レシュノー
試飲日 2001年11月3日
場 所    神奈川県某所
照 明 白熱灯
種 類 フランス AOCワイン                   .
生産者 Domaine LÉCHENEAUT   (Nuits-Saint-Georges)
Vintage 1999
テーマ レシノーな夜に 
ワイン Nuits-Saint-Georges Les DAMODES

<ニュイサンジョルジュ・レ・ダモード>
 
ボトルのキャップシールがくっついている。噴いたワインかと予感させる。恐る恐るキャップシールを剥ぐと、かなりベタベタしていた。少し心配であるが、1999にしてまあ大丈夫だろう。コルク臭もなく、雑味感もない。キャップシールがこびりついているといつもドキドキである。

 室温のまま抜栓。黒系果実味果実香。趣のある黒系の色合いが目に心地よい。エッジに紫はない。INAOグラスに注いだ瞬間は剥きたてのバナナ香と共に甘いアロマが立ちあがったが、ロブマイヤーグラスに注いでいる間になくなってしまった。口にしばらく置いた後、鼻から香りを確認するとうっすらと土壌香を感じることができる。うん。ニュイサンジョルジュだと安心すると共に、ワインは痛んでいないことも心を落ち着かせた。

 INAOでは濃すぎる濃さときつい辛味を感じる味わいも、ロブマイヤーでは丸みを帯びて、歯茎を程よく刺激する充実感に包まれる。アルコール分を意識しないですむ。ロブマイヤーならば飲み応えのある強さと濃縮感を持ち、口に滞在する時間が長ければ長いほど、うまみ成分にを堪能できる。いい。この濃さがレシノー節である。若干香りが立たないのは、鼻の具合が悪いせいだろうか。INAOでそのまま飲む場合は、デカンタージュをしてからのほうがやさしさを満喫できるはずである。村名クラスゆえに長時間のデカンタでは味を壊す心配があるため、瞬間的なデカンタをして後はグラスで育てるのが良いだろう。

 このダモードは食事にジャストフィットするワインの典型である。ワイン自体がこれでもかと主張するのではなく、料理に合わせ、ある程度脇役にまわれる懐の大きさを感じる。こってりした赤み肉にもよし、さっぱり風味の赤み肉にも合いそうだ。ステーキの焼き方やソースにこだわらず、どの料理法にもマッチしそうである。万能型。ニュイサンジョルジュにある湿った土壌香も、ワイン初心者には抵抗がありそうだが、この微かな土っぽさなら全く問題ないだろう。ワイングラスを通してテーブルクロスに落ちるルビー色は食卓を華やかに演出してくれること間違いなしである。

 畑はACヴォーヌ・ロマネに接している。ダモードは一級畑と村名畑があるが、今回は村名格のほうである。北側の畑の代表格でもある。ニュイ・サン・ジョルジュはヴォーヌ・ロマネ側とプリモ・プリセー側(この村もACニュイサンジョルジュを名乗れる)に分かれ、その間に街が賑わいをみせている。おいしいケーキ屋さんがあるので、ぜひお立ちより頂きたい。


<レシノー>
 フィリップとヴァンサンの兄弟が営むドメーヌ。ニュイ・サン・ジョルジュ村の名手にして、看板ワインはモレサンドニの特級クロ・ド・ラ・ロッシである。このドリンキングレポートにもたびたび登場していたはずだが、単独での登場は今回がはじめて。某店にも都内にも比較的多く陳列されているので、特級以外は入手も困難ではない。極上の色合いを持ちつつ濃くって強いワインが、ほどほどの予算で飲みたくなったらなんといってもレシノーを薦めたい。焦がしたコーヒー香がよければ、ジェイエ・ジルだろう。


<おまけ 裏ラベルの和訳に挑戦>
ボトルの裏側にフランス語で説明書きがある。和訳に挑戦してみよう。

 <原文>
Il est normal qu'un vin mis en bouteille suivant les méthodes anciennes présente un léger dépôt naturel, celui-ci,fréquent dans les vins de qualité sains et bien constitués, n'est que le reflet d'un vieillissement naturel : l'éliminer risquerait de lui enlever certaines qualités.

Il est donc recommandé de le servir avec précaution après l'avoir laissé déposer quelques minutes.


 <直訳>
 古くからの製法によって醸造された葡萄酒には、軽い自然な澱があります。また良質で健康的な葡萄酒にはしばしば見られます。自然に老化したためではありません。澱を取り除くと確かな品質を損なう恐れがあります。
 したがって澱を数分間沈めさせた後、慎重に注ぐことをお奨めします。

 <要約>
 このワインはクラシックタイプによって造られた良いワインです。澱があって当たり前ですから、飲む前はそれなりの準備と心がけが必要です。澱があるからといって文句を言ったり、返品したりしないでね。かな。


以上
 


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