レ・エリティエール・デュ・コント・ラフォン
試飲日 2002年05月22日
場 所    神奈川県内某所       
照 明 白熱灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC白ワイン
生産者 Les Héritiers du Comte Lafon
Vintage 1999
テーマ コント・ラフォンのマコン
ワイン Macon
Macon-Milly
 
<マコン>
 
冷やして待つことしばし。抜栓後すぐINAOグラスへ。液温15℃。オレンジ含みの薄い金色で、グレープフルーツ味の水羊羹のような色合いをしている。透明感はあまりなく、濁り系の100%リンゴジュースの色合いに似ていなくもない。これは、マコンにして初めての色合いだ。INAOグラスからはバニリンオークと共にレモンやリンゴなどの皮の風味がグラスから「もわもわ」してくる。口に含めば、リンゴジュースのようなさっぱり感。甘い口当たりにして、ラストに柑橘の苦味が鼻に残ったりする。おいしいマコンには違いないが、ふくよかさが妙に物足りない味わいは、少しイメージと違ったりもする。


<マコン・ミリー(ヴィラージュ)>
 同じく冷やしてINAOでテイスティング。液温15℃。今度は一転してマコンらしい。薄めの金色がきらきら輝いていて、いつものマコンよりは、気持ち薄めの色合い。レモンとリンゴが華やかに香り、先ほどのマコンとの価格差(約1,000円)を思い知らせてくれる。口に含めば、濃い味わいだ。しかし、なんだか妙にのんべんだらりんとした印象が拭えない。強くておいしくて、何の文句もないはずなのに、何かバランスが悪い。酸が弱いせいだろうか。15度の温度にして、これ以上冷やしてしまうとせっかくの風味も飛びかねない。マコン同様おいしいけれど、何かが足りない。そんな思いが場を支配してしまった。


<まとめ>
 
ムルソーの第一人者ドミニク・ラフォンがマコンでつくりあげた白ワイン。今回で3度目の試飲だったが、今回の印象が一番垢抜けなかった。マコンとして、おいしいワインに違いないが、他の造り手の倍以上の価格を考えると疑問符は浮かんだまま消えない。コント・ラフォンのワインとして飲むと、ラフォン節は微塵も感じられないので、肩透かしを食う格好になる。ムルソーの1/3以下の価格設定を考えても、お買い得感は感じられない。

 結局このワインは何なのだろうか。なぜコント・ラフォンはこのワインを造ったのか。なぜブルゴーニュの白ワインにとって偉大な年である2000年と同時に店頭に並んでいるのか。なぜ。なぜ。なぜ。と三回問いかけたくなるワインだ。言葉は悪いが、中途半端がよく似合う。ワインそのものに何の文句もないが、価格やのれん価値を考えると、なんだか、わだかまりだけが残って寂しさが募る。

 今回のマコンはブラインドでサービスして、コント・ラフォンの名や金額を明示しなければ、おいしいマコンのワインで終わったはずだった。しかし、ブラインドではこのワインの存在理由も薄れてしまう。ラフォンは普通のワインと同列には出来ない価値がある。
 
 このワインはあのコント・ラフォンが造ったマコンなのだから、おいしいに違いないという先入観や妄想が冷静な判断を妨げる。しかし、これは世界一の称号を得たコント・ラフォンなのだから致し方ないことだ。世界一とはなんて融通が利かないのだと、世界一になったことがない者が言うのもおこがましいが、ふとそんなことを考えさせられるワインだった。

 ちなみにエリティエールとはフランス語でムスコ、後継者の意。
 ムルソーの本家コント・ラフォンのコントにはスペルにSが付く。Comtes 
 
デジカメにカードを入れ忘れたため写真はない(またやってしまった)。
 


以上



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