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第六章/第五節
 自動銃の排莢の仕組み

 

 当サイトの掲示板でエジェクター(突き出し鉄)の構造から、自動銃の大半が二種類の排莢の仕組みを用いている事が解かりました。
 そこでこの二種類の構造を画像とGIFアニメで解説しようと思います。
 二種類の排莢の仕組みですが、正式には方式名称があるものと思われますが、知らないので適当に対応しています...(^o^)
M16系を主に、ケース・デフレクターの必要な方式
 まずはボルトの閉鎖機構にボルトヘッド自体が回転して薬室(チェンバー)にロックするタイプに多く見られる排莢の仕組みです。
 ここでは簡易構造図で御紹介したいと思います。
 本来なら縦の方が射手の視点から見られるので理解し易いかと思って画像を描いたのですが、コンテンツ化する際に構成が難しいので、横に倒しています。GIFアニメのリンクに縦版をつないでいますので御覧になるとわかり易いかも。
 今回の絵は以前より大きくしてみました。それでも解かり辛いでしょうが御勘弁下さい。
 空薬莢と一緒に後退しているのが簡易化して描いたボルトです。本来なら発射直後、銃身先端近くから導かれたガスでボルトキャリアーを先に後退させ、カムの原理でボルト自身を30度程度回転させてロッキングラグを解除してから後退し始めるのですが、趣旨と関連が薄いので省いています。左図のボルトの上部にある薬莢のリムa を引っ掛けるようにしているのがエキストラクター(引っ掛け鉄?)で下部にある徐々にですが飛び出し始めているのがエジェクター(突き出し鉄)です。
 左図では既に空薬莢のショルダー(すぼまっている肩のような部分)が薬室の後端に沿って左図で言う上方へ、エジェクターの突き出すバネ圧で押される形となっています。
 左図の時点で空薬莢の肩は排莢口前端まで来ており、エキストラクターにて片方のリムは固定され、もう片方はエジェクターで押されているため、空薬莢自体、捻り出されるようなベクトルで後退運動を続けています。
 ここに来て初めて空薬莢は薬室の呪縛から開放され、ケースヘッド部をエキストラクターに片側を押さえられ、もう片方をエジェクターに勢い良く押される事により、まるで飛び跳ねるようにボルトから離れます。ただし、慣性の法則により斜め後方に(左図では右上方向)に飛び出す事になるわけです。
 空薬莢はエキストラクターとエジェクターにより、捻るような方向に力が加えられているわけで、空薬莢は大半がケースヘッド(雷管の収まる辺り)の方が重量があるため、ボトルネックの肩辺りを中心に横向きの回転をしながら飛びます。
ボルトとの連結が失われたにも関わらず慣性の法則でボルトと一緒に後退を続けます。
 左図は少し回転角度が足りないかもしれません。まあ大体って事で...(^^ゞ
 この段階で完全に排莢口から空薬莢が飛び出す事になります。
 M16A2(CAR15)ならばケース・デフレクターが左図のケースがある辺りに存在するため、空薬莢はケース・デフレクターに突き当たり軌道を修正される事になります。
 左図ではケース・デフレクターがありませんので空薬莢はそのまま後方に飛んで行く事になります。
 突然で申し訳ありませんがマガジン内の次弾がせり上がって来て、ボルトは前進しながら次弾を引っ掛けて薬室に送り込み始めます。マガジンが複列式であれば、本来ならもう少し後方までボルトが後退して、長いローディング・ランプが必要ですが、その辺は割愛してますので御了承下さい。
 弾薬はボルト・フェイスの端っこで引っ掛けられて薬室に送られます。この時はまだエキストラクターはリムをくわえていない状態で、完全に閉鎖する直前で弾薬のリムはエキストラクターの爪の間に割り込みながらエジェクターを押し込んで閉鎖状況に持って行きます。
 ※画像をクリックすると縦型のGIFアニメが見られます。
 上の左図がボルト・フェイスの拡大図。の部分がエジェクター(突き出し鉄)です。
 上の右図の5.が形状を現します。6.はSPですネ♪4.のピンで固定されます。
