星見雑記帳 2002年5月1日〜


7月29日
 
今日は曇りで星は見えません。梅雨が明けたのに昨晩は気温22度と秋のように涼しい天気でした。
 
翻訳はかなり進みましたが、英語でない言葉(Vicinae,Pervicinae,Vicinissimae,Modus Ponens)
 があり意味を著者に聞いてみようと思います。ファジィ関係では、Sugeno's"Singletons"modelling
 の意味を調べる必要があります。ここでSugenoとは、東工大の菅野教授のことだそうです。(ファジィ
 理論で有名)


7月28日
(1)
昨晩は、肉眼では二等星がようやく見えるような霞んだ空でした。シーイングは幾分良い方だった
   のでアンタレスを見ると、伴星はかすかでしたが回折リングの外に見えました。落ち着いて見ると
   かすかでも結構良く見えるものです(但し、透明度が悪くかすかだったので色ははっきりしない)。
(2)Fuzzy Splittingの訳をしていると日本語ではどう表現すべきか迷う言葉が時々出てきます。
   ファジィの用語集を調べたり結構手間がかかることがわかりました。今日は全体の2/3を訳した
   ところで終わりにしました。


7月21日
(1)
ようやく梅雨が明けました。昨日の夜は自宅からアンタレスを見ましたがシーイングがよくなく
   分離できませんでした。
(2)Luis Arguells氏のFuzzy Splittingの件、Luis Arguells氏の承諾を得られましたのでメールで
   もらった補足資料も含めて日本語訳をしようと思います。(本HPに公開予定)


7月16日
今晩は、台風一過で晴れたので月を撮りました。
A-25mmアイピース+2倍Barlow+デジカメ4倍望遠で拡大(倍率は、約240倍)ピース+2倍Barlow+デジカメ4遠大



7月13日
昨夜は台風一過で久しぶりの晴天でした。会社から帰って20時頃、近場の里美カントリー
牧場へ星見に行きました(自宅から車で約1時間)。里美カントリー牧場は8月号の星ナビ
にも紹介されていますが、ここの第3駐車場に望遠鏡を設置しました。駐車場の北側にある
風力発電用の風車のライトが点滅し星を見るのに邪魔なのが気になりましたが、射手座から
白鳥座にかけて天の川が見えるまずまずの天候でした。このライトはかなり強烈で星景写真
を撮る人にとっては致命的だと思われます。
星雲・星団は、M4、M6、M80、M8、M20、M22、M55、M27、M57、M13、
M31、h-χなどを見ました。
二重星は、牛飼座ε、さそり座α、アンドロメダ座γです。シーイングは良い方だったので
牛飼座εは約320倍で落ち着いた回折リングが綺麗に見え色の対比といい素晴らしい眺め
でした。2倍と5倍のバーローレンズにパンオプティック19mmの組み合わせでしたが、
2個のバーローレンズによる像の劣化は全く感じない美しい回折リングでした。アンドロメダ
γは、320倍ではかなり離れていましたが色の対比が見事でした。アンタレスは、高度が
落ちていたせいか伴星が回折リングに見隠れしていました。今回は、1月に購入したDC12V
のポータブル電源とAC100Vインバーターを使用したので高倍率の使用が楽でした。
星を見ていると星野写真を撮りに来たという人から話しかけられたので、望遠鏡を覗きながら
天体写真などについて雑談しました。帰宅は、3時でした。
(追記)
里美カントリー牧場の空の状況(ここによく来る人の話などより)
(1)夏場はガスが発生しやすい(特に海からの南東の風が吹く日。夜半から回復する傾向)
   天体写真を撮影する人も主に秋から冬。
(2)空は南より北〜北東が良い。但し、駐車場の北側にある風力発電用の風車のライトが
  点滅しているので、これがずっと続けば天体写真はここでは出来なくなる。
(3)空の暗さは八溝山のほうが良いが、里美カントリー牧場は近いのがメリット。


