嘉瀬特定社会保険労務士事務所

労務管理の疑問


 試用期間と解雇予告について
2020年12月10日
Q.2箇月の試用期間を定めて雇い入れた者がいるのですが、勤務成績が芳しくなく、本契約をしないつもりでおります。つまり、試用期間満了と同時に辞めてもらうつもりでいます。このとき、解雇予告は必要ですか?
A.労働基準法第20条には以下のようにあります。

「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむをえない事由のため事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。」

つまり、使用者が労働者を解雇する場合、原則として、下記の3つのいずれかを選択しなければなりません。    

 @30日以上前に解雇予告をする
 A即時解雇する場合は、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。
 B例えば10日後に解雇する旨を伝えた場合は、平均賃金の20日分以上の解雇予告手当を支払う。

 但し、下記の者は解雇予告の適用除外者とされています。

 ・日々雇い入れられる者
 ・2箇月以内の期間を定めて使用される者
 ・季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
 ・試の試用期間中の者

ご質問の場合、上記4の試の試用期間中の者に当てはまるような気がしますが、上記の適用除外者であっても、下記の場合は、解雇予告が必要とされています。

1つ目の日々雇い入れられる者については、「1箇月を超えて引き続き使用されるに至った場合」
2つめのの2箇月以内の期間を定めて使用される者、3つ目の季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者については、「所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合」
4つめの試の試用期間中の者については、「14日を超えて引き続き使用されるに至った場合」

つまり、ご質問の場合、2箇月の試用期間終了後に本契約をしないということですので、労働者を解雇するときには、解雇予告をする必要があるということになり、所定の手続きを踏まなくてはならないということになります。

振替休日と代休の違いについて
2020年12月10日
Q.振替休日と代休とはどのような点が違うのでしょうか?
A.振替休日と代休は異なります。

 休日労働に対して他の労働日を休日にする方法には、振替休日と代休があります。<br>この違いについて
ですが、休日の振替とは、あらかじめ休日と定められた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とする
ことですが、その振替休日に関して、通達で、「休日の振替が行われるためには、次の要件を備えていなけれ
ばならない」とされています。(昭和63年3月14日基発150号)

 @就業規則等において、休日を振り替えることができる旨の規定を設けること
 A休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えること
 B4週4休の休日(法定休日)が確保されるものであること

 そして、この休日の振替規定により休日を振り替える場合、当該休日は労働日となるため休日労働にはな
らない、つまり、休日労働に対する割増賃金の支払が不要となります。
 そして、上記要件を満たしている振替休日の場合は、原則的に割増賃金の支払は必要ありません。

 また、同通達において、「休日の振替を行う場合には、就業規則等においてできる限り、休日振替の具体
的事由と振り替えるべき日を規定することが望ましく、また、振り替えるべき日については、振り替えられた日以
降できる限り近接している日が望ましい」
とあります。「望ましい」という表現ながらも、振り替えるべき日につい、なるべく近接した日にすべし、ということで
す。ただし、具体的に「何ヶ月以内」ということは定められていません。

 一方、代休とは、休日労働や長時間の時間外労働、深夜労働が行われた場合に、その代償措置として、
その後の特定の労働日の労働義務を免除するものです。代休の場合、現に行われた労働がこのような代休
を与えることによって、休日労働等でなくなるものではないため、休日労働等に対する割増賃金の支払が必要
となります。(昭和63年3月14日基発150号)

退職日まで年次有給休暇を使い引継ぎをしない社員
2020年12月10日
Q.退職予定の社員が、残っている年次有給休暇をすべて消化す
るために、退職日までの年次有給休暇の申請をしてきました。こ
んなことが許されるのですが?

A.労働者からの年次有給休暇の請求を拒否することはできません。

 労働者が年次有給休暇の全部を行使する前に退職又は解雇された場合には、その効力が発生するまで
の間(解雇予告期間中を含む)に行使しない限り消滅する。(昭和23年4月26日基発651号)

 つまり、退職日あるいは解雇日までに消化しきれなかった有給休暇は消滅してしまうことになります。

 また、労働基準法第39条第4項には、「使用者は、労働者が請求する時季に年次有給休暇を与えなけ
ればならない」としており、「使用者は、請求された時期に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げ
る場合に限り、他の時季に与えることができる」と使用者側の時季変更権を認めています。
 
 しかし、この時季変更権はそう簡単に認められるものではなく、「引継ぎができない」程度の理由では、これを
行使することは不可能です。

簡単に言いますと、労働者が「退職までの残日数をすべて年次有給休暇に充てますので、もう出社はしませ
ん」
と申し出た場合、使用者は別の日を指定することができませんので、それを認めざるを得ないということになりま
す。