県庁室内合奏団アンサンブル・ゼルコーバ
第2回室内楽定期演奏会
と き 平成6年11月27日(日)午後2時開演
ところ セレモニーホール フロンティア 4階ホール

   (表記は、当時のままです。)
home >> 資料館 >> プログラム・メモ >> 第2回室内楽定期演奏会
「曲目解説」より
  モーツァルト(1756〜1791) 木管八重奏による「魔笛」抜粋(J.ハイデンライヒ編曲)
〔序曲、私は鳥刺しパパげーの、ム.ム.ム、美しい小鳥よお入り、なんという不思議な笛の音〕
RARA
 今回の演奏曲は、歌劇「魔笛」の特においしいところだけを選んだ編曲ものですが、歌声が出てこないものの、原曲の持ち味は十分に堪能できるものと存じます。
 全体的には明るく楽しい雰囲気が漂う曲の数々ですが、映画「アマデウス」をご覧になった方には、ちょっとそのような雰囲気ばかりに浸っていられない当時のモーツァルトの様子を思い出すのではないでしょうか。作曲の完成したのは1791年9月28日。一昨年、没後200年を迎えましたが、まさに35歳で亡くなるわずか2ヶ月あまり前の作品です。生活に困窮し、心身共にボロボロになりながらも、モーツァルトの天才と音楽への溢れる情熱がこのように人々の心に陽射しを与えてくれることを思うと、なぜか妙に感傷的になってしまわずに入られません。
  ブラームス(1833〜1897) 弦楽6重奏曲第1番変ロ長調より第2楽章  
 ブラームス27歳の時の作曲で、彼を最初に有名にした記念の名曲。1860年に初演されてから、「春の6重奏曲」というニックネームでヨーロッパではもっとも知られる曲のひとつでしたが、本日演奏する第2楽章は、まさにこの6重奏曲の中核となっています。
 ブラームスは、この時期は生地ハンブルクからほど近いデトモルトの宮廷に職を得、合唱団を指揮し創作活動も活発なこころ豊かな日々を送っていました。その様な環境にありながら、亡きシューマン(1856.7没)の思い出や未亡人クララへの思慕、さらにひととき結婚を考えたアガーテとの幸福な想いを綴ったのがこの曲だそうです。
 ここでは、「髭面の威厳あるブラームス」ではなく、「情緒たっぷりの若くて魅力あるブラームス」をイメージし、さらに、内向的でかつ甘美さと苦渋の交じり合った彼特有のロマンティズムを感じながらこの哀愁の情のあるれる曲をお楽しみいただければ、なお幸いに思います。
  ベートーベン(1770〜1827) 七重奏曲変ホ長調より第1楽章・3楽章及び終楽章 Peters
 1800年、30歳の時の作品。彼の音楽の前期『聞き手を喜ばせるための音楽』の終わりを告げる作品で、6楽章からなり、室内楽曲の中ではかなり変則的な形態となっています。彼の音楽の中期は『書き手のメッセージとしての音楽』、そして第9交響曲に象徴されるように後期の『神と称する相手と対話する音楽』と、ベートーベンの音楽はだんだん心の奥深いところまで達していくようになりました。しかし、前期の娯楽的音楽からとうの昔に別れを告げてもなお、依然根強く大衆の人気を博していたため、とうとう自ら嫌気をさしたといういわく付きの曲がこれです。
 
ティータイム
 
  J.S.バッハ(1685〜1750) ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調(全楽章)  
 1720年〜21年の作品で、フルート、ヴァイオリン、チェンバロのための合奏協奏曲。ブランデンブルク協奏曲は全6番にわたるバッハを代表する作品の一つですが、チェンバロが活躍する曲はなぜか5番のみ。それもそのはず、このころのバッハはケーテン宮廷楽長として活躍しており、当時、極めて高価だったチェンバロ(多分、幾つもの家が建つほどの値段だったのでしょう。)を特別注文し、完成してケーテンに届いたのが、1719年。その嬉しさのあまり、記念碑的に綴ったものがこの曲ではないでしょうか。第1楽章を聞いてお分かりのとおり、おそらくバッハは、チェンバロのためのフルート、ヴァイオリン付き協奏曲という考えで作ったに違いありません。でも、それにもめげず、フルートとヴァイオリンは一生懸命頑張ります。乞うご期待。
  ベートーベン(1770〜1827) ピアノと木管のための五重奏曲変ホ長調より第1楽章  
 この曲にはお手本がありました。しかも、まったく同じ編成かつ同じ調。さて、誰の作品がお手本になったのでしょうか? 答えは[M.M.M・・・」。(この解説のどこかに「ム.ム.ム」が出ています。その作者が答えです。)
 どちらかというと、お手本の二番煎じ的出来映えではないかと感じないわけでもありませんが、そこは、天下の大ベートーベン。Mさんのお手本を越えんと奮闘努力したお手前は、あたかも「料理の鉄人」の最強の挑戦者といったところでしょうか。
 ちなみに、お手本の主、Mさんがその自分の曲を作り終えたとき、なんと言ったと思いますか。‥‥‥いわく、「これまでの曲の中で、サイコー?」(ベートーベンさん、ごめんなさい。)
ハイドン(1732〜1809) 交響曲第7番「昼」ハ長調(全曲) Doblinger
 1761年に作られた、3部作的交響曲第6番「朝」、第7番「昼」、第8番「晩」のひとつ。この曲は、木管楽器・弦楽器それぞれいたるところにソロの出てくる、いわゆるコンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)的交響曲ですが、われわれアマチュア楽団にとっては、とってもスリリングで魅力あふれる作品です。どうぞ、寛大な心でお楽しみいただければ甚だ幸せに存じます。
マークのある曲は「写真館」のページも併せてご覧下さい。
home >> 資料館 >> プログラム・メモ >> 第2回室内楽定期演奏会