微妙な立ち位置 (2005/08/29)

 
 先日、真夏の鎌倉・材木座海岸にて。

 国道134号線に面する材木座海岸パーキングは、鋭角的に国道に進入するような作りになっているうえに、交通量が多く、時間帯を間違えると合流が、非常にし難かったりする。その日は夏真っ盛りで、時刻は夕方。車の往来も激しい夏の湘南らしい光景だった。

 私は、駐車場を出て、江ノ島方面に合流しようと、斜め後ろに身体全体を向け、逗子方面からやってくる車を注視しようとした。すると、まさにそこに女性がひとり立っているではないか。彼女は道路を渡って海岸にいきたいようなそぶりを見せつつ、私の視界を大幅に占拠し、いわゆる「そこにいたら車が見えないから邪魔なんだよなあ」の状態に陥っていたのだった。

 材木座の駐車場は、一瞬のタイミングを見測らないと、合流しにくく、遠くの由比ヶ浜の信号が赤に変わるまで、ぼんやりと待ち続けなければならない。また逗子方面からはすぐそこにトンネルがあるので、車の流れが正確に把握ず、一瞬の車の間隔が勝負を分けたりするのだった。

 普段なら、そこにいたら邪魔だと大声を張りたい気分なのだが、その日は全く違う展開を見せ付けた。

 その女性が、白いビキニ姿で、かわいらしかったからだ。

 ドライバーとしては、運転の支障をきたす彼女の立ち位置も、一男からの視線で眺めれば、かなりお宝映像的な光景が展開されつつ・・・、さりとて彼女の向こう側を見つめなければ本線に合流できず、しかし彼女を見つめていては、むにゃむにゃむにゃ。

 しかし、それでも、フェラーリ(号)はスピーディに本線に合流した。走るために生まれてきた車に乗るドライバーとして、当然の行動ではある。けたたましいエグゾーストノートに身を寄せながら、バックミラーに視線を移すと、彼女も少し遅れて対岸に渡ったようであった。彼女の無事を確認しつつ、わがフェラーリ(号)は、国道134号線を西に向かったのだった。

 今年の夏も、そろそろ終わりだなあ・・・。


おしまい


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