科学講演会 & サイエンスカフェ 








  2012年 3月3日(土) 理研横浜 サイエンスカフェ 2012



            細胞が運命を決めるとき

 谷内一郎先生   理研 免役・アレルギー科学総合研究センター
            免役転写制御研究グループ・グループディレクター



                      県立川崎図書館
   
 感覚器からの反応は脳に伝えられます。  免役はからだを守ります。
   
 自然免役の仕組み  獲得免役は自分と他人を見分けられます。
   
 リンパ球は抗原を感知します。  異物を区別できる細胞を選択します。
   
 胸腺細胞はヘルパーかキラーになります。  遺伝子発現を調節するのは転写因子













 2012年 3月4日(日) 理研横浜 サイエンスカフェ 2012


    ゲノムってどうやって調べるの?どう役に立つの?

  
 カルニンチ ピエロ 先生    理研オミックス基盤研究領域
                      ゲノム機能研究チーム リーダー



                
  横浜市 中央図書館





   
 あと数年で2〜3万円でできます。  プロモーターがついて転写が始まります。
   
 RNAをコピーしてマッピングします。  異常のある部分を見つけます。
   
 質疑応答の時間です。  わかりやすい説明です。




















  2012年 1月21日(土)  緑区エコ講座



        ツバル・南極からみる地球温暖化


              にいはる里山交流センター




                                             

写真家 水本俊也(しゅんや)氏が、海面上昇の危機にあるとされる南太平洋の島
「ツバル」、氷の大陸「南極」を旅し、見てきたこと、感じたことなどを現地で撮影した
写真とともに紹介しながら、参加者と一緒に地球規模で進む温暖化の”今”につい
て考えていきました。
 


              写真家 水本俊也氏  プロフィール

         1972年生まれ  鳥取県出身  横浜市在住
 

学生時代にヨット部に在籍、海をこよなく愛す。客船写真師を経てクルーズを中心とした
船旅カメラマンとなる。新聞、雑誌などで作品を発表する傍ら、客船会社のポスター、カ
レンダーなども手がける。

ここ数年で4度訪れた青と白の世界・南極に魅了され、様々な媒体で作品を発表。同時
に、地球温暖化などの環境問題にも写真活動を通じて積極的に取り組んでいる。



 PART 1  ツバル

     
十日市場にいはる里山センター内の旧民家の和室で講座が始まりました。ツバルには10年前、車は4台しかなかったそうです。今は数百台あるということですが・・人口は約1万人でポリネシア系の文化圏に属しています。現在、週2便の飛行機がフィジーより運航されています。




     
面積は26kmで、9つの島々からなり、そのうちの8つの島に人が住んでいます。首都はフナフチ島です。ツバルを東京湾の位置に持ってくると上の方にすっぽり入ってしまいます。海抜の平均は1.5m、最も高いところで4.5mです。また国の幅は一番広い場所で700m、狭いところは1.5mしかありません。そのツバルへ水本さんは車2台分の広さのヨットで向かいました。




     
 自給自足の生活が中心になっています。海の幸に恵まれ魚介類が食生活のもとです。





     
海水の浸食により海岸が削られ、樹木が倒れそうになっています。中央の写真は年に2回おとずれる大潮によりサンゴ層からなる中央の地面から海水がしみ出してきた時のものです。右の写真は大量のゴミが捨てられている海岸です。おもなゴミは最近増えてきた輸入品です。








                                  

あと何年後に水没するかいうことの確認は出来ていないそうですがその危機にあるというのは事実です。










 PART 2  南極

     
水本さんが上陸された部分はアルゼンチンに近い南極半島というところです。大きな船による観測ツアーだと上陸期間が短く、南極に行かれる場合は小さな船の方が滞在期間が長いのでこちらの方がお勧めだそうです。

南極の夏は
12月〜3月で、また平均気温はマイナス3度℃から4℃くらいで極寒という感じはないそうです。水本さんの体験から比べると日本の冬山の方が格段に寒いという感想を述べられていました。





   
南極に生息する生物です。ペンギンの種類はヒゲ・アデリー・ジェンツーなど17〜18種類もあるそうで、ちなみにロッテのクールミントガムのペンギンはアデリーだそうです。






                                    

南極半島は50年間(半世紀)で平均気温が3℃上昇しました。徐々にですが気温は確実に上がっているのです。もし南極の氷の平均の厚さは2000mで最も厚いところは8000mと言われています。南極の広大な氷がすべて溶けると海面は60m上昇する計算になります。

温暖化の影響で、最近の南極では子ペンギンの凍死が目立つようになってきました。温暖化でなぜ凍死するのかというと、今まで雪が降っていたのが気温の上昇で雨に変わり、撥水(はっすい)ができない子ペンギンは雨にぬれたまま気温が下がった時に凍ってしまうのだそうです。かわいそうな話です。

今現在、南極の氷だけでなくヨーロッパのアルプスの氷河もこの数十年間でかなりの量がとけているという事実があります。これも温暖化による現象なのでしょうか。将来の海面上昇にどう影響してくるのか、検証されているところです。




















 2010年 11月30日




 横浜市 生物多様性 事例発表会







横浜市開港記念会館で「横浜市・生物多様性・事例発表会」がありました。市の環境創造局の方々が生物多様性について、野鳥・河川・農業・森の管理という多方面からの関連性をスライドを使って詳しく説明されました。


そして休憩をはさんで特別講演として Ann McDonald (プログラムには「あん・まくどなるど氏とひらがなで書いてありました)さんが、「里山・里海の可能性について」という題目で人と自然との共存という課題についてお話しされました。

国内・国外の農・山・漁村を体験取材してきた様子をスライドを使いながら、また活動の場とされている、石川県・金沢での研究の内容を説明されました。
(国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長)


講演はいきなり英語で始まり、 ”I love Yokohama , I love food,music,ocean and port is very wonderful. So I came here・・・ 前に座っている年配の方々が「こんなはずでは・・」とぽかーんとしていると、「やっぱり、日本語で話します、郷に入れば郷に従えですから・・」とそれからは流暢な日本語になりました。


