県庁室内合奏団 アンサンブル ゼルコーバ
第23回定期演奏会
時 : 平成28年12月17日(土)午後2時00分開演
所 : 夢奏蔵(福島市森合)

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「プログラム・パンフレット」より
 セレナード第10番変ロ長調 KV361「グラン・パルティータ」より  W.A.モーツァルト
 室内合奏団に身を置くからには演奏せずにいられるか! それぞれ複数の木管楽器とホルンを基本単位とする「ハルモニームジーク」。 盛んだったのは、オーストリアの貴族が私設バンドとしてハルモニーを召し抱えていた1700年代最後の四半世紀です。
 モーツァルトのセレナード第10番は、1781年にミュンヘン〜ウィーンで作曲された説などがありますが、現在は、クラリネット の名手A.シュタッドラーが1784年3月に行ったコンサートのための作品とする説が有力です。このとき書き写されたパート譜が 長らく原典として用いられてきましたが、拙劣な筆写の上、演奏者の都合による改変も含まれていました。1979年、ワシントンの 国会図書館に売却されていた自筆譜に基づくスコアが新モーツァルト全集の一員として出版され、私たちも至宝を享受できるように なりました。
 6対の管楽器(オーボエ、クラリネット、バセットホルン、ファゴット、ヘ調のホルン、変ロ調のホルン)にコントラバスが加わった 13人の奏者により演奏されます。バセットホルンはクラリネットに似た木管楽器で、柔らかく愁いを含んだ響きをレクイエム(KV626) の全編で聞くことが出来ます。
 どうぞ、フランス革命の前夜、成熟の頂点にあったヨーロッパ文明を想像しながらお楽しみください。
     第1楽章 Largo-Molto allegro
     第2楽章 MENUETTO-TrioI&II
     第5楽章 ROMANCE
     第7楽章 FINALE
 「おもちゃの交響曲」より  E.アンゲラー
 カランカラーン…。お客さんだろうか。振り返ると誰もいない。ドアの隙間から風がいたずらに店先のチャイムを静かに揺らす。クリスマスも 間近というのに寂しい店先。わしの名は、バゼル。ベルヒテスガーデン(ドイツ)に住んでおる。父の代から受け継ぐ昔ながらの「おもちゃ屋」の 店主である。積み木や木馬、ボール転がしに迷路…。子ども達が楽しめるおもちゃがたくさんあるんじゃがのう…。おもちゃの楽器だってあるん じゃぞ。この木の笛なんて「カッコウ」の鳴き声にそっくりじゃし、おもちゃの太鼓やラッパだってそれなりにいい音がするのじゃ。子供たちが 遊びに来てくれたらその良さがわかるのになぁ。ん?(目をこする)おもちゃの小人たちが動き出して、カウンターに行儀よくならびおったぞ。 楽器を持ってなにかを言っておる。「聞いて、聞いて、私たちの音楽を!きっと楽しいよ!」わしは、夢を見ているのだろうか…。 ※ この物語はフィクションです。
 この曲の作曲者については、諸説有ります。研究の初期段階ではハイドン説が有力でしたが、のちにモーツァルトの父であるレオポールト・ モーツァルトだろうという説が長年にわたって定着していました。しかし、昨今ではE.アンゲラーが有力とのこと。おもちゃ屋が宣伝のために 作曲を依頼したのではないかということですが…。今後の研究に乞うご期待!
     第1楽章 Allegro
     第3楽章 Allegro moderato-Allegro-Presto
 木管五重奏曲 変イ長調より  G.ホルスト
 ホルストといえば管弦楽組曲「惑星」で有名なイギリスの作曲家ですが、他にも「吹奏楽のための第一組曲」、弦楽合奏のための「セントポール組曲」 などに加え、合唱曲も多く作曲しており、さらに自身もオルガンやトロンボーンの演奏家であり、音楽学校で教師も務めていたという、多彩な 才能の持ち主だったようです。
 1903年に作曲されたこの曲は、がっつり4楽章の古典的な構成でありながらも、全体に浸透する神秘的な和音の響きから、やはり「宇宙っぽい 感じ」を連想する人が多いのではないでしょうか。
 本日は、第1、3、4楽章を演奏します。長い冬の夜空にきらめく星々に思いを馳せて…。
     第1楽章 Allegro moderato
     第3楽章 Minuet(in Canon)-Allegretto
     第4楽章 Air and Variations-Poco allegro e cantabile
   
