横浜サイエンスフロンティア高校

特色検査(自己表現活動)の問題と解説


                                                   ↓ クリックしてください。(カナロコ特色検査)

              平成31年度 特色検査問題 
 

         
2月15日(金) 実施 試験時間  60分

                          【5】の解答例 

参考に横浜サイエンスフロンティア高校に合格した塾生の解答を載せます。(【5】は配点35点中33点でした。)
特色検査全体では100点満点で
96点でした。(特色検査で90点を超える受験生は非常に少なくて数人です。)



問1 中学生への配布資料

自動翻訳(機械翻訳)が広まった未来でのコミュニケーションの課題と課題解決に向けて
中学生が今からしていくべき課題


1)課題@とその問題解決に向けた取組 資料5−C


日本人の使う「オレンジ色」と外国人が使う「オレンジ色」について、日本人の場合は鮮やかなオレンジ色を意味
するが、外国人の場合は、明るい薄茶色も「オレンジ色」に含めるため、私達は、他の言語では日本人とは異な
る切り分けをするものだと理解しなくてならないという事をしっかり認識できるような取り組みをする必要がある。


    鮮やかなオレンジ色  ← オレンジ色→ 鮮やかなオレンジ色 & 明るい薄茶色
                
                 日本人   外国人



(2)課題Aとその問題解決に向けた取組 資料5−D

機械翻訳の質は上がったが、英語を直訳してしまったりなど翻訳の正確性に欠けるため、機械に頼らず機械の
訳の不自然な所は、自分で考えて翻訳できるようなシステムの構築に取り組む。


        機械翻訳の日本語    英語の本来意味する日本語に訳す




問2 あなたが提案した取組が課題解決につながると考える理由


同じ言葉でも、日本語と他の言語ではイメージが異なる場合があるのだという事を理解し、機械による翻訳が正
しいとは思わず、自分で判断をして、自分で正確な翻訳をできるような取組をすることで、もし機械に不具合が
生じた場合でも、他の人に自分の力で十分に対応できる。また、個人個人がこのような取り組みをすることによ
って、機械による翻訳に依存することを少しでも防ぎ、異なる言語間において正しい伝達ができるのではないか
と思う。




 平成30年度  特色検査 問題

 2月15日(木) 実施     検査時間  60分


 次の[資料1]から[資料3]をもとに後の[1]から[4]を完成させなさい。

 資料1 日本の科学技術政策

 1 日本の科学技術政策についての中学生の会話

Jack Hi,Saki !
Saki   Hi,Jack.You're excited.Why ?
Jack  This morning, I watched the news about Japan's new technology on TV, and I was amazed by it.
Saki  It's great,yes,but now,some people say other countries are better than Japan in the field.
Jack  Really? I can't believe it. Japanese scientist have recently won the Nobel Prize,and Japanese
     companies export products to many different countries.
Saki  Yes,you're right,but Japan has recentry made new policies for its science technology.
Jack What are they going to do ?
Saki  I will give you an example.
    Are you a member of the student comittee ?
Jack  I am chairman of the committee.
Saki  Does the committee work with other schools' student committees ?
Jack Sometimes. We talk about problems we have in schools or society.
Saki  What is good about that ?
Jack  We can get new ideas because we talk to people who have diffrent vies.
Saki  Do you have a chance to talk to people in your community ?
Jack Yes, sometimes.
Saki  Has it affected your committee's activities ?
Jack Yes.We have often been inspired by their comments and advice.
    Last year, we started a new school project after we had a meeting with them.
Saki When people exchange their ides and help each other ,they can do so many things.
    Don't you think so ?
Jack I agree. It's not an easy thing to do, but if we make a good system which connects different
    groups and people , I can sure they can get even more new ideas and achieve a lot of things.
Saki Well, Japan is trying to do the same thing.
Jack I see. It sounds exciting.


※  student committee 生徒会 chairman 会長 affected 影響した been inspired 着想を得る
    connects つなぐ achieve 達成する




2 第5期科学技術基本計画 (内閣府)


以下の四つの取組を、第5期基本計画の政策の柱として位置付 け、強力に推進していく。


@)未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組

大変革時代において、我が国が将来にわたり競争力を維持・強化していくためには、 先行きの見通しが立ちにくい中にあっても国内外の潮流を見定め、未来の産業創造や社 会の変革に先見性を持って戦略的に取り組んでいくことが欠かせない。 このため、自ら大きな変化を起こし大変革時代を先導していくことを目指し、非連続 なイノベーションを生み出すための取組を進める。さらに、ICTの進化やネットワー ク化といった大きな時代の潮流を取り込んだ「超スマート社会」を未来社会の姿として 共有し、こうした社会において新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさ をもたらすための仕組み作りを強化する。


A)経済・社会的課題への対応

経済・社会の構造が日々変化する中で、我が国及び世界が持続的に発展していくため には、顕在化している様々な課題に対し、先手を打って的確に対応していくことが不可 欠である。このため、国内又は地球規模で顕在化している様々な課題に対して、目指す べき国の姿を踏まえつつ、国が重要な政策課題を設定し、当該政策課題の解決に向けた 取組を総合的かつ一体的に推進する。


B)科学技術イノベーションの基盤的な力の強化

今後起こり得る様々な変化に対して、科学技術イノベーションにより的確に対応していくためには、科学技術イノベーションの根幹を担う人材の力、イノベーションの源で ある多様で卓越した知を生み出す学術研究や基礎研究、あらゆる活動を支える資金とい った基盤的な力の強化が必須である。このため、先行きの見通しが立ちにくい時代を牽 引する主役とも言うべき若手人材の育成・活躍促進と大学の改革・機能強化を中心に、 基盤的な力の抜本的な強化に向けた取組を進める。


C)イノベーション創出に向けた人材、知、資金の好循環システムの構築

世界的にオープンイノベーションの取組が進む中で、国内外の人材、知、資金を活用 し、新しい価値の創出とその社会実装を迅速に進めていくことが、今後の我が国の競争 力を左右する。このため、企業、大学、公的研究機関の本格的連携とベンチャー企業の 創出強化などを通じて、人材、知、資金があらゆる壁を乗り越え循環し、世界を先導す る我が国発のイノベーションが次々と生み出されるシステムの構築を進める。


        内閣府「第5期科学技術基本計画」平成28年1月22日より引用



資料2  科学技術論文に関する国際比較 

   
 
 

                                                  以上4つのグラフは「Nature Index 2017 Japan 3月23日号」より引用


 資料3 理科や科学等に関する日本の児童・生徒の状況の国際比較

PISAにおける科学的リテラシーの日本の平均得点及び順位の推移

調査実施年   2006年  2009年  2012年  2015年
 日本の平均得点  531点 539点   547点  538点
 OECD平均得点  500点  501点  501点  493点
 日本の順位/OECD加盟国  3位/30か国  2位/34か国  1位/34か国  1位/35か国
 日本の順位/全調査参加国・地域  6位/57か国  5位/65か国  4位/65か国  2位/72か国
文部科学省・国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調査PISA2015のポイント」2016年12月をもとに作成


TIMSSにおける日本の理科の平均得点及び順位の推移

調査実施年   2007年  2011年  2015年
 日本の小学4年生  548点  559点  569点
   4位/36か国 4位/50か国   3位/47か国
 日本の中学2年生  554点  558点  571点
   3位/48か国  4位/42か国  2位/39か国
 文部科学省・国立教育政策研究所「国際数学・理科教育動向調査TIMSSPISA2015のポイント」2016年11月をもとに作成
                   

       
                                            TIMSSにおける「理科は楽しい」と回答した児童・生徒の割合(%)の推移

 調査実施年 2007年  2011年   2015年
 日本の小学校4年生  87  90  90
 小学校4年生国際平均  83  88  87
 日本の中学校2年生  59  63  66
 中学校2年生国際平均  78  80  81
文部科学省・国立教育政策研究所「国際数学・理科教育動向調査TIMSSPISA2015のポイント」2016年11月をもとに作成


 問題

 [1]

[資料1]について、1の会話の流れを踏まえたうえで、1の下線部にあるように日本が計画している具体的な内容を2から読み取り、次の条件に従って日本語で答えなさい。 
 [条件]

書き出しを 「日本発のイノベーションを生み出すために」とし、その書き出しに続くように、句読点を含め、45字以上50字以内で答えること。ただし、書き出しは字数に含まない。

 [2]

[資料2]について、グラフ1〜4より正しく読み取れることを、選択肢A〜Cの@〜Bからそれぞれ1つずつ選びなさい


<選択肢>


@2005年から2015年にかけて、日本の科学分野の出版物は他国に比べて大きく増加している。
A2005年から2015年にかけて、科学分野における出版物の増加量は米国より中国の方が多い。
B2005年から2015年にかけて、世界的な論文が占める割合において日本と中国の差は広がっていない。



@2015年の日本の「工学」と「数学」の論文数の世界で占める割合はほぼ同じなので、論文数もほぼ同数であることがわかる。
A2015年の日本の「材料科学」と「神経科学」の論文数の比はおよそ2:1であり、世界で占める割合の比もおよそ2:1となっている。
B2015年の日本の論文数が最も多い分野は「薬学」であるが、日本の論文数が世界で占める割合が最も高いのは「天文学」となっていいる。



@2005年と2015年の日本の論文数を比較した際の変動率において、増加しているのは3分野のみである。
A2005年と2015年の日本の論文数を比較すると、「薬学」における変動率が最も大きいので、2015年の日本の「薬学」の論文数お他の分野と比較して最も大きくなっている。
B2005年と2015年の論文数を比較した際の変動率において、日本と日本以外の世界との変動率の差が最も大きい分野は「コンピューターサイエンス」である。

 [3]

[資料3]について、1〜3から、世界の国々と比較したときの日本の小学生〜高校生の優れている点と課題点を読み取り、それぞれを1文で説明しなさい。

 [4]

あなたが横浜サイエンスフロンティア高校の生徒であるとします。[3]の「課題点」解決に向けた取り組みの1つとして、中学生向けの体験教室(参加人数20名)を企画することになりました。7ページの2つの例を参考にして、以下@〜Dの項目を含めたうえで先生に提出する体験教室の企画書を完成させなさい。説明には図や絵を用いても構いません。ただし、例と同じ、または非常に似ているものは企画として認めません。なお、企画書の下に、あなたの企画が[3]の「課題点」解決に向けた取り組みになる、と考える理由を書きなさい。

  企画書に含める項目

@ [体験教室のタイトル]
A [場所]
B [必要なもの]
C [学ぶことができる教科]

D [具体的な内容]

 企画書の下に書く内容

 あなたの企画が[3]の「課題点」解決に向けた取り組みになる、と考える理由 

             <例1>

<体験教室 企画書>

@ [体験教室のタイトル]  「ペットボトルロケットを飛ばそう!」
A [場所]  理科室とグラウンド
B [必要なもの]  ペットボトル2本、紙パック
C [学ぶことができる教科]  理科
D [具体的な内容] 

 <ロケットの作成>

 1.まず、ペットボトルを2つ使用し、胴体を作ります。
 2.ロケットを遠くに飛ばすためにノーズをつけ、おもりとして新聞紙をつめます。
 3.次に、ロケットをまっすぐに飛ばすための羽根を紙パックで作って取り付けます。


 
<ロケットを飛ばす>

 1.ペットボトルロケとに水を半分ほど入れて噴射口を取り付け発射台にセットします。
 2.空気入れでペットボトルに空気を入れます。
 3.発射口のラッチをリリースすると勢いよく飛び出します。

  新聞紙の重さや羽根の形状・枚数・水の量を変えて4、遠くに飛ばせるよう工夫を重ねます。


            <例2>

 <体験教室 企画書>


@ [体験教室のタイトル]  「防災を科学する!〜私たちを救う科学技術〜」」
A [場所]  横浜サイエンスフロンティア高校(校外の施設見学も含む)
B [必要なもの]  動きやすい服、自分が住む地域の防災マップ
C [学ぶことができる教科]  理科、社会科、家庭科
D [具体的な内容


一日目 「知る、学ぶ」

1.発生のメカニズム(ミニチュア斜面を使用し、土砂災害のメカニズムについて学ぶ)
2.調査・研究の最先端(防災に関する研究所などを訪問し、最先端の研究を学ぶ)


二日目 「体験する」

3.計測機器(地震計を作り、地震波形を計測し、震度とマグニチュードの計算をする)
4.災害後に生かされる技術(空き缶と紙パックでごはんを炊く非常時の炊飯体験をする)


三日目 「話し合い、考える」


5.防災科学技術の未来(「自分たちの住む地域において、これから開発される技術でどのような防災ができるか」について、話し合う)

 解答例

 [1]

若手人材の育成・活躍と大学の改革・機能強化を促進し、人材、知、資金が好循環するシステムを構築する


   [2]

 
 A A     B  B     C @


  [3]

優れている点

科学リテラシーや理科の平均得点に関しては、世界の国々と比較してかなりの高水準にあり、それが日本の児童・生徒の能力が極めて高いことを示している点。


課題点

理科が楽しいと感じている生徒の割合が、小学4年生では国際平均を僅かに上回っているが、中学2年生になると、15%〜20%近く平均よりも低くなり、理科に対する興味が急激に薄れていく傾向にあること。



   [4] <体験教室 企画書>


@ 〔体験教室のタイトル〕 
 「ミツバチ先生から学ぶ驚きと感動!」

A
 [場所]  横浜サイエンスフロンティア高校  環境生命実験室

B
 [必要なもの]  厚手の紙  鉛筆  はさみ  定規
          円型プラスチック  枠がついた四角い容器 


C 
[学ぶことができる教科]   理科・数学

D 
[具体的な内容]

「前半」

<ミツバチが作る巣の形 ”ハニカム構造”の優れている点を学ぶ>


1.ミツバチが密を巣に持ち帰り、分泌した蜜ろうで巣に大量の密を貯える際に、材料を最小限に抑え、出来るだけ広い空間を作り、更に耐久性・軽量化を図っているという驚きの行動を知る。

2.ハニカム構造の形状の説明と巣を作るのに正六角形が最も適している理由を平面図(円と正六角形)と立体(四角柱・六角柱)の工作を通じて確かめる。

※ ほぼ同じ面積の円と正六角形を別々に十数個並べた場合、円の場合はまわりのすき間が多くできてしまい、そのすき間を蜜ろうで埋めようとすると巣が重くなり、また全体的にも面積が大きくなってしまう。正六角形はすき間が全くなく並べることができ、無駄がなく、巣自体の面積を確保するのに円に比べて効率がよい。

また、正方形を並べるとすき間は出来ず、平面的には問題ないが、工作で四角柱と六角柱を数本作り、それぞれ数本束ねて貼り合わせ、横にして、上にある程度重さのある物体を乗せてみると、つぶれ具合が、六角柱の方が少なく、耐久性に優れていることがわかる。




「後半」


<前半で学習したことを踏まえて、円の並べ替えのクイズに挑む>

        
1.木の枠に縦5個・横8個計40個の円型プラスチックをぎっしり詰めて並べたものを複数個用意する。体験教室に参加された生徒さんを、いくつかのグループに分け、「今ここに40の巣の穴(黄色のプラスチック)があります」と言って、それぞれ40個の円型プラスチックの入った木箱と、1個の円型プラスチックを渡す。


           
                  
40個です。

2.更に生徒さんに、「あなたがミツバチになったつもりで、ここに今お渡ししたもう一つ円型プラスチックを入れて並べかえ、巣の穴を41個にしてください。」と言い、「ただし、重ねたり、木の枠からはみ出したりしてはいけません」という注意を付け加える。なかなか正解にたどりつかない場合は、「
ハニカム構造を考えてすき間を少なくしてみましょう」というヒントを与える。


3.時間内にできた生徒さんのグループには、「ミツバチ賞」としてミニ賞状、または、何か記念品を差し上げる。


           
                 
41個入りました。


  この企画が、[3]の [課題点] 解決に向けた取り組みになる、と考える理由 

理科系の科目は、今まで知らなかったことを知る驚きと感動を経験していただき、そして、実験や工作を通して、その面白さを生徒さん自身に実感してもらうことがベストの方法だと考えています。これを実践することによって、生徒の皆さんに少しでも理科という科目に興味をもっていただけるのではないかと思います。

                   
終わり


 補足


      

左は、枠の中に円を縦横、直線状に40個並べたもので、これ以上入らないように見えますが、円の隙間の面積を少なくするために、円の並べ方を互い違いにずらします。縦5個の列を両端を含めて5列、たて4個の列をその間に4列入れると、25+16=41個の円を並べることが出来ます。これは、たばこの詰め方にも利用されています。20本入りのたばこは、上の列と下の列に7本、中央の列に6本並べられていて、たばこの箱の面積が最小限になるように工夫されています。






 平成29年度  特色検査 問題

 2月17日(金) 実施      検査時間  60分


       ○次の[資料]1から[資料5]をもとに後の[1]から[4]を完成させなさい。 

                  [資料1] IoTについての中学生の会話


Michael: Hi、Kay How are you? I heard you took a trip with your family.
       How was it?
Kay   : Michael ! I haven't seen you for weeks ! The family trip? It was great !
       My fatherdrove, and we enjoyed a lot of driving , but there were too
       many cars ! On the first day andthe last day, our car moved very slowly.
        We were so tired.
Michael:  Too many cars... Well, you will not have the same problem in the future !
Kay   :  Really? Why?
Michael:  Well, ”IoT”
stands for ”Internet of Things”. Now we often hear about it
        or watch it on the news .
(A) Many people are talking about it, and they
       
are also very excited about it. Many things like TVs and cars are
       
connected to the Internet now , andwe can get a lot of data from them.
       And we can
analyze the data and do many new things !
Kay   :  Like what ?

