フィリップ・パカレ
試飲日 2004年03月29日
場 所    丸ビル某所
照 明 白熱灯?
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOCワイン
生産者 Philippe PACALET (Gevrey-Chambertin) 
Vintage 2002
テーマ 極上のひととき
ワイン Bourgone Aligote
Meursault
Pernand-Vergelesse
Chambollle-Musigny

<ブルゴーニュ・アリゴテ>

 抜栓後4-6時間経ってから細身のブルゴーニュ白用グラスへ。気持ち濁り系の美しい金色。香りは閉じている。口に含めば、アリゴテ特有のすっぱみはなく、まろやかでするりと入る口当たりに、パカレ節がいきなり絶好調である。気持ちハーブのような香りやクリーミーさも持ち合わせ、鋭くない心地よい酸味に食欲も旺盛になる。時間が経っても全くへこたれず、うまみでぐいぐい押してくる様は、アリゴテの新境地(というか昔の味わい)を知る思いである。余韻で攻めてこられると、ちょっと笑っちゃうのだ。食中酒としての役割をいかんなく発揮し、この疲れない味わいは、一度はまるとちょっと抜け出せそうになかったりする。ただ個性の強い特徴的なワインに飲みなれていると、この淡白ともいえる薄い味わいは理解しがたいかもしれない。飲み方を伝えるのに一苦労する可能性もあり、これはもう実際に一緒に飲むのが手っ取り早そうでもある。


<ムルソー>
 抜栓後4-6時間経ってから太目のブルゴーニュ赤用グラス(推定リーデル社)へ。気持ち濁り含みの美しい金色。こちらも香りは閉じていて、ムルソーらしい燻し香はなく、バター香が上品に香る程度だ。しかし口に含めば、シャルドネのポテンシャルの高さに圧倒される味わい。薄い味わいなのに、口の中で転がすうちに、ずしりとうまみを伴った重量感を感じ、積極的に癒されるという感じがたまらなく好印象だ。飲んでいて疲れず、しかもうまみがたっぷりのっていて、余韻の長さはぴか一だ。時間と共に香りはクリーミーさを表現し、それでいて意図的な化粧っぽさがないので、安心して身を委ねることが出来る。これはかなり高いレベルの幸せを実現しているかもしれない。圧倒的に感激である。グラスに僅かに残ったムルソーは、決してへこたれることなく、最後までそのすばらしい酒質を維持していて、一本筋の通った本道を行くムルソーであると認識するに余りあるすばらしさ。脱帽するとはこのことをいうのだろう。感激の一杯である。


<ペルナン・ヴェルジュレス>
 同じく抜栓後4-6時間経過後ブルゴーニュグラスへ(ムルソーと同型)。透明感がある優しいルビー色。テーブルクロスに落ちる雫は、美しく揺れていて、それは幸せな色彩である。香りは開いていて、野地栽培のイチゴやフランボワーズなどの赤系果実が溢れ出し、除梗をしていない影響からか、茎っぽいニュアンスも感じられ、パカレ節絶好調である。時間と共にカカオチックなニュアンスも覗かせるので、ここはあわてずじっくり堪能したいところである。口に含めば、滑らかでするりと入る優しい口当たり。丸いタンニンと心地よい酸味と決して薄くないボディ感のバランスがすばらしく、2002年のパカレをして、ペルナン・ヴェルジュレス史上最高の味わい(自分調べ)を醸しだしている。うまい。一見低く見られがちなこのアペラシオンのポテンシャルを再確認でき、ちょっと幸せである。推定ながら有機栽培系のこだわりトマトをガブリと頬張って、このペルナン・ヴェルジュレスを飲み込めば、グググとくる共通感に幸せな食卓が期待できそうである。

 全体的に基調は薄いパカレ節であり、濃くって強いワインが好きな方には、あっけなさも感じられるかとも思う。またセラーから出していきなりグラスに注いでも、そのすばらしさを開花させることも難しそうで、ソムリエやホームパーティでのホスト役の腕の見せ所的なワインである。いずれにしてもパカレ節マイ・ブームは一山超えて、定番の味わいになった感もあり、お勧めの逸品だったりする。


<シャンボール・ミュジニ>
 今宵のメインワインは、同じく抜栓後4-6時間経過後ブルゴーニュグラスへ(ムルソーと同型)。やや濃い目ながらそれでも美しいルビー色。香りは閉じているが、そのスケール感はさすがコート・ド・ニュイの村名畑である。ずしりと重さを伴った香り立ちなのである。口に含めば、しっかり感が印象的で、丸みを帯びながらもしっかりと下支えするタンニンと程よい酸味、溢れんばかりの果実味とうまみ成分がたいそう心地よい。ただペルナン・ペルジュレスがあまりにもよかったために、天下のシャンボール・ミュジニが気持ち霞みがちなのが一興である。しかし、なんだかんだ言っても余韻が長い極うま系ワインには違いなく、積極的に癒される味わいに目頭もほっと熱くなったりする。


<まとめ>
 パカレ恐るべし。そして結構たくさん飲んだのにも関わらず、自然派ゆえに二日酔いとは無縁のようで、今朝も、はよから絶好調モードにちょっと驚きも隠せなかったりする。今宵のすばらしい出会いに関係各位に改めて、感謝である。

 そしてパカレ最新情報は別の機会に・・・。
 

以上

 


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