がってん音頭

香爐峰下、新卜山居、草堂初成、偶題東壁
(香爐峰下、新たに山居をぼくし、草堂はじめてなり、たまたま東壁に題す)

白居易

日高睡足猶慵起
小閣重衾不怕寒
遺愛寺鐘欹枕聽
香爐峰雪撥簾看
匡廬便是逃名地
司馬仍爲送老官
心泰身寧是歸處
故郷何獨在長安


(読み)
日高く睡り足るも、なお起くるにものうし
小閣にしとねを重ねて寒さをおそれず
遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き
香爐峰の雪は簾をかかげてみる
匡廬(きょうろ)はすなわちこれ名を逃るるの地
司馬はなお老を送るの官たり
心やすく身やすきは是帰処
故郷何ぞ独り長安にのみ在らんや


(訳)
お日様は高く上がり、睡眠は十分とったのだが、まだ起きるのが億劫だ。
小さな家でふとんを重ねているので、寒さは気にならない。
遺愛寺の鐘は枕を傾けて聞き、香爐峰の雪はすだれをはね上げて眺める。
匡廬こそは、名誉をのがれる地。
司馬は、老後を送る官としては十分である。
心も身も安らかな所は、すなわち私が帰るべき場所である。
故郷が長安でなければならないわけはない。
この七言律詩は、『枕草子』(清少納言)の次の文で有名。

雪のいと高う降りたるを
例ならず御格子まゐりて
炭櫃(すびつ)に火おこして
物語などして集りさぶらふに
「少納言よ 香炉峰の雪いかならむ」と仰せらるれば
御格子上げさせて御簾(みす)を高く上げたれば 笑はせ給ふ。

中宮様が「少納言よ、香炉峰の雪はどうであろう」と聞いた時に、
清少納言は、御簾を上げてみせた。
清少納言が、気の利いた答え方をしたので、
他の女達が「さすがね〜」と言ったという場面。

香炉峰は、中国江西省九江の南西、廬山にある山で、形が香炉に似ている。
廬山中の景勝の一つ。
この冬、帰省した時に、雪が降りました。
「にほんごであそぼ」で放送されたこの詩が浮かびました。

日高く睡り足るも、なお起くるにものうし
小閣にしとねを重ねて寒さをおそれず
遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き
香爐峰の雪は簾をかかげてみる

実家では、朝はのんびりです。
夜はたいがい父に付き合って飲んだくれています。
朝起きると、子どもは父にさらわれて、
近くの公園に行ったり、車の掃除をさせられていたりします。
その間私は「実家天国」を味わいます。
いつもは、こんなことなんて言っていられません。
パパッと起きて、朝ごはんを作ったり、お弁当を作ったり、
旦那や子どもを起こしたり、大忙しです。

もうとっくに起きているのですが、
「そろそろ起きなさいよ」の母の声で
わざわざ起こされます。

日高く睡り足るも、なお起くるにものうし
小閣にしとねを重ねて寒さをおそれず

なんて、つぶやいて部屋を出ると、
朝ごはんができています。(^_^)

白居易は「実家天国」を詠ったわけではありません。あしからず。(笑)

にほんごであそぼふぁんさいと