A.F-グロ
試飲日 2002年12月26日
場 所    神奈川県某所
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC赤ワイン 
生産者 Domaine A.F- GROS (Pommard et Beaune)
Vintage 1999
テーマ 看板
ワイン RICHEBOURG Grand cru
 
<リッシュブール>
 
室温のまま抜栓後すぐINAOグラスへ。やや濃い目のルビー色は意外に薄い感じをもつ。ドメーヌで試飲したときほどには黒っぽくないからだが、これは照明の加減であろう。お香のような不思議系のアロマが立ちこめ、このアペラシオンの特徴であるお花畑のような華やかな香りが漂っているが、これまたドメーヌで試飲したときほどの強烈なインパクトはない。香りは沈みがちで、ややもすると、なくなりかけてしまうところが辛い。口に含めば、ほどほどの濃縮感とでもいうべきか、濃いところと薄いところがうまく混ざり合っていないような微妙な感覚がある。タンニンは滑らかで、丸みを帯びているが、アルコール感がそれらを上回り、エレガントな味わいというよりは強いリッシュブールのような印象を受ける。まだバランスが悪いといえば、それまでだが、うまみ成分に強烈なメッセージがないので、意外に期待はずれかもしれないと思うところが辛かったりする。


 しかし、時間とともに香りにボリューム感が出て、甘味が増してくる。この成長の過程もまたブルゴーニュの大いなる楽しみの一つだ。甘くなる香り。しかし口に含めばしっかりと辛口を維持し、きちりとした仕事を彷彿とさせる。このワインをおいしく楽しむためには、デカンタしてこのワインの目覚めを喚起させる必要があるのかもしれない。


 このリシュブールは難しい。評価的には「おいしい」の範疇に当然入るものの、強烈なうまみ成分がない分、怪しげでアンニュイなヴォーヌ・ロマネを理解する必要があるからだ。偉大と言われている1999年のイメージがさらに試飲直前の期待感を遠ざける。んんん。ヴォーヌ・ロマネは壺にはまると涙が出るが、微妙にずれただけでため息に変わるから不思議である。それにしても同じワインを8ヶ月前にAFグロの旦那であるフランソワ・パランと飲んだときほどの感激がないのはどうしてだろう。当時もボトルからだったので、輸送の問題かボトルコンディションか、真相は闇の中である。そして、もう手元にこのワインはないので、謎のまま年を越しそうである。次回もし出会えることがあるならば、そのときは半分をボトルから、もう半分をデカンタして味わいの差を楽しみたいと思っている。


 1年前のリシュブール

以上



目次へ    HOME

Copyright (C) 2002 Yuji Nishikata All Rights Reserved.