 管理者も掲示板で友人と会話を交わしていて突然この事に思い至ったのであって、普通は疑問には思わないと思いますが、次の拳銃に一般的な方式を見知っていた管理者は「こんなエジェクターで排莢出来るんだろうか?」とは思ってたんですネ♪
 そんな事もあってこんなページを作る事に思い至ってます...(^^ゞ
拳銃を主に、ケース・デフレクターの不要な方式
 スライド(遊底被)を持った自動拳銃の大半がこの方式です。大変珍しいのはAK47などのロシア製の軍用銃にも採用されている事です。
 AK47が珍しい理由は、ボルト・ヘッドが回転するのでボルト・ヘッドには閉鎖解除状態の状況にエジェクターが通過する為のスリットが切られているのです。G3のようにボルト・ヘッドが回転しない構造であれば、簡単ですが、しかしG3はエジェクターがフレーム固定ではなくボルトに付いていて、フレーム側にはエジェクターをある時点で押す部分があります。ボルト・ヘッドが回転する銃ではG3のような構造はなかなか難しい物があります。そこで加工の単純化と部品点数の削減のためと思われる設計思想でAK47は製造されているようです。
 事前の例と違う点はただ一つ、エジェクターがボルト(遊底)が後退したところで待ち受けてます。
 ガスBLKしか持っていない方は是非一度、MGか実銃(画像)のガバか何かのスライドだけ外したフレーム上面を観察して見てください。
 事前の例と違う点は空薬莢がこの段階でもガス圧でボルトのブリーチ・フェイス(遊底前面)にピッタリ押し当てられている点ですネ♪
 この段階で初めて空薬莢がエジェクターに突き当たり片側をエキストラクターに捕まえられている為に捻りの力が加えられます。
 事前の例と違うのは、徐々に押されるわけではなく突然に突き飛ばされるわけで、エキストラクターにも衝撃が伝わり、エキストラクターには支える力というよりは無理やり外されるような力が加えられるわけです。
 空薬莢は急激な回転運動を加えられ、文字通りエジェクターに蹴飛ばされる感じでブリーチ・フェイスから離れます。
 つまり、ここまでの後退する方向の力がエジェクターに突き当たる事で反発し、後方に飛ぶので無く、回転する力にほとんどが変換されるわけです。
 実際にはもっと回転は急なのではないかと思われますが御勘弁下さい...m(_ _)m
 ボルトは既に前進を開始しています。
 良く思い出してみたのですが、管理者はMGC製金属MGのM16E1を持っていますが、実銃と同じエジェクター構造は再現されていません。
 こんな事からこの事実に思い至らなかったものと思われます。
 ※画像をクリックすると縦型のGIFアニメが見られます。
 上の画像はワルサーP88をフィールド・ストリッピング(簡易分解)したものです。
 赤丸で囲んだ部品がエジェクター(突き出し鉄)になります。
 二つの機構を手動でゆっくり再現するともっとはっきりすると思います。東京CMC製モーゼルKar98kが前者の構造を再現していたと記憶してます。
 現在、そのMGはしまい込んでいるしカートリッジも残っているか疑問です...(^_^;)
 何とか思い出したのですが、東京CMC製モーゼルKar98kでゆっくりボルトを引くと、薬莢が薬室を離れる瞬間にホコッと跳ねたように思います。
 つまりは、ボルトの後退速度が遅くても排莢は自前で行われるって事にもなるのではないかと考えられるわけです。
 逆に後者は自動拳銃に多く見られるので良くわかるのですが、ある程度の速度で排莢しようとしないと、薬莢は排莢口から飛び出さずに中に残ってしまう事があります。それが排莢不良の大きな要因になりえるのです。
 縦型のgifアニメを二つ並べてみました。比較してみてください。 ここ
 普通はこんな事までは考えないのかもしれません。
 でも、「一人くらい設計者の苦労を思う人間がいても良いじゃないか」って思うんです。
 このページを見てくれた“あなた”もその一人であってくれれば良いと願う管理者です。

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