県庁室内合奏団 アンサンブル ゼルコーバ
第15回定期演奏会
時 : 平成21年1月10日(土)午後6時30分開演
所 : 福島市古関裕而記念館

home >> 資料館 >> プログラム・メモ >> 第15回定期演奏会
「プログラム・パンフレット」より
 アンネン・ポルカ J.シュトラウスU
 新年のコンサートにふさわしく、ヨハン・シュトラウスの作品でご挨拶。
 バレエ「黄金時代」より「ポルカ」 D.ショスタコービッチ
 ショスタコービッチは旧ソ連の作曲家ですが、サッカーの熱狂的なファンだったというのはあまり知られていません。この「黄金時代」も実はサッカー好きが高じて作曲されたバレエ音楽です。
 西側で開催された工業博覧会「黄金時代」にソ連のサッカークラブが招待され人気を博しますが、ファシストたちは彼らに対して陰謀をめぐらします。ミュージックホールでの馬鹿げた踊り、ボクサーや地区の労働者たちとソ連のサッカークラブとの友情などを描き、最後には、ファシストたちの陰謀が西側の共産党員に暴かれ喜ばしい労働の踊りで終幕、といったあらすじです。
 「ポルカ」は、ミュージックホールの場面の音楽で、当時流行の様々なステップのダンスが表現されていますが、「間違った音によるポルカ」との異名のとおり常に調子っぱずれな音が混じっており、正しいメロデイーが滑稽に聞こえてしまうへんてこな曲です。変な音が鳴っても譜面の通りの演奏だと思って楽しんでくださいね。(木管五重奏)
 「モーツァルトのトルコ・ロック・マンボ」 T.グレーヴス
 お察しのとおり、モーツァルトのトルコ行進曲を題材にしたロックです。ロックと言っても、この場合ポピュラーくらいの意味ですが。グレーヴスは1933年生まれのイギリス人作曲家で、声楽、ピアノやクラリネットの器楽曲、そして木管五重奏曲を多く送り出しています。
さて、耳を傾けてみましょう。
 序奏は妖しげなオーボエから。モーツァルトの断片が徐々に大きくなると、マンボに乗った「トルコ行進曲」シラソ♯ラド〜が始まります。転調すると、今度はスウィング。クラリネットやフルートにはインプロビゼーションどうぞ、の部分もあります。冒頭のマンボに戻った後、コーダは盛大なスウィング。一瞬マンボだったことを思い出すものの、締めは再びスウィング。モーツァルトのロンドがどのように調理されているか、お楽しみください。(木管五重奏)
 ブランデンブルク協奏曲第2番より第1楽章 J.S.バッハ
 曲名は、バッハが6曲からなる協奏曲集をブランデンブルク辺境伯クリスチャン・ルートヴィヒに献呈したことに由来するものですが、自筆譜にはフランス語で「いくつもの楽器による協奏曲集」と記されているだけで、実際は『バッハ伝』を著したシュピッタという人の命名によるようです。
 作曲は番号順と思いきや、長期にわたり作曲した協奏曲の中から6曲選んで、第6番→第3番→第1番→第2番→第4番→第5番の順にまとめたもののようです。
 第2番は、本来、トランペット、オーボエ、リコーダー、バイオリンのソログループと伴奏で構成されていますが、本日は弦楽合奏の編曲版で演奏します。(弦楽合奏)
 トリオのための5つの小品 J.イベール
 この曲は、オーボエ、クラリネット、ファゴットの三重奏です。このトリオの編成を「トリオ・ダンシュ」といいまして、この三つの木管楽器の共通点は、リード楽器であること。フランスのファゴット(バソン)奏者が1927年にこの編成での演奏を始めたのが最初のようで、この曲の作曲者イベールも同時期に活躍したフランス人。イベールは、オペラ、バレエ、映画音楽、管弦楽曲、室内楽、と幅広く作品を残しており、管楽器好きの作曲家だったようです。フランスの音楽というと難解な印象があるかもしれませんが、この曲は軽快で明るく、時にちょっと感傷的で親しみやすさもあります。木管楽器特有のやわらかな響きをお楽しみください。(トリオ・ダンシュ)
 「弦楽のためのソナタ」第1番 ト長調 G.ロッシーニ
 作曲者のロッシーニといえば、オペラ作曲家として高名ですが、グルメでも有名。ご存知、“ロッシーニ風”とは、フォアグラとトリュフを使ったお料理のこと。いかにもイタリア人らしく、食べて、飲んで、作品を書いたのかと思いきや、このソナタ集は、全部で6曲あるのですが、なんとロッシーニ12歳のときの作品だとか。飲んで…はなさそうです。
 この中から第1番をお送りします。少年が書いたものとは到底思えない、快調なノリ、キレのよいウィット、無邪気なカンタービレ、とイタリア満載の最高に楽しい曲です。でも、団員からは演奏は難しいとの声も・・・。(弦楽合奏)
 「子供の情景」 R.シューマン
 1. 見知らぬ国と人々について
 2. 不思議なお話
 3. 鬼ごっこ
 6. 重大な出来事
 7. トロイメライ
10. むきになって
13. 詩人のお話 (*番号は原曲による)
 シューマンは若い頃ピアニストを目指していたこともあり、たくさんのピアノ曲を残していますが、「子供の情景」はその中でも最も知られた曲のひとつです。
 タイトルから察するに、シューマンが自分の子供のために作った曲かと思いきや、実はそうではありません。この曲は28才の時の作品ですが、天才ピアニスト・クララと熱烈な恋愛ののちに結婚するのは2年後ですし、もちろん当時は子供もいません。一般的に、恋愛のエネルギーは芸術家の創作活動に大きな影響を与えますが、シューマンの場合も例外ではありませんでした。結婚するまでに作曲したのは、ほとんどがピアノ曲だったのですから!(愛しいクララ様のため♪ ちなみにクララは、シューマンが師事していたピアノ教師の娘。)
 クララとの結婚を夢見て、平和で穏やかな生活への願いを、この曲に込めたのでしょうね、きっと。(木管五重奏)
 バロック風「日本の四季」より「冬」 早川正昭
 「四季」と言えば、ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集にある「四季」が有名ですが、「日本の四季」は 作曲家で指揮者でもある早川正昭氏が日本の四季にまつわる童謡や唱歌を、ヴィヴァルディの「四季」を本歌取りしながら、バロック風に編曲したものです。
 本日は、この中から「冬」を取り上げました。「雪」「ペチカ」「春よ来い」など、親しみやすい童謡が盛り込まれていますので、編曲の面白さとあわせてお楽しみください。(弦楽合奏)
 