   

   
                      

 講演内容です

 平成22年11月30日(火)  横浜市 生物多様性 事例発表会

横浜開港記念会館 ホール


       

          
特別講演  「里山・里海の可能性について」


    国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長 
 
                     
Ann McDonald
   

                      




私はカナダ出身です。1991年、ブリティッシュ・コロンビア大学、アメリカ・カナダ連合大学で、
日本語を勉強しながら出版社で仕事をしていました。

そして、海と陸のボーダーに住んでいる人の生活を取材しようと思い、
「ダイハツミゼット」を購入
し、車で寝泊まりできるように改造しました。経済的にそれほどの予算がありませんでしたので、
ボーダーで生活している方々の1日のサイクルを細く長く取材するための方法でした。

                      



日本列島はとてもおもしろい国です。流氷が流れてくる北海道の極寒から、亜熱帯の動・植物が
生息している沖縄まで多様性に富んだ国で、
生物多様性を学ぶのに適しています。

                      



2007年11月から、さまざまな気候変動の中で食料生産に従事している方たちの取材を通して
「陸と海をセットにして考える」というコンセプトのもとに日本列島を駆け巡っています。

                      


国連大学では、環境問題を考える時、地球的規模からだけでなく
ローカルからも探る必要がある
と考えています。そして2008年4月、石川県金沢市に日本初のオペレイティングを開始しました


横浜国立大学とも連携し、地域的にはローカルからローカルへ、またローカルからグローバルへ
と行動範囲を広げながら共同活動も行っています。




里山とは昔、森林のような手つかずの自然を人が利用しやすい形に変えていった自然のことを
いいます。そこでは木の実や山菜やキノコを採ったり、燃料や肥料に使える薪や落ち葉を集め、
お風呂を沸かしたり、ご飯を炊いたりするのに使っていました。

また、子ども達の遊び場になったり、地域の人たちの憩いの場としても利用され、生活を楽しむ
場所として利用されています。

しかし、今、日本ではその里山が減少しつつあります。私が日本で最初に勉強したのは
口述歴
史学
で、明治から1990年代の間に人々の暮らしがどう変わっていったのかを、長野県の黒姫
町でお年寄りに聞いていきました。自然と共に暮らしてきた明治生まれの方達の貴重な経験は
とても参考になりましたが、その知識が伝承されずに消えていってしまうことがとても心配です。

私は
持続型社会を形成するためには、過去と現代を結びつけ、古いものを生かし、現在のもの
と融合させていくことが重要であると考えています。




                 
                             
   YAHOO 地図から

                        

この写真は能登半島の石川県輪島市町野町にある金蔵(かなくら)という里山です。
※ 日本の里・百選に選ばれています。     にほんの里100選  
                        


現在は
高齢化・過疎化が進み、森林の利用が徐々に縮小されています。このままでは、この地
域に住んでいる日本人だけでは里山としての持続は不可能です。そこで私は第1次産業に従事
していただくために、外国人の方にも参加してほしいということを提案します。地球市民として・・








                     

これは、
焼き畑です。現在は山形・石川・宮崎でのみ行われています。私は焼き畑農法は日本の
農業の原点ではないかと思っています。
agro-forestry(農林業)の一体化という意味で私は残す
べき農法であり、保全して行くための運動が必要ではないかと考えています。




先日、韓国でラムサール条約の会議がありましたが、そこでNPO法人を初めとしてさまざまな組
織が日韓同士で水田決議書を作り、これが国連で採択されました。主な項目は、「人間以外の生
物の生活の場でもある
冬水田んぼregeneration(再生)して行こうというものです。私はこの日本
と韓国のコラボレーションに感動しました。


  冬水田んぼ

冬水田んぼとは、寒い冬の間も田んぼに水をはり、4000種類以上の生きものが住んでいるそれ
らの循環で稲を育てていくことです。耕すこともなく、自然の肥料だけで化学肥料は使いません。
環境型社会に適した農法です。








                 
次は、里海についてのお話です。

私は環境にやさしい海岸作りを目指して、海洋における生物対象指標を決め、また一般市民・行
政とも協力し、
生物多様性条約機構の事務所においてレポートの作成をしています。


現在の沿岸地域は陸上の人間活動が大きく影響しています。私たちは海に何を流しているのでし
ょうか?多かれ少なかれ、雨に流された農薬・肥料が海に流れ込んでいると考えられます。昔は、
海と陸はリンクして生活していました。今こそ、
paradigm shift(パラダイム・シフト 対応策の転換
が求められています。




また、一方では里海を持続するためには、ある程度の科学技術が導入されることも必要です。




             
 ここで、おもしろいお話を一つ紹介します。


能登半島の輪島から北へ50kmほど行ったところに、
舳倉(へぐら)島という小さな島があります。
車は警察署と医者しか持っていません。自動販売機は島全体で1台のみです。

ここでは、昔から
海女さんによる漁が行われています。生活していくための大切な仕事です。
そして、漁獲量を増やすために
水中眼鏡の導入を相談しました。ほんの少し購入し、交替で使い
ました。よく見えて漁が楽になりました。

次に
ウェットスーツの使用を考えました。しかしこれもほんのちょっと購入し、一人は上だけ、もう
一人は下だけと、片方のみの使用で凌ぎました。活動がスムーズになり、しばらくしてから両方
使えるようになりました。

今度は
ペラ(足ひれ)を使ってみようということになりました。ペラも初めは片方だけの使用です。
しかし両方使ってみると深くまでもぐれます。大海女(ベテランの海女さん)は25mくらいもぐれま
す。29mもぐったという記録もあります。

以前に比べると漁獲量は格段に増えていきました。そしてとうとう酸素ボンベを使ったらどうかと
いう話になりました。皆で相談しました。


出した答えは、
NO でした。「これ以上捕ったら自然界を破壊してしまう」がその理由です。
trade off(トレイド オフ)という言葉があります。より必要なものとの交換を意味しますが、彼らは
酸素ボンベと海洋資源を交換しなかったのです。