◇◇◇◇◇◇◇  休  憩  ◇◇◇◇◇◇◇
   
 「ピアノ、オーボエとファゴットのための三重奏曲」より  F.プーランク
 この曲は、20世紀の重要な作曲家の一人であるフランシス・プーランク(1899〜1963)が1926年に作曲した、青春時代のプーランクを 代表する名高い曲である。
 彼がどんな人物だったのか、この機会に調べてみた。彼は、敬虔なカトリック教徒でありながら、ちょっといたずらっ子ぽい二面性を持っていたことが 分かった。そしてその特徴は、この三重奏曲にもよく表れている。冒頭では、深刻さが伝わってくるが、あっという間に快活な音楽へ変わっていく。 この絶妙なタイミングでの場面転換がこの曲の面白さである。まさにフランスの「エスプリ(機敏、才知)」を感じさせる。彼の遊び心が伝わりますように。 詳しくは、漫画「のだめカンタービレ第14巻」を参照あれ。
     第1楽章 PRESTO
 「フリッパリーズ」よりNo.9、11、12【ホルン四重奏】  L.E.ショウ
 この辺りで、ちょっとひと息おやつの時間。現代アメリカの作曲家兼ホルン奏者、ショウ(1930〜)による全36曲の小品集「フリッパリーズ」から、 3曲をお届けします。(レシピどおりにできれば)はじけるリズムに乗せて繰り出す、軽快なハーモニーを味わっていただけるはず。
     No.9 :みんな集まれレッツパーリー!
     No.11:甘くてちょっぴり切ないバラード
     No.12:おちゃらけ小僧達の大冒険
 「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲」よりイタリアーナ、シチリアーナ【弦楽合奏】  O.レスピーギ
 原曲は、レスピーギが16、17世紀頃の無名作曲家のリュート作品をオーケストラ、弦楽合奏用に編曲したもので、3集の組曲からなります。
 今回はその中でも特に有名な第3組曲より「イタリアーナ」「シチリアーナ」をお届けします。シチリアーナはテレビCMに起用されたこともあり、 名前は知らずとも聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
 美しくもどこかノスタルジックなメロディーに耳を傾けてみてください。
 「弦楽五重奏曲第2番 ト長調 Op.77」より  A.ドヴォルザーク
 ドヴォルザークが渡米前、生活的にも安定した34歳の1875年に書いた弦楽五重奏曲です。弦楽五重奏曲は、通常は弦楽四重奏にヴィオラまたは チェロをもう1本増やした編成が多いのですが、この曲はコントラバスを加えているのが特徴です。この組み合わせは豊かな低音の響きが魅力的なの ですが、この曲でもコントラバスが見事にアンサンブルを支えています。
 本日は、ヴィオラ2本の6名により第3楽章 ポコ・アンダンテをお送りします。叙情味のある歌心あふれた伸びやかな音楽です。特に提言の ピッチカートの伴奏に乗って歌われる旋律に皆様の心が晴れますように。
 アンダンテ・フェスティーボ【弦楽合奏】  J.シベリウス
 フェスティーボは、イタリア語で「祝祭的な」という意味ですが、この作品は荘重で一種宗教的な賛歌となっています。シベリウスお気に入りの曲 だったらしく、しばしば自分が指揮する演奏会のプログラムやアンコールで取り上げています。私たちも、この曲を大変気に入っており、演奏できる ことをうれしく思っています。
 木管五重奏曲  P.タファネル
 タファネルは、フルート奏者兼指揮者でもあり、作曲家としても活躍した人です。笛吹きの立場から個人的に言うと、タファネルの名前を聞いて 真っ先に思い浮かぶのはフルートの教則本。厳密で退屈(!?)な音の連続は、音作りとともに忍耐力もつくような気がします。それだけ、 フルートに情熱をかけていたということでしょう。
 そんなタファネルの木管五重奏曲、フルートがえこひいきされているかと思いきや、決してそんなことはありません。全ての楽器に素敵な旋律や 和音が振り分けられています。
 不安や悲しみを抱えて美しいメロディーの中に、見え隠れする艶っぽさや色香…さあ、光と影が混在するフランス音楽の世界をお楽しみください。
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