Michael:  For example, we can get data about the number of cars in cities and
       analyze
  it And we can find the best route for car drivers.
Kay   :  Yes,but who does that work ? And how long does it take? There is so
      much data...
Michael: "AI" will do it.
Kay    :”AI"?
Michael: It is a new technology,and it can work very fast. For example, it is used
       for the Internet's
search engines. And last year, there was news about
       the "AI" that won in an Igo match against the world champion. many
       people are doing a lot of
reserch about it now. They want to use it with
       ”IoT". they hope they will change many things in our life!
Kay    : How great it is! It's like a movie!
Michael: Yes,but it's real. Now, more and more companies can use "IoT" because
       they have "AI" and
(B) many other new changes in technology.
Kay   : What kind of changes?
Michael: They are...oh, I want to tell you more about it, but, sorry Kay, I don't have
       time now. I have to go to the hospital to see my mother.
Kay    : You can tell me about it next time. I'll see you later, Michael.
Michael: See you, Kay!


                        
stands for 〜の略である   are connected 接続されている    data データ
analyze 分析する       search engines 検索エンジン        reserch 調査 研究



                [資料2]   IoTってどんなもの?

 Q 最近よく聞くIoTってなに?

 A 「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳されます。あらゆるモノをインターネットでつなげて情報をやりとりし、新しいサービスを生み出したり、生産効率(せいさんこうりつ)を格段に高めたりする技術です。

 Q あらゆるモノがつながるってどういうこと?

 A これまでネットにつながるモノは、コンピューターやスマートフォンなどに限られていました。IoTは、温度や振動、形などを把握(はあく)するセンサーを、自動車や家電、工場の生産設備などさまざまなモノに取り付け、稼働状況(かどうじょうきょう)などの情報をネットで集めます。集まった膨大(ぼうだい)な情報は人工知能(AI)などを使って分析され、新たなサービスにも利用されます。


 Q 例えば?

 A 身近な例では、外出先からスマートフォンを使い、自宅の照明やエアコンを操作するのもIoTの一つと言えます。健康管理では、腕時計型の端末(たんまつ)に組み込んだセンサーで脈拍(みゃくはく)や速度などを計測し、歩数や消費カロリーなどとともに送信されたデータを分析して栄養士などの専門家がアドバイスするサービスもあります。産業分野では、建設機械大手コマツが、工事現場の地形データをショベルカーなどの建設機械に送信し、自動で土砂の掘削(くっさく)を行うシステムを開発しました。


 Q どのくらい普及しているの?

 A 米調査会社IHSテクノロジーによると、世界中でネットにつながるモノの数は、2013年に112億個でしたが、15年には約1・4倍の154億個に増え、20年には304億個を予測しています。概念(がいねん)としては1990年ごろに唱えられたようですが、センサーの価格下落や小型化、通信環境の改善が進んで環境が整いました。総務省の資料によると、センサーの単価は04年の1・3ドルから14年には0・6ドルに低下、20年には0・38ドルになると予測されています。無線通信の高速化や無線LANの普及、大量のデータを分析するAIや半導体(はんどうたい)の進化も、IoTのさらなる拡大を支えそうです。


 Q IoT先進国はどこなの?

 A ドイツや米国が先行しています。ドイツ政府は11年、製造業にIoTを活用する「インダストリー4・0」と呼ばれる政策を提唱しました。蒸気機関が発明された第1次、電力が大量生産を可能にした第2次、ITの活用が進んだ第3次に続く“第4次産業革命”と言えるものです。部品ごとにセンサーを取り付けるなどして生産工程をリアルタイムで管理し、多品種を大量に生産する取り組みなどが進んでいます。米国では14年に、GEやIBMなどがIoT技術の標準化を目的とした企業連合を発足させました


 Q 日本は?

 A 総務省のアンケート調査によると、20年までにIoTを導入したいと考える企業は、米独などでは回答数の8割前後なのに対して、日本では4割。どう活用すればよいのか分からない企業も多いようです。情報セキュリティーなどの課題もあり、トヨタ自動車や日立製作所など、約2500社と関係官庁が連携して技術開発を進める「IoT推進コンソーシアム」が15年10月に発足しました。米独に比べて一歩遅れた形ですが、半導体や生産機械などで世界最高水準の技術を生かし、盛り返したいところです。




 
※ GEやIBM  アメリカ合衆国に本社を置く企業

         平成28年 10月23日 毎日新聞より一部省略して引用



 


 


 



       [資料4] コンビニやスーパーを支える「POSシステム」の仕組みとは?


コンビニやスーパーには、いつでも多くの商品が並んでいる。その種類は、コンビニには1店で2000〜3000、大型スーパーだと10万種類にもなる。そんな多くの商品を、店員さんが一つひとつ考えながらそろえていくのは、とても大変である。そんあお店を支える秘密が、商品のバーコードをピッと読み取る、あのレジにかくれている。それがPOS(ポス)というシステムなのだ。

どの商品がいつ、どのような人(男女別・年齢層など)に、いくつ売れたかという情報は、その日のうちにお店のコンピューターから本部のコンピューターに送られる。この仕組があるから、商品がどんなに多くても管理することができる。

コンビニのある場所はいろいろだから、お店によって、よく売れるものはちがってくる。季節や天気でも、よく売れるものは変わる。実は、POSで集めたデータには、「こんな天気で、こんな温度の日には、こういうものがよく売れた」という、何年分もの記録が残っている。そして、その週の天気予報などと会わせて、「今週は寒くなるので、おでんは多めに注文を」などと教えてくれる。
 

                                  NEC Webページ「NECキッズ・テクノロジー・ワールド」より一部省略して引用


                 [資料5]   身の回りのIoT活用例


 例 @

サムスンが、21.5型のフルHDタッチディスプレイを備えた冷蔵庫『Family Hub』をこの春から発売すると発表しました。

この冷蔵庫は、スマホとの連携が強く意識されていて、買い物リストやメモ、リマインダーの表示ができます。また、冷蔵庫のディスプレイ上の情報をスマホで見ることもできます。さらに、冷蔵庫内にはカメラが設置されていて、スマホから、中に何の食品がどれだけあるのかを確認できるのです。そのため、買い物に出かけた後、夕食のレシピを考えながら、スマホで食材の在庫を確認して、足りないものを買って帰るという使い方もできるわけです。


                

            2016年 2月4日 DIGIMONO ! Webページより引用


 
 例 A

KDDI、沖縄セルラーは2015年12月1日より、IoTを活用したauオリジナルのインテリア雑貨「Umbrellastand(傘立て)」を発売します。「Umbrella stand」は、降水確率に応じて晴れならオレンジ、曇りなら白、雨なら青に光ることで、「今日傘を持っていく必要があるかどうか」をLEDの色で知らせてくれます。
朝、外出時晴れていたのに、急に天気が変わってビショ濡れという経験はありませんか。「Umbrella stand」があれば、降水確率に応じて傘の必要度を知らせてくれるので、急な雨も怖くありません。


                


      2015年 11月30日 KDDI(株)、沖縄セルラー電話(株)Webページより引用


 問題

[1]

資料1の下線部(A)の理由を資料1から、下線部(B)の具体的な内容を資料2から読み取り、それぞれ日本語でまとめなさい。  


[2]

資料3より、日本企業のデータ活用について、顕著に見られる傾向をグラフ@〜Bから読み取り、まとめなさい。


[3]


資料2のように、IoTで期待されている活用方法の一つに、膨大なデータの分析があります。
資料4のように、「POSシステム」では”どの商品”が”いつ”、”何個”、”どのような人(購入者の年齢層・性別など)”に売れたのか、という膨大なデータをコンピューターや人工知能(AI)により分析し、売り切れや廃棄食品が少なくなるよう、効率よく商品の管理を行っています。
そこで、次の例を参考にし、コンビニやスーパーにおいて、どのようなデータを「POSシステム」に追加して入れると、コンピューターや人工知能(AI)はより効率よく商品管理ができるかを考えましょう。


追加するデータや情報の種類として下のア〜カの中から異なる2つを選び、それぞれの具体的な内容を挙げ、それらによる「期待される分析結果」を下の例を参考にしてかきなさい。ただし、文末は「〜と予測できる。したがって、同じ条件の過去の売り上げを分析して発注すれば、効率よく商品を売ることができる。」にそろえること。また、下の「期待される分析結果」は引用しないこと。


 ア 気象データ(天候や季節による気温、湿度のデータなど)

 イ 近隣の交通量・渋滞情報データ(人、自家用車、トラックなど)
 
 ウ 店舗の周辺施設に関する情報(駅、学校、病院など付近にある施設、住宅地やオフィス街など)

 エ 付近の行事・イベントの実施情報(コンサートやスポーツイベント、お祭りなど)

 オ 全国的な季節行事に関する情報(夏休みや大型連休、クリスマスなど)

 カ その他(自分で自由に設定してよい)


 例 選んだデータ @  ウ → 内容 「近隣の学校の所在地データ」

    選んだデータ A  エ → 内容 「それぞれの学校の行事予定」

 [期待される分析結果]
「高校や大学など、学校が店舗の近くにあれば、特にその学校の行事の日(学園祭や体育祭、オープンスクールや入学試験など)には、生徒、学生以外にも多くの来客が見込める」と予測できる。したがって、同じ条件の過去の売り上げを分析して発注すれば、効率よく商品を売ることができる。


[4]

資料5のように、これからの時代はIoTシステムを身の回りのさまざまな場面で活用することで、日々の暮らしをより豊かにすることが期待されています。そこで、現在の日常生活のなかで解決したい課題を挙げ、それを解決するためのIoTシステムを1つ考えてわかりやすく説明しなさい。また、そのシステムを使うにあたっての問題点(故障・誤作動を除く)を1つ挙げなさい。
ただし、資料1、資料2、資料5に載っているIoTの例は引用しないこと。説明には図や絵を用いてもかまわない。




                   解答例


[1] (A) テレビや車のようなたくさんのモノが、インターネットと繋がり、それらから多くのデータを得、分析
することで新しいことをすることが出来るから


B) センサーの価格が下がり、小型化が進んできたこと。通信環境の改善が進んできたこと。無線通信の高速化、
無線LANの普及、半導体の技術進化などの多くの技術変化





[2]  企業においては、分析に活用したデータが多ければ多いほど、「企画・開発・マーケティング」に効果があった
ことが分かる。企業で分析に活用されているデータでは、
「顧客データ」「経理データ」が割合では50%弱となって
いるが、それぞれ単独での分析となっている。それに対して、
「交通量・渋滞情報データ」「気象データ」は多くの情
報と組み合わせて分析されているが、それを分析に活用している企業の割合は2%未満で非常に少なくなっている。




[3]  選んだデータ@  [ウ]   内容  駅の近くに店舗がある
     選んだデータA  
[カ]   内容  繁華街が周辺にある駅の乗降人数データ

 
 [期待される分析結果]

「多くの企業で仕事が休みの土曜・日曜は駅の乗降客は大幅に減るが、平日や特に金曜日などは仕事後の飲食や買
い物で繁華街を持つ駅の
降人数は増加し、店舗に立ち寄る」
と予測できる。したがって、同じ条件の過去の売り上
げを分析して発注すれば、効率よく商品を売ることができる。




[4]

 [解決したい課題]
   「一人暮らしの高齢者ケア」

 
[解決するためのIOTシステム]   「センサーを活用して、音・人物の動きを察知し、生活状況を把握する」

 
[説明]

 一人暮らしの祖母や祖父など高齢者と離れて暮らす家族は多いと思います。高齢者の方が無事に暮らしているか否
かは家族の誰もが心配しています。離れて暮らしていても、
常に高齢者の状況が把握できていれば安心できます。

そこで、高齢者の方が住む各部屋に
センサーを設置し、生活音や行動パターンをデータ化し、もし普段と異なる状況が
出ればそれを異常と察知し、家族の住む家やかかりつけの近くの病院・施設などに異常の通知が届くシステムです。


さらに、快適で安全な生活を保障するために、
照明・空調、ドアや窓の施錠管理をセンサー技術を活用し、遠隔操作を
します。

 
[問題点]

自分の行動を遠くからセンサーで監視されることを、いくら家族とはいえ、高齢者の中には
「プライバシーの侵害」と捉え
る方もいらっしゃるであろうことが考えられます。



      
               
センサーは各部屋のさまざまな情報を、広範囲にわたり察知できます。








 平成28年度  特色検査 問題

 2月17日(水) 実施      検査時間  60分


 ○次の[資料]1から[資料6]および記述用紙の[グラフ]をもとに後の[1]から[4]を完成させなさい。


          [資料1]  日本の新幹線についての中学生の会話


Kenji: Hi,Carol.How was your winter vacation? Did you visit any places?
Carol: Yes,my host family took me to Kyoto.We went there by Shinkansen.
     It was the first time for me to get on it. I'ts very fast! Have you
     ever got on a Shinkansen?
Kenji:Yes,I have. I like the shape of the Shinkansen.Do you know why it
     has a long nose?
Carol: I have no idea. Please tell me about it.
Kenji: I read a book about biomimetics a few days ago and learned that the
     Shinkansen was one of the examples.
Carol: What is biomimetics?
Kenji:It is a new technology designed by using ideas from plants and animals.
     They have lived much longer than humans,so they have good ideas
     on how to live well in nature, and we can learn many things from
     them.
Carol:What does that mean?
Kenji:Well, for example,Eiji Nakatsu, a birdwatcher and engineer at JR West
    used the kingfisher for design of the 500 Series Shinkansen.Look at
    the pictures. What do you see?
Carol: They both have a long nose!
Kenji: Right. The kingfisher is a bird that catches fish,in rivers, with its long
    beak. Its beak makes very little splash when it goes into water.
    Mr.Nakatsu designed the front part of the Shinkansen with the shape
    of the kingfisher's beak.
Carol:Oh,I see.So,biomimetics comes from nature.And how did the Shinkansen
    change?
Kenji: Now, with the shape of the kingfisher's beak, he Shinkansen has three
    points. First,the noise is less when enters a tunnel,and the people
    who live near tunnels do not have to suffer from the noise. Second,
    by reducing the resistance, it saves energy. Third, it can go faster.
Carol:Wow! Many good things came from just one idea,and aslso many good
    things for both society and the enviroment! Biomimetics is a natute-
    based innovation, isn't it?
Kenji:Yes, and Japan is one of the advanced countries in science and
     technilogy.


host family ホストファミリー     get on 乗る   shape 形
biomimetics 生体模倣技術  technilogy 技術  plants 植物
birdwatcher 野鳥観察者  JR West JR西日本  kingfisher カワセミ
design of the 500 Series Shinkansen 500系新幹線の設計
both 両方とも beak くちばし splash はね noise 騒音 less より小さい
tunnel トンネル suffer from 苦しむ 
reducing the resistance 抵抗を減らすこと energy エネルギー
society 社会  natute-based  自然に基づいた innovation 革新的技術
advanced 先進的な 
    




    [資料2] 生物に学ぶイノベーション 〜バイオミメティクスがひらく未来〜



 「蛾の目って光を反射しないのです、だから敵から見つかりにくいのです。」養老孟司氏(東京大学名誉教授)のナレーションで始まる、大日本印刷株式会社様のモスアイフィルムのCMをご覧になったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。モスアイフィルムは、蛾の目の表面にある微細な凹凸構造を模倣し、光の反射を抑えたフィルムで、薄型ディスプレイの映り込み防止などの用途で使われています。

 このような生物の優れた構造や機能を模倣し、応用する技術開発のアプローチを、バイオミメティクス(生体模倣技術)と呼びます。モスアイフィルムの他にも、よく知られているものとしては、カワセミのくちばしを模倣して空気抵抗を低減した新幹線の先頭形状、ハスの葉の水をはじく微細構造を模倣した撥水スプレー、サメ肌を模倣して流体抵抗を低減した競泳用水着、モルフォ蝶の翅を模倣した色素を使わずに発色する繊維などがあります。

 近年、日本では、バイオミメティクスの可能性に着目し、その研究開発費の増加や産業化の推進に向けた動きが活発化しています。
たとえば、環境省では、2013年から、持続可能な社会を実現するための手段としてバイオミメティクスに着目し、その実用化と普及促進に向けての検討に着手しています。また、2014年、特許庁では、バイオミメティクスに関する特許出願の技術動向調査を2014年に開始しています。さらに、バイオミメティクスの産業化を推進するため、NPO法人バイオミメティクス推進協議会も発足しています。

 生物は、、38億年もの間、生き続けてきました。その生物が生存していく術(すべ)から、我々人間の大量生産・大量消費・非循環型社会を変えるためのヒントを得ることで、持続可能な社会の実現が可能になるのではないか。バイオミメティクスは、この点に期待が寄せらさているのです。

 さらに、バイオミメティクスは環境負荷低減への寄与にとどまらず、従来の工学的手法の限界を突破する手段として、イノベーション創出への貢献も期待されています。

 最後に、バイオミメティクスの研究開発に取り組んでいる企業への調査で耳にした声を紹介します。この声が、今後のバイオミメティクスの方向性を示しているといえるかもしれません。