7月9日
今日も梅雨空。昨日の昼は梅雨が明けたような青空と強い日ざしでしたが、夕方になると
空一面が雲で覆われ星を見ることは出来ませんでした。5月22日に乙女座ガンマを見て
以降、星が見えたのは七夕の日とその前日のみです(しかも雲間から少しだけ)。
梅雨明けに期待したいところですが、この数年、夏の夜の天候が悪いような気がします。
私は九州の福岡出身ですが、小さい頃は夏の夜よく星を見ていたので今より天候は良かった
ように思います。場所の違いなのかそれとも日本全体の気候が変化したのか、いずれに
しても夏の星空はなかなか見れないですね。


6月15日 Fuzzy Splitting
Luis Arguells氏のFuzzy Splitting(下記、URL)について簡単に説明します。
http://www.carbonar.es/s33/Fuzzy-splitting/fuzzy-splitting.html
 二重星が分離出来るかどうかは、主星・伴星が非常に接近しているとか光度差が
やや大きいとか曖昧な要素がある。そこで離角については、厳しい順に非常にVery
Tight,Rather Tight,Tight,Open Tight,Bit Openの5つの条件に分け、各々
幅を持たせて重み付けしている。→Figure#1の図。例:Very Tightならば、
底辺が1.0secから3.0secまでの幅を持たせた三角形。三角形は確率の分布関数の
ようなものでファジー理論ではメンバーシップ関数と呼ばれています。
Very Tightの重みは、離角が1.0secの時最大(三角形の頂点)で離角が離れる
につれて減少していき3.0secで0になります。同様に、Rather Tightは、頂点が
Very Tightより離角の大きいところにあり、左右に裾野がある三角形となっています。
幅を持たせて重みを減少させるところがファジーと云われる理由で、0か1かで表せ
ないものを表現していると言えます。
 主星と伴星の光度差についてもVery Small,Medium,Rather Big,Very Bigの
4つの条件に分け、同様に各々幅を持たせて重み付けしています。→Figure#3の図。
今、離角=4.4sec,光度差=1.1等の二重星を考えたとき、Figure#1の図で離角=4.4sec
の時の各三角形との交点の縦軸の値を読み取ると
  Tightの三角形との交点の縦軸の値:0.87
  Open Tightの三角形との交点の縦軸の値:0.37
となります。→これを説明した図が、Figure#5です。
 また、Figure#3の図で光度差=1.1等の時の各三角形との交点の縦軸の値を読み取ると
  Mediumの三角形との交点の縦軸の値:0.93
  Rather Bigの三角形との交点の縦軸の値:0.07
となります。→これを説明した図が、Figure#6です。
ここで、離角の条件と光度差の条件を組み合わせて評価することを考えます。
これがTable1a のExpert Rulesです。このテーブルは、離角の難易度の5条件と
光度差の4条件の組み合わせで分離の難しさを表したものです。
例えば、離隔がTightで光度差がMediumならば、分離の難しさはSomething Difficult
等、この表自体は常識的な判断です。
 それでは、この表から先程の二重星の例を判断すると、
離角はTightとOpen Tight、光度差はMediumとRather Bigなので、起こりうる分離の
難しさは、Something Difficult,Something Easy,Rather Difficult,
Something Difficultの4つです。→Table1bの太字の部分。
ここで、Something Difficult,Something Easy,Rather Difficult,
Something Difficultを簡単な計算で定量的に表現します。
 @離角がTightで光度差がMediumの所(Something Difficult)
  =Min(Tightの値、Mediumの値)=Min(0.87,0.93)=0.87
 A離角がTightで光度差がRather Bigの所(Something Difficult)
  =Min(Tightの値、Rather Bigの値)=Min(0.87,0.07)=0.07
 B離角がOpen Tightで光度差がMediumの所(Something Easy)
  =Min(Open Tightの値、Mediumの値)=Min(0.35,0.93)=0.35
 C離角がOpen Tightで光度差がRather Bigの所(Rather Difficult)
  =Min(Open Tightの値、Rather Bigの値)=Min(0.35,0.07)=0.07
 →この値をテーブルに入れたのが、Table1cの太字の部分。
以上の準備をして、Difficulty Index(DI)を算出します。
Difficulty Indexは、Table1aの難易度(Very EasyからVery Difficultまで6段階)を
メンバーシップ関数で表したものです。→Figure#4の図。
ここで、上記@〜Cで求めた値から各々の三角形毎にDifficulty Indexを求めます。
これを説明した図が、Figure#7です。例えば、Something Easyの頂点のDIは40.0で、
その重みはBより0.35。Something Difficultの頂点のDIは60.0で、その重みは@と
Aから0.87及び0.07。Rather Difficultの頂点のDIは60.0で、その重みはCから0.07。
最終的なDifficulty Index(DI)は、これらの値の加重平均から求められます。すなわち、
DI=((0.35*40)+(0.87*60)+(0.07*80))/(0.35+0.87+0.07+0.07)=55.88

