汚れつちまつた悲しみに


中原中也

詩人。明治40年山口県生まれ。昭和12年、結核のため30歳で死去。生前充分な評価を得ることのないまま、志半ばにして亡くなった。しかし、その作品は年とともに評価を高め、今や近代文学を代表する叙情詩人として揺るぎない地位を占めている。


全文

「にほんごであそぼ」では冒頭部分のみの紹介でしたので、全文を紹介します。この詩は詩集「山羊の歌」に収録されています。

汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の皮裘(かはごろも)
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む

汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところなく日は暮れる・・・・・


汚れ

 自分が「汚れている」ということまではわかりますが、あとは、中也の世界のみぞ知る雰囲気というか、そのようなものでしょう。私の手元にある資料によると「過剰な自意識による生の倦怠の情」とありますが、形なき、中也のあの世界観に、無理やり命名しているとしか思えませんが(苦笑)。彼の場合、信者のようなマニアが多く、私など、中也を語るには差し出がましいほどなののですが、彼の詩集を読み、どっぷり彼の世界に浸ると、見えてきそうな気もします。汚れが何かが。
 こちらも、「寿限無」同様、数々のミュージシャンによって、曲が付けられています。


にほんごであそぼふぁんさいと

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