このように、技術を導入することによって、予想される結論を議論する。そしてそれが自然を壊す
ものであるならば、それは拒否されるのです。


海に限らず、すべての
生態系を保全するための考えとして非常に参考になるのではないでしょう
か。





                   平成23年4月15日(金) 読売新聞より



東日本大震災からの復興を目指す宮城県気仙沼市の姿をドキュメンタリー映像に残そうと、被災地の撮影を続けるカナダ人女性がいる。

来日して20年間、日本の漁村の研究を続けてきた国連大学の研究者、アン・マクドナルドさん(45)。変わり果てた“第二の故郷”の姿に心を痛めながらも、「再起しようとする人間の力強さを記録に残したい」と漁業関係者にインタビューを重ねている。

「まるで戦場のよう」。今月12日、いまだに水の引かないJR南気仙沼駅近くの広場で、マクドナルドさんは立ちつくした。魚と重油の混じったような臭いが満ち、路肩に幾重にも積まれたがれきが散乱する。「私にとって大切な場所。惨状を見るのは悲しいが、それでも目を背けてはいけないと思う」

現在は、環境問題を研究する国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長を務めるマクドナルドさんが来日したのは1991年。全国の漁村を巡り、そこに生きる人々の暮らしを研究してきた。

これまで訪れたのは北海道から沖縄県まで2000か所以上。「自然の脅威に敬意を払いながら、海との共存を続ける漁民の強さにひかれた」という。今は金沢市に住むが、97年〜2008年まで宮城県で暮らしていた。

今回の震災では、漁村研究の中で知り合った友人も安否が分からなくなっている。「漁村や漁港の活気に満ちた雰囲気が好きだった」というマクドナルドさん。それでも、「ここからどう復興していくのか伝えることで、内外に支援を訴えられるのでは」と撮影を決めた。

撮影場所は、カツオやサンマの水揚げが日本トップクラスの気仙沼。最初の撮影となる今回は12日から3日間、被災したカキ養殖や水産加工会社の映像を撮影すると共に、漁協組合長や観光業者、商工会議所などにインタビューした。


                 
                
                             
読売新聞より












 2010年11月25日

                                     

 理研・横浜研究所 設立10周年記念講演会


開港記念会館で「理研・横浜研究所の設立10周年記念講演会」が開催されましたので参加してきました。
野依理事長の開会挨拶に続き、来賓挨拶として林文子・横浜市長を初めとして多くの方が祝辞を述べられました。

そして、記念講演の先陣を切って、理研顧問の和田昭允(あきよし)先生が、
「ゲノム研究の10年」として、DNAの簡単な解説や、DNA自動解析装置(シーケンサー)が導入されるまでのご苦労、そして生命と物質の関連性などを熱弁されました。

最後に
横浜サイエンスフロンティア高校の紹介もされました。和田サロンの様子や科学誌「ネイチャー」に紹介されたこと、大学や企業の研究機関とのつながりなどを述べられて、周りからの期待が非常に大きいことを強調されていました。


 プログラム


                                                 

 13:30〜13:40           開会挨拶  理化学研究所 理事長      野依良治
 13:40〜14:00                       来賓挨拶
 14:00〜14:30   記念講演:ゲノム研究の10年  理化学研究所 研究顧問  和田 昭允
 14:30〜15:30        記念講演:ライフサイエンス研究の未来と夢


 名古屋大学 生物機能開発利用研究センター教授       芦苅 基行

 慶応大学医学部 教授    小安 重夫

 理化学研究所 オミックス基盤研究領域 特別研究員     長谷川 由紀
 15:30〜15:40                      休憩
 15:40〜17:20                パネルディスカッション


 「ライフサイエンス研究の未来と夢を踏まえて 理研横浜研究所の役割

 「サイエンスと社会のつながり ”健康”に貢献するサイエンス


                パネリスト

 横浜市大大学院生命ナノシステム科学研究科教授    西村 善文

 理研免疫・アレルギー科学総合研究センター長       谷口 克

 理研ゲノム医化学研究センター長               篠崎 一雄

 理研オミックス基盤研究領域長                林崎 良英

 理研生命分子システム基盤研究領域長           横山茂之

                                  他 5名
 17:20〜17:25     閉会挨拶  理化学研究所 横浜研究所 所長    大熊 健司



 野依理事長

                                                

スウェーデンのストックホルムでまもなくノーベル賞授賞式が行われますが、私の46年近い友人である
根岸・木村両先生が、今回ノーベル賞を受賞されたことは非常に喜ばしいことであります。

最近10年間で6名の日本人が受賞したことは近年の日本科学の躍進ぶりを示すものであって、サイエ
ンスは
サステナブルでなければならないことを実感致しました。

しかし、過去日本の受賞者15名のうち、5名は頭脳流出組です。我が国の研究機関も国際水準に合わ
せていく必要性があります。例えば研究開発費でいえば、日本はアメリカ・フランスの3分の2、イギリスの
2分の1で、これは基礎科学が国家・国益につながっていくのにじゅうぶんとは言えません。

基礎科学は
人類の根源であり、永遠の文化であり、卓越した科学技術に基づいたイノベーションとなるも
のです。

現在、理研は研究において高い水準を保っていますが、これからも個人知→組織知→社会知という段階
を踏み、幅広いセクターと連携して各部門でそれぞれの目的を達成できるように邁進していきたいと考え
ています。







 林 横浜市長

                                                

このたびは理研・横浜研究所設立10周年、おめでとうございました。野依理事長を初めとして各方面の
先生方のご尽力のおかげで、理研は
先端科学の発展に大きく寄与されていると実感しています。

現在、世界では科学技術の競争が激化しています。そのような情勢の中で、日本の底辺拡大のために
理研は特に生命科学の分野において、横浜市立大学、同大学院や横浜サイエンスフロンティア高校等と
連携し、
科学普及の為にさまざまな催し物を通して地域に多大な貢献をされています。