 「昨今、研究開発においてイノベーションのアイデアが出にくくなっている中、従来とは異なるアプローチとしてバイオミメティクスにその可能性を見い出し、研究開発に着手している。例えば、トンボの飛翔を模倣し、滞空、滑空などを可能にした小型飛行ロボット。こうした考えは、既存の飛行機の延長線上からは出てこなかったものである。」

 このように、生物模倣の考え方を研究開発に取り入れることで、従来技術の延長線上では限界に達していた分野における突破口となるのではないか。そんな大きな期待が、今、バイオミメティクスに寄せられているのです。



                

              平成27年1月22日 富士通総研ウェブサイトより作成



     [資料3]  土壇場でひっくり返されたインドネシア高速鉄道



 中国との激しい受注合戦を繰り広げてきたインドネシアの高速鉄道計画での受注失敗を受け、日本政府は敗因の分析や改善策など対策を急ぐ構えだ。

 当初は日本がリードしていたと考えられていたが、中国政府がインドネシアの財政負担をゼロにするという”破格“の条件で受注をもぎとった。日本の新幹線の強みである技術力や安全性だけでは通用しない状況が出てきている。情報収集のあり方を含め、戦略の練り直しが求められる。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 ジャカルタ―バンドン間のインドネシアの高速鉄道計画を巡っては、インドネシア政府は日中両国の提案では、財政負担が生じることなどを理由にいったん白紙撤回し「中速」鉄道にする方向を示した。しかし、中国政府はインドネシア政府の財政負担や債務保証を伴わない事業案を示し、インドネシア政府は一転して中国案の採用に踏み切った。

 政府は今回の結果に戸惑いを隠せない。
 国土交通省は「実現可能な提案を行ったが残念だ」(鉄道局国際課)と落胆する。ただ、少なくとも相手国政府の財政負担や債務保証を伴わない事業案に、日本の既存の枠組みでは対応できていない状況があるのは事実だ。今後に向け政府は「ある意味で検証する良い材料をもらった。敗因を分析した上でどうするかを検討する」(内閣官房副長官補室)としており、情報収集の仕方や債務保証のあり方なども含め、関係者を集めて、早急に現状分析と対策を練る方針だ。

 太田昭宏国土交通相、日本と中国が受注を競ってきたインドネシアの高速鉄道計画で中国案の採用が固まったことに関連し「直ちに他国(と進める新幹線輸出交渉)には影響しない」と述べ、今後も新幹線輸出戦略を積極的に進めていく意向を示した。政府は成長戦略でインフラ輸出の強化を掲げ、インドやタイ、米国にも新幹線方式の高速鉄道輸出を目指している。

 国交相は各国との交渉を通じ「日本の技術力は素晴らしいと評価を受けている」と指摘。開発から運用、廃棄までを含む全体で見れば「コスト面でも優れている」と強調した。



               

               インドネシアに導入されることが決まった、中国側の高速鉄道の車両模型
                       (写真:Rivan Awal Lingga/Antara/Foto/ロイター/アフロ)


                         平成27年10月6日 日刊工業新聞 ウェブサイト「ニュースイッチ」より作成


    [資料4]主要国における研究開発費総額の推移(各国共通通貨


   年 日本
100万円 
 米国
100万ドル
 ドイツ
100万ユーロ
 フランス
100万ユーロ
 英国
100万ポンド
 中国
100万元
 韓国
100万ウオン
 2000 162893336 268905   50618  30954  17736  89556  13848501
 (2000) (16289336)  28987959  5036491  3079923  2896289  1164358  1384850
 2001  16527998  279716  52002  32887  18547  104249  16110522
  2002  16675053  279387  53364  34527  19243  128764  17325082
  2003  16804155  293060  54539  34569  19727  153963  19068682
  2004  16937584  304547  54967  35693  20242  196633  22185343
  2005  17845224  327185  55739  36228  22106  244997  24155414
  2006  18463102  352567  58779  37904  22993  300310  27345704
  2007  18943767  379454  61482  39303  25085  371020  31301377
  2008  18800063  405630  66532  41066  25585  461600  34498054
  2009  17246300  403803  67014  42835  25880  580210  37928502
  2010  17109951  406708  69948  43387  26362  706260  43854834

                                          (総務省「科学技術指標2013」より作成)

       (2000)の欄は、参考に2000年の各国の金額を2000年の平均レートにより、すべて日本円に換算したものである。


              [資料5] 日本の技術貿易の推移



      
(平成26年1月24日総務省統計トピックスNO.77「世界に躍進する我が国の科学技術力」より引用
 (注) 技術貿易とは、諸外国との間の特許権、ノウハウの提供や技術指導等、技術の提供または受け入れのことをいう。



          [資料6] 主要国等の特許登録件数の推移



                                          (文部科学省平成26年度版「科学技術要覧」より引用

(注)特許とは、自分が発明した物を発明者が独占的に利用できる権利のことである。主に大学や研究所、企業の研究員などから申請がある。



 問題


 [1]

資料1の下線部に
by using ideas from plants and animals とありますが、その理由を、
資料1 資料2から読み取り、日本語でまとめなさい。


 [2]
 
資料4において、各国の研究開発費はその国の通貨による金額で表されています。そこで、日本と他
国の研究開発費総額の増減を比較するために、2000年の金額を100とした場合の数値をグラフに
しました。(中国と韓国は金額の増加が激しいため、グラフにはしていません。)
記述用紙のグラフには他国のグラフがかいてあります。日本においても同様に計算し、日本のグラフ
の続きをかき入れなさい。
ただし、計算に使う数字は、例えば日本の2000年の金額「16289336」を「16300000」のように
万の位を四捨五入してから用いてもかまいません。


 [3]

資料3より、日本の科学技術による製品の輸出が難しい状況にあったということがわかりますが、実際には日本における科学技術の状況は世界の主要国と比べてどうなのでしょうか。
資料4、資料5、資料6に加え、[2]で作成した記述用紙のグラフから読み取れる日本の研究開発費や技術貿易、特許に関する近年の状況をまとめなさい。


 [4]

資料2より、近年、日本ではバイオミメティクスによる技術開発の可能性に注目していることがわかります。
そこで、生物の特徴を活かした生活に役立つもの、または技術をひとつ考えてわかりやすく説明しなさい。
ただし、下記の項目を説明に含めること。また、資料に載っているバイオミメティクスの例は引用しないこ
と。説明には図や絵を用いてもかまいません。

 ・解決したい生活上の問題点
 ・どの生物のどのような特徴を用いたか。
 ・考えたもの、またはそ技術を使うことの長所


 考察


                              [1]


地球上には多様な動・植物の種があるが、その多くは人類よりも生存期間が遙かに長く、自然界で効率
よく生き延びていく方法を会得し、また自らを自然環境に適合した形態にしているものもある。それらから、
智恵や手法を学び、それを研究開発し、人間社会に生かすことによって持続可能な社会を実現できるの
ではないかと考えられるから。

                [2]は、記述用紙がありませんので省略致します。


                           [3]


日本の研究開発費の総額は、2000年においてアメリカに次いで2位であるが、その後10年間で比較
すると、日本の伸びは僅か
5%であるのに対して、アメリカは150%と大きな隔たりがある。同じアジア圏
の中国は
790%、韓国は320%の増加率で、特に中国は大幅な躍進を示している。

日本の技術輸出による受取額は2012年では、約2兆7000億円強、技術輸入による支払額は約4500
億円で、技術貿易収支額は
2兆2500億円を超え、過去最高の黒字となっている。また技術貿易収支は、
1993年以降、
20年連続で黒字を計上している。

特許の登録件数に関しては、日本は順調に伸びを示しているが、アメリカ・中国・韓国も近年では日本と
同様な増加率になっている。登録件数の総数では、日本は主要国の中では1995年以降、常にトップの座
を保っている。2012年の件数は34万3千件で、これは、アメリカの約
1.5倍、中国の約2.3倍となって
いる。



                          [4]


       考えたもの    
自然エネルギーによる空調機能を備えた住宅


(1)  解決したい生活上の問題点


20世紀中地球全体の平均気温は、0.6℃上昇しているが、東京などの大都市では、周辺地域と比較する
と平均気温が2〜3℃、上昇している。ヒートアイランドと言われている現象で、その原因のひとつとして、夏
の空調システムによる人工排熱の著しい増加が挙げられる。これは都市部の気温上昇だけにとどまらず、
エアコンなどの電気機器の使用により、電力の使用量が増え、化石燃料による火力発電量が増加し、地球
環境に大きな負荷をかけることになる。できるだけ電力を使わずに夏の暑さを凌ぐ方法を考える必要がある



(2)  シロアリが作る巣の構造を利用した住宅の建設技術について



@ シロアリの巣の特徴


シロアリの巣の分厚い壁の中には、細いトンネルが毛細血管のように張り巡らされている。巣は地下水の
上に作られていて、巣の底は湿って温度が下がっている。そこに地上に出ている穴から入った空気の流れ
が、巣を冷やし、換気もしている。よって夏場の巣の中の温度・湿度を一定に保つことが出来る。動力は、
風という自然エネルギーだけである。

A その技術を使うことによる長所


現在の我々の生活は、昔と比べると遙かに豊かになり、便利になってきていることは確かである。しかし、そ
れによる負の影響も増えつつある。ひとつは地球温暖化に代表される地球環境の悪化であり、今一つは、自
然について考えたり、それを利用して共に生活していく心が育ちにくい社会になってきているということが挙げ
られる。この技術を取り入れることによって、エネルギー面ではエアコン使用による電気使用量を大幅に削減
可能になり、CO
排出削減に貢献できる。また、精神面では、家の中にいながら戸外との空気の循環によっ
て、自然とのつながりを体感でき、地球環境に優しいエネルギーを使って生活しているという気持ちになれる。

B エコ住宅のシステム


         


外壁と内壁の空洞を無数の穴の開いたパイプ構造にして、内壁側は部屋の中にも空気が取り入れることが
出来るよう、開閉自在なシステムにする。

シロアリの巣の地下には、土を掘って作られたトンネルが張り巡らされており、外から巣の中に入って来た
熱気は地下水で冷却され、巣の中で温まったいた空気を排出する。しかし、住宅の下には地下水がないの
で、床下に、換気口を取り付ける。温度が低い太陽の当たらない日陰の空気を地下水の代わりに利用する。

太陽側の熱せられた空気は、上昇気流となって天井に取り付けた換気口から屋外に排出される。常に下から
は、温度の低い風が送られてくるので、この通風作用によって建物を冷やすことが出来る。

また、冬は換気口を閉じることにより、冷たい外気の侵入を遮断し、昼間の太陽熱によって暖められた空気が
密閉された空間の中で移動しすることによって、建物全体の温度低下を防ぐことが出来る。










 平成27年度  特色検査 問題

 2月17日(火) 実施      検査時間  60分


 次の[資料]1から[資料6]および[グラフ]をもとに後の問い[1]から[4]に答えなさい。


                                                 資料1  食品ロスについてアメリカの中学生が書いた手紙

 
                                                December 8th, 2014
Dear Taro,

Hi,Taro.How are you?
Have you ever heard the word "
food loss"?It is a big problem around the world.Each year, so much food is wasted before it is eaten by people.This is very sad because there are many people in this word who do not have much to eat.

Also,this food loss probrem is not just about wasting food. It also means that we are wasting everything that was used to make that food.For example,water,
energy,land and labor.

So,what can we do?
I think that there are many ways to solve this problem.
First, we must try our best to stop it. Second,we should find a good way to use this food again.Food loss is a problem for the earth because it can make greenhouse gases!

In the UK,much of the wasted food is used in other ways.Special machines are used and food is made into a new energy.The new energy can be used to makeelectricity.I think it is a great way to use the wasted food. But we still need to work more on this problem.

 In fact,this is not something new. Since a long time ago,people all over thr world have used wood to make fire.

In the USA,we have the custom to use a "doggy bag".When we go to a restaurant to eat something,sometimes there is too much food. We can't all of it. So,we use a thing called a doggy bag to bring home the food that we could not eat. And then,we can eat it when we get home. We say"doggy",but in fact,it is not for dogs.!

I want to say that it is important for every country around the world to work together and to try to solve this problem of food loss every company,every farmer,everyone on this world.

Students like us should really be interested in this problem!

 From your friend.,

 Tom


                                                                    

 ※ food loss:食品ロス  waste:〜を無駄にする(過去分詞 wasted 進行形 wasting)
energy:エネルギー land:土地 labor:労働力 solve:〜を解く、解決する
greenhouse gas(es):温室効果ガス the UK:イギリス Special machine:特別な機械

electricity:電気 In fact:実際は wood:木材 fire:火 the USA アメリカ合衆国 
custom: 習慣 doggy bag:ドギーバッグ company:企業 farmer:農家



                                                    資料2 食品ロスの問題

「食べ物に、もったいないを、もういちど」−。国はこのことばをスローガンに、食品ロス削減国民運動に
取り組んでいる。

食品ロスとは、まだ食べられるのに、ごみとして捨てられている食べ物のことである。農林水産省による
と、日本では年間500万トン〜800万トンに上る。日本のコメの生産量に匹敵し、世界の食糧援助の約
2倍に相当する。日本人1人が毎日おにぎり1〜2個を捨てている計算だ。食料自給率が39%と低い中で
、多くの食料を無駄にしている。この矛盾を一人ひとりが見つめなおす必要がある。

また、世界に目を向けると、人間が食べるために生産される食料は世界で年間ざっと13億トン。そのうち
3分の1が失われていると、国連農業機関(FAO)が推計している。

こうした状況が知れるにつれ、食品ロスが問題視されつつあり、国民生活産業・消費者団体連合会が昨
年行った消費者調査においても、食品ロスを「国民全体で優先して取り組むべき問題だ」とする回答が、
45%に上った。

このように問題意識は高まっているとはいえ、解決しなければいけない多くの課題もある。
そのひとつが、日本特有の商習慣の問題だ。食品ロスの約半分は事業者が発生源であるが、食品業界
には賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、小売店に納品せず廃棄する習慣がある。そこで、食品
メーカーなど35社は、納品期限を延長すればどれだけの食品ロスが減らせるか、実験をした。飲料と菓
子の納品期限を賞味期限までの期間の2分の1に延長したところ、期限切れや納品しないまま廃棄する
量が減少。年間で約4万トンものロスを減らせるとの試算が明らかになった。そこで、即席麺のメーカーは
、4月から賞味期限を延長した。しかし、国内の食品業界は「なるべく新鮮な商品を手にしたいという消費
者の要求に応える」といった理由から、海外よりも賞味期限を短めに設定する傾向がある。

東日本大震災を機に、家庭での食料備蓄が広まり、より長く保存できる食品を求める声も強まってきた。
さらに、企業の意識も変わりつつある。流通経済研究所が昨年、食品メーカーにアンケートしたところ、過
去5年以内に賞味期限を延長した企業は、回答した243社のうち28%。今後延長を予定している企業も
同8%あった。

もっとも、「むやみに延長すると消費者の不信を招きかねない」という考え方も根強い。企業個々の実際の
動きには、ばらつきがあるのが現状だ。同研究所の主任研究員の石川友博さんは「日本の容器包装技術
や衛生管理は世界でもトップレベルで、賞味期限の延長は可能。消費者の”もったいない”という意識が
高まれば、さらなる見直しが進むと思われる」とみている。

次のような食品ロス対策もある。配送中に容器が変形したため販売されなかった食品を企業から寄付して
もらい、福祉施設に無料で提供する「フードバンク」が全国的に広がってきた。企業にとっても廃棄コストを
抑え、社会貢献にもなる。フードバンクの団体は現在、約40と、5年前の倍以上に増え、年間約5千トンの
削減になっている。兵庫県内でも、芦屋市の認定NPO法人「フードバンク関西」が、児童養護施設やホー
ムレス支援団体などに届けている。また、横浜市など複数の自治体は、外食時の食べ残しを防ごうと、小
盛りでの注文を推奨。食べ残しを持ち帰るため、「ドギーバッグ」という容器の普及の努める市民団体もあ
る。

新鮮さ、便利さ、選択肢の豊富さを求める顧客に応える企業の努力は大切だ。しかし、その代償として大
量の農産物や食品が捨てられているという現実を直視する必要がある。捨てる方が簡単で安上がり、ロス
が出ないようにすると売り上げが減る。そんな呪縛から企業が逃れるには、まず私たち消費者が考えを改
めなければならない。食品ロスの半分は事業者であるが、残りの半分は家庭なのである。

途上国では、輸送や保存がままならず産地で腐る食料が多い。その対策として、先進国が投資や援助を
することも重要だ。しかし、何より、資源の無駄遣いを招く流通・消費構造から脱却することが、先進国に
生きる私たちの責任である。日本語から世界語になった「MOTTAINAI」の精神をよみがえらせることが
重要である。

                                                          (平成25年8月18日朝日新聞、平成26年5月8日読売新聞、平成26年7月23日神戸新聞より作成)





                                              資料3 主な食品別の食品使用量及び食品ロス量(世帯食1人1日あたり)   世帯計 680

   食品使用量
   (g)
    食品ロス量
  (g) 
   食品ロス率
  (%)
 食品区分    計    廃棄   食べ残し   
       小計  過剰除去  直接廃棄    
計   1164.4  41.1  30.0  22.7  7.3  11.1  3.7
 果実類  72.3  6.5  6.1  5.0  1.1  0.4  @
 野菜類  231.9  20.3  17.1  14.9  2.2  3.2  A
 魚介類  40.2  2.4  1.7  1.6  0.1  0.7  6.0
 調理加工品  205.9  4.7  2.3  ー  2.3  2.4  2.3
 肉類  47.2  1.0  0.5  0.3  0.2  0.5  2.1
 穀類  164.1  1.6  0.3  ー  0.3  1.3  1.0
 牛乳及び乳製品  87.7  0.6  0.4  ー  0.4  0.2  0.7
 その他  267.2  4.3  1.8  1.0  0.8  2.5  1.6

