デュジャーク
試飲日 2002年01月19日
場 所    神奈川県某所     
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOCワイン
生産者 Domaine DUJAC (Morey-Saint-Denis)
Vintage 1992
テーマ 空前の悦び
ワイン Morey-Saint-Denis (blanc)

<味わい>
 
若干冷やして抜栓後一呼吸置いてINAOグラスへ。輝く極薄い金色の透明感が印象的。エッジの透明の幅も広い。INAOから猛烈な勢いで立ち込める香りは、ル・コルトン・シャルルマーニュそのものである。上品で豊かなマロンフレーバーに蜂蜜香が加わった、なんとも贅沢な香りである。時間と共に燻し香と焦がし香が加わり、最高級の栗を頬ばっているかのような、パワフルで極上の香りが、全身を襲ってくる勢いがある。口に含めば、するりと滑らかな味わい。酸もしっかり残っていて、味わいに深みを感じながら全身の筋肉が悦びに震えている。白というカテゴリーにおいて、コート・ド・ニュイ地区はじまって以来の大感動が会場に充満し、細胞一つ一つに至るまで興奮が覚めやらない味わいである。「コク」の面で本家特級コルトン・シャルルマーニュには一歩譲るものの、この上品な蜂蜜マロンは、並みのコルトン・シャルルマーニュでは到底出せない豊かさである。否、極上のそれと同列に位置する実力である。ブラインドで味わうならば、極上のコルトン・シャルルマーニュとしか言いようのない味わいに、感激という感情はひたすら頂点を目指している。抜栓して2時間以上を経ても、なお衰えを知らない複雑な味わいに畏敬の念すら覚える逸品である。幸せである。

 デュジャークのモレ・サン・ドニの白は今回で3回目である。1997・1996といずれも極上の白を堪能させていただいた。過去二回の味わいにはコルトン・シャルルマーニュを意識させつつも、「ニュイの白」という印象が前面に出ていて、珍しいワインの域を出ることはなかった。同じく1996のドニ・モルテのACブルゴーニュほどの感激はなかったのである。しかしである。今回のモレ・ブランは完全にドニーを凌駕し、圧倒的な存在感を見せつけてくれた。1990年代前半のデュジャークの全盛期であり、1992という前世紀のブルゴーニュの白ワインにとって最高とも思える偉大な年の村名格ワインである。赤ワインの偉大な造り手の偉大な年の白ワインは、かくも偉大なのである。

 ところでこのワインはどうすれば、入手できるのだろうか。今回の出会いそのものも奇跡に近いが、どこかで見つけたならば大枚はたいてでも手に入れたい。そして1992という偉大な年の白ワインに共通する豊潤を堪能したいものである。ただしこのワインは今がまさに絶頂期にあると思われるため、急な下り坂に入る前に再会したいものである。

 某氏と某氏と某女史に感謝である。


以上
 


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