeuse. ・・」
(2)Thomas Webbの本には、
  「In contact,80,neatly split,I44: excellent test, readily found, about 2°sp α.」
 <私のコメント>
 オリオン52は、見てみたい二重星です。何回かトライしましたが分離できませんでした。

15.θ1 ORIONIS
 オリオン星雲のトラペジウムのことです。
(1)Admiral William Smyth の本より、
  「A multiple star, the beautiful trapezium in the "Fish's mouth" of the vast
   nebula in the middle of Orion's sword-scabbard. ・・・ Σ. announced it
   "quintuplex", by addition of the little sar E.」
   →William Smyth の本では、トラペジウムはA,B,C.D.Eの5個となっています。Σ.は、
    W.Struveのことです。E星は、W.Struveにより発見されたことが書かれています。
(2)Thomas Webbの本には、E,F,G,H星について書かれています;
  「Σ., in 1826, discovered a fifth star, which s believed to have become
   visible only of late years; perhaps it may be brightening, as it has been
   seen with 3.8-inch, and, it has been said, even with 2.8-inch.
   Bond's 15-inch achromart has shown it in full daylight. E. of Rosse(*) sees it
   very red. Sir. John Herschel(**) add a 6th still smaller near the brightest star,
   1830, Feb.13, with South's 11.7-inch achromart. Both have been thought
   Variable stars. Burnham(***) has seen both with 3-inch. T.T.Smith with 3-inch
   of silverd mirror.・・・ A.G.Clark, added a 7th within the trapezium, with
   the 36-inch achromart at the Lick Observatory, and Barnard has caught
   another, and has found a minute and difficult pair just outside.」
  <人名について補足します>
   (*)E. of Rosse:Earl of Rosse(ロス伯爵)正式には、3rd Earl of Rosse(ロス伯爵3世)
   (**)Sir. John Herschel:English mathematician and astronomer. son of Willam
     Hershel(天王星発見者W.Hershelの息子)
   (***)Shelburne Wesley Burnham(1838-1921):American astronomer, identify
      double stars and published General Catalogue of Double Stars.
   尚、T.T.Smith という人については不明。

   →E,F星について要約すると、下記のようです;
    ・E星は、W.Struveが1826年に発見したこと。
    ・E星は、3.8-inchや2.8-inchの望遠鏡で見た人がいたこと。15-inch achromart
     では暗くなる前でも見えたとのこと。
    ・ロス伯爵はE星が赤く見えた。
    ・F星は、Sir. John Herschelが1830年2月13日に11.7-inch achromartで発見した。
    ・E,F星ともに変光星らしいと考えられていた。
    ・Burnhamは、E,F星をどちらも3-inchの望遠鏡で見た。T.T.Smithは、3-inchの
     反射(銀メッキ鏡)で見た。
   
   <私のコメント>
   トラペジウムのE,F星は、10cmでも見えると云われていますが、上記を見ると変光星の
   ようなので明るくなった時期でないと難しいようです。それにしても「Burnhamは、E,F星
   をどちらも3-inchの望遠鏡で見た。」というのは驚きです。二重星の観測家としても有名
   だったBurnhamだから見れたのでしょうか。これについては、Stephen James O'Meara氏
   も「The Messier Objects」の中で「Burnham writes that both"E"and"F"have been
   seen with apeatures smaller than 3 inch ! 」と驚嘆しています。
   ちなみに、トラペジウムとE,F,G,H星の位置関係は下記です(H星は二重星);
         

16.うさぎ座R
(1)Admiral William Smyth の本には載っていません。
(2)Thomas Webbの本には、
  「Hind's 'crimson star' 1845,described by him as 'of the most intense crimson,
   resembling a blood-drop on the background of the sky; as regards depth of
   colour, no other star visible in these latitudes could be compared with it'」

 (参考)下のスケッチは、私が2004年2月に見た時のものです。
     
  うさぎ座Rのスケッチ(04年2月8日19:30 APQ100/640+A-25mm )明るさは7等位でした。

17.19世紀のアマチュア天文家のアドバイス
Thomas Webb著「Celestial Objects for Common Telescopes Volumes I」のPart I :
The Instrument and the Observer には、天体観測のアドバイスが載っていて、これはそのまま
現在でも通用するものです。
いくつか紹介しますと、
・Do not spare trouble in adjusting the focus.
 →少し補足しますと、ピントは見る人や気温の変化等により変わるので、焦点をその都度合わせる
  手間を惜しむなということです。
・Do not over-press magnifying power.
 →必要以上の高倍率を使用しないこと、というのは現在でもよく云われます。
・Do not be dissatisfied with first impression.
 →これも現在でもよく云われますね(初めての人は望遠鏡で見た惑星が期待したより随分小さいとか
  星雲が微かにしか見えないとか)。
・Do not lose time in looking for objects under unfavourable circumstance.
 →(星が瞬く夜に二重星や惑星など高倍率が必要な対象を見るなど)対象に適さない条件で無駄な
  時間を過ごさないこと。
・When a very minute star or faint nebula is not to be seen at once, do not give it up
 without trying oblique or averted vision, turning the eye towards the edge of the field,
 but keeping the attention fixed on the centre, where the object ought to appear.
 →これもよく云われることですね。微かな星雲を見る時、よく見えないと諦めるのではなく、
 そらし目で見ると良いということです(目は視野の端の方に、但し注意は中央(対象)に)。

望遠鏡のテストに焦点内外像を見ることについても書かれています。Webbの時代は波動光学の研究
が進んだ頃なので回折リングについても記述されています;
「Star's image, in focus, with highest power, should be very small disc, almost a point,
 accurately round, except one or two narrow rings, of light, regularly circular, and
 concentric with the image: and in a uniformly dark field; a slight displacement of the
 focus either way should enlarge the disc into a luminous circle. If this circle is irreglar
 in outline, or much brighter or fainter towards the centre, or much better defined on
 one side of the focus than the other, the telescope may be serviceable, but not of higt
 excellence.」
 →すでに19世紀に、Star Testing Astronomical telescopes,H.R.Suiter著を連想させるスター
  テストによる望遠鏡の精度判定が行なわれていたということです。
  
<今後追記予定です>



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