                                                                                   (農林水産省「平成21年度食品ロス統計調査報告」より作成)





                                                      資料4 食品廃棄物に関する日本の法制度

 法令の適用対象者    発生量や再生利用等の状況を毎年度報告する義務  
 食品製造業者                
                    
 主務大臣 
 食品卸売業者    個々の事業者ごとに設定される再生利用等実施率の目標に比べ  環境・農林
 食品小売業者    著しく不足し、改善が見当たらなければ、指導→助言→勧告→公表  水産大臣ら
 外食産業   →命令→罰金50万円の順にペナルティーを与えることができる。  

                                                               食品廃棄物の発生量が年間100t以上





                                                           資料5 食品ロスの分野別発生量

  食品ロスとなっているもの   発生量
 食品メーカー  定番カット食品や期限切れ食品などの返品  300万トン〜400万トン
   製造過程で発生する印刷ミスなどの規格外品  
 小売店  新商品販売や企画変更に合わせて店頭から  
   撤去された製品  
 レストランなどの  客が食べ残した料理  
 飲食店  客に提供できなかった仕込み済みの食材など  
 家庭  調理の際に食べられる部分を捨てている  200万トン〜400万トン
   食べ残し  
   冷蔵庫に入れたまま期限切れとなった食品など  
 合計    500万トン〜800万トン

                                                    (平成25年3月 政府広報「もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」をへらそう)」





                                                           資料6 廃棄物処理法における食品廃棄物の利用状況


食品関連事業者(製造業者・卸売業・小売業・外食産業)から排出される食品廃棄物
                   
715万トン


うち可食部分と考えられる量(規格外品、返品、売れ残り、食べ残し)
             
 300万トン〜400万トン



再生利用      335万トン
焼却・埋め立て   379万トン






            一般家庭から排出される食品廃棄物
                 1014万トン

 うち可食部分と考えられる量(食べ残し、過剰除去、直接廃棄)
            200万トン〜400万トン



 再生利用 62万トン
焼却・埋め立て 952万トン

      平成26年8月 農林水産省「食品ロス削減に向けて」より作成





資料7 外食にドギーバッグを〜食べ残し、きれいに持ち帰り


 レストランなどの飲食店で、食べきれなかった料理を持ち帰るための箱「ドギーバッグ」を知っていますか? 食べ物を捨てるのは「もったいない」。そんな考えから、じわりと広がっている。年末にかけて増える宴会。まずは食べきることを心がけたいが、残った料理があったら、このバッグの出番だ。

川崎市の繁華街にある「ロックカフェ ウッドストック」を訪れた。ハンバーガーや肉料理、サラダがメニューに並ぶ。アメリカ流で量は多めだ。10センチ弱の厚みがあるハンバーガーには、山盛りのフライドポテトとスライスしたトマト、ピクルスが添えてある。他にも注文したエビの洋風てんぷら、サラダを含め、少しずつ食べきれなかった。

 店内には、折りたたんだプラスチック製のドギーバッグが置いてある。持ち帰ると言うと、店員が箱の底にアルミホイルを敷いて、きれいにつめてくれる。「サラダの持ち帰りはちょっと……」と、店長の松丸裕司さん(42)。焼いたり油で揚げたりして、しっかり熱を通した料理以外は、持ち帰りを断っている。松丸さんは「料理を作っている側からすれば、食べきれないものを持ち帰ってもらえればうれしい」。バッグは洗って再利用できる。松丸さんは、客が持ち帰り用の容器を持参することも歓迎だ。

 ドギーバッグは、「犬(ドッグ)のために持ち帰る」という建前で残した料理を入れる容器として、主に米国で広まった。

 ウッドストックに置いてあるのは、川崎青年会議所がこの秋、千個用意して地域の祭りで配ったり、飲食店に置いてもらったりしたものだ。川崎青年会議所の新井文人さん(30)は「家の中で、食べ残さないという意識は進んだ。次は外食。自分たちの懇親会の宴会料理も食べ残しが多くて、もったいなかった」と言う。

 まだ食べられるのに捨てられる食品。そんな「食品ロス」は、農林水産省によると年間500万トンから800万トン発生している。世界では食料が不足している国もあり、この食品ロス量は、世界全体の食料援助量の約2倍にあたるという。


                                                (平成26年11月12日 朝日新聞 一部抜粋)


問題


 [1]

[資料1] 下線部「I think that there are many ways to solve this problem」に「many ways」とあるが、
何を指しているのか。[資料1][資料2]を読み取り、2つの点を日本語で答えなさい。


 [2]

 [資料3]において、食品ロス率とは以下のように定義される。

食品ロス率=(食べ残し量+直接廃棄量+過剰除去量)÷食品使用量×100

これを踏まえて、空欄になっている@、Aの食品ロス率を求めなさい。(小数第2位を四捨五入すること)
また、記述用紙のグラフを完成させなさい。


[3]

[資料1]から[資料7]を引用して、食品ロスの削減や食品廃棄物の再生利用が進まない理由を、100字
以上120字以内で説明しなさい。(句読点などもそれぞれ1字と考え、必ず1マスに1字ずつ書きなさい。
なお、行の最後のマス目には、文字と句読点などを一緒に置かず、句読点などは次の行の最初のマス
目に書き入れなさい)


[4]

食品ロスの削減や食品廃棄物の再生利用を促進するためには、どのような対策を講じるべきか。食品
関連事業者ならびに消費者(一般家庭)のそれぞれの立場から説明しなさい。なお、資料からの引用で
はなく、あなたのアイデアをわかりやすく説明しなさい。また、説明の中に、その対策を考えた理由を必
ず書くこと。説明には図やイラストを用いてもかまわない。




 塾長考察


                    [1]

1.
まだ、食べることができる食品をゴミとして捨てないこと。

2.ゴミとして扱われた食品を再利用する方法を見つけ出すこと。



                  
[2] 

@ 6.5÷72.3×100=8.99→ 9.0

A 20.3÷231.9×100=8.75→ 
8.8




                  [3]

食品ロス率の高い品目として、果実、野菜、魚介類があるが、これは賞味期限が短いこと
により、食べずに捨てられていることが原因である。また、ドギーバッグの習慣が、全体的
に根付いてなく、外で食べ残した物の再利用に対する積極さを妨げていると考えられる。





                   
 [4]


@ 食品関連業者の立場から


大型スーパーマーケット・デパートなどの小売店が利益追求型のマーケティング手法を改め、
消費者の利益・安全性と.環境保全を主眼においたマーケティングに方向転換します。
これは、生産者が、供給するだけでなくそれを受け取った需要者がどのようにそれを消費する
のかまでを考えて送り出す必要があるからだと判断したのがその理由です。

小売店が、価格だけでなく、環境のことを考え、環境負荷ができるだけ小さい製品やサービ
スを提供できる事業者から優先的に購入するシステムを構築します。価格が低いだけで大量
販売していると、
商品が余ったり消費者の健康を損なう事象が起こる可能性もあります。
供給者側が消費者の立場になり、製品・サービスや事業者に関する環境情報を積極的に活
用しながら購入することによって、食品ロスをできるだけ最小限にとどめるように努めます。



                    
具体的な活用例

(1) 仕入れを遠隔地からでなく、できるだけ地元の農家・個人生産者と提携し、円滑な輸送
により製造日(または出荷日)からの
消費期限の長さを確保します。また流通過程を省き、生
産者を明記するなどして、低価格・安全性を図り、販売を促進します。
地産地消をめざし、仕
入れ量の適正化によって、
需要と供給のサイクルを速くし、商品が余らないようにします

          →     →  
小売店  →  



(2) 賞味(消費)期限が近くなった商品の積極的な販売

現在でも行われていますが、さらに拡大して消費者の購買意欲を促進する大幅な割引きと安
全性をアピールして、また専門のコーナーを設けるなどして、すべて売り切るような企業努力
をします。





A 消費者(一般家庭)の立場から

小・中学校や家庭での
環境教育を実践していきます。それは、私たちが日常生活の中で食べ
物を捨てることにあまりにも慣れてしまい、
捨てることが当たり前になってきている事態に危機
感を覚えたからです。

私たちはふだんの食事で、さまざまな動物の
や、魚介類野菜果物を食べています。それ
らはみなヒトと同様にDNAをもった生きものです。私たちは
人間以外の生命なくしては、生き
ていけない
ということを幼いころから認識しておく必要があります。

「食べ物を大切にする。食べることに感謝の気持ちを持ち、あなたたち(動植物)のおかげで
私は生きていける。だから、あまり食べ過ぎず、絶対に残さない」と思うことが当たり前になる
うな食教育をしていきます。

環境とは自分以外のすべてのものを指す言葉です。水・空気・土など、地球を構成しているも
のだけでなく私たちがふだん食べている牛・豚・鶏肉や、キャベツ・大根・人参などの動植物な
ども、すべて自分にとっての環境です。

そのような環境を敬い、
生きとし、生けるものの命を慈しみ、共に生きていく姿勢を身につける
こと、そしてその環境守るために行動できる心を育てることを継承するのが目的です。このよう
な教育を各家庭、そして学校で実践できれば、将来、私たちは「食べ残すということ、また買い
すぎて、食べずに捨ててしまうこと」を極力、防ぐことができ、食品ロスを大幅に削減できると思
います。


                 
環境教育(食育)のステップ


 環境に関する興味    食と環境との関連性に体験(家畜の世話・野菜の収穫など)を
                通して興味を持ってもらう。
                       ↓
 環境に関する知識    講義や実験(身体のはたらきや食べ物がエネルギーになって
                いく仕組みなど)により知識・現象を伝授する。
                       
環境と自己の改善     環境の改善に積極的に取り組む姿勢を育む。食生活の報告
                  (食べ残しや食べ物を捨てた量の有無など)
                       ↓
技能習得と評価      買い物の仕方や、食べ物の効果的な利用方法とそれに対する
                お互いの評価 
                       
 環境活動への参加    自発的に行動できる心を育てる。



 
※ 参考  @

スーパーや食品メーカーの間では、製造日から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、店
に納入できない
「3分の1」と呼ばれる商習慣があります。3分の1を過ぎた商品は、品質に問
題がなくても、卸(おろし)から返品されたり、メーカーから出荷されないまま廃棄されたりして
います。

このような無駄をなくすために、賞味期限が近づいたりして、店で売られなくなった食品や日用
品を、格安に販売する
通販サイトが開設されました。このサイトでは、メーカーから出荷できな
かった商品を格安な金額で調達し、大幅に値引きして消費者に販売しています。
食品ロス削減
に貢献しているひとつの例と言えそうです。




  ※ 参考 A

横浜市は、飲食店と連携して食品ロスを減らす取り組みとして
「食べきり協力店」事業を行って
います。「
小盛りメニューなどの導入」や「持ち帰り希望者への対応」など、そのお店にあった取
り組みに協力をいただいています。








  [4]について  合格者生徒の解答例



                   (1) 事業者の立場から

食品廃棄物の処理センターの設置。

これは各々の事業者が食品廃棄物として出す施設を集約する
大規模なシステムの必要性を
考えたからです。

各事業者が出した食品廃棄物は、まず廃棄物を保管する
処理センターへ送られます。
そして、食品別にその衛生状態や消費期限などをチェックし、途上国へ支援するもの・動物の
飼料やペットフードとして使えるもの等に選別します。

そして、食品としての再利用が不可能なものは、
バイオマス燃料として利用します。現在の日
本はバイオマスとしてのエネルギーを取り出す技術が発展しているので、食品としての再利用
が不可能と判断されたものは、すべて
バイオマスエネルギーとして使用され、無駄がなくなり、
食品ロスを防ぐことができます。そのバイオマスエネルギーによって、新たな食品が製造され
循環型社会が形成されます。

食品としての再利用するか、またはバイオマスエネルギーとして利用するかを判断するのは
人間だけでなくロボットの使用により時間短縮を図ります。


食品メーカー などの製造業       途上国支援
 食品
 デパート・スーパー・小売店   食品廃棄物
処理センター
   家畜飼料
 ペットフード
 レストランなどの飲食店        バイオマス
 エネルギー
 



                  (2) 消費者の立場から


私たち消費者に、「もったいない」という気持ちが欠けていると感じたので、その気持ちを持つ
ためには、それぞれが
食品ロスの現状を把握し食品を捨てることに対して罪悪感を持つこ
が必要であると思いました。

               具体的にできることは、

@ 大人が食事を作るときに、適量をこころがけ、食べ残しが出ないようにします。
A 子供に食べ物を残さないことの大切さを教えます。
B
 冷蔵庫には消費期限の迫っているものを前列に配置し、期限の近いものから消費してい
ようにします。
C スーパーなどで買い物をするときには、本当に必要なものだけを買います。
D 止むを得ず、廃棄物が出たときは、(1)で説明した処理センターへ持っていきます。(家庭
からの廃棄物も受け入れるシステムの設置)また、持って行った量により、金銭や何かのポイ
ントなどで、
還元されるような仕組みを作れば、持って行く率が高まり、これらを実行すること
によって、事業者の立場で述べた
循環型社会の実現に貢献できます。


 一般家庭での廃棄物   廃棄物に対する還元         食品廃棄物
 処理センター










  平成26年度  特色検査 問題

 2月17日(月) 実施      検査時間  60分



 次の[資料]1から[資料6]および[グラフ]をもとに後の問い[1]から[4]に答えなさい。



                                                      [資料1] ロボットについて学んでいる中学生の手紙

                                                            August 2 2013

Dear Lisa

Hello.I am interested in robots now. I saw a robot at my friend's house. The robot helps
myfriend'sgrandmother move. She cannot do anything without help .I have studied about
the problems which we have in Japan.

  Have you everimagined the world which is full of old people ? There are many people
who are more than sixty five years old. They are increasing. Many people need care.
There are not enough young people to help them. I think it is very difficult for old
people totake care of each other. How can we help them?

 I think robots should be used more. Robots can help old people stand up , walk , and move
from a desk to bed. There are many robots in Japan. I am interested in one robot which has
good eyes and a brain. It will learn the users' behavior and gives suggestions . For 
example,"Don't forget to drink water.","Don't forget to take medicine.",or"How about
watching TV ?"

 I have to tell you that we should remember these things. Robots should be used only for
the help of people wanting care. We need robots which are not like Doraemon and
Astroboy.

We should not rely on robots all the time.Robots cannot take the place of people. I find
they will make a better life for us. We should think of a good way to live together with robots. What do you think about it? I want to hear from you.

Your friend,
Taro



※ robot(s) : ロボット   grandmother: 祖母  imagined: 〜を想像する  is full of: 〜でいっぱいの
  increasing: 増加している  care: 介護  enough: 十分な  take care of each other :  お互いに介護する     eyes and a brain: 目と頭脳   the users"bahabior: 使用者の行動  seggestion:  提案   
  forget:  忘れる   medicine:  薬

Doraemonn: 藤子・F・不二雄のマンガ「ドラえもん」の主要キャラクター。22世紀の未来からやって来たネコ型ロボット。
お腹についている四次元ポケットから、未来の道具をたくさん出してくれる。

Astroboy: 手塚治虫のマンガ「鉄腕アトム」の主要キャラクター。元気いっぱいの正義の子で、原始融合システムによる
10万馬力(のちに100万馬力にパワーアップ)のロボット。7つの威力で敵を倒すことができる。

  rely on:  頼る






                                                       [資料2] 少子高齢化と介護の問題

  日本の高齢化率は、少子化と相まって近年急速な伸びを示している。2013年現在、65歳以上の老年人口は全体の25%に迫る勢いで、「超高齢化社会」の目安とされる21%をすでにはるかに超えており、2050年には40%に近づく見通しである。しかも、(注)介護保険の要支援・要介護の認定を参考にすると、75歳以上では現段階でも4人に1人が介護等を必要とする時代となっている。

 同居している人が介護する「在宅介護」において、介護をしている人は、男女別では女性が69.4%でそのうち60%以上が60歳以上である。男性でも介護をしている人の年齢は、65%が60歳以上である。また、同居する介護者と要介護者の年齢割合を見ると、60歳以上どうし、65歳以上どうし、75歳以上どうしとも上昇傾向にある。特に要介護の認定を受ける割合が高まる75歳以上どうしが25%を超えるなど、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の状況は今後さらに厳しくなると思われる。

 同居の介護時間を見ると、「ほとんど終日」が要介護3以上から30%を超え、要介護5以上では50%にも達している。また、「ほとんど終日」と答えた介護者の70%は女性で、体力の衰えた高齢の介護者では介護による肉体的・精神的負担で、新たな病気になることもある。大半の時間を介護にさくことでストレスも大きくなり、「介護疲れ」によるさまざまな問題や介護者の死亡による「孤立死」の問題も表面化している。

 一方、「施設介護」に目を向けると、調査した7511事業所の介護労働従事者のうち、57.4%が人手不足と感じている。また、働く上での悩み・不安・不満の調査では「賃金と仕事内容がつり合わない(43.3%)」、「人手が足りない(42.4%)」、。「有給休暇が取りにくい(27.8%」、「健康面(感染症・けが)の不安がある(14.6%)」、「労働時間が長い(10.9%)」などが挙げられている。

