がってん音頭

あかねさす 紫野行き標野行き 野守りは見ずや 君が袖振る      額田王

万葉集
茜草指 武良前野逝 標野行 野守者不見哉 君之袖布流

「あかね色に輝く、紫野、標野で、そんなに袖を振ったら、番人の野守りが見ますよ。」

 この歌の背景には、複雑な人間関係があります。書いたのは額田王。天智天皇の妻です。天智天皇とは、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)のこと。大化の改新をした方です。
 不倫の相手は、前の夫です。大海人皇子(おおあまのみこ、後の天武天皇)です。で、この大海人皇子というのは、実は天智天皇の弟なんです。そもそも、大海人皇子の妻であった女性を、兄の天智天皇が奪った結果のことなんですが。さらに、後々には、天智天皇の娘が天武天皇の后になっています。

 こっそり逢っていたのでしょうね。茜指すは、色から夕方を想像しますが、朝日だという説もあり、この歌も「朝」を歌っています。天智天皇が用意してくれた「紫野、標野」の土地で、不倫相手の大海野皇子が人目もはばからず、手を振っています。



2009.11.22 記事を書き換えました。
*私の解釈は、個人的なものです。この歌の真意を知りたい場合は、くわしく研究されているサイトを参照して下さい。




にほんごであそぼふぁんさいと

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