◇◇◇◇◇◇◇  休  憩  ◇◇◇◇◇◇◇
 
 交響曲第5番変ロ長調D.485 F.シューベルト
 「交響曲第5番」と聞いて脳裏に鳴り響くのは、誰の曲? ベートーヴェン(142 王座は盤石)、チャイコフスキー(98 ロシアの憂愁と堂々の行進曲で人気)、マーラー(86 アダージェットのおかげなのか)、ショスタコービチ(62 作曲意図をめぐる毀誉褒貶の影響か)、ブルックナー(53 かなり渋いのに)、プロコフィエフ(24 平明でわかりやすい、それが不人気の理由?)、シベリウス(14 一部熱狂的な支持層がある公明党的存在)、ドボルジャーク(5 大昔は「新世界」が第5番だったんです)、ブラームス(もちろん嘘ですが、あったら素晴らしい曲のはず)、モーツァルトとハイドン(0&1 ただ存在を知るのみ・・・)あたりでしょうか。このシューベルトの第5番(24)は、「未完成」交響曲や「グレート」交響曲など死後に初演された曲に事欠かない彼には珍しく作曲後すぐに初演され、録音や演奏もそこそこあるのですが、それには彼独特の魅力を湛えた愛らしく親しみやすいメロディーが貢献しているのでしょう。第1・第4楽章冒頭、第3楽章のトリオなどにご注耳(?)ください。とりわけ、全編歌に溢れた第2楽章アンダンテは、彼の面目躍如。延々と紡がれる歌また歌に酔い痴れていると、いつしか「未完成」交響曲の暗く深い音楽の淵に導かれてしまいそう。ぜひ愛聴の第5番に加えていただきたい佳曲です。(なお、作曲者名の後のカッコ内の数字はHMVで検索した録音数(CD&DVD)です。)
home >> 資料館 >> プログラム・メモ >> 第15回定期演奏会