星見雑記帳 2016年7月〜10月

2016年10月11日(火)
(1)先週土曜から月曜(10/8,9,10)は福島県田村市で開催された星の村スターライト
 フェスティバルに行ってきました。土曜日、家を出発する頃は曇りでしたが、福島県
 に近づく頃から小雨に変わりました。現地には14時頃到着し点との設営などをしました。
 土曜の夜は一瞬晴れ間が見え、急いで望遠鏡を出してスバルやアルビレオ、M57を
 見ましたがすぐに曇り0時過ぎに寝ました。明け方は風と雨の悪天候でした。
 日曜日は昼すぎまで時々雨が降る天気でしたが夜は雲が切れてきて月が良く見えました。
 夜10時頃には晴れ渡るようになり、低倍率の屈折で秋の星団等を巡ることができました。

(2)久しぶりに覗いたCloudy Nightsの話題から;
 Cloudy Nightsの2016年6月25日のスレッドに
   Astro-Physics Zeiss Comparison- GTX FirstLight
 http://www.cloudynights.com/topic/541543-astro-physics-zeiss-comparison-gtx-first-light/
 というのがありました。これはAPのアポ屈折とツァイスAPQを見比べる
 というレポートです。このレビューで比較する望遠鏡は下記です:
     ・Astro-Physics 130mmf6 EDF (1998) FL 780mm
     ・Astro-Physics 130mmf6.3 GTX (2016)FL 819mm
     ・Astro-Physics 160mmf7.5 EDF (2004 - 2007)FL 1200mm
     ・Zeiss APQ 130 f7.7(90s);FL 1000 mm
     ・Zeiss Baader/APQ150 f8 (90s) FL 1200mm
(訳注)GTXは最近(2016年)登場したAP130mm f/6.3StarFire GTXのことです。
         GTXは従来よりも眼視使用に即するように修正された光学系です。

このレポートは、GTXのファーストライトでレビューを始め、続いてAP130EDFとの比較を
行い、最後にアストロフィジックスとツァイスAPQの比較を行う、という構成になっています。
そして全体の要約が終わりに書かれています。
レポートの全体は長いので、ここでは最後の要約部分だけを下記に紹介します;

 <要約>
 ・全ての望遠鏡は完璧な色消しを示しました。4つの望遠鏡間に(色消しに関し)差異
  はありません。
 ・(空が)最も澄んだ瞬間に、全ての望遠鏡は同等のシャープネスを示しました。
  見る条件を完全に維持することはできなく、各望遠鏡を巡回して対象を比較する
  ので、同等以上のことを言うのは困難です。主観的ですが、これらの望遠鏡の光学
  系の形態は品質において非常に接近しているに違いありません。
 ・130mmの望遠鏡は、より大きな望遠鏡よりも幾分暗い像ですが、惑星の詳細で
  同程度を示しました。
 ・これは私にとって驚きの一つでした。惑星の詳細の差異は130mmと150/160mmの
  望遠鏡間では存在しないくらい小さいものでした。
 ・二重星の分離では、より小さなGTX130は、より大きなAP160に較べて明らかに不利
  でした。明るい星の像はGTXの方がシャープですが、暗い星はどちらの望遠鏡でも
  ピンポイントとして分離されました。
 ・私の主観的な偏った意見では、GTXが私の使用した最も良く設計され作られた光学
  系の一つでした。比較においてGTXがはっきりと優れた望遠鏡だと感じることがあり
  ました。GTXは何も失うことなく150/160mmクラスの望遠鏡と同じ能力で使用すること
  ができます。GTXの像は少し暗いかもしれませんが、その暗い像の質は時として
  150/160mmクラスの明るい像を上回っています。
・私は望遠鏡の潜在的な性能に関して意見を述べることを要求しません。それは行動
 の目的ではありません。APQがアストロフィジックスの望遠鏡と較べて優れた性能を
 示すでしょうか?それは、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれません。
 私は完全な(観測等の)条件や全ての望遠鏡を同時に手元に置くことなしにその判定を
 することができるとは考えていません。2012年以来、私は完全な条件として(観測記録に)
 記述できた夜は一晩しかありませんでした。
・この視点から、(望遠鏡の)潜在的な能力が何かはどうでもよいことです。私たちが観測
 する条件で重要なことは実効的な性能ではないでしょうか(訳注)?
(訳注)筆者が言いたいことは、チャンピオンデータとしての性能ではなく、よく使われる
        条件での性能が重要ということか。

以上がこのレポートの要約部分です。

<APとAPQの具体的比較内容:10月14日追記
■AP/APQ:初日(APQ 130, GTX 130, AP 160)
●木星
 ・ロイのコメント
   ・AP160は縞模様が明らか(8mmEthos)
   ・GTXは非常に似た像、明るさやシャープさに差異なし。同じ詳細さ。
   ・APQは上の2つの望遠鏡と同じ詳細さ。僅かに「よりシャープな像」。
 ・デイブのコメント
   ・APQ130はナイスシャープな像。
   ・GTXはAPQより詳細だが同じシャープネス。
   ・AP160はGTXより詳細だが、シャープさはGTXほどではない。

