志ん五の独り言 of office405

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志ん五の独り言

こちらは、志ん五の日常を内儀が綴ったものです。高座を下りた志ん五をご紹介。

2001年
パンツ(06月07日)昨日、TVで34年前のドラマをやっていて、そこに木田なにがしという古い役者さんが出ていた。私「お笑い三人組っていうドラマのに出てた人だ」お父ちゃん「中学生の時、時代劇に出演して共演したよ」そのとき休憩で、地べたに大また広げて座っていたらその人が「僕、駄目だよ時代劇はパンツはいてないんだから、こっちから丸見えだ」って、注意されたんだって。お父ちゃん 色々な体験してるよね。
昔の話(06月17日)初めて"のり平劇団"に出た時、右も左も分からず、のり平先生の言う通り動いていたら、共演者の関敬六さんとこんなやり取りをしたそうです。「今日渥美ちゃんが観に来ててさ、お前さんのこと褒めてたよ」「はあ、なんとおっしゃったんですか? 」「動いてないからいいって、何もしてないからいいって」「つまり、邪魔してないってことですか?」「そういうことだな」その日家に帰ってきたお父ちゃんは、嬉しそうにこの話をしてくれました。
いつもの話(06月27日)「破けちゃったから縫ってくれるかな」着物を持ってきて、お父ちゃんが言います。かがりながらどうして?って思うんですよね。お尻の下あたりが縦にほつれているから。長襦袢も同じ場所。よっぽど過激で変な動きを高座でしているらしい。お針は不得意なのよね。あんまり破いてこないでねお父ちゃん。半襟をつけたりほころびを縫ったり、かみさんもけっこう大変なのよねぇ。
上野の楽屋で(07月07日)漫才のゆめじ・うたじのお二人が、釣り専用に買った車を三宅島に置いてあるそうで。お二人「そういえば5月に行った時、全然釣れなかったんですよ」お父ちゃん「もうそん時から魚にゃ避難勧告がでてたんだよ」・・・んな訳ないじゃない。
都知事(07月17日)ある日TVを見ていると、ニュースに石原都知事が出ていました。今の石原さんも何かと話題になる方ですが、美濃部さんもずいぶんとやり手な方でした。昔、お父ちゃんが前座の頃、志ん生師匠のおかみさんが寝転がっている師匠を見て「おなじ美濃部でもえらい違いだねぇ。これじゃ美濃部ね知事だよ」なんてことを言っていたそうです
銭湯(07月27日)昔、お父ちゃんは志ん生師匠をおんぶして銭湯に行っていたそうです。ちなみに師匠をおんぶして銭湯に通ったのは、初代が円菊師匠、二代目が志ん駒師匠三代目がお父ちゃんでした。先輩二人は、師匠をおぶった高さが、風呂屋の入り口の高さにピッタリ。ところがお父ちゃんは背が高いのでいつも気をつけて入口をくぐっていたそうです。ところがある日くぐったとたんに、「ゴツン」と鈍い音がして、見上げると志ん生師匠のひたいが、すこしへこんでいました。師匠は一言「イテェじゃネエか、今度ぁ足切っちゃうぞ!」
髪型変遷その1(08月07日)ある日娘が、七、三に分けたお父ちゃんの頭を見て「分け目から薄くなるよ」と言ったので、次の日から真ん中分けになりました。それでは今日はお父ちゃんの髪型の変遷をひとつ。前座見習い→角刈り前座→七、三分けここで高座をみた志ん朝師匠に、「前髪が顔を隠すからソンだよ、お前」と言われ、角刈りに逆戻り。ところが若かったので角刈りが嫌で嫌で、長髪のカツラをかぶって寄席に出入りしていました。それを見た正蔵師匠が、「家を出てくるとき志ん生は何も言わないのかい?」志ん五「よく似合う、と言われました」正蔵師匠「ふぅ~ん」さすがの師匠も、志ん生がいいと言うものには何も言えなかったようで・・・。その2へつづく。