日本の伝統習俗に関わる植物
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 日本列島はどこでも降水量に恵まれるため、鬱蒼とした森林が発達する植生域にあり、狭い国土の割には生物多様性は豊かである。沖縄には熱帯を思わせるようなマングローブ林があり、北の北海道にはシベリアのような針葉樹林帯がある。また、本州中央部には万年雪を抱く3000メートルを越す高山もある。海をみれば、南の沖縄近海には熱帯の海と遜色のない見事なサンゴ礁が発達し、北の世界自然遺産でる知床の海には流氷の凍てつく海が広がる。日本人はあまり意識することはないかもしれないが、こんな両極端の自然環境が共存する国は日本のほかアメリカぐらいしかないそうだ。それは自然環境が豊かで多様であることの裏返しであり、このような恵まれた自然環境の中で、日本人は古代から多くの植物を認識し(→万葉の花とその名前について)、中には独特の伝統習俗に用いてきたものがある。ここでは、日本の伝統習俗に深く関わってきた民族植物学的観点からも興味のある植物について簡単に説明する。いずれの習俗も中国に起源を発するもので、漢籍の引用による詳細な考証ならびに和籍古典における出現は、拙著「万葉植物文化誌」で詳しく解説されているので、是非参照されたい。

 

現在名:オケラ Atractylodes japonica (キク科 Asteraceae)
古名:をけら(乎芥良)、うけら(宇家良)
用途:ビャクジュツ(白朮)と称し漢方処方に配合する
   邪気を払うためオケラ焚きに用いる

  →おけら焚きとお屠蘇について

 
 

現在名:セリ Oenanthe javanica (セリ科 Apiaceae)
古名:せり(芹子、世理)
用途:蔬菜とする
   ごく稀に薬用とする

 →春の七草と七草粥について

 

現在名:ツバキ Camellia japonica (ツバキ科 Camelliaceae)
古名:つばき(都婆伎、都婆吉、海石榴、椿)
用途:観賞用に栽培する
   種子よりツバキ油をとる
   神事(卯杖など)に用いる

 →神木ツバキとその語源について