サイエンスは人を素直に感動させる力があります。これからの日本を担っていくであろう横浜の子ども達
に常に
夢を与える機関であってほしいと願っています






 和田 研究顧問


  

まず始めにこのスライドをご覧ください。夜の地球の写真です。アメリカ西海岸、EUの一部と共に
横浜が輝いています。これは
サイエンス都市ヨコハマの あってほしい姿を象徴しています。




  

”生命とはなにか?”は難問です。上のスライドは
生命の巧妙な重層構造を表しています。10mを
遙かに超える巨木、2メートル弱の人類、マイクロメートルの細胞、ナノメートルの分子、オングスト
ロームの原子まで、10桁以上サイズの違う階層の積み重なりがあります。




  

客観的な立場から生物を見ると、太陽や地球などの天体、台風や雲といった気象現象、また鉱物
などと全く同列な
”物質の特殊な状態”です。地図で例えると「生命世界」は、もはや島ではなく、陸
続きとなり、物質と生命はつながってきたといえます。




  

私が1987年に「ネイチャー」に発表した
「高速自動DNA分析」と題する論文に対する評論です。

                    
 日本語訳

「21世紀において我々は次のことを予見します。スーパーDNA解析センターは、いくつかの国に
おいて数世紀にわたって設立され、大規模な素粒子加速器、巨大望遠鏡、宇宙探求において遙
か彼方の天体への到達など、現存するシンボルと並んで、人類の知の探求における国家努力の
シンボルになるであろう。」


ところで、2002年1月4日の新聞に「遺伝子の人とチンパンジーの違いはわずか1.23%」とい
う記事が掲載されました。塩基の割合で数えると100文字で1文字くらいです。」そして数日後の
新聞におもしろい川柳が紹介されました。  
※ 「チンパンジー、ぐっと態度が大きくなり・・」




 
   

学術教育・研究機関と社会とはは常にサイクルで結ばれています。人材の交流、社会から与えら
れた課題に対する学術研究・問題解決など幅広い応用展開によって、日本だけでなく世界の産業
の発展に貢献することができます。




     

私がスーパーアドバイザーをしている
横浜サイエンスフロンティア高校です。毎週土曜日に「和田
サロン」を開催し、高校生諸君と科学談義をしています。

「ネイチャー」にも紹介され世界の注目を集めました。ここから世界に羽ばたくような若い科学者が
育ってくれることを願っています。




          ※ 塾長注  ヒトとチンパンジーは同程度なのか?


遺伝子の数が多い方がより高等な生物であるというわけではありません。今回もパネリストとして
出席されていたオミックス基盤研究領域長の林崎先生の研究によると
「高等な生物ほどRNAの
機能が多い」
ということです。


RNAの中には
ncRNA(ノンコーディングRNA)といって、タンパク質をコード(指定)しないものが
あって、このncRNAは、DNAの設計図から転写・翻訳と進むプロセスの中でタンパク質合成を
コントロール(管理・抑制)するために実にさまざまな仕事をしています。


その一つとして、
RNAi(RNA干渉)という現象があります。細胞内ではさまざまなタンパク質が生
み出されていますが、中には生物が生きていく上で不利になるようなタンパク質も作られることが
あり、それによって病気にもなりますから、それらのタンパク質が体内ではたらくのを防ぐことが
治療にもなります。(自分が知らない間に病気の発症をおさえてくれます)


siRNA(small interfering RNA)というncRNAは、有害なタンパク質を作ろうと侵入してきたRNA
からタンパク質を合成することを緊急停止させることができ、これが細胞内の防御システムになっ
ています。


また同じようなはたらきをもつncRNAも見つかっています。
miRNA(microRNA)と名付けられてい
ますが、siRNAと同様にRNA干渉を起こすncRNAでごく短いためmi(マイクロ)がついています。
今ではヒトのncRNAの中にも200〜250個程度のmiRNAが含まれると想定されています。


この他にも、タンパク質の合成の促進や、抑制を受け持っている物質として、
転写因子というタン
パク質がありますが、実はこのタンパク質に指令を出しているのもncRNAなのです。このように
RNA、特にncRNAはさまざまな機能を持っており、RNAによって生物が複雑な機能を持つことを
可能にしていると言えるのです。



そこで、遺伝子の定義は何であるかということを考えた場合、現在は”タンパク質をコード(指定)
する”というのがはてはまると思いますが、最新の研究の成果により、新しく、遺伝子の定義を

何か有効なはたらきをするものを作り出す,または制御する部分”
とした場合、ncRNAがそれに
含まれることになり、ヒトの膨大なncRNAをプラスした場合、今の23000個という数よりも大幅
に増えることになります。


ショウジョウバエの遺伝子は13000、線虫は19000、植物のシロイヌナズナにいたっては、ヒト
より多い25000あります。しかし将来、遺伝子の定義が書き換えられたら、ヒトの遺伝子は他の
動物・植物の何百倍、何千倍以上になるはずです。



日本の少し前の首相が、「ヒトの遺伝子は、ハエの2倍か・・」と嘆いていたことがありますが、これ
からはガッカリしなくてもすむかもしれませんね。


                           追記


最近の研究で、池や沼などに住むミジンコがヒトより8000個も多い31000個以上の遺伝子を持
っていることが、東京薬科大学やアメリカ・インディアナ州立大学などの国際研究チームによって
確認されました。

これまでに
ゲノム(全遺伝情報)が解析された動物の中で最も多い数です。ミジンコが持っている
遺伝子のうち、3分の1以上は、他の生物では見つかっていない新しい遺伝子でした。

ミジンコは水中に汚染物質が入ったり、酸素濃度が下がったりすると、体を変化させて耐えます。
また、魚などの外敵が現れると頭を巨大化させたり体に突起物を作ったりして身を守ろうとします


