Wind -a breath of heart-
(C)2001-2002 minori/原画:結城 辰也・庄名 泉石/脚本:古我 望・向井 正哉/音楽:TWOFIVE
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イメージイラスト
「Wind -a breath of heart-」について:
「BITTERSWEET FOOLS」のオープニング制作に続き、同じくminoriのヒット作「Wind -a breath of heart-」(2002年4月発売)のオープニングムービー・店頭ムービー・劇中ムービーの制作を行わせていただきました。「Wind」は、学園ラブストーリーというオーソドックスな題材をminoriならではの解釈で構築したインタラクティブ・ノベルです。
ゲームの詳細はminoriのHPをご覧下さい。

■メイキング
以下、オープニングの制作過程を簡単にご紹介します。実際のムービーはこちらからダウンロードいただけます(店頭版ムービーのため製品版とは一部異なります)。なお、ゲーム中にはもう1本僕が担当したムービーが収録されていますが、そちらのメイキングはまた機会がありましたら。

【ワークフロー】
a)字コンテ b)絵コンテ c)動画コンテ d)作業指定
「Wind」のオープニング制作に際して、minoriから出された制限は全くありませんでした。「好きなように作っていいですよ」、ありがたいことです。そこでゲームの設定資料をもとに自分なりのイメージを固め、監督の酒井氏と曲のイメージをうち合わせることから始めていきました。「ハーモニカきっかけでスタート」とか「映像と曲を絡める仕掛けを中間に入れる」とか、曲の大まかな構成はこの時点で決定しています。
その後、(a)紙面での設計→(b)絵コンテ→(c)動画コンテ→(d)作業分担設計という順で作業を行っていきます。
ちなみにここまでは「ほしのこえ」の仕上げと同時期の作業でした(2001年年末〜2002年始め)。経験上、作品制作で最も重要なのはやはりここまでの初期設定的な部分で、これ以降の苦行のような実制作作業を少しでも早く終わらせるためにも、この段階で出来るだけしっかりと完成形をイメージしておく必要があると感じます。

なお、「Wind」のオープニングでは原・動画をスタジオに外注していますが、コンテ制作時ではスケジュールの都合上、外注が可能かどうかは未確定でした。ですので、絵コンテも基本的には静止画のカット切り替えのリズムだけでも見せられるように構成されています。
完成した絵コンテをスキャニングして1コマずつ切り離し、ざっと陰影をつけて曲と合わせて時間軸に配置したものが動画コンテ(c)です。この段階で1カットの継続時間なども厳密に決定しますので、動画コンテがその後の全ての作業の具体的な設計図となります。
ちなみに原動画の外注の際、アニメーターさんへの光源指定などは(d)のようにwebを介して行いました。

【人物アニメーション】
a)みなも原画 b)みなも着彩 c)完成画面 d)作業画面
(a)がアニメーターさんから上がってきた原画をコンピュータに取り込んでクリンアップしたものです。絵コンテをベースにキャラクターデザインの結城氏に原画を描いてもらい、さらにそれをアニメーターさんが原画・動画におこしています。
(b)がそれをPhotoshopで彩色したもの。当初はこの作業も全て自分で行うつもりでしたが、上がってきた枚数を見てとても処理しきれないことに気づき急遽minoriチームや友人に手助けをお願いしました。「Wind」では原動画の外注作業を初めて経験したということもあって、このあたりの見通しは随分とイイカゲンだったのです。主線と色トレスの分離は手製のPhotoshopアクションで行っています。
(c)は実際の使用画面です。ご覧の通り(a)→(b)→(c)と進むに従いトリミングが激しくなっています。アニメーターさん、着色してくれた皆さん、ごめんなさい。
(d)はAfterEffectsでの合成作業画面です。「Wind」のオープニングも「BSF」や「ほしのこえ」と同じく、主にPhotoshop、Lightwave3D、AfterEffectsで制作しています。
d)ひなた着彩 e)背景1 f)背景2 g)完成画面
着彩した人物動画(d)と背景(e・f)を合成する際は、マスクを使って人物の一部を半透明にしたり、スクリーンやオーバーレイなどの合成モードで人物を背景に溶け込ませたりしています。(e)と(f)の背景は実際の画面ではわずかしか見えませんので、描き込みもそれなりです。雲も「ほしのこえ」からの流用です、もちろん。

【背景美術】
a)学校渡り廊下 b)学校水飲み場 c)路面電車の駅 d)学校ロッカー
本OPのカット切り替えのテンポは非常に早いので、背景美術も過剰な描き込みは行わず、中心となるオブジェクトに焦点を合わせて他はテキトーにグラデーションでごまかす(というと言葉が悪いけど)、という描き方をしています。1カットでの描き込み密度を充実させるにせよ省略するにせよ、そのカットの表示時間と併せてコントロールすることでムービー全体の印象をぐっと高めることが可能だと思います。
(a)はロケハン写真を元に、(b)はゼロからタブレットで、(c)と(d)は3DCGの簡易モデルを元にして描いています。

【学校屋上】
屋上イメージ
a)lightwave作業画面 b)カメラ視点
屋上シーンを時間軸の中心に配置し、同時に曲調もハーモニカ中心に変化させようというのは、初期段階から考えていた“しかけ”の一つでした。カメラ手前を速いスピードで横切る柵と給水塔が3DCG(セルシェーディング)、人物は手描きアニメーションとなっています。

このシーンではカメラを長焦点レンズ(90mmくらい)にして遠近感を圧縮することで、人物作画の簡略化(服と髪がループで風になびくだけで、パース変化ナシ)とカメラ移動のスピード感を両立させています。(a)はカメラ移動の軌跡(緑色)を示しています。(b)は(a)のカメラ視点画像です。ここに配置されている人物の3Dモデルは手描きキャラクタを合成するときのアタリですので、実際にはレンダリングは行われません。

【そのほか】
a)みなも振り向き b)ひなたとレール c)ひなたたん d)路面電車
(a):みなもの振り向きカット。この絵も思い切りトリミングしてしまいました。
(b)と(c):車窓に片肘をつくひなたのカット。背景のレールが3DCG。ここはカメラの動きも入るため、(b)のような3DCGを下描きとしてアニメーターさんへお渡してパースに合わせた人物作画をしてもらいました。走る光や木陰、フレア等の追加要素は全てAfterEffectsで被せています。
(d):路面電車のカットの作業画面。電車は写真を参考に簡単にモデリングしました。画面写真のように、グラディエントでセル調の階調表現をしています。フロントガラスはシンプルにアニメ的なハイライトを入れたかったため、Lightwaveのマスク情報を利用してAfterEffectsで上から被せています。

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