<対策事例>
売主は、たとえ素人であったとしても、買主に対しては、「契約上の付随義務」として、契約前に重要な事項を説明する義務があります。(H9.1.28東京地裁裁判決・裁判長 塚原朋一)
そのために、「売主の情報開示書」と言われるものを、契約前に必ず、買主は取得しましょう。
素人である売主は、それでは難しくて大変だから、資格のある宅建業者に手数料を支払って調査説明を補助してもらっています。
しかし、知っているのに、契約したいから、売主が買主に重要なことを知らせなかった場合は、「不法行為責任」とされます。
この場合、売主は、引渡し後10年を過ぎても免責とならずに、20年間買主に責任を負うこととなります。
<裁判事例>
築後28年の中古住宅の売却で、8年前の火災ボヤの際、消防自動車が来ただけで、売主自身で消火した。台所はきれいに内装工事をしてきれいになったので、契約時には不動産仲介業者に質問されたが問題ないと考え、説明しなかった。
判決は、「古い建物とはいえ、グルニエ、大型車庫付き住宅という宣伝文句で買主が購入したのだから、少なくとも建物に価値があるので、その分は買主の損害にあたる。過去のボヤの事実も瑕疵にあたる。よって、60万円を売主は買主に支払え」と。
売主が知っていて告げない事項は「隠れた瑕疵」ではなく、「不法行為責任」です。したがって、20年間責任を負うことになります。
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