新しく見つかった遺伝子は、ミジンコのこうした変身に役立っている可能性があるといえそうです。

以上のことが、アメリカの科学誌”サイエンス”で発表されました。












   

 10月30日(土) 明治大学・生田キャンパス「地球温暖化問題」


   
   
   


          講義の中から主なものを抜粋してみました。



          
(1) 気候変動問題の起源

@ 19世紀半ば、フランスのFourierが、温室効果ガス、特に二酸化炭素と水蒸気が
地表を温暖化すると主張

A 19世紀後半、スエーデンのArrheniusが産業革命において工場から発生した二酸
化炭素濃度が増えると地表面温度を上昇させるという仮説を発表

B 宮沢賢治が「グスコーブドリの伝記」の中で書いた、冷害による飢饉で両親をなくし
、森を追われた少年ブドリがカルボナード火山島が爆発したら、二酸化炭素が大気中
に撒き散らされ、世界の平均気温が5度くらい暖かくなるだろうというくーボー大博士の
話を聞いて、自ら犠牲となって大噴火を起こさせ飢饉を救うという話
(実際は一緒に噴き出す粉塵の影響の方が大で、寒冷化する)



         
 (2) おもな温室効果ガス

@ メタン         水田・家畜・廃棄物・炭鉱

A 亜酸化窒素     肥料・燃焼

B フロン        冷媒・洗浄剤など

C 二酸化炭素     燃焼




         
 (3) 日本の部門別CO2排出量 (2006年度)

@ 産業部門         30.5%

A エネルギー転換部門  30.4%

B 運輸部門         19.4%

C 民生(業務部門)      7.9%

D 民生(家庭部門)      5.0%




          
4)  主要国CO2排出量 (2007年度)

@ 中国        21.0%

A アメリカ      19.9%

B EU(15ヶ国)   11.0% 

C ロシア        5.5%

D インド        4.6%

E 日本         4.3%


上位5ヶ国で全体の62%を占めています。




          
(5) 世界のエネルギー資源

   確認可採埋蔵量  確認可採年数
 石油  1兆2082億バレル  41年
 天然ガス  181兆立方メートル  63年
 石炭  9091億トン  147年
 ウラン  474万トン  85年




          
(6) エネルギー資源として原油の備蓄
 

国家備蓄   88日分(5098万kl)   民間備蓄  74日分(4087kl)




     
(7) IPCC第4次報告 地球温暖化による気候や生態系への影響

 気温  1990年に比べ2100年までに1.4℃から5.8℃高くなる
 海面水位  1990年に比べ2100年までに18cm〜59cm上昇する
 異常気象  集中豪雨の増加、夏期の渇水の増加
 生態系  陸上・淡水での生態系崩壊、サンゴ礁への影響
 人間社会  熱波による高齢者の死亡、感染症の拡大




           
(8) 温暖化対策

@ CO2濃度の減少、植林によるCO2吸収

A 回収、貯留

B 化石燃料使用量の削減






 お知らせ

8月につくばのKEK(高エネルギー加速器機構)で開催されたグローバルフォトウォークの優秀作品の展示が、世界の素粒子物理の広報ネットワークであるインタラクションズのウェブサイトで公開されています。ご覧になって見てはいかがでしょうか。(入賞はしませんでしたが私の作品も載っています)

Interactions.org - Particle physics, high energy physics, news and resources

KEK--Hiroaki Nakayama Flickr - Photo Sharing!
KEK 高エネルギー加速器研究機構









10月10日(日)  鶴見川河口の自然観察


                    スケジュール

   8:30  受付開始   横浜サイエンスフロンティア高校

   9:00  開会式

   9:15  オリエンテーション  鶴見川河口で生き物採取・観察

  10:45  電子顕微鏡による生き物観察

  11:40  観察結果のまとめ  グループごとの発表  質疑応答

  12:50  閉会式  解散 


   
 JR鶴見小野駅より徒歩2分です。 指導は、小島先生と理科調査研究部の皆さん
   
各班ごとに行動予定と目的の確認をします  これから対岸に向かいます。
 
 鶴見川河口です。すぐ先は海です。  投網(とあみ)で捕獲します。
   
 貝殻を集めています。  フジツボがいました。
   
 干潟でのミニ授業  潮鶴橋を渡って高校側に戻ります。
   
 昨日仕掛けておいた網です。  小さなカニがいました。
   
 魚も捕れていました。  ハゼです。
   
 もう一つの網を調べています。  エビが入っていました。
   
調べたことのレポートを作成しています。 各班ごとの発表です。


                      塾長の感想        


皆さんは最近、新聞や雑誌、テレビ・ラジオなどのメディアで
「生物多様性」という言葉を耳にされていることと思います。実際、私たちの身の周りだけでなく、現在地球上には実に多種多様な生き物が存在しています。そして発見されていないものも含めると1000万種以上ともいわれるこの生き物の世界は持ちつ持たれつ、さまざまな生き物たちが関わり合いながら暮らしています。

今日は鶴見川の河口という身近な場所での生物観察でしたが、川の中や顕微鏡をのぞき込んでいる皆さんの顔つきは実に本当に生き生きとしていました。でも一番はつらつとして楽しそうだったのは、指導者の小島先生でしたが・・

理科(生物)の勉強では、生き物をよく見つめ、「どうしてこんな形をしているのだろう?」「どんなものを食べて生きているのだろう?」など、
考えることを楽しむことが基本です。そして、水中の小さな生き物にも命があり、私たち人間の仲間だということに気がついていきます。


帰り際に、本日参加した6年生の男子生徒に、「今日捕ったカニはどうするの?水槽で飼うの?」と聞いたら、「あとで鶴見川に返しに行く。かわいそうだから・・」という返事でした。











     10月2日(土) Miraikan フォーラム2010

           
 科学技術がひらく未来


   
 JST(科学技術振興機構) 科学未来館 中村桂子館長(JT生命誌研究館)の講演



                       基調講演 

         毛利 衛 (日本科学未来館 館長)