以上で、Fuzzy Splittingの説明は終わりですが、私のレポートに載せている分離曲線
との関係を考えてみると、Difficulty Index(DI)が100に近いものをつないだ曲線が
分離曲線になるのではないかと思います。Luis Arguells氏も私の分離曲線を見て
非常に似ていて興味深いとのコメントでした。


6月2日
昨日栃木県の八方ケ原で星見を予定していましたが、天気がよくなさそうなので来週に
延期しました。月明かりのない土曜日で天気が快晴という条件はかなり難しいのかも
しれません。最近、天気予報が晴れでも夕方から曇るケースもあり星見の日を設定する
のは難しいですね。確率的に、
 晴れ:曇り:雨の比率=1:2:1
 快晴は晴れの1/2
とすると、
 快晴となる確率=(1/4)*(1/2)=1/8
月明かりのない土曜日が月に2回とすると
月明かりのない土曜日で天気が快晴となるのは、4ヶ月に1回位の頻度?
これにシーイングが良いとか透明度が良いなどの条件を加えると半年に1回位になる?
現実の気象はもっと複雑な要因があるのでこんなに単純にはいきませんが、予め日程を
決めた星見が当日条件のよい日となる確率はかなり低いのではないかと思います。
夏に各地でスターパーティが実施されますが、快晴のもとで行なわれたという話しは
あまり聞かないようですが。
→対策は、月明かりのない土曜日を連続して8回位計画する。
 しかし一番良いのは空を見て星が見えていたらすぐに星見をする。これに勝る対策は
 ないですね。
ちなみに今日のこちらの天気は、昼間ほぼ快晴で夕方から雲が出てきて夜は曇りでした。
去年までの傾向を振り返ってみても春から夏は昼晴れているといっても安心出来ない日
が多かったように思います(夕方から曇り翌朝起きてみるとまた晴れていたというパタ
ーン)。去年も八溝山での星見を5月と8月に計画し、結局実現したのは10月になって
からでした。星見をするには気象観測も重要だと思います。


5月22日
久しぶりに晴れたので乙女座γを見ました。倍率はいろいろ変えて見ましたが、エアリ−
ディスクが横に少し伸びて陸上競技場のトラックのように横に伸びた回折リングがそれを
取り囲んでいるような感じでした。エアリ−ディスクがくびれている(ダルマ状)かどう
かははっきりしませんでした。


5月8日
久しぶりにヤフ−オークションを見たらクェスター7主鏡使用のAPM社製マクストフ
カセグレンがありました。残り2時間で約30万の値段がついていますが、クェスター7
の価格からみればかなり安いと思います。興味はありますが、家と車のローンがある
ので望遠鏡はいまある1台のみにしておきます。