 今後さらなる高齢化が見込まれるなか、「在宅介護」や「施設介護」の問題点をいかに解決するかが、現在・未来の日本にとって緊急・重大な課題となっている。



(注) 要介護認定とは日本の介護保険制度において、被保険者が介護を要する状態であることを保険者である市町村が認定するものである。被保険者の介護を必要とする度合いとして、最も軽度の要支援1から最も重度の要介護5まで7段階の介護度が設けられている。例えば、要介護3とは中度の介護を必要とする状態で、食事や排せつに一部介助が必要である。また、立ち上がりや片足での立位保持などがひとりでできず、入浴や洋服の着脱などには全面的な介助が必要である。要介護5とは最重度の介護を必要とする状態で、食事や排せつがひとりでできないなど日常生活を遂行する能力は著しく低下している。歩行や両足での立位保持はほとんどできない。

                                                              資料:国立社会保障・人口問題研究所、厚生労働省、東京新聞記事、公益財団法人 介護労働安定センター




                                                     [資料3] 総人口・将来推計人口・構成割合 (年齢3区分×年次別)
  

 年次  人口  単位  千人    割合   (%)    
   総数 0〜14歳   15〜64歳 65歳以上    総数  0〜14歳 15〜64歳  65歳以上
 昭和 5  64450  23579  37807  3064  100.0  36.6  58.7  4.8
 昭和25  84115  29786  50168  4155   100.0  35.4  59.6  4.9
 昭和35  94302  28434  60409  5398   100.0  30.2  64.1  5.7
 昭和45  104665  25153  72119  7393   100.0  24.0  68.9  7.1
 昭和50  111940  27221  75807  8865   100.0  24.3  67.7  7.9
 昭和55  117060  27507  78835  10647   100.0  23.5  67.4  9.1
 昭和60  121049  26033  82506  12468   100.0  21.5  68.2  10.3
 平成 2  123611  22486  85904  14895   100.0  18.2  69.7  12.1
 平成 7  125570  20014  87165  18261   100.0  16.0  69.5  14.6
 平成12  126926  18472  86220  22005   100.0  14.6  68.1  17.4
 平成17  127768  17521  84092  25672   100.0  13.8  66.1  20.2
 平成20  127692  17176 82300  28216   100.0  13.5  64.5  22.1
 平成21  127510  17011  81493  29005   100.0  13.3  63.9  22.7
 平成22  128057  16803  81032  29246   100.0  13.2  63.8  23.0
 平成23  127799  16705  81342  29752   100.0  13.1  63.6  23.3
   将来推計  人口            
 平成27  126597  15827  76118  33952   100.0  12.5  60.7  26.8
 平成32  124100  14568  73408  36124   100.0  11.7  59.2  29.1
 平成42  116618  12039  67730  36849   100.0  10.3  58.1  31.6
 平成52  107276  10732  57866  38678   100.0  10.0  53.9  36.1
 平成62  97076  9387  50013  37676   100.0  9.7  51.5  38.8

                                                資料:総務省統計局 「人口推計年報」「国勢調査報告」 国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口」の中位推計値




                                                       [資料4]  第1号被保険者の要介護度別認定者の推移



                                          
                                                                             ※ 実際の入試問題には22年度(2010年)は省略されています。
 





                                                     [資料5] 2013年 (平成25年) 9月24日神奈川新聞

                  介護ロボ  全国でPR

                   10月から 国補助受け9団体

全国九つの福祉事業団体が国の補助を受けて10月から、歩行補助のロボットスーツや介助リフトなどを
介護施設に貸し出したり一般展示したりする活動を始める。国の後押しによる介護ロボットの大がかりな
PR事業は初めて。高齢者の自立支援や介護者の負担軽減につながる技術が介護現場の人手不足を
補う切り札になるか、注目される。

9団体は、事業に応募して選ばれた北海道から九州までの公的機関。市販されている介護ロボットのうち
、歩行や立ち上がりなどを補助するスーツや、要介護者がベッドや車いすに「移乗」する際の介助リフト、
排せつを自動処理する装置、お年寄りがけがをしないよう見守るセンサーなど約20製品を扱う。

厚生労働省から事業委託を受けた公益財団法人「テクノエイド協会」(東京)が中心となり、9団体に100
万円〜200万円を補助。各団体は数種類の製品をメーカーから借り、来年3月まで地元の介護施設や
家庭などに貸し出すほか、体験型展示会や研修なども開く。

厚労省によると、2025年度に必要な介護職員は推計で237万〜249万人で、10年度の約1.8倍。
だが、肉体的にきつい作業と低水準の賃金などで離職率が高く、介護現場のマンパワー不足が深刻化
している。

解決策の一つとして各種の介護ロボットが開発されたが、施設では介護は人の手でするのが基本という
考え方が根強い。高額な購入費もハードルになり、なかなか普及が進まなかった。

一方、内閣府の介護ロボットに関する世論調査で約6割の人が利用したいと答えるなど、導入への期待
は高い。今回の事業を通じて安全な使い方の啓発も進みそうだ。

9団体の一つ、福祉用具プラザ九州(北九州市)の山本憲昭さんは「介護ロボットは非人間的なものでな
く介護を手伝ってくれるもの。まずは多くの人に使っていただきたい」と話している。


 介護ロボット
歩行や食事など介護される人の自立を支援し、車いすへの移乗や排せつなどの際に介護する人の負担
を減らす機器。介護者が装置することで力を発揮する機械や、言葉を発してコミュニケーションをとるぬい
ぐるみ、認知症の人の徘徊(はいかい)を感知するセンサー、荷物を載せて高齢者の歩行をサポートする
機器など多岐にわたる。経済産業省が機器の開発支援を、厚生労働省が介護現場からのニーズの吸い
上げなどをしている。

   
介護ロボットのセラピー用のぬいぐるみ
ロボット「パロ」
入浴を補助するモリトーの
介護用リフト 
   
歩行や立ち上がりなどを補助する
ロボットスーツ「HAL」
TOTOの移動できる
「ベッドサイド水洗トイレ」



                                           [資料6] 「介護ロボットに関する特別世論調査」の概要(平成25年9月12日 内閣府政府広報室)


                                              調査概要    調査対象  全国20歳以上の日本国籍を有する者3000人
                                            調査時期    平成25年8月1日〜8月11日
                                            調査目的    介護ロボットに関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする。


 ○介護の経験  
 ・あなた自身に在宅での介護の経験がある  26.3%
 ・あなた自身に在宅での介護経験はないが、家族が介護をした経験がある  11.5%
 ・在宅での介護の経験はない  62.1%
 ○介護で苦労したこと(複数回答、上位10項目)  
 ・排せつ(排せつ時の付き添いやおむつの交換)  62.5%
 ・入浴(入浴時の付き添いや身体の洗浄)  58.3%
 ・食事(食事の準備・食事の介助)  49.1%
 ・移乗(車いすからベッド・便器・浴槽・椅子への移乗動作の介助)  48.3%
・起居(寝返りやベッド・椅子からの立ち上がり動作の介助)   47.7%
 ・移動(屋内を歩いて移動する動作の介助)  37.8%
 ・認知症ケア(認知症の症状への対応)  28.9%
 ・見守り(徘徊防止や夜間転倒防止の見守り)  28.2%
 ・外出(買い物などの付き添い)  19.4%
・リハビリ訓練(体力アップを目的とした歩行などの訓練の付き添い)   19.1%
 ○介護ロボットの認知  
 ・知っていた(小計)  73.8%
    ・どのようなものか知っていた  31.9%
    ・話だけは聞いたことがあった  41.9%
 ・知らなかった  26.1%
 ○介護ロボットの魅力点(複数回答、上位7項目)  
 ・介護をする側の心身の負担が軽くなること  63.9%
 ・介護をする人に気を遣わなくても良いこと  41.5&
 ・介護を受ける人が自分でできることが増えること  35.8%
 ・介護を受ける人の心身の衰えの防止につながること  21.0%
 ・介護にかかる費用負担が減ること  19.9%
 ・人による介護より安全性が高いこと  15.4%
・最先端の介護を受けられること   13.7%


 問題


 [1]  

[資料1]下線部”They are increasing”とあるが、このことによって[資料1] [資料2] ではどのような問題が生じて
いると述べられているか、日本語で答えなさい。 
 
 [2]

(1)[資料3] [資料4] より、平成21年(2009年)は65歳以上1000人につき、支援や介護が必要とされる人数
は約何人であったか。少数点以下を四捨五入して求めなさい。

(2)[資料3] の表より、記述用紙の縦軸の□に適当な数を入れ、グラフの続きをかきなさい。
 
 [3]

[資料1] 〜[資料6] と[2]で作成したグラフから、日本の介護の将来あるべき姿について、根拠を明らかにして100
字以上120字以内で述べなさい。(句読点などもそれぞれ一字と数え、必ず1マスに一字ずつ書きなさい。なお、行
の最後のマス目には、文字と句読点などを一緒に置かず、句読点などは次の行の最初のマス目に書き入れなさい。
 
 [4]

[資料1] 〜[資料6] を参考にして、介護ロボットをひとつ考えて、そのアイデアをわかりやすく説明しなさい。説明の
中に、そのロボットを考えた理由を必ず書くこと。なお、説明には図やイラストを用いても構いません。


 塾長考察


  [1]
介護を必要とする65歳以上の人たちが増えているが、
彼らを手伝う若い人々の数が十分でないこと、また、
少子高齢化に伴い人口全体に対する
高齢者の割合が急速に伸び、在宅介護においては、高齢者が高齢
者を介護する
という状況になり、今後さらにその割合が高まっていくという問題が生じている。


 [2]

 (1) 平成21年において、65歳以上の人口は29005(千人)、また、そのうち、支援・介護が必要な方は、
4696(千人)、よって支援・介護が必要な方の割合は、
4696÷29005=0.1619・・
100人に対して、16.19人
になる。よって1000人に対しては、161.9人となり、小数点以下を四捨五入
すると、
162人になる。

 比例式で解くと

  
29005:4696=1000:X   内項の積=外項の積で、4696×1000÷29005=161.9

                                                       
162人



 (2)は記述用紙がないので省略します。



 [3]

これからの日本は
少子高齢化・人口減少の時代に向かっていきます。現在での介護職員の数では対応不
可能なので、
若者が介護資格を取りやすくできるようなしくみを制度化します。介護を学ぶことにより、自分
自身も
介護を受けないで済ませる方法を知ることができます。



 [4]

 考えた介護ロボット
 ”話すマジシャン・ロボット”

資料6の中で、介護ロボットの魅力点の中で
、「介護を受ける人の心身の衰えの防止につながること」とあり
ます。施設に入所されている方は
毎日同じ生活の繰り返しです。施設によっては誕生日会などのレクリエー
ションの時間もあると思いますが、それは月あたりにすればわずか数時間です。

それ以外の時間はどうしても毎日の生活が単調になり、多くの入所者さんは退屈な時間が多くなります。
それを解決するにはまず、
楽しい会話です。介護を受けている方が話しかけるとそれに応じて会話をしてく
れる相手(ロボット)
がいれば、明るく楽しいひとときを過ごせるのではないかと思います。なおロボットには
人工知能を搭載し、ロボット自身が会話が円滑に進むような回路を自動選択し、ロボットからも話しかけら
れるようなシステムを組み込みます。または人間そっくりの
アンドロイドロボットだとさらに親近感が湧くかも
しれません。


さらに発展して、ロボットが
マジックをしてくれればさらに楽しさが増します。カップの中に発砲スチロールの
玉やピンポン玉をいれてそれにカップに平行に息を吹きかけるとボールがポンと飛び出すというような単純
なマジックはすぐできそうです。あとはロボット技術者が開発すればいろいろな楽しいマジックも可能になる
でしょう。身体のお世話も大切ですが、
メンタル面でもケアができるロボットが必要だと思います。

               
                
                               
 参考
                                  石黒浩・大阪大学教授らが2010年に開発した「ジェミノイドF」で、目や口、
                                   ほおなど12か所が空気圧で動き、人間そっくりの表情をする。





                合格者生徒  [4] についての解答概略 



[資料6]により、介護で苦労したことの48.3%は
「移乗」とある。よって介護者の労力を軽減するために
介護者が装着するロボットスーツを考案する。それによって、腕力や足腰の筋力が弱い方や高齢者の方
楽に介護をすることができる。

介護で最も力が必要なのは、
車いすからベッド・便器・浴槽・椅子への移乗の時なので、その際に腕・腰・
足に
弾力性に富んだ人工筋肉を組み込んだロボットスーツを装着して行う。介護が必要な方を抱き上げ
る時にアームの先に手の形に沿って丸みを帯びた人工樹脂で出来た
ツメをつけることにより、持ち上げ
る動作が円滑に出来るようにする。


また、ツメのすぐ脇に指令を
調節するボタンをつけることによって、アームの固定やパワーの調整を介護
者自身の指でコントロールすることができる。

足腰につけたスーツは、腰のベルトでしっかり固定し、人工筋肉が抱き上げる時や移動する時にかかる
負荷を吸収してくれるので、介護者の腰にかかる力はわずかなものとなる。

このロボットスーツを装着することにより、
高齢者の方女性でも楽に介護が出来るようになり、在宅介護
をされる家族の方や、介護施設職員の人たちの苦労がかなり軽減されるのではないかと思う。

また介護される方々にとっても完全なロボットよりも、ロボットスーツを装着した人間のほうが気分的に
安心
が高まるのではないかという点も考慮した。


                  ※  図は3種類、描いてあります。






    平成25年度  特色検査 問題

         2月18日(月) 実施      検査時間  60分


次の[資料]1から[資料7]および記述用紙の[グラフ]をもとに後の問い[1]から[4]に答えなさい。


[資料]1 2011年10月12日、あるホームページに掲載された文章



 地球の表面のおよそ70%をおおう海洋。13.5億立方キロメートルの液体の水をたたえる海洋は、大気の1,000倍の熱エネルギーを蓄えることができる(単位体積あたりでは3,600倍)。また、風や潮汐、密度差などによって絶え間なく流動し続けている。この海洋の膨大なエネルギーに注目し利用する発電は、実にさまざまな方法がある。


 現在、日本において海洋のエネルギーを利用し発電するという技術で最も有力なのは、この海洋温度差発電であろう。私たちがイメージしやすい波力や海流を動力に使うのではなく、その熱エネルギーを利用しての発電というのは少し意外かもしれない。海洋温度差発電(OTEC:Ocean thermal energy conversion)は海水の温度の違いを利用した発電方法である。海水は表層では温度が高く、※深層では温度が低くなっている。この温度差を利用した海洋温度差発電は、以下のような原理でおこなわれている。沸点が
( 1 )アンモニアなどの“作動流体”を海洋表層の暖かい海水で( 2 )させ、その蒸気でタービンをまわし発電する。そののち( 2 )した“作動流体”を冷たい深層海水中を通すことで( 3 )に戻し、また海洋表層へと運ぶ。これをくり返すことで継続的に発電をおこなう。海洋温度差発電は、蒸気でタービンをまわすという点で、すでに電力供給の主力である火力や原子力と原理的にほぼ同じであるといえる。


歴史的に見ても、海洋の温度差を発電に使う原理は19世紀末から考えられており、古くからあるアイデアであった。しかし、当時は異なる水深の海水を汲み上げて利用するために消費されるエネルギーを発電で回収できないので、実用向きではないと考えられていた。近年、高効率で少ない温度差で発電できるシステムが開発され、アメリカやフランスなど、世界各国で実用化に向けた研究が進められている。現在の高効率化の一因でもある“作動流体”を装置内で循環させる方式が要求する海洋環境は、熱源となる表層が30〜18℃、冷却のための深層水温が5 ℃である。北緯40度から南緯40度の海洋がほぼこの条件で利用可能であると考えられている。


日本では、NPO法人海洋温度差発電機構の上原春男理事長(元佐賀大学長)が「ウエハラサイクル」を開発し、実用化に向けた研究を長年おこなっている。現時点で日本の技術レベルは世界トップであり、発電にかかるコストの試算は※NEDO 再生可能エネルギー技術白書(2010年12月)によると5※MWワットのプラントで30.4〜45.7円/※kWh、100メガワットのプラントで10円/kWh 程度と、驚くことに現時点においても他の自然エネルギーと比較して悪くない。わが国の技術開発目標として、2015年からの分散型電源としての商用プラントの運用、2020年からは大型化、2030年には50メガワット級のシステムの整備と発電コスト8〜13円/kWh 程度を目指している。




(サイエンスポータル「特集 自然エネルギー大国への転換を考える 後編ー海の持つエネルギーとその可能性」より引用一部改訂)

※深層:深度600〜1000m  ※NEDO:独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
MW:メガワット。1MW=1000kW(キロワット)。国内で計画されている1MW級の発電プラントでは一般家庭約2000世帯分の発電を予定している。 kWh:キロワット時 



         [資料2] ハワイで海洋温度差発電について学んだ中学生の手紙


                       
            August 2, 2012

 Dear Taro,

 Hello. I am in
Hawaii with my family. I 'm having a good time. The weather is beautiful.The people are nice. And the sea is so beautiful ! I swim every day in the sea. It is so much fun ! But here ,the sea is not just for fun.

 In Hawaii,
energy is made from water ! I learned it yesterday. Have you ever heard of this ? As you know, there are some technologies to make energy.For example,windpower, solar power,and geothermal power, I want to tell you another type of new technology which I learned in Hawaii.