           
 「文化としての科学技術」
 



                講演会

   1.クローディ・エニュレ (フランス 科学都市博物館 館長)

            
「地球環境と科学技術」



   2.ブルース・M・アルバーツ (アメリカ「Science」誌 編集長)

        
  「人類発展のための科学技術」



   3. リ・シャンヒ (韓国 國立果川科学館 館長)
 
       
「社会のサスティナビリティーのための科学技術」



   4. 中村 桂子 (JT生命誌研究館 館長)

         
 「生命誌から見た科学技術」




                ディスカッション



            毛利 衛(もうり まもる)氏  基調講演(一部)   

               (未来館館長  宇宙飛行士)


 
いま、私たちは未来について考える必要があります。

「人類の存続」に脅威を与える地球温暖化や生物多様性といった地球規模の問題は、同時に私たち一人ひとりの生活に影響する「個人の存続」の問題でもあります。

地球規模の問題を解決するには「科学技術」を用いる必要があります。科学技術は、特別のものではなく、政治、経済、芸術などの活動と同じように「より良く人間社会が生き延びるために獲得した知恵のひとつ」です。

例えば、地球気候変動や生物多様性の現象問題についての本質は、今、対策しなければ手遅れになるという、はっきりと見えない将来への課題です。

人類共通の価値判断は科学的なものの見方から生まれます。この客観的な価値判断に基づく新しい知恵こそが、「文化としての科学技術」なのです。

これからは、科学技術を文化としてとらえる運動を世界的に広める必要があります。「個人を尊重しながら人類が持続的に生き残る方法を探る、そのために科学技術はある。」ことを社会と共有することが、次の世界の科学館の役割になると私は考えます。

そして、世界全体を豊かにするために、日本が果たすべき役割について一緒に考えましょう。




         中村 桂子(なかむら けいこ)JT生命誌研究館・館長 講演(一部)

                  「生命誌から見た科学技術」


科学の歴史は、大きく3つに分け分けられると思います。ひとつは
「人類の歴史」です。地球上の人口は長年、平行線をたどっていましたが、産業が発達してからは急激な上昇を示しています。このままずっとこの調子で増え続けいくとは思われませんが・・

二つめは、
「生命の歴史」です。生命の歴史は、「共通性を持つ多様性」として発展してきました。地球に生命が発生してから、すべての生き物は共通の歴史を持ち、人間もその中にいます。


三つめは、
「知の歴史」です。科学を支える理念は古代ギリシアから存在しています。プラトンの「普遍性」とアリストテレスの「多様性」です。今の科学技術はこれを基盤にしています。そして科学技術はオープンな場所で行わなければならないと思っています。





            ディスカッション(一部)  科学の重要性と普及について


これからは環境問題への対応を真剣に考えていかなくてはなりません。自然環境のレベルを高めていくために各国が科学的にグローバルなつながりを持って貢献していく必要があります。それが社会的な進歩につながると思います。


今、私の国では若い人たちの間に”ラップ”が流行しています。長時間続けているので「もう終わりにしたらどうですか?」といってもいっこうに止めようとしません。ラップが心底好きなのです。愛しているのです。

私は、科学もラップみたいにならないものかと思っています。他人から押しつけられてするのではなく、「自分が好きだから、面白いから、興味があるから科学を勉強する」・・人から「勉強を止めろ」と言われても絶対に止めない。これが私の理想です。


私も同感です。そして「そのような子どもたちが増えるにはどうすればよいのか」ということを考えた場合、やはり啓蒙活動が必要であると思います。子どもたちがわくわくするような、興味が湧くようなプロジェクトの開発をしていかなければなりません。

若者たちが、見るだけでなく実際に体験でき、熱意をもって新しいものを生み出していけるような施設・システムを提供していく必要があると思います。それには資金が必要です。国の援助だけでなく民間の協力も欠かせません。現在でも、科学の普及の貢献に、また将来への投資として、多くの企業が博物館・科学館の建設や諸々の研究のために経済的な援助をしています。

また企業だけでなく、国民や国全体が科学の普及を文化として位置づけていく必要があると思います。sustainable(環境を破壊しない持続可能な)社会が実現できるように、皆さんで協力していきましょう。








  9月29日(水) 第7回 おもしろ実験・科学工作指導者セミナー 


   
 本日は実験の発表会です(12名参加)  文部科学省・西潟千明先生の全体講評




                  西潟先生から受講者の皆さんへ


皆さん、今日はおつかれさまでした。多くの方の実演を拝見して新しい発見もありましたし、私自身勉強になることもありました。入念な準備や、各自工夫した実験もあり、それぞれの方が個性を十分に生かした発表会になりました。


さて、今の地球は、こわれやすく、とけやすく、よごれやすくなってきています。しかし、これからはこのような地球環境問題に対してしっかり向き合っていかなければなりません。

そのために、今の子どもたちに必要なことは
「サイエンスマインド」の形成です。子どもたちが今回のようなハラハラドキドキするようなおもしろ実験に触れて、また科学工作などを通じて「科学的な思考力」を身につけてほしいと願っています。

また、科学実験指導者とは、「科学の実験を安全に行える人、子どもの目線で子どもと一緒に感じ、実験の面白さや不思議さを感動的に演出して、子どもの好奇心を科学の探究にかき立てられる人である」と考えています。

神奈川は実験の催し物の回数では全国でもトップクラスですが、さらにこのようなセミナーがこれからも数多く開かれ、また多くの方にお手伝いをしていただければと思います。  

                   本日はありがとうございました。








9月23日(祝・木) 


           ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム


              「科学は人類に何をなしうるか」


              昭和大学旗の台キャンパス 上條講堂


      主催 : 読売新聞社

      後援 : 外務省、文部科学省、NHK

      協賛 : トヨタ自動車、清水建設、住友化学、明治乳業、昭和大学


 



                      タイムテーブル

13:00  主催者挨拶  老川祥一 (読売新聞東京本社社長・編集主幹)

