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ドロソフィルム

 ドロソフィルムはルシタニカムが1属1種として、ポルトガルやスペインの比較的乾燥した地域に自生しています。
 粘着により捕中します。粘液は食虫植物の中で最も粘度が強く、粘液から逃れた大型のハエが温室のガラスに止まったところから動けなくなり、足を貼り付けたまま死んでいるのを見たことがあります。それほど強力な粘液が豊富に出ていますので、粘液をいっぱいにつけた放射状の線形の葉が朝日に輝く姿は絶景です。
 花は5月の連休の頃に、直径2センチほどの鮮黄色の花をつけます。自家受粉により勝手に種子ができますが、できれば他の株の花と人工的に交雑を助けてやります。ほぼ1ヶ月で種子が熟し、巨大なごまのような種子がたくさん採れます。1株から50〜60粒は採れます。
 種子の発芽率が低いという定評があり、やすりで傷をつける方法や先をつめきりで切ってキャップのようにはずす、ジベレリン処理を行う、などいくつかの手法が紹介されてきましたが、新しい種子であれば何の処理も必要とせず、発芽率は90%以上であることを確認しました。
 花が咲いた後に、親株は脇から芽を出して分枝するので、海外では盆栽のように仕立てる人もいるようですが、明らかに樹勢(?)が衰えていますので、種子で更新するほうが良いでしょう。


放射状に多数の葉を出します。
この株は実生2年目でまだ葉の数が少なく、日光不足で葉が直線的に伸びていません。

強い直射日光に当たりながら雨がかからず、しかも適度な通風が必要ですが、家庭での栽培環境ではなかなか理想的な場所がありません。
従って、雨が降りかからないことを優先して、日照時間は犠牲になっています。

通常の食虫植物と異なり、腰水をせず、用土を乾燥気味にして育てます。
自生地はほとんど雨が降らない乾燥した気候なので、地下の水脈に向けて根が長く伸びます。また、霧が発生するのでそれも水分補給になるようです。
 従って栽培の考え方としては、根が下に伸びるように鉢は縦長の鉢、用土は水はけのよいものを使用します。山野草の土にピートモスを10%混ぜたようなものが最適です。
真夏でも直射日光下に置きますが、その場合は用土が完全に乾いてしまう前に水をやります。

成長している株の中心部。

次々と巻き巻きの葉を繰り出してくるところに生命力のたくましさを感じます。

次第に下葉が枯れ、木質化した茎となって徒長し、地面に横たわるようになります。
風で株がグラグラしないようならそれでOKですが、動いていると根を傷めて弱ってきますので、荒めの軽石などで緑の葉のある下まで埋めて固定してやります。
そのために、ウォーター・スペースを作る要領で、最初の鉢の用土は鉢の縁よりも2センチくらい下に来るように調整します。

表面が乾いても地下水脈から水を吸い上げる自生地と、鉢の上から水をやる栽培環境とでは条件がかけ離れていますので、栽培下では根はあまり長くなりませんが、それでも支障なく元気に成長します。

巻き巻きのアップ。

イトバモウセンゴケは巻いている部分が株の中心を向いていますが、ドロソフィルムは外に向いています。
日照の向きが傾いているので右に展開するように見えますが、この葉は今後左に伸びていくのです。

伸び伸びの葉のアップ。

粘液は全ての腺毛に均等に付いているのではなく、葉の下側の腺毛により多く付きます。
そのため、葉から粘液が鈴なりについているように見えます。

あまりに大量の粘液なので、重量で繊毛の中心と粘液の球体がずれているので、粘液が宙に浮いているような不思議な感覚に捉われます。

花茎のアップ。花茎も腺毛で完全武装。

手前の花弁の先が平らなものは、実は咲き終わったもの。

向こうに見える先の尖ったものが翌日に咲く蕾です。

4月上旬で、朝の6時半でもう開いていました。

鮮やかな黄色は癒しの色です。

花の大きさは100円玉くらいです。

直射日光に当たると、もっと平開します。


   
種子のカプセルが茶色くなってカラカラに乾いてきたら種を取り出します。もう少しするとカプセルの先が開きますのでそれからでも遅くはないですが、初夏の直射日光をまともに受けていますので、種子の発芽率が下がるのではないかと恐れて、早めに収穫します。
苗床と発芽している様子です。1ますに1つずつ40粒播いて、約2ヵ月で38粒発芽しました。
播床は細粒(粒は種子と同じ大きさくらいで揃っているもの)の鹿沼土単用です。通気性と保水性が保たれるので、これが一番成績が良いようです。鹿沼土にもグレードがありますから、良質のものを使ってください。
写真ではわかりにくいですが、実はトレーは2重になっていて、上のトレーはひとつずつ切り離してありますので、すっぽりと引き抜くことができます。トレーはひとますごとに底に大きな穴が開いていますので、根が下から出てくるのを確認して上のトレーごと鉢に埋め込みます。根を傷めないための工夫です。
発芽したところの拡大です。V字型に万歳したような芽が出てきます。既に粘液がたっぷりとついていて捕虫します。

 


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