メオ・カミュゼ
試飲日 2002年10月30日
場 所    神奈川県某所o   
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOC白ワイン   
生産者 Domaine Méo-Camuzet (Vosne-Romanée)
Vintage 2000
テーマ メオ・カミュゼの白
ワイン Bourgogne Hautes-Cotes de Nuits
Clos Saint Philibert (Monopole)
 
<オート・コート・ド・ニュイ>
 抜栓後すぐINAOグラスへ。やや温めの温度。緑含みの透明感のある金色。マロンフレーバー、バニラ、燻したナッツがもわっと漂い、若さを隠し切れない葉のニュアンスがあり、白い果物もわずかに感じられる。口に含めば、この温度ではややバラケたイメージがあるものの、ボリューム感のある充実した味わい。なかなか評判どおりの味わいである。

 しばらく空冷で温度調節。おっと俄然うまみが凝縮している。それはたとえば、「千と千尋の神隠し」で、主人公の千がハクにこの世のものを食べないと消えてしまうよといわれて、しぶしぶ何かを飲み込んでから、体が回復したように、このワインは冷やすことによって輪郭がはっきりしてきた。かなりのボディをもった力強い白ワインの正体が現れ始めたのだ。消えかかっていたグーがはっきりと現れ、それで殴られたら相当痛そうな気配である。目を閉じれば、赤ワインかと思わんばかりのタニックな味わいは、ずしりと重い味わいを奏でている。ゴワゴワになりやすいタンニンをやさしい酸が包み込み、冷たい温度のため、すいっと飲み込める。しかし飲み込んだ後に押し戻ってくるうまみ成分によって、口の中は唾で溢れかえらんばかりの状態。唾が口のあらゆる細胞からにじみ出てくる感覚は、このクラスを超えて驚きですらある。

 ごぼうと合わせてみた。ごぼうを食したことによって、口の中が土っぽいイメージに占領されたところへ、このワインを流し込む。それは、いろいろ書き込まれた黒板を黒板消しですくっと拭いたような印象に合致する。粉っぽい土っぽさが、ワインで拭かれたような、ワインがまだ届いていない部分はまだ黒板が汚れているそんな情景が頭をよぎる。ワイン自体に土のイメージがあり、ごぼうの土と共通しつつも、それを洗い流す作用が見受けられる。これはなかなか面白い。ごぼうとのマリアージュは俗に言う「1 + 1 = 3」の方程式に当てはまらず、「1 + 1 = 11´」。1と1をそのままくっつけて川下へ移動させたような回答になってしまったりする。結構好みだ。

 調子に乗って空冷を加速。あっと。今度は冷やしすぎて、やや平板な味わいになってしまっている。食事と合わせるならば、今の温度もOKだが、ワインの面白さを楽しむならば、わずかにひんやり感じる程度の温度を維持したい。冷やしすぎたので、手のひらでグラスを温めて、マロンフレーバーが復活するのを待ちわびたりする。

 
<クロ・サン・フィリベールとは>
 畑はヴォーヌ・ロマネ村から程近い丘にありメオ・カミュゼの単独所有である。畑こそオート・コート・ド・ニュイ地区にあるが、そこへはまさにロマネ・コンティから歩いていける距離なのだ。品種はピノブランとシャルドネ。ワイン自体に相当赤ワインのニュアンスが入り込んでいるので、レストランで一本だけワインを頼むときに重宝するだろう。冷やし目の温度で魚料理にあわせ、温度が上がったところで白身肉に合わせられるはずだ。赤身肉にも対応できる可能性もあり、俄然興味がわくところである。


<結論>
 このワインはうまい。某所に数本あるので今から買い占めに行こうと思う。


以上



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