 The technology to make energy from sea water is called
Ocean Thermal Energy Conversion. In this technology, you use different types of sea water. For example,water is taken from two different places. One from the bottom of the sea and the other from the surface of the sea.The conditions of the two places are very different.This is the important point to make energy. I think it is very interesting.

 There are some good points and bad points about this technology. Here is one of the good points. You
don't have to worry about the weather ! As you know , you can get sea water on sunny or on rainy days ! What are other good points about this new technology ? Icould tell you a lot of more about Ocean Thermal Energy Conversion , but I think it is better and a lot of fun to study it yourself , so I'll stop here. I want to hear your ideas , so write to me soon ! I'll go back to Australia next week.


  Your friend,

  
Lisa



Hawaii:ハワイ  energy:エネルギー  heard of this:このことについて聞いた

As you know:ご存じのように     technologies:技術

windpower:風力発電    solar power:太陽光発電   geothermal power:地熱発電

type:種類    Ocean Thermal Energy Conversion:海洋温度差発電

the bottom of the sea:海底    the surface of the sea:海面

conditions:状況     point:点      don't have to〜:〜しなくてよい

could〜 :〜できる      yourself:自分で




         [資料3]  海洋温度差発電の原理

 
        出展:学校図書株式会社「教科研究中学校理科」2008年





 [資料4] 海洋温度差発電可能海域(数字は表層と深度1000M地点の温度差℃)


                                                                      出展:サイエンスポータル「特集 自然エネルギー大国への転換を考える後編ー海の持つエネルギーと可能性」




         [資料5] 海洋温度差発電にともなう副産物

 
 
       出展:学校図書株式会社「教科研究中学校理科」2008年




  [資料6]  発電方法別kWhあたりの発電コスト(円)

 [資料7]  発電方法別kWhあたりCO2排出量(kg)

 
化学工学論文集「LCA手法による発電プラントの評価CO2ペイバックタイムの産出より



                                                                   問題

 [1]

 資料1は海洋温度差発電について述べられた文章である。[資料3]を参考にして、空欄
(1)(2)(3)にあてはまる言葉を入れなさい。また、海洋温度差発電が太陽光発電や
風力発電より有利な点を1つ、[資料1] [資料2]から読み取って日本語で書きなさい。



[2]

(1) [資料6]は、発電方法のコストを試算したものである。また、記述用紙のグラフにはこの
表をグラフにしたものである。[資料1] [資料6]を参考にして、グラフを完成させなさい。

(2)資料7は、発電方法別のCO2の排出量を示している。海洋温度差発電について、
[資料7]と記述用紙のグラフから、読み取れることを書きなさい。



[3]

[資料1] [資料2]では、海洋温度差発電の利点や将来の可能性が述べられている。しかし
、国内においてはまだMW級の実証実験が行われていない状況である。そこで、実用化
が進まない理由を考えて説明しなさい。



[4]

[資料1]から[資料]7を参考にして、海洋温度差発電の実用化を進めるためのアイデアを具
体的に書きなさい。なお、説明には図や絵などを用いてもかまいません。



  [1] の答


   (  )の中の答  (1)  低い  (2)  気化  (3) 液体



             海洋温度差発電が有利な点


太陽光発電は雨や曇りの時には発電能力が落ち、また風力発電は風が吹かないと発電
できないなど天候に左右されるのに対し、海洋温度差発電は、海水を利用するので天気
や風などの
自然現象に関係なくエネルギーを得ることができ、継続的に発電を行うことが
可能である。
これが海洋温度差発電の有利な点である。

   [2] については、グラフを描いてある記述用紙がないので、省略します。


  [3] の塾長考察


  (1点目)

MW級の実証実験を行うためには、1000mレベルの深海を表層へ送るための
プラント建設に莫大な費用がかかることが予想されます。大量の海水を長距離くみ上げるために設置するパイプだけでも、相当のコストがかかります。国や地方自治体が単独で行ったり、民間のいくつかの企業がジョイントしたとしても、費用の捻出に無理があるのではないでしょうか?

 
(2点目)

資料を見ると、日本近海の表層と深度1000m地点の温度差は
16℃で低緯度の海と比較すると温度差が小さく、同じプラントを建設するにしてもエネルギー変換効率が低いため、採算が合いません。

もし、赤道近辺の海と同様の温度差を得るためには、温度の低い1000m以上の深海から深層水を汲み上げる必要があり、そのためには
多くの電気エネルギーを消費し、また新たなコストを負わなければなりません。経済的に大変な出費となります。


           以上が実用化が進まない理由と考えられます。





  [4] の塾長考察


  
 赤道直下地域でのプラント建設 及び そこからの電力供給



資料[4]によると、赤道付近の海では、表層と深度1000mの温度差が24℃とあります
。これは日本近海の16℃と比較すると、エネルギー変換効率ではかなりの差が出ます。
そこで、
赤道直下にプラントを建設します。

しかし、プラントの建設はその国の海上を占有するため、海洋法により日本所有の施設
建設は不可能なので、海洋温度差発電には最適地である、
インド南部・インドネシア・
マレーシア
などの国と協定を結び、資金を捻出するために国(地方自治体)と民間企業
第3セクターを作り、現地法人に資金を提供し、また日本からも技術者を派遣して、
プラントを建設します。


そして、そこで得た電力を送る方法ですが、赤道直下の国から日本まで電気を送ること
になると、数千キロメートルの海底ケーブルを引かなければならず、これはコスト的にも
費用がかかるので、
マイクロ波を利用します。

現地で生産した電気をマイクロ波に変換し、日本に送り、日本の受信施設で再び電力に
変換する方法を採ります。このマイクロ波による送電方法は、宇宙での大規模なソーラ
ーパネル設置(静止軌道や月の表面に設置するなど)による太陽光発電でも、実用化が
計画されています。



今ひとつは、資料[5]からわかるように、深層水を汲み上げることによっての
副次利用
して、発電だけでなく、持続・並行的に海水の
淡水化や、淡水にすることによって飲料
や燃料電池の原料になる水素の製造、また、リチウムなどの有用資源の回収などの
複合利用が可能になります。

アジアでは、
飲料水の汚染などが深刻な問題となっていますので、海水を淡水にするこ
とは、それをさらに飲用可能な水にして安価で供給することによって、汚染水により多数
の伝染病患者や死亡者を出している国への有効な援助ともなり得ます。


さらに深層水を冷媒資源として、現地の冷房施設での
冷熱に利用したり、また、日本は
現在、エビなどを
東南アジア漁業での養殖に頼っている部分が多いですが、深層水は
清浄でかつ栄養にも富んでいますので、現地での水産物養殖に汲み上げた海洋深層水
を複合的に利用することも可能になります。


他の経済的な面では、プラント近くで停泊中の
船舶への電源供給などで利益を上げ、コ
ストの回収を計ります。



以上からわかるように、国や地方自治体と民間が一体となり、また日本だけでなく、協働
パートナーを得て他の国々との
共同事業としてグローバルな計画をしていくのが最善で
あると考えます。




                     

                     
                 
 マイクロ波

            



                                     

 合格者生徒の解答概略

  [1]  (   )の中の答

 
(1)  低い  (2)  蒸発  (3) 液体

      有利な点

 
天候の影響を受けにくい


 
[2]は、グラフを記述してある用紙がないので省略します。


 
[3]

MW級のプラントを建設した場合、その下に生息する海洋生物に光が届かなくなってしまい
光合成を行う藻類・海草類などの生育を妨げる

また海洋温度差発電で利用しているアンモニアが、事故や老朽化などでパイプが損傷し、
漏れ出した場合、生物によってアンモニアは害になるので、その海域の生態系が崩れて
しまう恐れがある。

 
 
[4]

発電機そのものを透明にする
。それによって光が海中にも届き、海洋での二酸化炭素の
吸収源である
植物プランクトンや、海草などに悪影響を与えにくくなる。また透明にするこ
とで内部の様子を見ることができ、プラント見学施設ということが可能になり、環境教育に
も使えるし、さらに入場料をとることによって、プラント運転経費の削減にもつながる。


今1つは、アンモニアの海水流出を防ぐために原子力発電で行われているシステムを応
用した方法を使う。


                     
 外側のパイプ外側のパイプ
                  
                   冷却装置


パイプの外側にさらに腐食に強く、強度の高いパイプを内側のパイプを覆うように取り付
ける。そうすることで、事故などで内側の管が壊れても、外側の管にアンモニアが流れ、
冷却装置にアンモニアが到達し、液体に戻される。これによりパイプが
損傷して、補修さ
れるまでの間も、アンモニアが海中に漏れる心配がなくなり、安全な運転が継続できる。







    平成24年度 前期選抜  特色検査問題

                 
検査時間  60分





 次の[資料1] と [資料2] を参考に以下の「1」、「2」を完成させなさい。

                                                                   [資料1]

地上波テレビ放送のデジタル化を契機とした新タワー建設構想は、2003年12月に、NHK と在京の
民放5社が将来600m 級のタワーが必要であるとして「在京6社新タワー推進プロジェクト」を立ち
上げたことから始まる。

用意されたのは、敷地面積は広いものの東西方向に細長い敷地で、安定感のあるタワーを造る
ために、建設予定地にどのような底面をとるかが検討された。タワーは、足元の幅が長いほど構
造的に有利に働く。そこで、この敷地においてタワーの足場の幅を最大限確保できる平面形状を
求めると、一辺の長さが約60mとなる正方形や同じく直径が60cmとなる円形よりも、北に頂点
をもつ正三角形だと一辺の長さが約68cmとれることが分かった。

今回の設計では、構造物が高いという理由だけでなく、底面の辺に対する高さの比率が大きいた
め、地震時や台風時に個々の部材に作用する力が大きくなる。そのため、高強度で断面積の大
きな部材が必要となった。断面積あたりの強度を示す「降伏強度」という値で、東京タワーが240
N(ニュートン)/mm、東京スカイツリーでは場所によって400〜630N/mmのものを使用
している。単純に言えば約2倍の強度を持つ材料となる。

同様の理由で、その部材の接合方法も溶接が前提となっている。そうした結果、「高強度」で靭(じ
ん)性(粘り強さ)が高いだけでなく、予熱等の問題を含めて溶接性にも優れた鋼材を使用する必
要があった。今回使用した、降伏強度が400 N/mm2以上の鋼材は、これらの要求性能を満足す
るとともに、東京スカイツリー建設のために国土交通大臣の認定を取得して採用された鋼材であ
る。

一方、風や地震による「揺れ」の対策では、大きな建物の足元には、一般的に棒状の杭が打ち込
まれる。背が高く横揺れに弱いと考えられる東京スカイツリーには、特にしっかりとした基礎が必
要とされた。この要求に応える技術として採用されたのが「ナックル・ウォール」である。

その名の通り表面に節(ナックル)を付けた壁状の基礎で、節によってスパイクシューズの靴底の
ように地面との摩擦抵抗が大きくなっている。このようにすることで、揺れによって生じる「引き抜き
力」や「押し込み力」に対抗できる。

風の対策では、「ラジオゾンデ」というGPSのような発信機をつけた気象観測気球を飛ばし、上空
の風の状態を調査した。その結果、高さ610mで想定した平均風速は79.1m/秒で、その風が
1500年間続いても建物が維持できるよう設計されている。上部になるにつれて断面が丸みを帯
び、高さ約300mから円形になるのも、どの方向から吹いてくるか分からない強風にもバランスよ
く対応することができる機能面の理由がある。

さらに揺れを抑える制振システムには、「質量付加構造」という技術を応用している。この「質量付
加構造」とは「構造物本体」の揺れとはタイミングがずれて揺れる「おもり」を構造物に組み合わせ
ることで、構造物全体の揺れを小さくするという原理である。

タワー中央部に配置した直径8m、地下から高さ375mまでの鉄筋コンクリート造円筒=心柱(し
んばしら)が「おもり」にあたり、その外側の鉄骨造部分が「構造物本体」となる。高さ125m以下
は鋼材により塔体とつながれ固定されているが、高さ125m〜375mまでは塔体との間はオイル
ダンパーでつながれ、「おもり」の役割として揺れるように設計されている。これらを構造的に切り
離し、別々の挙動をさせることで、各々の部分に作用する地震力を相殺させることが可能となった


心柱という名称は、日本の伝統建築であり、地震による倒壊例がほとんどない五重塔から引用し
ており、五重塔にある心柱が、同じく、周囲の屋根を支持する柱と梁(はり)※1の構造部分から切
離されていることに由来している。

心柱と現代の制振技術を融合させたのが、世界初の制震システムである「心柱制振」であり、心柱
は、タワー本体と構造的に分離されているので、地震の際にタワーとは異なる揺れを起こして全体
の揺れを低減する。この「心柱制振」により、地震時のタワーの揺れを最大約50%低減することが
できる。



  ※1 建物の屋根や床の重みを支える基礎の部分



   参考資料(ウェブサイト)

  「東京スカイツリーの安全性」 (日建設計)

  「スカイツリーうんちく」 (大林組)






                                                                   [資料2]

                   @東京スカイツリーの構造     


                    (各階層断面図)
                      

                     





    A高度別風速分布図                 Bある台風通過時に観測した時間別風速値

             
                  風速(大)→         ※ 500〜600mで風速が最も大きくなる
                                  ことがあり、単純な予測ができない。





   Cナックルウォールのしくみ                  D心柱の構造

                  

 
 ナックルウォールとは、節がついた壁状の   ※ 構造的に分離されているタワー本体と心柱は 
   基礎で、揺れによって生じる「引き抜き力」     可動域において互いにぶつかることがないよ
   や「押し込み力」に強い。
                
オイルダンパーでつながれている。
                                    オイルダンパーは地震時にクッションのような
                                    役割を果たして揺れを軽減させる。



 @、C、D 「化学と工業」 Vol.63・11 2010

 A、B 「大林組HP」より引用一部改訂







                          
                        問題

 「1」

世界一高い電波塔である東京スカイツリーを建設する際に生じた問題を3つ書きなさい。
さらにそれぞれの課題に講じた解決策を簡潔に書きなさい。




 「2」

あなたは今度建設する巨大高層ビルの構造責任者になりました。そのビルとは「東京スカイツリー
と同じ条件の建設予定地で、同じ高さまである居住性のあるオフィスビル」です。あなたはどのよう
なビルをつくりますか。東京スカイツリーのような電波塔と高層ビルとの違いによって生じる問題点
の1つに着目し、その対策を含めた具体的なビルの建設計画を書きなさい。

なお、図や絵などを用いてもかまいません。




前期選抜合格者  「2」の解答概略


法隆寺に使われているパルテノン神殿のエンタシス設計で建設します。理由は、当時、柱の中央が膨らんでいる
というのは人間が故意にしたと予測でき、遣隋使・遣唐使を通じて西洋の文化が伝わってきたことが分かります。
法隆寺などの五重塔は非常に優れた建造物なのでこれを応用できないかと考えました。

問題点は電波塔は上部ほど細くなっていき、地震時には上部を大きく揺らして耐震しますが、オフィスビルでは下
の階と同程度の
面積居住性が求められるので、大きな揺れを防がなければならないことです。

そこで、上の階でも揺れが最小限に抑えられる方法を考えました。まずエンタシス設計で高層ビルの中央に膨ら
みを持たせます。(図を実際に描いていますが省略します)しかし、中央に膨らみをもたせるとなると、地震時、
揺れに耐える部分が地面とビルとの境になってしまいます。エンタシスの場合、中間部に膨らみがあるので上部
を揺らすことが出来ません。

そこでビルと地面との間に、資料1の中にあった高強度で靭性のある鋼材を使用した、太くて巨大な
バネ(スプリ
ング)
を複数接続します。地下部分のバネの固定にはこれも資料にあったナックル・ウォールを採用します。これ
によって地震時には地面だけが揺れ、
バネが揺れを吸収し、高層ビルの揺れを最小限に抑えることが出来ます
。(これも図を描いていますが省略します)


この方法は、おそば屋さんが出前する時に、オートバイの荷台についている
どんぶりを載せる装置から思いつき
ました。オートバイが走っているときでもどんぶりはあまり揺れていなかったからです。



 
 パルテノン神殿




 考察


                [1]   課題と解決策


 @ 建物建設予定地にどのような底面をとるか?

