冷たいご飯の先にあるもの (2008/04/18)
 



 先日、日ごろ大変お世話になっている某ご夫妻と、フランスを一緒に巡ってきました。とてもすばらしい旅になりましたことに対し、某ご夫妻と、現地でお世話になった関係各位にこの場も借りてお礼申し上げるしだいです。で、ココ何回かは、というかフランスに行くと必ず、部活系ワイナリー訪問になってしまう性は、もうすでに致し方ないと思いつつ、そのときの思い出などを。

 今回も空港から、レンタカーを借りて、シャンパーニュ、コード・ドール、シャブリ、パリなどを一日何軒も梯子する旅となりましたが、そうなると必然的に食事が疎かになってしまいます。特に、ランチが・・・。そして今回は夜も・・・。ううう。

 大体、午前中の訪問の終了時間は12h00前後で、午後の最初の訪問は、14h00からが普通のパターン・・・かな。で、その間、二時間あるわけですが、ほとんどは移動時間に費やされ、モンターニュ・ド・ランスからコート・デ・ブランに移動したり、シャンボール・ミュジニからシャブリに移動したりするわけで、どこかのレストランでまったりと・・・なんていう時間は絶望的になかったりします。今回も紹介者に無理を言って、訪問時間を13h30からにしてもらった日もあり、ますますランチタイムは削られていたのでした・・・。(ちなみに某氏と一緒だと、もっとすごい設定時間が・・・以下略(笑))

 で、お昼はどうするかというと・・・。高速のインターチェンジ近くの大きなスーパーやサービスエリアの売店で、トイレを借りつつ、クッキーやサンドイッチやカニカマなどを買い込んでは、運転席で、または誰かがトイレに行っている間にベンチで、頬ばったりするのでした。そしてスーパーのサンドイッチは、概ね、冷たいのです。それが昼だけならまだしも、夜のうちにシャンパーニュからブルゴーニュへ移動したりすると、これまた冷たいパンを食べつつ、道中を急ぐことになります。夕方六時にアンボネイを経ちつつ、ジュブレ・シャンベルタンに着くのは、相当遅い時間になる覚悟が・・・ホテルへのチェックイン大遅刻の電話も必須です。夕飯を食べる時間は、ないのが当たり前のスケジュール・・・。でも、嫌いじゃないところが、いい感じ(笑) (昔は全部、歩きで移動していたので、その頃に比べると恵まれた環境にはなっていますが・・・(爆))

 冷たい食事を何度も続けていると、やっぱり、かなりテンション下がります。

 で、その結果どうなるか・・・・。

 ジュブレ・シャンベルタンのピザ屋さんのラストオーダー(22h00だったかな)ぎりぎりにでも無理やり入店し、温かいピザが食べたくなるのです。温かいものを食べる幸せ。これは、春先のこの時期でも感じるわけで、「温度が何よりのご馳走」という瞬間にたどり着くことが、食事を楽しむ原動力になっているようなき気もしたりします。「温かい」ってすばらしいことです。物理的に、自分の体温より温度を上げることは、旅先の何も器具を持たない自分ではできないことですから。温かい食べ物に、ほっと一日の疲れも癒されます。フランスには温かいコーヒーの自販機などは存在しないので、その思いはいっそう私を締め付けます。

 おいしい = あたたかい

 日本では、ほかの要素が多すぎて、あまり考え付かないような方程式に、ついつい納得してしまいます。だから、日本で温かいものが冷たくなっていくことに、戸惑いにも似た違和感を覚えます。ううう。もっと食べ物の温度に集中し敬意を払いたい。そんな思いを新たにしつつ、パリの某ご夫妻宅でいただいた温かいお肉料理に、ほろりとするのはやむを得ないと信じます。おいしかったあ。

 温度に頓着しない人との距離感を覚えるのは、じつはそんな冷たいランチの連続攻撃が原因だったりしつつ、そんな冷たいランチに耐えうるだけの魅力が、フランスの葡萄畑にはあるから不思議です。いざ、斜面へ・・・。


 おしまい
 
目次へ    HOME

Copyright (C) 2008 Yuji Nishikata All Rights Reserved.