       歓迎挨拶   小口勝司 (昭和大学理事長)


13:10  基調講演  
2008年ノーベル生理学・医学賞
            
 「子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウィルスの発見」

           
ドイツがん研究センター名誉教授  ハラルト ツアハウゼン氏



       基調講演  
2001年ノーベル化学賞
             
「キラル触媒による不斉水素化反応の研究」

            
理化学研究所理事長    野依(のより) 良治氏



15:00  パネル・ディスカッション〜質疑応答

                  パネリスト
  
ツアハウゼン先生、野依先生、中江晴彦・住友化学役員、片桐敬・昭和大学学長


    コーディネーター  田中秀一  読売新聞東京本社・医療情報部長



  野依先生


                  科学の価値について

科学研究とは、果てしなく続く「知の旅」である。目的地への到達よりもさまざまな出会い、よい旅をすることに大きな意味がある。優れた研究は有為の人を育て、また社会にも貢献する。



                
  理科教育について

人は生まれながらにして科学者である。子どもたちは、花が好きで、虫に興味を持ち、「空はなぜ青い?」と思う。成長するにつれて、しっかりした人生観を持ち、まっとうな価値観を持って生きてほしい。

文化は全ての人々の心のよりどころとなるべきであって、科学は文化の大きな要素の一つである。サイエンス・論理・情緒・言語という面で科学は非常に重要な役割を果たしている。指導する立場の者もこれを十分に認識しておかなければならない。


また、教育課程において、理科を学ぶことの重要性を理解する必要があり、現在の大学入試制度においても、理科という科目の位置付けをよく考えてみてはどうか。

これからの科学において、人類にとって重要な存在となっている物理・生物・化学などを一緒にして、科学全般にわたって融合的なシステムを築きあげていきたい。





 ツアハウゼン先生


学生の皆さんが、科学を好きになってくれるように努力していきたい。ドイツには「ジュニアグループ」という組織があり、そこでは若い人たちに十分な経験を積んでもらっている。また十分な資金が必要になってくるが、積極的に海外での研究も応援している。

若い科学者の人たちには、論文を作成する時間をできるだけ短縮し、専門誌での発表を奨励している。

「これからの科学」ということについては、”基礎研究”を強調したい。また、若い科学者達には将来、独立できるような業績を残し、社会において輝ける存在になってほしいと願っている。


   










 9月18日(土)


      ゲノムの調べ方・ゲノム研究の暮らしにおける貢献

  理研オミックス基盤研究領域・リーダー ピエロ カル二ンチ先生


川崎図書館で開催された「第2回・サイエンスカフェ」に行って来ました。今回はゲノム(それぞれの生物がもつ遺伝子情報のすべて)についての講義でした。

DNAシーケンサー(塩基配列を調べる装置)の進歩で、ゲノムをより速く、低コストで調べることができるようになり、これによって生物の生命維持や病気の原因などに関して重要なことが徐々に明らかになっています。

講師は、理研横浜研究所・オミックス基盤研究領域・ゲノム機能研究チーム・チームリーダーの、
ピエロ・カルニンチ(イタリア出身)先生で、前半は、現在の私たちの暮らしにゲノム研究がどのように役立っているか、またRNAについての最新情報等を流暢な日本語で解説していただきました。

後半の1時間は、質疑応答の時間です。私は先生の「ナノグラムレベルのRNAから遺伝子発現をとらえる新解析法」に関するものと、「RNA新大陸」の中で、
ncRNA(ノンコーディングRNA)の重要性についての質問をしましたが、二つとも丁寧に答えていただきました。

その他にもユニークな質問が数多く出て、1時間があっという間に過ぎていきました。土曜日の午後に「サイエンスカフェ」らしい時間を過ごすことができました。



   
 ピエロ先生  おなじみのDNA二重らせん構造
   
 各個人塩基配列の違いで薬の効き目も異なります。  RNAの解析によって細胞の状態を知ることができます。
   
いつ、どの領域を転写するのか?それをコントロール
している物質は、「転写因子」と呼ばれるタンパク質です。
 プロモーターにRNAポリメラーゼが結合します。
   
 アルツハイマー病も将来治せるかもしれません。 遺伝情報によってオーダーメイド治療が可能になります。
 

                     

 県立川崎図書館から、「ゲノムの本」の推薦図書紹介でいろいろな本が書いてありましたが、本日の講師のピエロ先生が薦めた本は、 「教科書ではわからない遺伝子のおもしろい話」(林崎良英 著  実業之日本社 刊)でした。

偶然ですが、この本は学院の「塾長の推薦図書」の書籍コーナーで2番目に紹介しているものです。概要はトップページからクリックしていただくとわかります。ご覧になって見てください。









9月4日(土)  川崎図書館  第1回 「サイエンスカフェ」 

   

         免疫療法開発研究の最前線

      「リンパ球からiPS細胞をつくる!」


 
理化学研究所 横浜研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター
     免疫発生研究チーム リーダー 河本 宏 先生


   
病原体をやっつける方法として、まず食べると
いう殺し方があります。自然免疫の主な仕事は
これです。顆粒球やマクロファージです。
血液中の毒素やウィルスのような小さな病原
体は、自然免疫ではカバーしきれないので、
体を守るために獲得免疫が発達しました。 
   
食細胞の一種の樹状細胞は取り込んだ病原体
の情報をヘルパーT細胞やキラーT細胞に伝え
、抗体を作ったり感染細胞を殺します。
リンパ球のすごいところは、どんな物(抗原)で
も攻撃できる(多様性)と、それなのに自分自身
は攻撃しない(自己寛容)ことです。 
   
体細胞に4つの遺伝子を組み込んで作ったiPS
細胞を分化させたリンパ球の中で、ガン細胞を
攻撃できるのは、少ししかありません
ガン細胞を攻撃できるリンパ球を選び出し、成
熟リンパ球としてもう一度iPS細胞をつくり分化
させると、全てがガン細胞を攻撃します 
   