北に頂点をもつ一辺の長さが約68mの正三角形の平面形状にする。



 A 個々の部材に高強度で断面積が大きく、溶接性にも優れた鋼材が必要

国土交通大臣の認定を取得して採用された400〜630N/mmの鋼材を使用した。



 B 風や地震による揺れの対策

地震の揺れによって生じる「引き抜き力」や「押し込み力」に対抗するために、地面との摩擦抵抗を大きくする「ナックル・ウォール」を採用し、さらに揺れを抑えるために「構造物本体」の揺れとはタイミングがずれて揺れる「おもり」を構造物に組み合わせることで建物全体の揺れを小さくする。



 
[2]  電波塔と高層ビルとの違いによって生じる問題点とビルの建設計画


高層ビルでは人が仕事をしたり生活したりするので、
中の人に不快感をもたせないこと、部屋の中の精密機械や貴重品を守ることを目的に建設計画を立てます。

そのためにはビルの機能が損なわれずに
振動のエネルギーをできるだけ吸収することが必要になります。


そこで基礎の部分には、水平方向の揺れを吸収させるために
硬質ゴムと金属板を組み合わせたものを用い、上下の階の揺れ幅を均等にし揺れのエネルギーを減少させます。

また、
法隆寺に代表される日本の五重塔が今まで倒壊したことがない理由は、各階が独立した空間を重ねていて、外から力が加わってもそれぞれに分散して伝わるからではないかと推定されます。

方法としてビルを下階から建設していく時に、上の階との間に
オイルダンパーバネを平行に接続し、さらに上部の階との接続部に変形の繰り返しに耐えられる金属を用いた鋼材ダンパーを各々設置していきます。各階にオイルダンパーとバネがあるので、大きな外力がかかっても、これらの装置が各部分でエネルギーを吸収してくれるので全体の揺れを軽減してくれます。よって居住性安全性を保持し、ビルの中の資産も保全することができます。
  

  
 
                        
                          
硬質ゴムと金属板
                       




                     
                        
バネとダンパー
                     
                        
バネとダンパー
                     







                                 
上階
                           
鋼材ダンパー
                          
バネ
                          
オイルダンパー
                           
      下階












   横浜サイエンスフロンティア高校  平成23年度 前期選抜

 
平成23年 1月25日(火)   特色検査問題   検査時間 60分




   [説明文]

  次の[資料1]とグラフ1・2より[1]を、さらに[資料2]を参考に[2]を完成させなさい。



                                                                  [資料1]

宮古島は東京都より約2,040km、沖縄本島からは約290kmに位置し、台湾からの距離は約380kmある。
島の面積は約280km、気候は亜熱帯性で、サンゴ礁の海に囲まれた自然豊かな美しい島である。

地質は水を通しにくい泥岩の層の上に、水を大変通しやすい琉球石灰岩が重なり、その上を島尻マージ
と呼ばれる保水力に乏しい褐色の土が浅く広く覆っている。


宮古島では約5万5千人の島民が生活しているが、急速な高齢化が進んでおり、平成12年の国勢調査
では、65歳以上の高齢者率は21%と県平均と比べても大きく上回っている。

基幹産業は農業であり、特にサトウキビ生産が盛んで、全体の作付面積の8割以上を占めている。
農業就業人口比率は23%となっており、沖縄県全体と比較すると約4倍と高く、一戸当たりの平均農用
地面積も沖縄全体が1.5ヘクタールであるのに対して、宮古島では1.7ヘクタールと大きい。※1


宮古島は、川や湖などの水資源がなく、島民の飲料水は地下水に全てを依存する世界的に例を見な
い島であり、地下水汚染が生活および生命に直ちに影響を及ぼす。宮古島の土地利用状況は約65%
が農耕地として活用され、そのため畑に施用される化学肥料のうちの、植物に吸収されなかった硝酸
態窒素(硝酸イオンのように酸化窒素の形で存在する窒素のこと)が宮古島の命の源である地下水を
汚染している。

宮古島においても、近代農業の象徴である化学肥料が1980年代以降、急速に普及し、農耕地拡大と
ともに作業の省力化や作物の生産性の向上に多大な貢献をした。しかし、その代償として化学肥料要
素の硝酸態窒素によって、島民の生活に必要不可欠な地下水が汚染されている。(グラフ1)


日本の水道法では、硝酸態窒素濃度が10mg/L以上の水は飲料水として使用できないと規定されてい
る(グラフ2)※2。しかも硝酸態窒素は水中でイオン化し安定性も高いため、浄水場では除去すること
ができない。

世界では、硝酸態窒素などに汚染された水や不衛生な水を飲んだりして、8秒間に一人の幼い命が失
われており、人命も危機にさらされている。なぜ、硝酸態窒素に汚染された水が人命に関わる大きな
問題を引き起こすかというと、還元された亜硝酸態窒素はヘモグロビンの酸素と結合するため、体内に
酸素が供給されず呼吸困難に陥ってしまうからである。


作物栽培上、重要な肥料要素のうち、リン(P)はリン鉱石でしか生産できず資源的に限界がある。
日本にはリン資源がほとんどなく、その全てを輸入に頼っているのが現状である。※3

学者Reidingerは、現在の生産量が年率5.4%で伸びるとすると約43年後にはリン鉱石は枯渇すると推
定しており、人類の生命を維持するための食料生産は危機的状況にある。


宮古島のような周囲を海に囲まれた島嶼域では、島外から移入される大量の化学肥料のみに頼った
施肥方法から、島内で有機物資源を循環させる目的で有機肥料を研究開発し、島の農耕地に活用した
有機農業への転換は急務である。

また、小さな宮古島において有機資源の地域循環を促進することは、環境への負荷を軽減でき、特に命
の源である地下水への窒素負荷の軽減にも繋がり意義がある。

宮古島には、サンゴ由来の琉球石灰岩を母岩とする暗赤色土の琉球石灰岩土壌というアルカリ性を示
すカルシウムを豊富に含有した土壌が多く分布しているが、その有効土層は浅く保水力に乏しい。


そしてそこに多量の化学肥料が施用され、その中のリン酸の大部分は琉球石灰岩土壌中のカルシウム
と反応し、固定化されることによって難溶性のリン酸カルシウムが形成され、土壌に蓄積するものと推測
される。施用したリン酸の80〜95%が固定化されてしまうのは無駄が大きいばかりでなく、土壌中のリン
酸の蓄積量を増大させる要因となっている。







    
第六回日本水大賞(2004年)青少年研究活動賞受賞

     沖縄県立宮古農林高等学校(現、宮古総合実業高等学校) 環境班

     「宮古の水を守れ−土壌蓄積リンで環境に優しい有機肥料作り−」序論より引用一部改訂

     



    ※1 沖縄総合事務局宮古伊良部農業水利事業所/地域の状況 ホームページ

    ※2 宮古島地下水水質保全対策協議会 1997 宮古島地下水水質保全調査報告書

    ※3 栗原淳・越の正義 1986 「肥料製造学」 養賢堂:P95−143





     
              グラフ1


             宮古島の地下水に流入する窒素の供給源
   
      

                              
 年間負荷量 960t

      
  宮古島の地下水水質保全対策協議会ホームページより作成


     
※ 実際の試験のグラフは平面の円グラフで、数値は小数点以下を四捨五入しています。
       また図Vー19以下の表示はありません。





       
              グラフ2


        宮古島の地下水硝酸態窒素濃度の推移

     


     
宮古島地下水水質保全対策協議会ホームページより引用


   
  ※ 実際の試験のグラフ中には、下記のただし書きが挿入されています。

         1966年の調査は当時の琉球政府企画局によるもの
         本協議会は1989年より調査

       また、図中のy=-0.0973X+200.95  R2=0.7879の数字は記されていません。
      







                                                                    [資料2]

 
 宮古総合実業高校  ソバ収穫を体験

宮古総合実業高校では現在、宮古島の地下水保全や農家の収入向上につなげようと日本そば※1
の原料となるソバの試験栽培に取り組んでいる。同校に統合された旧宮古農林高校環境班が開発
し、2004年に「ストックホルム青少年水大賞(水のノーベル賞)」を受けた有機肥料も使い、2年以内
をめどにサトウキビ農家の裏作として普及を図る予定。5月30日には今年の収穫が始まった。


同班の前里和洋教諭によると宮古島のサトウキビ畑約8600ヘクタールのうち約4000ヘクタールは
毎年、収穫後の3月から8月ごろまでは何も植えられていない状態という。

また梅雨時期に地下水を汚染する硝酸性窒素の濃度が上がることを挙げ、前里教諭は「キビに使わ
れた化学肥料が雨で地中に流れるためではないか」と分析する。

こうしたことを踏まえ、前里教諭は硝酸性窒素を吸収するソバを島内のサトウキビ収穫後の畑に植え
「水のノーベル賞」を受けた有機肥料のバイオ・リン※2で育てることを目指している。この取り組みで
(1)硝酸性窒素を吸収し地下水への流出を防ぐ(2)農家の収入が上がる(3)環境教育が普及する
などの効果を期待する。

ソバ栽培を始めたのは、前里教諭が地下水保全型の農業を模索していた時に九州沖縄農業研究セ
ンターの研究員にすすめられたことがきっかけ。03年に校内の農場で生徒らと試験的に栽培し、約5
キロの実を収穫した。

面積を徐々に拡大し、今年は前年の約50アールから約80アールまで広げて3月下旬に種をまいた。
今回は計約800キロの実の収穫を見込む。



                     
       (2008年5月31日 「琉球新報」より引用一部改訂)


※1 日本そばは収穫期間が50〜55日と短く、リン・窒素の吸収力が強い。

※2 「バイオ・リン」と名付けた肥料は、これまで畑に大量に施肥され、土壌に蓄積されているリン酸を微生物で溶解し
    、リンを再利用することで化学肥料の使用を低減しようというもの。


 問題
  [1]

[資料1]とグラフ1・2より、近年宮古島が抱えている「地下水」、「土壌」の問題点をそれぞれ1つずつ書きなさい。また、その原因も合わせて書きなさい。



 
[2]

[資料2]を参考に、あなたが宮古島の農水事業の責任者になったとしたら、環境の負荷を軽減し、かつ[1]の問題を改善していくために、どのような計画を立てますか。計画の目的と、それに基づく具体的な方法をできるだけ詳しく書きなさい。方法の説明には図や絵を用いてもかまいません。





  塾長 考察

                                                          [1]

   問題点  原因
 地下水 飲用に不適な限界量に近い程度まで地下水が汚染されている
畑に施用される化学肥料のうち、植物に吸収されず、地下水に溶け込んでしまった硝酸態窒素が原因
 土壌 施用した肥料中のリン酸の80〜95%が固定化され、土壌中のリン酸の蓄積量が増大している カルシウムを豊富に含んだ琉球石灰岩土壌に施用された化学肥料のうち、リン酸の大部分が土壌中のカルシウムと反応し、難溶性のリン酸カルシウムが形成されてしまうことが原因 





                                                                         [2]

             計画 1  無肥料栽培への転換


      
 目的  化学肥料に含まれる硝酸態窒素の発生防止
 


                     方法 

本来、土には肥料を使用しなくても作物を十分に育てることができる機能を持っています。
実際、日本で無肥料栽培を実施する農家は急速に増加しています。

方法としては、土が持っている機能を発揮できるようにするために、施肥を廃止します。
しかし、実施している農家の数は増えているとはいえ、そのノウハウや土の自然の力を
引き出すような技術を学ぶために、実施者同士でネットワークを組み、情報交換をして、
十分な観察をしながら作物管理をしていきます。

これにより、肥料代がかからない・労力が減るなど環境負荷の軽減にもなります。
ただ、無肥料栽培に転換してすぐ結果が出るとは限らないので、収穫量が減少したり、
不安定になる場合も考えられます。そこで生産量が安定するまで、また、土壌が無肥料
栽培に適するようになるまで、国や自治体に資金の貸し付けや金銭の援助を要請します。








      
計画 2  土壌中のリン酸カルシウムの分解


      
目的  土壌中のリン酸の固定を軽減してリン酸の有効化を図る
  



                     方法

固定化されたリン酸カルシウムを分解するために土壌の中に多量のミミズを投入します。
土でミミズが活動することによって、ミミズから排出される糞中にはリン酸化合物を分解
する力があるので、リン酸カルシウムを植物が吸収しやすいリンに変えることが可能に
なります。


ミミズの糞が地表や地中にばらまかれ、リン酸を分解し、それが植物の根に吸収されて
いきます。これはリン酸の再利用になり、リンを改めて施肥する必要がなくなります。また
リン酸肥料の原料はリン鉱石で、将来枯渇するのは確実ですので、土中のリン酸を使っ
ていくことにより資源の節約になり、肥料のための資源を採取する必要がなくなるため、
環境負荷を軽減することができます。






                     
                     
植物の根

                           
吸収

                      

                     
                    
リン(無機物)

                      

                        
分解

          
                     
                   
 リン酸化合物




    前期選抜合格者 [2]の解答例


 

          目的: 硝酸態窒素とリン酸を取り除くこと

                     方法

まず、宮古島の農家ではサトウキビの収穫後の月から月まで何も植えてい
ないため、そこに硝酸態窒素を除くために硝酸態窒素を栄養とするソバのよう
な植物を栽培したり、土中に微生物を入れたりします。

また、サトウキビを収穫中の間でも微生物を使うことによって、硝酸態窒素を
吸収しながら、サトウキビを育てることができると思います。


リン酸においては、宮古島のサンゴにある琉球石灰岩土壌中のリン酸が反応して
難溶性のリン酸カルシウムになり、リン酸が蓄積してしまうため、バイオ・リン
やリン酸を吸収する微生物を入れた溶液を使い、それを全体に撒き散らすことに
よって土壌中に含まれているリン酸やリン酸カルシウムのリン酸も吸収し、蓄積
量を減らせるのではないかと考えます。


これらの方法を使えばサトウキビを使う農家も他の植物での収入を得ることが、
可能になり、またこれらは自然のものを使うため、環境への負荷を減らしなが
ら漏れ出した硝酸態窒素とリン酸を取り除くことができると思います。









平成22年 1月25日(月)

横浜サイエンスフロンティア高校  特色検査問題

検査時間 60分

  


 説明文

                                           次の資料1から資料4をもとに「1」「2」を完成させなさい。



                                                                       [資料1]

 金星と地球はともに46億年前に、似た過程でつくられた惑星であると考えられています。
岩石の表面をもち、大きさや密度は同じくらいです。金星は太陽からの距離が地球の約3
分の2で公転と逆方向の非常に遅い自転速度であることから、1日が非常に長くなってい
ます。また大気圧が90気圧、二酸化炭素が主成分で、二酸化硫黄の雲から硫酸の雨が
降り注いでおり、厚い大気で覆われている地表は常に気温400℃以上と推定されていま
す。

太陽系の惑星のうち、水星・金星は地球より内側の軌道を回っています。金星については
、1960年代から米国と旧ソ連が競争するように多くの探査機を打ち上げてきました。
そして探査機が金星に近づいた時に、撮影が試みられたり、接近・着陸が試みられました


 1962年に打ち上げられた米国のマリナー2号は、金星の観測に成功し、高い大気圧と
遅い自転周期、磁場が非常に弱いことなどがその時にわかっています。1967年のマリナ
ー5号は、金星高度4000kmに接近し磁場や放射線環境、金星大気などを観測しました
。また、1973年のマリナー10号は高度400kmからの最初の金星撮影に成功していま
す。

旧ソ連では、1967年にヴェネラ4号から金星へ降ろされた探査機が高度約25kmで故障
するまで計測データを送ってきました。1970年の7号は衝突に近い硬着陸(ハードランデ
ィング)に成功、続く8号は風速の高度分布の測定に成功し、着陸後もしばらく信号を送っ
てくることができたため、表面温度や気圧、地球の曇っている日と同じ程度の明るさである
ことなどまでわかりました。

1975年のヴェネラ9号、続く10号は、30ー35km上空の雲が30ー40kmの厚さを持っ
ていること、大気圧が90気圧であること、表面温度が485℃であることなどを計測し、さら
に1981年のヴェネラ13号・14号では、軌道周回船と着陸船に分かれて探査し、着陸船
は着陸後2時間耐え、地表のパノラマ撮影に成功しました。


ヨーロッパ宇宙機関は探査機「ビーナス・エクスプレス」を打ち上げ、2006年に金星の観
測用軌道に到着し、金星の大気そのものの観測を続けています。大気は猛烈な風(スー
パーローテーション)となって表面を移動しています。その速さは高度を増すごとに速くなり
、最大4日で金星を1周してしまうほどです(自転の60倍)。現在、さまざまな波長で大気や
気象を観測してメカニズムの解明を目指しています。


次に金星を目指しているのが日本です。2010年に金星探査機PLANETーC(あかつき)
の打ち上げ計画があります。PLANET-Cの電波受信のためのパノラマアンテナは、一般
のすり鉢型では、その構造が太陽熱に対してレンズのように働いて熱を凝縮して船体を
損傷してしまうため、平らな形状が採用されています。PLANETーCはさまざまな波長で
大気を観測しますが、鉱物の分布、地上の火山活動、雷、雲の下の大気、雲の動き、
そして大気から宇宙空間に逃げ出す物質など、金星を立体的に調査できると期待されて
います。


   (宇宙技術開発株式会社ホームページ・JAXAホームページより引用一部改訂) 


※ 二酸化硫黄(SO)は、空気中の酸素や水と反応して硫酸(H2SO4)になります。
  また、硫酸は多くの金属を腐食します。




  [資料2]  金星の気温・気圧の高度分布






  [資料3]  地球と金星の大気循環のイメージ




                               JAXAホームページより作成




[資料4]   金星・地球・火星の比較
   金星  地球  火星
 太陽からの距離(地球1)  0.72    1.52
 赤道半径(地球1)  0.95  1  0.53
 質量(地球1)  0.82  1  0.11
 地表での重力加速度(地球1)  0.91  1  0.38
 自転周期(地球1)  243  1  1.03
 公転周期(地球1)  0.615  1  1.88
 大気の主成分  二酸化炭素(96.5%)  窒素・酸素  二酸化炭素(95.3%)
 平均地表気圧(気圧)  90.92  1  0.0055
 平均地表温度(℃)  460  17  −60

                                                                                         JAXAホームページより作成





 問題

金星の探査や観測が非常に困難である理由をできるだけ多く答えなさい。答えは箇条書きでかまいません。

金星の探査や観測が非常に困難であるにもかかわらず、人類はあえてそれに挑戦してきました。さて、あなたが金星の地表面で探査や観測をする計画の責任者となったとしたら、どのような方法で研究を進めますか。

