イベリコ豚 (2003/07/18)

 
 某日。西麻布のザ・ジョージアン・クラブにてスペイン産イベリコ豚ロース肉のロティを食させていただいた。

 極うまであった。自分史上最高の豚肉かもしれないと、思いは壮大になりつつ食す。あたかもホタテの貝柱を彷彿とさせる姿かたちと、やわらかい肉感。相当の厚みがあるのに中心部まで統一感のある火加減に、ちょっとメロメロである。最近の豚肉事情はかなり良いらしく、良質の肉が安定して仕入れられるというから、うれしいではないか。

 「おいピータン!!」講談社刊で伊藤理佐女史が指摘するように、豚肉は牛肉の下に位置する肉ではなく、別のカテゴリーとして確固たる存在感を持った肉なのだということをひしひしと感じたりする。牛もうまいが、豚もうまい。両方うまい。どっちもうまい。豚肉最高!!!!!なのである。イベリコ、イベリコ、イベリコ。この四文字が頭から離れなくなってきた。どうしよう。今月までなら同店のランチメニュのメインディッシュにその名が記されているはずである。「今一度いくか。イベリコ」「駄目だそんなに食べたら確実に、太る。イベリコ」「駅まで走れば何とかなるかな。イベリコ」「いつもより余計に泳げば、イベリコ」「でも駄目だそんなに食べられない。イベリコ」「イベリコ、イベリコ、イベリコ」

 頭の中が完全にイベリコになってしまった・・・。でも幸せなのだから致し方ない。

 豚肉との意外にして素敵な出会いに大感謝しつつ、イベリコ、イベリコ。


おしまい


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