Modulation Transfer Function(MTF)について H12年8月14日作成
MTFについて調べてみました。参考図書は、下記の2つです。
(1)Eugene Hecht著「 OPTICS third edition 」Addison-wesley
(2)H.R.Suiter 著「Star Testing Astronomical Telescopes」Willmann-Bell
1.Spatial frequency
今、図1のような「明暗明暗・・・」の対象を望遠鏡で見たとする。このとき、単位角度(1秒角)内に数えられる
明暗のサイクル数をSpatial frequencyという。

図1
2.Spatial frequencyと倍率
Spatial frequencyと倍率の関係について考える。

図2
図2で、倍率1の場合、Spatial frequencyは1サイクル/秒角。また、倍率2の場合のSpatial frequencyは
0.5サイクル/秒角。
→倍率を上げるとSpatial frequencyは大きくなる。但し、Spatial frequencyの最大値Smaxは、望遠鏡の口径と
観測する光の波長により決まる。
Smax=D/λ[サイクル/radian]=(D/λ)*(π/180)*(1/3600)[サイクル/秒角]
(例)D=100mm,λ=550/1000000mmの場合、
Smax=182000[サイクル/radian]=0.88[サイクル/秒角]
3.Modulation
対象物の明暗のコントラストの度合いを示す値をModulationと云い、下記の式で表す。
Modulation=(I(明)-I(暗))/(I(明)+I(暗))
Modulationの値が大きいほうがコントラストが高い。
図3にModulationの例を示す。
例1のModulation=(7-5)/(7+5)=0.17
例2のModulation=(10-0)/(10+0)=1.0

図3
4.光学系によるModulationのtransfer
対象物のModulationを光学系にインプットした場合、出力されるModulationはどうなるかを見る。

図4
「コントラストが高い⇔Modulationが大きい。」なので、図4より望遠鏡の倍率を上げるとコントラスト
が低下する。
5.MTF
(1)Fraction of maximum spatial frequency
Smax=D/λ⇔1.0に正規化したときのspatial frequencyをFraction of maximum
spatial frequency
と云う。
(2)MTF
MTFとは、Fraction of maximum spatial frequencyを変数とするModulationのtransfer関数のこと。
横軸にFraction of maximum spatial frequency、縦軸にModulationのtransfer値を取り完全光学系のMTF
のグラフを書くと図5のようになる。倍率を上げるに従いコントラストが低下していく。

図5
(3)MTFの例
完全光学系とのMTFの比較例
1)光学精度=λ/4
λ/4の光学系は、完全光学系に較べ全般に渡りコントラストが低下。

図6
2)中央遮蔽=33%
コントラストは、high spatial frequencyで改善。

図7
3)Apodization(注)
low spatial frequencyでは、コントラストが良くなる。一方、resolution limit近くでは逆に
コントラストは低下する。→限界二重星には不向き。但し、ディフラクションリングに邪魔される
ような不等光二重星には有効。( Hechtの OPTICSには、シリウス伴星を見る時にApodizationが
有効と有り)

図8
(注)Apodizationについての補足
1)"Apod-"とは、ギリシャ語の「足をとる」という言葉に由来。
2)truncated Gaussian function
Apodizationによりディフラクションリングがなくなりベルカーブになる。

図9
雑談1:私は、図8のApodizationのカーブを見て、道元禅師の言葉「一方を証する時は、一方は暗し。
(If you look at only one side,the other is dark)」を連想しました。
雑談2:中央遮蔽が大きい望遠鏡にApodizationを行うとどうなるか。図7の破線のカーブと図8の
破線のカーブを合成すると元の実線のカーブに似たものになります。→Apodizationの効果は
あまり出ない。(各カーブのメリットがキャンセルされるようなもの)
最後に、面光源の分解能について参考として載せます。

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