●火星
 ・火星の表面には惑星を横切る濃淡がありました。最も顕著な特徴は惑星の極の近くの
  黒みがかった領域でした。従って、2つの望遠鏡の見え方を判断するのは特に困難でした。
  また特筆すべきことは、火星が薄い雲のベールの背後にあり、これらの雲が月光に照らさ
  れていたことでした。これは雲の影響を受けなかった木星の条件と対照的でした。
 ・ロイのコメント
   ・APQはGTXよりも僅かにシャープでした。
 ・デイブのコメント
   ・GTXとAPQ130はシャープネスやディテールにおいて差はありません。
   ・AP160はGTXとAPQのどちらよりも細部を見せてくれました。
●土星

 ・土星は雲に覆われ、月に接近していました。雲は月光を散乱していて土星の周りの領域
  は火星のケースよりも明るくなっていました。
 ・全ての望遠鏡でカシニ空隙は土星の輪の相対的にシャープな細部として明瞭に見えました。
  惑星自体は微妙な陰影の変化を示していました。
 ・ロイのコメント
      ・APQ130とETXの間には認識可能な差異はありません。
 ・デイブのコメント
      ・APQ130とETXの間には認識可能な差異はありません。
      ・AP160は優れた像を示しました。どの130mmの望遠鏡が示すよりも詳細な土星が見えました

■AP/APQ:二日目(APQ 150, GTX 130, AP160)
●木星
 ・GTXは、観測開始時に赤斑が木星の中央近くに位置していました。極の方向にいくつかの細部が
  ある2つの縞が見えました。
 ・APQ150は、GTXに非常に近い見え方。APQ150は僅かにシャープな像を示しています。
 ・AP160は、APQよりやわらかいも像。GTXもAPQもAP160よりシャープな像を示しています。
 ・各望遠鏡の間をさらに30分巡回して見ると、3つの望遠鏡の見え方(細部とシャープさ)が接近
  してきました。それらをランク付けするならば、一番目はAPQ150(GTXよりも僅かに抜きん出て
  いる)、次にGTX、最後にAP160です(非常に僅かの差で最後)。
●火星
 ・GTXは、表面の細部はシャープでAP160を使用して見たときに近いが、AP160は僅かに細部が
  良く見えます。
 ・3つの望遠鏡を使用した30分以上の観測により、非常にクリアな暗い領域と(暗い領域の

  反対側に)極エリアの1つのの方向に(微妙な)白っぽい領域が見えました。
 ・3つの望遠鏡の間に差異はありませんでした
●土星
 ・APQ150はGTXよりも明るく見えました。
 ・APQとGTXはどちらも土星のかすかな縞とシャープなリング構造が見え、カシニ空隙はリングを
  ぐるっとまわって見えました。
 ・GTXとAP160を比較すると、AP160の像は明るいが、GTXは暗くてもAP160より詳細を示しました。
 ・私は土星に長い時間費やしました。私は全ての望遠鏡を巡り、それらの間の差異を何とかして
  獲得しようとしました。私は特定の望遠鏡に5分から10分を費やし、たった今見たことと今度見た
  新しい像を素早く比較しました。
 ・全ての望遠鏡は200倍でした。全ての望遠鏡を渡り歩き、3つの望遠鏡全てが同じ詳細さを
  示していることが分かりました。AP160;APQ150とAP160はGTXよりも明るい像で詳細が見易い
  ですが、GTXは2つの大きな望遠鏡よりも主観的には魅力的な像を与えてくれました。これは
  土星本体で特に当てはまりました

ノートを取っている間に記録しなかったことで書きたいことは、全ての望遠鏡が色消しの像を示して
いたということです。...完全な色消しです。月はほぼ満月で、私は色補正の評価のために月を対象に
しました。そしてAPQ150, AP160, GTXは完璧な色消しでした。


2016年7月19日(火)
早いもので今年も半年が過ぎました。
・今年のこれまでの天文イベントで主なものは、5月14日から15日にかけて開催された
「望遠鏡オフ2016 in 小淵沢」への参加です。ここではAPQ100/1000とAPQ100/640の
見え方を土星(特にcassini division)で比較することができました。
・TM赤道儀の電源コードが経年劣化により断線したので修理しました。
福岡の天文ハウスTOMITAさんへ依頼し、下の写真のようにコネクタ接続方式にして
もらいました。


・TM赤道儀の重りを追加しました。正立4連ターレットを付けると標準の重りでは
 不足するので、ユニテックの追加用バランスウェイト(770g)を付けました(下の
 写真のステンレス製小型重り);