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三菱 零式艦上戦闘機 三二型 [A6M3]


Inopii氏より、名古屋空港航空宇宙館に本物の零戦があると聞き、早速家族サービスを兼ねて(この場合基本的には自分サービスですが;笑)見に行ってきました。展示機は零式艦上戦闘機三二型で、マリアナ諸島のタロア島のジャングルで朽ちていた機体を復元したものです。

零戦三二型は、二一型に対して高空性能と横(ロール)の操縦性の向上、および製造の簡易化を目的に改修された型で、最大の特徴はエンジンの換装と主翼形状の変更です。

エンジンは二一型の栄12型(950馬力/高度4200m)から、2段過給器(スーパーチャージャ)付きの栄21型(1100馬力/第1過給高度2800m、980馬力/第2過給高度6000m)に換装されています。過給器の1速から2速への切替はパイロットが手動で行いました。1速の限界は高度は約3600mでした。最大吸気圧力(ブースト)も300mmHgに増強されています。

エンジンの換装により、機体前部の形状も再設計されています。上部が少し大きくなり、気化器が降流式となった事により空気取り入れ口が上部になり、7.7mm機銃の溝が孔に変えられています。

主翼の翼端が切り取られ角型に整形されています。主翼の平面形で翼端が丸くないのは三二型だけで、かなり雰囲気が違うため、米軍も他の零戦とは別系統の飛行機だと思ったらしく、"ZEKE"ではなく"HAMP"というコードネームをつけていました。

これらの改修により、補助翼(エルロン)が軽くなり、ロール性能が向上し、最大速度も僅かに(6kt)向上しました。急降下制限速度も360ktに向上しました。ただし、旋回性能は低下したということです。

また、新エンジンは燃費が悪化し、燃料タンクの容量が855リットル(増槽320リットルを含んだ値)から800リットル(三二型の後期型では820リットル)に削減されたことにより航続距離が大きく低下しました(二一型の1891海里から三二型では1284海里)。後に戦略上大きな問題となり、パイロットにも不評でした。

展示機を見た感想は、まず、思ったより小さいということです。戦闘機というとF-15等の現用機しか見たことが無いからですが、軽自動車という趣で、太平洋を何100海里も飛んでいくには心細い感じです。ジャングルで朽ちていたためか表面はべこべこでした。外板はかなり薄い材料なのでしょう。

名古屋空港航空宇宙館は、名古屋空港の国内線ターミナル3階にあります。実機展示は零戦以外はたいしたことはありませんでしたが、日本で開発された飛行機の美しいソリッドモデル(模型)がずらりと展示されていてそれなりに楽しめました。こういった展示機はいつどうなるか分かりませんし、名古屋空港も新空港ができるとどうなるか分かりませんので、近郊在住の方で一度本物を見てみたいという方は早めに足を運んだ方がいいかもしれません。

右翼前縁 右翼前縁内側。三二型4号機より20mm機関砲は99式1号2型に換装され、弾数が65発から100発に増加しています。が、長銃身の2号銃ではなかったらしいので、もともとはこの写真のように翼前縁から銃身が飛び出ていなかったであろうと思われます。 胴体右側面と風防。逆光なので見にくいですが、主翼上面に脚位置指示板が出ているのが見えます。主翼前縁の黄色い帯は敵味方識別の為の塗装です。風防ガラスはかなり曇っていました。半世紀の歳月を実感します。
エンジンカウル上部。7.7mm機銃の発射孔と、プロペラスピナーの上に気化器空気取り入れ口の仕切りが見えます。 左翼端。赤い小さな出っ張りは編隊灯です。主翼上面には片側2個の編隊灯が付いていました。翼端灯と同じく左側は赤、右側は青(緑)の灯火です。船も同じなのですが、これにより、青い光が見えたときにはその飛行機は右向きに、赤い光が見えたときにはその飛行機は左向きに飛んでいる事がわかります。船や飛行機は右側通行で右方優先なので左向きに飛んでいる飛行機の灯火が赤く見えるようにしているのではないかと思います。 左翼。出っ張りは補助翼(エルロン)の操作ロッドだと思います。ケーブルで操縦桿まで繋がっています。
左翼内側。内側の編隊灯が見えます。 胴体左側前部と風防。側面風防下のマーキングが何かは不明です。搭乗用のステップでしょうか? 胴体側面。日の丸の下に出ているのは搭乗用のステップです。
尾部。方向舵(ラダー)後縁下方のタブが固定タブでなくバランスタブとなっています。資料によると三二型は固定タブだったらしいので、これも復元時に換装されているものと思われます。方向舵の切れ角は最大33度でした。 機体前部下面。ここに見える空気取り入れ口は潤滑油冷却用です。この奥にラジエターがあります。蓋のようなものが見えますが、これがオイル冷却器シャッターでしょうか?。 プロペラスピナーとカウル前縁
右翼前縁 フラップ。零戦のフラップはスプリットフラップと呼ばれる下面のみ展開する形式でした。最大下げ角は60度だったとのことです。 機体前下部。潤滑油冷却用空気取り入れ口の上にエンジンの集合排気管が見えます。
主脚外側 主脚。主脚のタイヤは空気タイヤでした。 主翼下面。主脚の青黄赤のマーキングは主脚のオレオ(緩衝装置)の沈み具合を見る為のものです。
尾輪。尾輪のタイヤはソリッドタイヤ(中まで全部ゴム)です。尾輪も完全引き込み式でした。ある資料に尾輪は直進にロックできたが、ステアリング機能はなかったという記述がありますがよくわかりません。うつっているケーブルだかチューブだかも何かわかりません。もとからあったものでしょうか?
別展示の機銃やインパネ等 尾輪、7.7mm機銃、20mm機関砲。朽ちてます。 同左および羅針儀
インパネ(計器パネル)。中央の羅針儀は実物(またはレプリカ)ですが、後の計器は全て絵です。計器の配置は資料通りです。 水平義と旋回計。CFS2でおなじみです。
インパネ左側。上段左より、排気温度計、航空時計、速度計。下段左より、航路計、スイッチ、高度計です。 羅針儀。CFS2の公式ガイドブックによると、外側が磁気コンパス、球形の中に入っているのがジャイロコンパスとされていますが、他の資料に相当する記述が無いので定かではありません。下に自差修正表のプレートがついています。このプレートを信ずるなら東と西向きのときに磁気コンパスに最大1.5度の誤差を生じたようです。 インパネ右側。上段左より、昇降計、油圧計、燃圧系、回転計。下段左よりシリンダ温度計、油温計、吸入圧力計(ブースト計)です。
展示されていた三菱重工の零戦設計スタッフの写真

名古屋空港の売店に愛機二一型のダイキャスト(鋳物)製の1/48スケールの完成模型が売っていてどうしても欲しくなり購入してしまいました。購入価格は6480円(税抜)だったのですが、中に入っていたカタログには定価4980円と書かれていて「あれれ?」。で、近所の模型屋で見たら\5830円の値札が...

ま、それはそれとして(笑)、結構きれいに出来てるし、プラモデルと違って丈夫で塗装も焼付けらしいから机の上においておいても大丈夫です。結構気に入ってます。

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