エジェラン・ジャイエ
試飲日 2004年05月08日
場 所    白金某所
照 明 シャンデリア
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC赤ワイン
生産者 HAEGELEN JAYER (Vosne-Romanee)
Vintage 1980
テーマ クロ・ド・ヴージョの熟成
ワイン CLOS DE VOUGEOT Grand cru

<特級クロ・ド・ヴージョ>

 セラーから出してもらい抜栓後すぐパニエに移し、リーデル社ブルゴーニュグラスへ。深みのある熟成感を伴った極上の色合いはたいそう美しく、黒みがかったガーネット色に輝いている。香りは黒系の果実香をたっぷりと残しながら、一瞬チョコレートチックな香りも出してくる。しばらくすると香りはするりと引っ込んで、むむむ。やはり24年の歳月は厳しいかと思いつつ、口に含む。味わい自体にはさほどパワーはなく、酸味が少し強調されつつ、まだ深い眠りから覚めやらぬ趣である。ここは少し待つべしだろう。

 すると・・・。おおお。時間と共に艶やかな容姿が浮かび上がってきて、とても官能的な味わいが飲み手の心を揺さぶってくるではないか。土をイメージする力強さは、さすが特級クロ・ド・ヴージョであり、エレガントで奥ゆかしい味わいに、乾いた涙も再び・・・である。いわゆる熟成したピノ・ノワールの典型である、なめし皮と梅鰹風味が心地よく、ビロードのような滑らかさと、舌の両脇をくすぐってくる酸味に、感もきわまるというもの。

 決してグレートとは言いがたいビンテージではあるが、完璧な熟成を遂げた特級クロ・ド・ヴージョは、今宵の中国料理との相性も完璧で、飲んだ分だけなくなってしまう切なさと、四半世紀も前の1980年に降った雨の味わいを偲びながら、穏やかながら衝撃的な夜は更けていくのであった。また直前に楽しんだコルトンとクロ・ド・ヴージョの違いも興味がわきつつ、この違いを言葉で表す難しさと野暮さを実感するところである。

 今宵の出会いに感謝感激である。


以上
 


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