       とてもわかりやすい説明でした。 免疫監視(ガンが小さいうちに免疫系が排除し
てくれる)をかいくぐって増えたガン細胞の抗原
に対して免疫反応が働けば、ガンを治癒できる
可能性があります。





9月11日(土)  宇宙教育指導者セミナー 


    
          講演1  宇宙教育について

       中村 日出夫   JAXA 教育センター長



      
 講演2  日本と世界の宇宙開発 最新動向

       中村 全宏    JAXA 経営企画部企画課主査


            
オリエンテーション

      林 正之     NHKアイテック 海外事業部




               
活動実践


               
教材実習  

         江崎士郎   尾山台中学副校長



           
活動プログラム作成実習
  
         高橋信雄   高島第三中学教諭



                
閉校式


   
 早稲田大学理工学部・西キャンパス  宇宙教育の理念と科学リテラシーの育成
   
 「はやぶさ」の任務と最後の大気突入  科学リテラシーの概念
   
 宇宙と実生活  午後は教材を用いての実習です。
   
 マシュマロが入っています。  中を真空状態にすると・・・







  8月22日(日) 実験・科学工作指導者セミナー 4回目


午前は、研修室2で「実験の安全配慮義務と訴訟例について」という講義があり、文部科学省・科学技術政策研究所・上席研究官の西潟千明先生が担当されました。具体例を交えてのお話で、3時間があっという間に過ぎていきました。

お昼をはさんで、午後からは科学体験室で「おもしろ実験」の実習と実験器具の作成を行いました。今日は全員がいろいろなアルコールロケットを作成し、ロケットの大きさやアルコールの量を加減して、飛び方の違いなどを観察しました。



   
 午前は西潟先生の講義  野毛はお祭りでした(昼休みにて)
   
 アルコールロケットの制作  皆さんの作品です。












8月7日(土) 


茨城県つくば市の「高エネルギー加速器研究機構・KEK」で開かれた”グローバルフォトウォーク”に参加してきました。

加速器とは、電子や陽子などの粒子を光速近くまで加速して高いエネルギーの状態を作り出す装置です。この研究は物質の起源を宇宙誕生時まで遡って探求し、また物質の成り立ちや生命体の活動の仕組みを解き明かしていきます。



   
 つくばバスセンター5番乗り場です  約20分で到着しました
   
 広大な敷地です  入り口です
   
 等身大の小林誠先生です  重力による空間のゆがみが体験できます
   
 宇宙誕生時の粒子と反粒子です  物質粒子と力を媒介する粒子です
   
 中性子はアップ1個ダウン2個です  原子モデルです
   
 KEKで行われている研究について  先端加速器が展示してあります
   
 加速器研究施設に移動します  つくば山が見えました









7月14日    青少年センター  科学体験室  

     
               

   
 圧力の実験です。  フィルムケースの中にバブ(入浴剤)粉末と水を入れます。
   
 ふたをしてしばらくするとふたが飛んでいきます。  瓶の中で風船を膨らませます。
   
 空気を抜いていきます。  風船が大きく膨らみます。
   
 風船の間にドライヤーをあてると  圧力が減少して風船がくっつきます。
   
 爆発の実験です。  水素と酸素を2:1の割合で混ぜます。
   
 吸引ポンプでチューブの中に入れます。  発火させると爆発音と共にチューブが青白く光ります。
   
 エタノールをビニル袋に入れて空気を抜きます。  お湯で温めるとすぐ膨らみます。
   
 水素のシャボン玉を作っています。  橙色の炎をあげて穏やかに燃焼します。


これまで学院でもさまざまな実験をしてきていますが、さらに科学の楽しさや驚き・感動を体験していただけるよう工夫していきたいと思います。

     そこで、1つ問題を出します。(第1回目のセミナーから)


 問題


 7月7日 青少年センター 研修室 2


 
膨らませていない状態で約30cmある二つの風船を、ブロアー(勢いよく空気を噴出する道具)を使って一つは約100cm一つは約50cmの大きさまで膨らませ、根元の方をクリップではさむ。この二つの風船をクリップが外れないように口元をアクリルパイプにかぶせ、クリップを外すと二つの風船の大きさはどう変化するか?


1.同じ大きさになる。

2.大きさが逆転する。

3.大きい方がより大きくなり、小さい方はより小さくなる。 

                                             答えは次の写真の下にあります。


                
                                       実験の一部です

   
 レインボースコープ(制作途中)  蛍光灯にかざすと七色の虹が見えます
   
 CDホバークラフト(制作途中)  テーブルの上を滑っています
   
 風船に竹ひごを刺しても割れません  風船に火をあてても割れません
   
 温風をあてるとどんどんくびれていきます  水風船をフラスコの中に入れる実験です






 風船の問題の 正解は 3です。


 
風船を膨らませるときに、小さいときの方が大きな力が必
要なことは、皆さん経験されていると思います。それは小
さいときの方が空気を押し出す力が強いからです。よって
小さい風船の中の空気が大きい風船の中へ移っていきま
す。






 7月11日(日) 学院の授業でも試してみました。


   
 クリップ・風船・バルーンポンプ・アクリルパイプ  これから直径60cmまで膨らませます。
   
 こちらは50cmまで膨らませました。  アクリルパイプで連結します。
   
クリップを外しました。青少年センターで
行ったのと同様の結果になりました。
学院では、応用実験として青色の風船を
最大限度の90cmまで膨らませました。 
   
 黄色い風船は50cmにしました。  アクリルパイプに連結しました。
 
青が小さくなり、黄色が大きくなりました。
1回目の実験と逆の結果になりました。
 

                                   

 2回目の実験の考察
限度ぎりぎりまで膨らませたので、青い風船の中の空気圧が急激に上昇しました。
そして黄色の風船内の気圧を上回り、青から黄色に空気が徐々に移動して黄色い
風船が膨らみました。あらかじめアクリルパイプの中に線香の煙を入れておけば
空気の流れが分かったかもしれません。次回試してみましょう。