金星での探査・観測のテーマ名・何のために金星を調べるのか(目的)、さらにその方法をわかりやすく工夫して書きなさい。

なお、方法の説明には図や絵などを用いてもかまいません。




 前期選抜合格者  解答概略


@ 硫酸の雨が降り注いでいるので探査機が腐食する可能性がある。

A 太陽に近い(約1.1億km)ので、地表温度400℃以上という高温に探査機がどの程度耐えることが可能であるか。

B 表面の気圧が90気圧もあるので、探査機の耐久性と移動の困難さが問題。

C 厚い大気の層で覆われているので、探査機が金星大気に突入する時の摩擦熱によって損傷が起きる可能性がある。

D 猛烈な風(スーパーローテーション)が吹いているので、目的地に着陸しにくい。 
 



 テーマ
  金星独自の資源調査・採取


 目的

金星は地球と比較して気温・気圧・大気の成分などの環境が大きく異なってはいるが、そのような厳しい条件にも耐えうる物質があるかもしれない。

濃硫酸などの強酸にも反応せず、高温でも溶けない、融点が非常に高い金属が存在するかもしれない。また地球ではわずかなレアメタル等も発見できたら、それらと一緒に採取して地球に持ち帰り、分析・研究の対象にし、金星環境との関連性を調べる。

そして、これから温暖化が懸念されている現在の地球との接点の有無を調査する。


  方法
現在の状況では有人探査は不可能なので、金星の厳しい環境に十分耐えられる高性能無人探査機を
作る。
そのために今まで打ち上げられた、アメリカ・ロシア・日本の探査機の長所・短所を調べ、観測の目的
ごとの結果を考察する。そして多くの情報を得て探査機を打ち上げ、資源調査を開始する。

そして、今までの調査結果や新しい情報をもとにして、資源調査が可能な安全な場所に着陸し、金星
環境に耐えられる鉱物・金属を採取し、それらを研究し、新しい素材を開発し、探査機の更なる性能
アップにつなげていく。

さらに研究開発を重ね、金星環境に耐えられる宇宙服を作り、将来は有人探査を可能にしたい。そして
金星にある地下資源を研究することにより、現在の地球の残り少ない化石燃料の代わりとなり得る物質
を獲得できるかもしれない。それは地球環境の破壊を防ぐことに結びつくのではないかと思う。



 塾長 考察

金星を調べる目的は、金星における温室効果の過程・現状と地球との比較

 今一つは、地球における新エネルギーとして期待される未開発物質の発掘



 

内惑星である金星は、地球と大きさや密度が非常に近く地球と
「双子の惑星」と言われているほどです。

数字で示すと、地球より半径は5%、質量は18%小さいだけで、平均密度も5.24g/cmと少し小さい程度です。(地球は5.52/cm

しかし、大気の成分は地球とは全く異なります。金星の高度45kmから70km付近は、分厚い雲で覆われていますが、この分厚い雲には濃硫酸が含まれています。金星が明るく輝いて見えるのは、この濃硫酸が太陽光をよく反射するからなのです。

また、金星の大気は二酸化炭素が96%を占めています。その結果、温室効果で表面温度が約460℃以上という、金星よりも太陽に近い水星よりも高温になっています。

では、なぜ金星には二酸化炭素が多いのでしょうか?ヒントは「資料4」です。火星の大気も、二酸化炭素が95.3%とあります。金星とわずか1%しか違いません。

金星や火星に二酸化炭素が多いというよりも、地球に少ないというのが正解です。実は原始地球も金星や火星と同じく、大気の主成分は二酸化炭素だったのです。

しかし、地球には海ができたのです。そして海水とその循環によって二酸化炭素を吸収し、地殻に閉じ込める機能をもったことで、二酸化炭素を劇的に減少させたのです。


つまり、KEY WORDは、
「水」です。水が環境を安定させるポイントなのです。

惑星の表面に液体の水が存在できるかどうかを決める要素の一つが、中心の恒星(太陽)からの距離です。地球よりも少し太陽に近い金星では、太陽に近すぎて、その表面に液体の水は存在できないのです。

また、地球よりも外側を公転している(外惑星)である火星では、表面の水は凍りついてしまいます。(最近の調査では内部に水の存在が確認されていますが・・)

太陽系の場合、液体の水が存在できる領域は、金星の公転軌道と火星の公転軌道の中間にあります。また、その場所に惑星があった時にその表面に液体の水が存在できる領域のことを
「ハビタブ・ゾーン」(生命居住可能領域)と呼んでいます。地球は絶妙なバランスの軌道に位置しているのです。


 
太陽からの平均距離(公転軌道半径)
 金星 1億 820万km 
 地球  1億 4960万km
 火星  2億 2790万km
                               

※ ハビタブル・ゾーンは、地球の公転半径の前後約10%と言われています。




しかし、金星にも誕生して間もない頃には
「海があった」という説があります。ところが太陽に近かったために海水はすべて蒸発し、水蒸気となった水は強烈な紫外線にさらされ、水素と酸素に分解されました。

そして、軽い水素と酸素の一部は宇宙空間に逃げ出してしまい、残りの酸素は地面の酸化鉄に吸収れていきました。そうして大気中には、二酸化炭素ばかりが残り、高温・高圧という過酷な環境になってしまったと言われています。

 


さて、前述で金星の雲には濃硫酸が含まれているとありますが、硫酸は
硫黄の原子を含んでいます。ところが硫黄はカルシウムを含む金星の岩石に吸収されるので、普通なら減っていくはずなのにその様子は全くありません。

それは火山が硫黄を含むガスを出しているのではないか、つまり火山活動が続いていると考えられます。また、金星表面を覆っている
玄武岩は地球でも火山によって生成される岩石(マグマが地表近くで固まった、カンラン石や輝石などの有色鉱物を多く含む火山岩)です。

そこで、金星の地表近くの岩石を詳しく調べることによって、過酷な環境の中での火山活動の様子が推測できるのではないか、また将来、気温の急激な上昇が懸念されている地球の温暖化対策のヒントになるものが発見されるのではないか?





そしてもう一つは、月の砂に存在が確認されているような
ヘリウム3のような、地球にはない新しいエネルギー源となるような物質の発掘調査をすることです。



※  ヘリウム3は核融合反応の材料になり、ヘリウム3と水素の一種である重水素が核融合するとヘリウム4(通常のヘリウム)と陽子になります。この反応で飛び出す陽子が膨大なエネルギーを発生させます。



ヘリウム3の核融合(イラスト出典: 宇宙開発事業団)

                P(proton)は陽子n(neutron)は、中性子を表しています。
                  重水素とは中性子がある水素の同位体です。普通の水素には
                  中性子がありません。



この核融合は、現在世界中で研究が進められています。それは、この反応が原子力(ウランの核分裂)に比べて発生できるエネルギーが大きく、また放射能が少ないという特徴があるからなのです。そういう意味ではヘリウム3は「理想の核融合燃料」です。


             以上の目的で、金星の岩石採掘をすることにします。




             その方法は?


 

 インパクターの使用によるサンプルリターン


2005年、NASAによって行われた「ディープイン
パクト計画」(彗星内部の成分分析)を参考にして、探査機にカプセルを搭載したインパクター(衝突機)を金星に打ち込みます。

しかし、金星の表面は分厚い雲で覆われているので可視光線による操縦は不可能です。そのために目的地のベストポイントを自分で判断するために電波観測ができる
人工知能を搭載します。

そしてイン
パクターの衝突によって地表面から飛び散った破片やさまざまな物質を採取します。
そして地球に戻った探査機は、
サンプル入りのカプセルを地球に投下して、その後カプセル内の物質を調べます。




     ペネトレーターによる地質調査


日本では、最近になって月の地表に直接突き刺して地質調査を行う「ヤリ型観測装置」が15年以上の開発期間をかけてようやく完成しました。これを応用してイン
パクター同様に金星大気や高温にも耐えうる仕様を施して、金星表面に突き刺し、そこから得られるデータを直接地球に送り、分析します。

カプセル採取(採れたかどうかの確認が難しい)と比較して、より確実性があると思われます。


                 




平成20年度 前期選抜 特色検査問題

(平成21年 1月27日)



     
                                   次の [資料1] から [資料4] をもとに[1] [2]を完成させなさい。

                 
                               (検査時間60分)

                                                          [資料1]

 今から2000年ほど前に約3億人であった世界の人口はゆっくり増加して、1800年に10億人に達した。その後の世界は急速な人口増加の時代に入り、現在は約66億人である。そして農業の発達による食料の大幅な増産がこのような人口増加を支えてきた。


特に1961年から2003年までの約40年間は、農耕地の面積の増加はわずかであったが単位面積あたりの収穫量が2倍以上増加したために、穀物の生産量が人口の増加を上回った。


このような収量の増加は1940年代に始まって1960年代に大きな成果を出した「緑の革命」とよばれる農業改革、すなわち作物の品種改良、化学肥料と農薬の使用、灌漑(かんがい)設備の整備、農業機械の利用などによるものである。


 現在、世界の66億人の人口を支えているのは世界の44億トンの農業生産であり、そのうち米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆の5種類の主要作物の合計が20億トンである。世界の人口は今後も増え続け、国連は2030年には83億人まで増加し、そのときには27億トンの主要作物が必要になると予測している。


一方、世界の農耕地面積は地球の陸地面積の約12%に当たる15億ヘクタールを維持しているが、1990年以後その面積は横ばいである。今後、農地の面積を増やすためには森林の破壊などの環境問題への配慮が必要である一方、現在の農地が住宅地や工業用地、道路などに転用されてその面積が減少する可能性もある。また単位面積当たりの収量の増加もそろそろ限界に近づいている。

(中略)

 国連農業機関(FAO)の2003年の推計では、世界には食料の不足による栄養障害と体力の低下を起こしている人たちが8億2000万人いる。すなわち世界人口の12%が飢えていることになる。食糧難に悩む人の多くが、サハラ砂漠以南のアフリカに生活している。


国連は世界の食料不足人口を2015年までに半減させることを目指してきた。しかし、FAOは2030年になってもまだ半数以上の4億4000万人が食料不足であろうと予測している。


(科学技術の智プロジェクト「21世紀の科学技術リテラシー像〜豊かに生きるための智〜プロジェクト総合白書」2008年より)




                                                                           [資料2]

 




                                                                 [資料3]   [資料4]

 


                                                               ※ フード・マイレージとは、輸入相手国別の食料輸入量(t)に輸入にかかる輸送距離(km)を
                                                                        かけ合わせたものの総和で、t・km(トン・キロメートル)で表される。



  問題



 [1] 
与えられた資料(資料1〜4)から読み取れる世界の課題と日本の課題をそれぞれ80字以上
100字以内で書きなさい。

[2]

あなたが国際社会で活躍する科学者またはリーダーであったとしたら
2030年までに[1]の課題
を解決するために、どのような計画を立て、解決策を提示しますか。

具体的な解決策と計画をわかりやすく工夫して書きなさい。なお、計画の説明には図や絵などを
用いてもかまいません。


                

  

生徒解答例


         
 
解答概略  (中山学院・前期選抜合格者)
[1]

                       
世界の課題

国や地域によって食料状況の格差が大きく、良い状況の国がそうでない国を援助しきれていない。また、世界の農地面積が人口の増加分に伴う食料を供給するのに充分でなく、将来世界中で食糧難に見舞われ、生き残りをかけて、農地や食料の確保のために衝突が起きたり、戦争に発展する恐れも考えられる。

                   
    日本の課題

1次エネルギー・食料自給率の両方とも低い水準のため、外国からの輸入に頼っている状況にある。よってそれらを輸送するために多大なコスト・資源が使われてしまっている。もし輸入国が日本への輸出量を制限するようなことがあると、自国での確保が困難なため品不足になり価格高騰を招く事態に陥る。


[2]

世界においては、先進国が技術面・人材面・経済面で支援を惜しまず、途上国との格差を減少させる。また、耕地面積の確保のために砂漠の農地化などにも取り組む。

日本においては、伝統的なものを除き、非効率的なものを一部改め、国内で自給可能な新資源の再開発に取り組む。たとえばセルロースの改質で糖類などに変化させる技術の研究・開発によって、耕地面積あたりの農作物収量を増加させるための合理化を図る。


                             塾長解説 

日本の食料自給率を高めるために
@ 
農耕地面積の増加 A 光触媒を利用して農業環境・農業技術を向上させることB 地産地消の促進 C 食育の普及などが必要ではないかと思います。

@については、「現在使用している農地を安易に住宅・工場用地や道路に転用しない」「政府が現在、使われていない土地・工場跡地などを調べ、買い上げ、農地に転換する」などが考えられます。人口の増加で、住宅問題との兼ね合いがありますが、まず耕地面積を増やしていくことが前提条件になります。

また最近の国土調査によると、農地として登録されながら放置されたままで荒廃している田畑もかなりの面積になっているようです。土地所有者と話し合い、計画的に開発していく必要性があります。

Aについては
光触媒が有効です。たとえば工場用地から転用された農地のクリーン度を高めるために、ダイオキシンを除去する光触媒シリカゲルを利用することによって食の安全性が高められます。

また、光触媒は農薬廃液の浄化や、農作物の鮮度保持、養液栽培などにも利用されていますが、充分な資金で耕地面積・研究費を確保した上で、安全で、環境に優しく、
効率のよい農作物栽培が可能になれば少しでも日本の食糧自給率アップに繋がるのではないかと思います。

Bの地産地消とは
「地域で生産されたものをその地域で消費すること」を意味します。日本国内での生産量を増加していけば、外国からの輸入量は減少します。さらに日本国内においても生産地と消費地が近くなればなるほど、国内でのフードマイレージも小さくすることができます。

そのために、政府や自治体が地域の農業従事者に対しての資金援助や最新技術の指導をしていきます。さらに地域生産の野菜・果物を購入した消費者にポイント制などのシステムを作り、そのポイントに応じて税金の軽減や、地産地消の商品を購入できる金券などと交換できるようにします。

Cの食育
食の知識やそれを選択する力を獲得し、健康的で安全な食生活を送るための教育のことです。現在の日本の食糧自給率を引き下げている要因として、一つは、昔の日本のような「取れたものを食べる」から、「食べたいものを食べる」という考え方の変化があげられます。

一つは、消費者がより安価な輸入品を選びがちであるということです。これらを改善するためには、学校での「食育」の授業によって、
「食の安全性や健康」について学び、地域においては「食育」に関する講演や生産者を招いての地場食料品の試食会などのデモンストレーションを行い、生産者と「お互いに顔が見え、話しができる」関係で地域の農産物・食品を購入する機会を提供することが必要なのではないかと考えます。

また、それにより
域の農業と関連産業の活性化が図れると共に、さらには国内全体の需要・供給量の増加が見込めるのではないかと思います。



  補足   フードマイレージの項目別内容と環境破壊との関係


高度経済成長期を起点として、日本は豊かな生活に慣れ飽食の時代を迎えているように見えます。しかし、豊かな食卓の裏側では資源・エネルギーの無駄な消費や環境悪化という隠れた現状も存在します。

現在、私達が豊かな食生活ができるようになったのは、さまざまな輸送機関や冷凍設備の発達のおかげです。そして、日本の食品輸入は今なお増え続け、現在では私達が口にする食べ物の約60%が輸入品です。日本の食生活に欠かせない魚介類・大豆・小麦なども輸入の割合は非常に高くなっています。



日本のフードマイレージ(約9000億t・km)の中で項目別の割合を比較したものが次のグラフです。



穀物 油糧種子
植物油原料
野菜・果実 大豆ミール
(飼料)
水産物 畜産物 その他

             「フードマイレージとその環境に及ぼす負荷に関する考察」 農林水産政策研究第5号より




日本の伝統的な食品の、豆腐(大豆)・うどん(小麦)・寿司 てんぷら(魚介類)を初めとして、消費の多いパン、菓子や麺類(小麦)などの生産のほとんどを外国からの輸入に頼っているのが現状です。





                主要輸入品の輸入先 (%) 2008年


品名 1位 2位 3位
小麦 アメリカ(60.6) カナダ(23.7) オーストラリア(15.5)
とうもろこし アメリカ(98.7) アルゼンチン(0.6) インド(0.4)
大豆 アメリカ(72.3) ブラジル(15.2) カナダ(9.3)
果実 フィリピン(23.8) アメリカ(22.7) 中国(16.3)
野菜 中国(46.9) アメリカ(19.5) 韓国(5.9)
魚介類 中国(17.2) アメリカ(10.7) ロシア(9.1)
肉類 アメリカ(24.0) オーストラリア(18.7) ブラジル(12.1)

                                               日本国勢図会 2009年度版より
 



環境とのつながり

上記の食材を輸送しているのは飛行機や船です。しかし飛行機や船はエネルギーを消費し排気ガスを出すので自然環境に負担をかけているといえます。フードマイレージの数字が大きいということは、それだけ大量のエネルギーを使っていることになり、温暖化問題にも直結していることになります。

食生活が豊かになることは大切ですが、普段私達が利用している食料品が環境と常に密接な関係にあるということを十分に認識しておく必要があります。一人ひとりが食べ残しのないように食べ物を大切にし、必要な食品だけを購入するなど、できるだけ
浪費を抑えることを積み重ねていくことが環境を守ることにつながると思います。


※ 中山学院では、環境問題を含め、科学全般に関しての諸問題を講義・実験等を通して解説しています。また、自己表現活動模擬試験を同形式で定期的に行っています。試験後、添削指導をします。
※ 模擬面接を生徒各自に対して複数回実施しています。(過去に実際に問われた全ての質問に対しての対応のしかた・答え方等を指導します。)