H18.11.25

平成18年度鳥取県高等学校野球連盟指導者講習会講話

高校野球監督として何をなすべきか?

 

米子松蔭高校野球部監督

朝 西 知 徳

 

 

1.目標の変化【見える部分】

●教員になりたい

24歳/H2.4 教諭に

●高校野球を指導したい

25歳/H3.4 部長に

●監督をしたい

26歳/H4.4 監督に

●もう少し野球の勉強がしたい ●大学の教員になりたい

29歳/H7.4〜H9.3 大学院に

●もういちど高校野球を指導したい

31歳/H9.4 本校の教諭・コーチに、H9.8 監督に

●甲子園に行きたい

34歳/H12.8 夏の甲子園大会に

●野球理論を伝えたい

39歳/H17.4 大学の非常勤講師(兼務)に

●もういちど甲子園に行きたい

41歳/H18.11 監督10年目に(目標は未だ達成されず)

●後継者をつくりたい(伝統をつくるために、学校への恩返し)

さあ、これからどうしよう?

 

2.高校野球監督としての心の変化【見えない部分】

●野球が好きだから

○ユニフォームを着るのが楽しい

 ○ノックをするのが楽しい

●名誉のため

○自分が有名になりたい

○野球を強くして、よい学校にしたい

●甲子園を目標にすえた人間教育

○実際の甲子園を見て…人生観は変わらない

○甲子園球児の実態…鳥取球児の方がモラルは上

●教育者として純粋に指導

○同業者の死について問うと「甲子園ばかりを目標にしているからじゃないですか」という回答【甲子園ばかり見ているから苦しくなる】

20年間も監督を続けられる秘訣について問うと「選手がよければ甲子園に行けるんです」という回答【主役は選手、監督は脇役】

●野球を通じた公平な社会づくり

○もっと広い考えで【甲子園ばかりを見ていた己の卑しさ】

○久しぶりに担任をもち人権教育の授業をもつ

○小学校のPTA活動で人権教育推進部に入る

  ○じつは、はじまりから

高校野球における人権問題について考えてみたい!

 

3.高校野球おける人権問題

 ■衝撃的な出来事@

本校の監督に就任して間もないころの、9年前の出来事だった。「なんか変じゃないか、腹は立たないか」。本校の選手に聞くと、「いつものことです」「扱いがちがうんです」。怒りではなく、諦念の表情だった。「私立高校は、鳥取県ではこういう扱いを受けるのか」。高校野球が教育の一環だというならば、こんな不公平なことは絶対にあってはならない。反骨心がメラメラと燃え出した。たとえヒールになろうとも、選手のためには、間違っていることは間違っていると、叫ぶことに決めた。

■正義をふりかざすことの弊害

 「正しいことを言うときは 少しひかえめにする方がいい/正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと/気付いているほうがいい」。吉野弘の「祝婚歌」という詩の一部である。

■沈黙をすることの勇気

 正義を叫べば叫ぶほど、しだいに「おとなしくしてろ」「空気をよめ」という無言の圧力が加わるのが世の常なのである。

 ●甲子園が決まったあとの信じられない出来事

  ○いやがらせの電話・手紙・雑誌への投稿(アメリカ国歌)

  ○言いがかり(コンビニ、駅)

■衝撃的な出来事A

「なんで、おれたちだけ〜」「またかよ〜」。選手がつぶやくのを聞き逃さなかった。ここで叫ばなければ、監督である資格はないと思った。選手のために、私は叫んだ。

●私立高校の監督として

○私立高校としての特色ある野球・活動

○野球を通じた公平な社会づくりを実践

官尊民卑という偏見は 情報量の不足からきている つまり他人の目は当てにならないということ 周りを動かすことはない 選手のために正しいことをする 私立高校の監督として ほかの誰にもできないことを選手にしてあげる それだけでいいのだという決意!

 

4.特色ある活動(キーワード:継続)

 ●チームとして

  ○北海道遠征の実施(夏休み7泊8日/4年連続)【添付資料】

○なかうみマラソン全国大会(11月/昨年から)

○米子−鳥取駅伝の出場(11月/8年連続)

  ○米子郵便局でのアルバイト(冬休み/9年連続)

  ○出雲ドームくにびきマラソン(2月/8年連続)

  ○他部の応援(女子バレー/8年連続、サッカー/昨年、陸上競技/全国高校駅伝出場時)

  ○夏休みの3年生の遠足(ユニバーサルスタジオなど)

感動体験をつくる!

●監督として

○野球部通信の作成(試合経過、チーム成績、個人成績)

○野球部ホームページの作成・管理(H16.6〜)

○卒業記念誌「光と影」の作製(3月/今年度に第10号)

  ○随筆の投稿(2月/6年連続/卒業生へ/日本海新聞)

○卒部式の運営(スライドの制作)

青春の思い出を贈る!

 ●個人として

○本の出版(H14.12単著、H16.7共著、H17.11共著)

  ○野球小説(ノンフィクション作品3点)をコンテストへ応募

  ○レポートの投稿(年1回ペース/Baseball Clinicに計11回)

  ○学会への入会(日本体育学会、日本スポーツ心理学会)【添付資料】

  ○大学での講義(H17.4〜/スポーツ心理学/福山大学)【添付資料】

  ○学会発表(H17.11/日本体育学会/筑波大学)

勉強する姿勢を選手に見せる 勉強したことは選手へ伝える!

 

5.結論

●自分をさらけだす

○よいところも、わるいところも

○叱るだけでなく、ときには唾をとばしながら全身で怒る

 ●真摯な姿勢を伝える

  ○真剣に向き合う

  ○生き方のモデルとなる

高校野球監督の仕事は 自らをさらけ出し 己の生きざまを選手に伝えること 他人は関係ない 懸命に生きるという真摯な姿勢を選手に見せる それだけで十分である!

とじる