5月6日
今日で連休も終わり。連休中の天気はあまり良くなく、星を見たのは28日と2日のみ
でした。今度の日曜日は、天気が良ければ里美村に行く予定です。
ところで月刊天文6月号に4センチ卓上型ニュートン反射の話が載っていましたが、
私も中学の頃同じようなものを持っていました。メーカー名は忘れましたが、下の絵の
ようなものでした。これで月以外に何が見えたのかも覚えていないくらい昔の話です。
老人の回想みたいになりますが、その当時はアクロマートも高級品で単レンズの望遠鏡
が市販されていました。今はアクロマートの二次スペクトルの減少が話題になっていま
すが、単レンズの望遠鏡で見る月の色のどぎつさは今の人には想像出来ないと思われます。
この頃、ニコンの屈折(口径は5cm?)を見る機会があったのですが、見え方のあまり
の違いに信じられない思いでした(当然ですが、単レンズとアクロマートの違いには、
天地の差があるということです)。
   
今では中学生でも10cmEDや自動導入付望遠鏡を持つことができ、途中のプロセスが
省略されて最初からベストなのもで星を楽に見れる時代になったということです。技術
の進歩は、あらゆるものをブラックボックス化すると云われますが、目盛環を使って星
を導入するというようことが逆に贅沢な楽しみになるかもしれません。


5月5日
家の裏山に藤の花が咲いていたので、望遠鏡で写真を撮りました。(A-34mmで拡大)
   


5月4日
(1)5月3日の乙女座γの内容を一部訂正します。月刊天文6月号のDouble Star Watchingを
 見たら乙女座γの軌道要素が99年に改訂され、現在の離角はなんと0.99秒だそうです。
(2)今日、新宿の紀伊国屋書店でHawkingのThe Universe in a Nutshell(日本語訳の題は、
 「ホ−キング、未来を語る」)のカセットを買いました。現在、会社の行き帰りと昼休みに
 A Brief History of Timeのテープを聞いているので交互に聞いていこうと思います。
 A Brief History of Timeは、今年の1月から毎日2時間くらい聞いていますのでかなり
 慣れてきました。(宇宙論の本の朗読を聞いても日常の英会話とはあまり関係ありませんが)


5月3日
昨日見た乙女座γは、等光二重星の見本のような星です。
   
図の説明
4インチの望遠鏡で乙女座γを見た場合のエアリ−ディスクと第一回折リングの図です。
(図では表現されていませんが、実際には、エアリ−ディスクは中心が明るく周辺は暗くなります。)
A:Fully Resolved  B: 離角=1.8秒の時 C: レイレ−リミット(離角=エアリ−ディスクの半径)
D: ドーズリミット(離角=エアリ−ディスクの半径×0.85)
E: スパローリミット(離角=エアリ−ディスクの半径×0.77)→ここが分離限界。現在この付近。
F:最接近時
(余談)レイレ−といえば統計の分野でレイレ−分布というのがありますが、これが意外な所で使わ
 れています。ソフトウェアの作業工数を与えた時、開発期間に人員投入をどうやればよいかという
 マンパワー投入の式があります(ノーデンの式)。ノーデンという人は、ソフトウェアの開発では、
 早く人員投入しすぎるとロスが発生し、遅い投入では大量の人員を入れないと間に合わなくなると
 いうことで時間の経過とともに最適な人員投入パターンがあるのではないかと考えいろんな事例
 から経験的にレイレ−分布がよくフィットすることに気づいたそうです。しかし、何故ソフトウェア
 開発の人員投入パターンにレイレ−分布が合うのかはよくわかっていないそうです。


5月2日
今日は非常に天気が良いので期待したのですが、風が冷たくかなり吹いていてシーイングが悪く
星を見るのは30分位でやめました。乙女座のγと牛飼座のεを見ましたが回折リングがゆらゆら
して落ち着いて見れませんでした。この時期、冷たい風が吹く日には高倍率は使用できません。
乙女座のγを見るのは久しぶり(約2年ぶり)ですが、かなり接近しているなと思いました。


5月1日
今年の5月連休はカレンダー通りなので昨日、今日、明日と出勤です。28日は非常に天気が良く
会社を早期退職された方を呼んで正月以来の星見をしました。見たのは、土星/木星/二重星の
獅子座γ及び月です。望遠鏡で星を見るのは初めての方ばかりで、久しぶりに話をするのが主で
ついでに星を見るという感じでした。


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