| 相続分の譲渡 |
神戸の行政書士 すがぬま法務事務所
|
遺産分割は、通常、相続人間で合意が成立す
るまで時間がかかります。相続人の中には、早く
相続財産を手にしたいとか、あるいは、遺産争い
に巻き込まれたくないと思う人がいます。
このような場合に、自分の相続分を遺産分割の
前に、他の相続人又は第三者に譲渡することが
できます。これを相続分の譲渡 といいます。
|
|
 |
|
ここでいう 相続分 とは、相続人が遺産全体(積極財産と消極財産を含む)の上に持っている
分数的割合を意味し、個々の財産の共有持分ではありません。つまり、相続人の地位そのもの
ということができます。
相続分を譲渡した者は相続人としての地位を失いますが、債務については、債権者との関係では、
譲渡後も譲渡人は譲受人と並んで連帯して責任を負うとする見解があります。また、相続分の一部
の譲渡が可能かどうかについては、否定する見解もありますが、これを肯定するのが通説であるとさ
れています。
相続分の譲渡は、相続人以外の第三者に対してもすることができます。この場合には、譲渡
を受けた第三者が遺産分割協議に参加することになり複雑な関係が生じるになります。したが
って、一般には相続人間の遺産分割の一つの方法として利用されているようです。
なお、第三者が、相続人から相続分の譲渡を受けて遺産を現実に取得する場合において、
不動産の移転登記は可能ですが、譲受人からの預貯金の払戻しについては金融機関は認めて
いなのが実情です。
■ 相続分の譲渡は、遺産分割の前に行なわなければなりません。
■ 相続分の譲渡に際して他の共同相続人の同意は必要ありません。
■ 譲渡の相手方は、他の共同相続人でも、共同相続人以外の第三者でもかまいません。
■ 譲渡は有償・無償を問いません。
■ 譲渡は口頭でも書面でもかまいませんが、後日の紛争を避けるために、また相続登記な
どに必要ですから書面にしておくのが一般的です。 相続分譲渡証書の見本
■ 相続分譲渡の通知を、共同相続人全員にします。この通知は、配達証明付き内容証明
郵便でしておきます。
相続分譲渡通知書の見本
相続分が共同相続人以外の第三者に譲渡されると、分割協議に第三者が入ってくることに
なり、分割協議がうまく進まないことが多くなります。そこで民法は、相続分が第三者に譲渡
された場合、他の共同相続人はその相続分を取り戻すことができることにしています。これを
相続分の取戻し といいます。
取戻権は、共同相続人全員で行使する必要はなく一人でも行使できますが、行使した相続
人に相続分が帰属するのではなく、取り戻された相続分は共同相続人全員に帰属するものと
されています。また、取り戻しに要した価額や費用も、共同相続人が相続分に応じて負担する
ことになります。
取戻権を行使するには次の要件を充たさなければなりません。
相続人以外の第三者に、相続分が譲渡された場合であること。
他の相続人に譲渡された場合は取戻権は行使できません。
譲受人に対し相続分の価額および譲渡に要した費用を支払うこと。
この取戻しの価格は、相続分を第三者に譲渡したときの価格ではなく、取戻権行使時
の時価によります。たとえ無償に近い金額で譲渡されていたとしても、取戻時の時価を支
払わなければなりません。
譲渡されたときから 1ヶ月以内 に行使すること。
なお、この相続分取戻権は、相続人から相続分の譲受人に取戻権を行使する旨の通知
をするだけでよく、譲受人の承諾は必要ありません。ただそのためには、相続分
の価額と費用を現実に提供しなければならないとされています。
このページの先頭に戻.る.
ご相談はこちらへ
|