エマニュエル・ルジェ
試飲日 2005年03月25日
場 所    神奈川県某所
照 明 白熱灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC赤ワイン
生産者 Emmanuel ROUGET (Flagey-Echezeaux)  
Vintage 2002
テーマ ルジェの2002年
ワイン Vosne-Romanee 1er cru Cros Parantoux
ECHEZEAUX Grand cru
Vosne-Romanee
Savigny-Les-Beaune
Bourgogne
Bourgogne-Passetoutgrains

<ルジェの2002年水平>
 
今回は、某所にてエマニュエル・ルジェの2002年水平テイスティングが行われ、特別な立場にて参加する機会に恵まれた。この場を借りて感謝すると共に、感想などをひとつふたつ。

 (私だけの)試飲は、抜栓後すぐにINAOグラスを用い、リストの下から順にオープンで行った。全体的にエッジにムラサキを配しないきれいなルビーで、個人的にも好みの色合いである。そして、まず喜ぶべきは、パストゥグランの美味しさだろう。赤系果実の優しい味わいは、日常的なワインにしてはかなり高品質兼高価格で落しどころが難しいワインではあるものの、とてもチャーミングでハッピーになれる。ミネラル感もあり、薄い色合いに反してうまみが乗っていて、ちよっと買占め欲求も生まれるというものだ。

 ブルゴーニュは一気にピノ・ノワールの魅力に包まれていて、赤系果実ながら黒系果実もかなりのウエイトを占めていて、酒質のすばらしさに驚きを隠さないでいた。気持ち甘いテーストで、乳酸系のニュアンスが気になるところだが、後に飲むことになる他のアペラシオンの要素をいくつか兼ね備えていて、余韻も長い。目を閉じて飲めば、村名クラスに匹敵するものと思われるので、上のクラスを無理して買うよりは、ブルゴーニュを数本買ったほうが、いろんな意味でお得感があるかもしれない。

 続いてサビニー・レ・ボーヌは、この村の特徴を素直に現しており、酸味の効いた赤系果実の軽やかな味わいが好印象だ。この酸っぱすぎない酸味が、丸みを帯びたタンニンと絶妙に絡み合い、和食に通じるお出汁の味わいにも似て、美味なのである。サビニー・レ・ボーヌが美味しく飲めると、何でこんなに幸せになれるのだろう。

 ヴォーヌ・ロマネは、サビニーとの間に深くて長い川の存在を知らしめるほどのインパクト。この村にして黒系果実の装いが強く、スパイシーさと共にスミレや甘草系の甘みのあるニュアンスが面白い。グリップ感もあり、幾分バニラ系の樽香が気にかかるものの、華やかさをもつ美しいワインである。一万円かあと呟けば、やむを得ないかもと誰かが答えてしまいそうな味わいである。

 そしてメインのひとつ特級エシェゾーは、ハイインパクトな、まさしく特級の存在感を示す味わいで、黒系果実にアジアンスパイス、スミレ、湿り気のある土、バニラが複雑に、しかもバランスよく織りなしていて、口に含めば、美しいミネラルとたっぷりのうまみ成分と、長い余韻に身を当分の間、委ねたくなる。しかし余韻が長く、うまいと言わずにはいられないワインかもしれない。

 最後に看板クロパラントーを。このクラスになるとエシェゾーが良いか、このクロパラントーが良いかは、まさに好みの範疇。妖艶さと奥行き感でエシェゾーを圧倒しつつ、一方でポテンシャルの面からすれば、エシェゾーと言えなくもない味わいだ。うまみ成分をタンと楽しみつつ、どちらが好みの味わいか、今度はこの二本はブラインドで検証してみるのも悪くない作業だろう。味わい的には球体に近いものを感じさせ、すでにうまみのピークに登りつめているような印象も持ったりする。


 今回は、私だけ試飲だったためご一緒させていただいた方々の感想を待ちたかったりするが、(リーデル・ヴィノム・ブルゴーニュを使用)、個人的には、ルジェの2002年は出会ったときが飲み頃を信条とするものにとって最適なビンテージになっていると思ったりする。リリース直後とは思えない「まろやかさ」がワインを包んでいるためだ。(ヴェグエのあの堅さとは対照的過ぎるかも・・・)。ワインはあふれんばかりの果実味というよりは、すでに熟成を意識させる味わいになっており、これは2003年の酷暑がルジェの熟成庫までその影響を及ばせ、熟成を早めさせているのではなかろうかと推測できたりする。

 果たしてルジェの2002年は長期に熟成するのかしないのか、見守りたいとは思いつつ、この高値を思うとき、ブルゴーニュで、でしか検証できない現実に直面し、そういえばブルゴーニュワインでさえ確保できていない状況は、どうしたもんかと嘆いたりする。

 いずれにしても2002年のルジェは、今飲んで、とてもうまい。


以上

 


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